【財務分析】世界最大のアパレル企業だったレナウンはなぜ経営破綻したのか

【財務分析】世界最大のアパレル企業だったレナウンはなぜ経営破綻したのか

バブル期には「世界最大のアパレル企業」を誇りながら、百貨店依存の販売で業績を落とし、経営破たんしたレナウン。2020年12月期に黒字回復という楽観的な予想を立てていたにもかかわらず、なぜ破綻してしまったのでしょうか。財務諸表や企業口コミなどを基に、民事再生手続きに至った理由を整理します。


損益計算書(PL):53億円の「貸倒引当金」を計上し大幅赤字に

レナウンの決算は、事業年度の末日が2月末日から12月31日に変更され、対象期間10ヵ月の変則決算となっています。2019年12月期は、売上高が前期比21.1%減の503億円と大きく落ち込み、営業損益は80億円の赤字。赤字額は前期の3倍超にまで膨れ上がっています。

売上原価は前期比22.8%減の268億円と抑え、粗利率は同1.2pt増の46.7%とわずかに改善しましたが、販管費は前期比0.2%減の315億円に。大幅減収にもかかわらずコストは横ばいで、売上高販管費率は62.6%と前期比で13.1ptも増えています。

これは、同じグループの香港企業からの売掛金の回収が滞ったことにより、約53億円の貸倒引当金を計上したためです。レナウンは2013年4月から中国・山東如意グループの傘下にあり、親会社がこの売掛金を補償する取り決めもあったとのことですが実現しなかったようです。

このほか16億円の固定資産売却益を計上したものの、営業赤字額が大きく、親会社株主に帰属する当期純利益も67億円の赤字に。赤字額は前期の約1.7倍となっています。

2020年12月期の業績は、売上高が590億円(前期比17.4%増)、営業利益が100万円の黒字に回復する予想でした。しかし報道の通り、子会社のレナウンエージェンシーが2020年5月15日、東京地裁に民事再生法の適用を申し立てて即日受理されています。

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