かんぽ生命の採用面接前に知っておくべきこと
■社風への理解
民営化により、営利企業として再出発したかんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)。契約更新の際に二重課金するといった不正販売をしていたことが発覚し、一企業としての責任や倫理を問われる局面を迎えています。
社員の口コミでは、「サービス残業は一切ない」「有給消化率がほぼ100%」「女性が等しく評価される」などと、待遇については法令が順守されていることが強調されています。職場は基本的に年功序列。若手のうちの給料はかなり少なく昇給の幅も小さいため、その分のリターンを得るには相当長く勤めなければなりません。営業ですらチームワークが重視され個人で成果を挙げることが難しい点や、成果を挙げたところで評価につながらない点は、一般企業から転職した人にとっては違和感を覚えることも。安定を重視して選んだはずなのに、職場に「危機感がない」のが怖くなり、逆に将来が不安になってしまう人もいるようです。
お客様に信頼され、愛される会社であるために、チームワークを重視して協力していく。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
■選考は何次まで?
かんぽ生命保険では書類選考の後に面接数回と筆記試験及び性格テストが行われます。面接は1~3回とばらつきがあり、グループディスカッションが行われることも。選考期間も2週間から3カ月以上と人によってかなり異なります。スケジュールを全く融通してもらえず、先方の決めた日時に出向かなければいけないケースも存在するため、スケジュールに余裕を持って転職活動に挑みましょう。
経験者の話によると試験の内容は漢字と数学で、性格診断は200問ほど出題されたとのこと。面接中はブース形式でほかの面談者の笑い声や話が聞こえてきたとの声もあります。周りに気を取られずに集中力を持って挑みたいところ。
グループ面接で求められるのはいい意味での「没個性」の様子。実際に受験した人からは「いい意見を言うことよりも周りの人との協調性を見られている」との声が寄せられています。何か発言しなければと焦って悪目立ちするよりは、普段通りにいることを心がけた方がいいかもしれません。
■面接内容の傾向は?
営業関連職の場合、車や二輪の免許を持っているかを聞かれます。できれば事前に取得しておきましょう。また、「将来完全歩合制になったらどうするか」「郵便局が利益を上げるにはどうしたらいいか」といった質問をされることも。とんちんかんな答えにならないよう、これまでの民営化に関するニュースを読み、どのような変化が生じているのかを把握しておきたいところです。
その他の質問は「今までのキャリアについて」「志望動機」「苦労したこと」「長所・短所」など一般的なもの。特に志望動機と学生時代の話は深掘りされることが多いようです。学生時代のエピソードを思い出してまとめておくと役に立つでしょう。口コミによると「質問内容は新卒の採用のよう」「学歴はあまり関係ない。素直さを重視している」などで、人物を重視している傾向がうかがえます。どのように工夫してどんな実績を上げたかよりも「どのように心がけているか」という質問が目立つため、気負わず新卒のような謙虚な気持ちで臨むとよいでしょう。
かんぽ生命の面接攻略法(面接対策)
■かんぽ生命の経営戦略を理解した上で自己分析をする
かんぽ生命の面接を受ける上では、経営戦略を理解しておくことが不可欠です。主だった戦略には以下のようなものがあります。
保有契約の反転・成長により、持続的な利益成長を目指す
かんぽ生命の経営戦略は今後活躍する人材を採用する人事戦略にも影響します。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの経営戦略に合致する人材であることをアピールしましょう。
かんぽ生命は、2027年までに年換算保険料を約20%増加させることを目標としています。そのための方策の三本柱は「営業基盤の強化」「事務作業の効率化」「資産運用の多様化」。まず「営業基盤の強化」のため、現在新商品開発や募集品質の向上に力を注いでおり、アクチュアリーの募集が行われています。この職種は資格保有者かつ経験者に限っての募集のため、経験者にとってはチャンス。それに伴って営業職も採用が活発です。次に「事務作業の効率化」のために特化した人材募集は行われていませんが、作業の効率化に貢献した経験があればプラスになる可能性があります。「資産運用の多様化」については専門性の高い人材が必要で、株式・金融業の経験者への募集も出ています。違う職種であっても、資産運用の体験や勉強した経験があれば、エピソードとしてまとめておけばプラスになるかもしれません。
■「なぜかんぽ生命に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
かんぽ生命の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜかんぽ生命か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、かんぽ生命という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
- 第一生命保険株式会社
- 明治安田生命保険相互会社
- 日本生命保険相互会社
かんぽ生命の採用面接で実際に聞かれた質問内容
このように、かんぽ生命の採用面接を受ける前には、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「お客様に信頼され、愛される会社であるために、チームワークを重視して協力していく」という社風を意識して、「営業基盤の強化」「事務作業の効率化」「資産運用の多様化」に貢献できる人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
民営化により利益を追求する企業として歩みを進めている状態。「安定を求めて」応募する人が多いのですが、今後は「お客様の獲得に貢献する」という気持ちをもって挑むことの重要性が年々高まっていくでしょう。また口コミには「出世は資格取得を重視している」との声が挙がっています。業務に直接関わらない資格であっても入社後取得を推奨されることがあるため、学習意欲をアピールすることも効果があるかもしれません。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
20代前半・男性/経営幹部【結果:入社】
20代前半女性/法人営業【結果:2次面接で不採用】
30代後半男性/代理店営業【結果:結果待ち】
30代前半男性/ルートセールス【結果:内定を辞退】
かんぽ生命の採用面接に向けて
かんぽ生命の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の6つです。
- 「お客様に信頼され、愛される会社であるために、チームワークを重視して協力していく」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
- 郵政民営化についてのニュースを熟読し、どのように変化しているのかを把握しておく。
- 新卒のような謙虚な気持ちで、「どのように心がけているか」に重点を置いて話す。
- かんぽ生命の経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
- 入社後の資格取得についても意欲をアピールする。
- 競合他社についても研究し、「なぜかんぽ生命か」に対する答えを明確にしておく。
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慶応義塾大学卒業後、大手ITメディア、出版社ライターを経て、旅行会社に勤務。新規事業企画に携わる。