三井住友信託銀行の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
住友信託銀行・中央三井信託銀行・中央三井アセット信託銀行の合併により、2012年に発足した三井住友信託銀行(以下、三井住友信託)。専業信託銀行グループである三井住友トラスト・グループの中核企業として、信託業務および銀行業務を管掌しています。特に信託銀行業務では国内トップの売上高を誇り、業界で確固たる地位を確立しました。グループ経営ビジョン「The Trust Bank」に沿って、「信託銀行らしい」アプローチで、顧客ニーズに的確に応えることをモットーとした経営をおこなっています。
そんな三井住友信託の口コミには、「年功序列」「保守的」「意思決定に時間がかかる」といった意見が並び、日本的な大企業特有の風土があることがうかがえます。「良くも悪くも年次が上がらないと昇給しないため、優秀な若手は転職していくケースが多い」「(希望の部署に異動するのに時間がかかるため)キャリアパスを考慮すると回り道」「不必要にしか思えない業務をこなすことがある」といった声が見受けられ、実力があっても若いうちは下積みの期間となることが多いようです。しかし、信託銀行ならではのフィールドの広さや幅広い金融知識が身につく点などにやりがいを感じる人も多く、仕事のモチベーションは個人の価値観や志向によって大きく上下しそうです。
一方、比較的高水準の給与に対する満足の声や、充実した福利厚生や産休・育休制度、傷病時の手厚いフォロー体制を評価する声も多く聞かれます。年功序列の人事制度を安定的要素ととらえる人もおり、安心して長く働ける環境を重視する人に向いている企業であると言えるでしょう。
また、口コミに散見されたのが「(合併前の)旧行ごとに社風が明らかに異なる」という意見です。異なる企業文化をバックグラウンドにもつ社員同士が円滑に業務を進めるため、コミュニケーション能力が必要となることが多いようです。合併後の企業文化の統一には、時間がかかるのが常。応募にあたってはこの点を考慮しておく必要があります。
日本的大企業特有の保守的な面はあるものの、安定した環境でやりがいを追求できる三井住友信託。この社風にフィットし、周囲とコミュニケーションを取りながら成果を挙げられる人材であるかどうかは採用において重要なポイントです。自分の性格や希望する働き方なども考慮しつつ、しっかりと対策をおこないましょう。
■選考は何次まで?
三井住友信託の選考フローは、書類選考ののち複数回の面接があり、健康診断を経て内定、という流れが多いようです。コーポレートサイトによると、1次面接は部門および人事部によるものとなります。最終面接通過後、処遇条件についての正式なオファーが出されるため、待遇面で希望や不明点がある場合はこのとき必ず確認するようにしましょう。
2020年5月現在、三井住友信託ではリテール業務・不動産業務・ホールセール業務などを担当する全国勤務型社員と、資産運用コンサルティング業務を担当する地域限定型社員を募集しています。資産運用アドバイザー(契約社員)の場合は選考の流れが少し異なるため、事前にコーポレートサイトで確認してください。
■面接内容の傾向は?
