【財務分析】売上高3兆円突破のJR東日本、非鉄道事業で成長

【財務分析】売上高3兆円突破のJR東日本、非鉄道事業で成長

首都圏・東京を中心に日本の交通網を支えるJR東日本。山手線や中央線を始めとする在来線の他、新幹線網といった安定収益を稼ぐ鉄道事業を有する優良会社です。近年は不動産事業等の「非鉄道事業」が業績を牽引し、2019年3月期に売上高3兆円を突破しました。財務諸表からJR東日本の現状と将来を分析します。


損益計算書(PL):売上収益は初の3兆円突破

東日本旅客鉄道(JR東日本)の2019年3月期の営業収益は3兆20億円で前期比1.8pt増となりました。営業利益は4848億円で同0.7pt増でした。

運輸業等営業費及び売上原価は前期比1.6%増でしたが、粗利率は同0.1ptの改善。販管費も同3.2%増で、営業利益率は16.2%と同0.1ptの悪化となりました。

セグメント分析:交通系IC「Suica」の運営事業が成長

JR東日本の事業セグメントは4つに分かれています。

  • 運輸事業:鉄道事業を中心とした旅客運送事業のほか、旅行業、清掃整備業、駅業務運営業、設備保守業、鉄道車両製 造事業および鉄道車両メンテナンス事業等。
  • 流通・サービス事業:小売・飲食業、卸売業、貨物自動車運送事業および広告代理業等の生活サービス事業
  • 不動産・ホテル事業:ショッピングセンターの運営事業、オフィスビル等の貸付業およびホテル業等の生活サービス事業。ルミネやアトレ等運営。
  • その他事業:クレジットカード事業等のIT・Suica事業および情報処理業等

なお、運輸事業の営業エリアは、主として関東および東北地方の1都 16 県。駅数は 1,655 駅、営業キロは在来線が6,207.5km、新幹線が 1,194.2km、総合計は 7,401.7km。

出典:2019年3月期 決算説明会

2019年3月期のセグメント別売上収益は「運輸事業」が67.9%を占めています。営業利益でも70.3%と全体を牽引。このほか、不動産・ホテル事業は16.7%、流通・サービス事業は8.1%、その他事業は4.9%でした。

安定した運輸事業をベースにしつつ、好立地である駅周辺土地を保有していることから、ルミネやアトレなどの駅直結商業施設の運営、JR東日本ホテルメッツなどのホテル運営を行っており、高い需要が見込めるエリアでの不動産事業を行える点が強みです。

また、2019年3月期は「その他事業」が前期比で伸びています(営業収益20.5%増、営業利益5.4%増)。この中には交通系IC「Suica」の運営事業が含まれており、IT・Suica事業だけでも営業収益547億円(前期比11%増)、営業利益132億円(同21%増)と好調です。

JR東日本が掲げる「変革2027」によると、既存の輸送サービスからIT・Suicaを含めた「生活サービス」へ経営資源を投資し、2027年にはセグメント割合を既存の「7:3」の「6:4」へ変えていく方針です。

貸借対照表(BS):総資産は8兆3500円超

2019年3月期の総資産は8兆3596億7600万円で、4期間では積み上がっています。

純資産合計は3兆943億7800万円で、前期比0.6%増と微増。固定負債は3兆8263億2200万円で、前期比0.1%減。流動負債は1兆4389億7500万円で、同0.3%増えました。

会社の財務体質の長期的な安全性を測る株主資本比率は36.7%で前期比1.6pt増加。流動比率は68.0%で同2.0pt減。いずれも業界平均よりも低い水準です。

流動比率は100%を下回り、「1年以内に現金化できる資産よりも、1年以内に返すべき借金の方が多い」水準です。普通の会社の場合は安定性が疑われるところですが、JR東日本は運賃という日銭が入ってくるビジネスであり、短期的な資金繰りを心配する必要がありません。

なお、上場企業を対象としたリスクモンスターの「第1回不動産王ランキング調査」(2019年1月)によると、決算書の記載に基づく土地保有額で、JR東日本は大手デベロッパーとともに第5位となっています。

  1. 住友不動産(2兆4642億円)
  2. JR東海(2兆3546億円)
  3. 三菱地所(2兆0632億円)
  4. 三井不動産(2兆0382億円)
  5. JR東日本(2兆0207億円)

キャッシュフロー計算書(CF):獲得キャッシュを設備投資へ

2019年3月期の営業活動によるキャッシュフローは6638億100万円で、前期比5.7%減。主な減少要因は「売上債権の増加」です。営業CFマージンは22.1%で、前期比2.8pt減少しています。

投資活動によるキャッシュフローはマイナス5944億2500万円で、マイナス額は前期比で9.7%増でした。主な増加要因は「有形・無形固定資産の取得による支出が増加した」ためです。

財務活動によるキャッシュフローはマイナス1206億9300万円で、マイナス額は前期比10.7%減。主な増加要因は「有利子負債の調達による収入が前期に比べ増えた」ためです。

鉄道等の安定的に獲得できるキャッシュを基に、鉄道設備への投資や新規事業への投資を行い、一部配当支払いを行うなど、堅実なキャッシュフロー運営ができています。

資本効率分析:4期連続増益だがROEは低下

親会社株主に帰属する当期純利益は2952億1600万円と、前期比2.2%増です。

当期純利益は増加しましたが、株主資本が同7.3%増となったため、株主のお金を使って利益を生み出す効率を測るROE(自己資本利益率)は10.0%。前期比0.5pt減となりました。しかし、陸運業平均の7.8%は上回っています。

すべての資産を使って利益を生み出す効率を測るROA(総資産利益率)は3.6%で、前期と変わりませんでした。こちらは陸運業平均の4.9%を下回っています。

まとめ:「変革2027」で大型設備投資を計画

JR東日本の強みは、圧倒的な鉄道網と不動産を有している点です。企業口コミサイト「キャリコネ」には、従業員から以下のようなコメントがありました。

東日本エリアの運輸事業を一手に担っており、ライバル企業は存在しません。今後も運輸事業において安価で安定的なサービス提供という事においては右に出る企業は出てこないでしょう。不動産など多角経営も順調で50年後も確実に存在し続ける企業ですので、安定性を求めるならオススメです。

JR東日本の2020年3月期決算は、前期比ほぼ横ばいを想定しています。これは、各セグメントで増収増益を予想しつつ、投資を優先するためです。

「変革2027」では、2018~2022年度で総額3兆7500億円の設備投資を計画しています。内訳は、鉄道事業における維持更新投資に1兆9100億円、成長投資に1兆4400億円、重点枠としている「イノベーション投資」に4000億円が充てられる予定です。

2020年春に山手線新駅「高輪ゲートウェイ駅」開業を予定しており、品川周辺の国際交流拠点として大規模プロジェクトを遂行しています。

出典:2019年3月期 決算説明会

首都圏の生活には無くてはならない存在のJR東日本ですが、鉄道事業から「人々の生活を豊かにするため」に事業変革を行っています。2019年度は「変革」の本格フェーズに突入する初年度として業績動向が試される年となるでしょう。

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本、JR-East)の評判・口コミ・評価の一覧 | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ

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東日本旅客鉄道株式会社の評判・口コミ・評価などに関する情報です。「良い点は、鉄道事業等を通じた圧倒的な社会貢献性 問題点は、鉄道事業からくる保守性、物事が進む遅さ。将来性も薄...」のような転職に役立つ口コミ・評判が観覧できます。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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