富士電機の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
1923年、古河電気工業とシーメンス社(ドイツ)の資本・技術提携により設立された富士電機。旧財閥の流れを汲む古河グループの中核企業のひとつに数えられる重電メーカーです。自動販売機やパワーエレクトロニクスを利用した工業用システムなど、その製品分野は幅広く、特に地熱発電プラントでは80以上のグローバル納入実績と、世界トップクラスのシェアを誇ります。
そんな富士電機の口コミには「古い体質」「良くも悪くも古い時代の名残が強い」「年功序列が抜けきらない」といった内容のものが多く、保守的な企業風土がうかがえます。中には「全体的にまだまだ男性中心の雰囲気が漂っている」という女性社員の口コミもあり、女性の活躍しやすさについてはまだ発展途上のようです。一定の年次以降は昇進試験への合格が出世の条件となりますが、試験では実力よりも管理職者へのプレゼン能力がものを言う現状がある様子。また、「並みより下(の評価)はほぼない」など、極端に悪い評価をされることは少ないため、安穏と業務に取り組む社員がいることに不満を抱く口コミも複数見られます。「失敗をしても大きなペナルティはなく、信賞必罰が緩すぎる」との声も。
しかし、こうした企業風土や評価制度は社員を大切にすることと表裏一体。有給休暇の多さや福利厚生の充実もあり、「社員には優しい会社」「何かあっても面倒を見てくれるという安心感がある会社」だと感じる社員が散見されます。長年の残業文化も改善傾向にあり、ワークライフバランスに配慮した働き方も可能となっているようです。穏やかな人が多いため社内の雰囲気も良く、マイペースにキャリアを築いていきたい人には適した環境と言えそうです。
このような「保守的ではあるものの穏やかで社員を大切にする社風」を理解した上で成果を出せるかどうかは、富士電機で働く上で重要なポイントです。自分の性格やキャリア形成の方向性を見つめ直しながら、対策をおこなう必要があります。
■選考は何次まで?
コーポレートサイトによると、富士電機の選考プロセスは、書類選考・適性検査→面接(2回)→内定、となっています。口コミを見てみると選考期間は1週間~2週間と、スピーディーに進むことも多いようです。
2020年3月現在、富士電機の中途採用は転職エージェント経由でおこなわれています。コーポレートサイト内には募集中の職種は上がっていませんが、トップメッセージや社員インタビュー、研修制度についての説明といったコンテンツが用意されています。業務内容や職場の雰囲気、キャリア形成のステップについて参考になる内容となっているため、企業理解の一助として一読してみてください。
■面接内容の傾向は?
実際の面接では、オーソドックスな質問を通じて応募者の人柄を見定めようとする傾向が見られます。奇をてらった質問は少なく、「聞かれたことに的確に答えられるかを見られているようだった」と感じた人も。面接官との対話の中で、質問の意図をしっかりと酌んだ上で回答することが重要です。落ち着いて答えられるよう、基本的な事項については事前に回答を準備しておくとよいでしょう。
また、「転職活動する際の軸を教えてください」と求められた人も。退職理由や志望動機を含め、「なぜ転職したいのか」「今回の転職が自分のキャリアにとってどのような意味を持つのか」を整理してみる必要があります。何事においても「軸」を持っていることは大きな強みになります。転職について、自分なりの言葉でポジティブに伝え、その「軸」を業務にも生かせることをアピールできると好印象です。
転勤や海外勤務の可否について確認されることもあります。入社後、会社の指示と自分の意思とのミスマッチが起こらないようにするためにも、今後の働き方についても考えをまとめておきましょう。
富士電機の面接攻略法(面接対策)
■富士電機の中期経営計画「令和.Prosperity2023」を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、富士電機の中期経営計画「令和.Prosperity2023」です。
創業100年を迎える2023年度を最終年度とするこの5ヵ年計画では、成長に向けた変革に取り組んできた前中期経営計画からさらに一歩踏み込み、「持続的成長企業としての基盤確立」がテーマとなっています。環境・人財・ガバナンスの面から改革に取り組むことで経営基盤を強化しつつ、国内外における成長戦略をさらに推進し、事業の収益性を高めていく方針です。こうした取り組みにより、具体的な数値としては「売上高1兆円、営業利益率8%以上」を目指します。
パワエレシステムでは、強いコンポーネントの創出および中国・アジアを中心としたグローバル規模での事業拡大を、電子デバイス分野では産業界の潮流を捉えた事業成長を見込みます。食品流通・発電プラント分野においては、事業の拡大規模ではなく収益性向上に焦点を当て、事業ポートフォリオの変革に取り組む姿勢です。
また、エネルギー・環境事業を手がける企業として、「安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献」していくことが富士電機のビジョンです。上図の通り、事業活動を通じたSDGs(持続可能な開発目標)達成への取り組みにも積極的です。
こうした中期経営計画の根底にあるのが、富士電機の基本理念です。スローガンとともに経営理念を構成するこの基本理念には、誠実な事業活動により「良き企業市民として」社会に貢献することが掲げられています。中途採用にあたっても、広い視野で事業の意義をとらえつつ誠実な姿勢で業務に取り組むことができる人材が求められていると言えるでしょう。したがって、面接に臨む前には、中期経営計画だけでなく経営理念(基本理念・スローガン)・経営方針・企業行動基準といった理念群も理解しておく必要があります。
■「なぜ富士電機に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
富士電機の面接では「なぜ富士電機か」と聞かれる場面が多く見られます。この場合、志望動機を問うことで面接官は「これまで培ってきたキャリアをどのように当社で活かすつもりなのか」といった入社後のビジョンと併せて、「当社のことをどれだけ理解しているか」「当社の戦略はもちろん、理念や行動基準を理解した上で、社会的な意義を考えつつ成果を出せる人物なのか」を見極めようとしています。
自分の希望する職種への理解だけでなく、富士電機の戦略とその実現に向けた事業方針についてしっかりと理解した上での自己PRが必要です。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れずにおこないましょう。「なぜ他社ではなく富士電機を志望するのか」を論理的に伝えることは、入社への熱意を面接官に伝えるための重要な役割を担います。具体的には、以下のような重電メーカーについて調べておくことがおすすめです。
- 株式会社日立製作所
- 株式会社東芝
- 三菱電機株式会社
- 株式会社明電舎
富士電機の採用面接で実際に聞かれた質問内容
富士電機が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。富士電機の場合、中期経営計画を理解した上で、経営理念や企業行動基準に沿って広い視野で業務に取り組める誠実な人物であるかどうかが重視されます。
「保守的ではあるものの穏やかで社員を大切にする社風」を意識して、「社会的意義を意識しつつ成果が出せる人材」と印象づけられるようなエピソードをこれまでの経験やキャリアの中から選定し、話の流れに応じて披露できる準備をしておくとよいでしょう。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、自分の場合に置き換えて質疑応答のシミュレーションをしてみましょう。
[20代後半・男性/購買・資材] 【結果:一次面接で不採用】
[30代前半・男性/プラント設計] 【結果:結果待ち】
[30代前半・男性/会計] 【結果:内定を辞退】
[20代前半・男性/プロジェクトマネージャー] 【結果:入社】
富士電機の採用面接に向けて
富士電機の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「保守的ではあるものの穏やかで社員を大切にする社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 富士電機の中期経営計画および経営理念・経営方針・企業行動基準を理解して、これに沿った自己分析を行い、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ富士電機なのか」に対する答えを明確にしておく。
これら3点について要点を整理した回答を準備した上で、面接当日は自分らしい言葉でアピールするよう心がけましょう。
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大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。