三井住友信託の面接では、実務で成果を挙げるための素養や思考力が問われます。「今後の信託銀行の向かうべき方向性について」「信託銀行の将来について」といったテーマの質問をされたという口コミが多く見受けられました。
同社の企業研究は綿密におこない、業界の進むべき方向性や展望について自分なりの考えをまとめておくと役立ちます。普段から自分の業務を俯瞰的にとらえ、広い視野に立った見解を導き出す習慣をつけておくとよいでしょう。
また、コーポレートサイトに「人物本位の選考をおこなう」という旨が明記されているとおり、人物理解を重視する傾向もあります。自己分析をしっかりおこなった上で、さらに踏み込んで「自分は三井住友信託で何ができるのか」をアピールできる自己PRを練っておきましょう。多少の雑談に対応できる心の余裕も忘れないようにしてください。
三井住友信託銀行の面接攻略法(面接対策)
■三井住友トラスト・グループの経営戦略を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ずおさえておきたいのが、三井住友トラスト・グループの経営戦略です。三井住友トラスト・ホールディングスは中長期的なビジョン実現のため、以下のような経営戦略を掲げ、グループ中核企業である三井住友信託もこれに沿った経営をおこなっています。
専業信託銀行グループとして、顧客ニーズをとらえつつ、景気や事業環境に左右されにくい安定的な成長を追求する三井住友トラスト・グループ。コスト面の抜本的対策によって競争力を強化し、ビジネスモデルと整合した資本政策と、ガバナンスの強化に取り組んでいく姿勢です。
また、幅広いサービス内容と高度な専門性を誇る事業群を有するグループ力を生かし、三井住友トラスト流の「トータルソリューションモデル」を確立。他社との差別化を狙います。
同時に、顧客との信頼関係構築にも注力していく方針です。すでに見えているニーズのみならず、潜在的なニーズにも対応できる商品・サービス展開とソリューションの提供をおこなうことで、顧客にとっての「ベストパートナー」の座を獲得することを目指します。
戦略を支える経営基盤の強化にも積極的に取り組むと示しています。自己資本を充実させ堅固な財務基盤を維持するとともに、安定した資本調達をおこない、重点領域である資産運用・管理ビジネスの礎とする方針です。段階的な還元率引き上げにより、株主利益も中期的に担保していくとしています。
また、こうした経営戦略の根本には「顧客本位のサービス提供」「信託銀行らしいアプローチ」にこだわる三井住友トラスト・グループの経営姿勢があります。中途採用にあたっても、経営を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、適切な金融サービスの提供を通じて顧客の信頼を獲得できるような、誠実な人材が求められていると言えます。これまでのキャリアを振り返り、事業環境を考えつつ業務を進めた経験や、顧客と信頼関係を結ぶための努力を結実させた経験があれば、積極的にアピールしましょう。
さらに、昨今のコロナ禍の影響で戦略に変更が生じる可能性もあります。三井住友信託およびグループ全体の動向に留意しながら対策をおこなってください。
■「なぜ三井住友信託銀行に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
三井住友信託の面接では「なぜ三井住友信託か」と聞かれることが多いようです。志望動機を問うことで面接官が知りたいのは、企業研究の深度はもちろん、「三井住友信託の経営面の特色や方向性を理解した上で、成果を挙げられる人材かどうか」という点です。
こうした意図に応え、入社後のビジョンを含めた熱意や意気込みを伝えるためには、競合他社の研究を通じて三井住友信託のカラーを浮き彫りにし、それを自己PRへと落とし込んでおく必要があります。具体的には、以下のような企業について比較してみるのがおすすめです。
- 三菱UFJ信託銀行株式会社
- みずほ信託銀行株式会社
三井住友信託銀行の採用面接で実際に聞かれた質問内容
三井住友信託のカラーや、どういった人材を求めているのか、企業研究を通じて具体的に掴めてきたのではないでしょうか。三井住友信託の場合、グループ経営戦略に沿って適切に業務を遂行し、成果を挙げる姿勢が重視されます。
「日本的大企業特有の保守的な面はあるものの、安定した環境でやりがいを追求できる社風」を踏まえた上で、「顧客本位の信託サービスを提供し、顧客と信頼関係を結べる誠実な人物」であると印象づけられるよう、効果的な自己PRを練ってみましょう。過去の経験からさまざまなエピソードをピックアップしておくと役立つはずです。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問を口コミの中からご紹介します。面接対策の仕上げに、ぜひ質疑応答のシミュレーションをしてみてください。
[30代前半・男性/代理店営業] 【結果:一次面接で不採用】
[20代後半・女性/営業] 【結果:結果待ち】
[30代後半・男性/法人営業] 【結果:内定を辞退】
[20代後半・男性/金融関連職] 【結果:入社】
三井住友信託銀行の採用面接に向けて
三井住友信託の採用面接を受けるにあたって、押さえておくと役立つ重要なポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「日本的大企業特有の保守的な面はあるものの、安定した環境でやりがいを追求できる社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 三井住友トラスト・ホールディングス策定のグループ経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をおこない、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ三井住友信託なのか」に対する答えを明確にしておく。
この3点についてしっかりと自己分析に落とし込み、自分らしさが伝わる誠実な言葉で再構築し、面接当日は積極的にアピールしましょう。
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「転職エージェントって何?」という方はこちらの記事をお読みください。
大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。