日立化成の採用面接前に知っておきたいこと
■社風への理解
日立製作所の化学部門をルーツとし、電気絶縁ワニスの研究・開発から始まった日立化成の歴史。高機能材料化学メーカーとして、半導体材料から医薬関連製品まで、幅広い用途の製品を世に送り出しています。いわゆる「日立御三家」の一角として知られていましたが、近年は品質検査不正などが世間を騒がせました。2019年12月、日立製作所が同社を昭和電工に事実上売却する予定であることを発表。2020年4月には昭和電工によるTOBが完了し、その連結子会社としてスタートを切ったばかりの同社の今後に注目が集まっています。
口コミによると、日立化成の社風は保守的かつ堅実。評価制度は年功序列で、給与面で安定はしているものの、「査定制度が不透明」「昇進には実力よりも社内政治力が重要」という意見が見受けられます。新年会・忘年会・納会……といった社内イベントが多く、業務外でも社員同士や上司との付き合いが必要な面もあるようです。「体育会系で精神論が多い」との声も。実力主義のドライな雰囲気の中でアグレッシブに成果を追い求めたい人には向かない企業風土と言えるでしょう。
その一方で、長年日立グループの中核をなしてきた大企業であることから、標準以上の福利厚生制度があることや各種手当が充実していることなどに満足感を覚える社員は多い様子。女性が長く働くための制度が整っていることを評価する口コミも見受けられます。
口コミを見る限り、日立化成には、安定性を重視する保守的で堅実な社風があります。こうした社風にフィットする人材であるかどうかは、面接時に採用側が見極めたいポイントのひとつです。しかし、昭和電工による買収に伴い、経営や採用に関する方針が転換される可能性は少なくありません。社内融和により社風に変化が生じることも大いに考えられます。今後の動向について注意深く情報収集しつつ、対策をおこなう必要があります。
■選考は何次まで?
日立化成の選考フローについて、コーポレートサイトにははっきりとした記述はありませんが、口コミによると、書類選考通過後に複数回の面接があるのが一般的なようです。「回を重ねるごとに面接官の職位や年次が上がっていった」「通訳はいたが、アメリカ人の責任者と英語で面接をおこなった」という口コミも。役員が面接官となる場合や予想外の面接形式となる場合もあることを知っておき、事前に心の準備をしておきましょう。
2020年5月現在、日立化成では技術系職種で中途採用の募集をおこなっています。募集職種は随時更新されるため、希望する職種がある場合は、コーポレートサイトの採用ページをこまめにチェックするようにしましょう。
■面接内容の傾向は?
日立化成の面接では、志望動機や自己理解といった、中途採用面接ではオーソドックスな要素が問われる傾向があります。志望動機のほかには、「この面接のためだけに準備してきたことは何か?」と質問された人も。いかに日立化成の選考に照準を合わせた対策をしてきたかが重視されるようです。入社に賭ける意気込みを面接官に伝えるには、誠実かつ理路整然とした志望動機をアピールすることが何よりの近道です。これまでのキャリアを踏まえた上で、「それを活かして日立化成でどのようなビジョンを実現させたいか」という熱意を込めた志望動機を練る必要があります。ありきたりな内容に終始しないよう、日立化成ならではの要素を盛り込みましょう。
「自分のいいところ、悪いところを5点ずつ挙げてください」と求められた人もいました。仕事をする上で、自己理解ができていることは強みとなります。冷静な自己分析を心がけ、自分の長所・短所はもちろん、物事の判断基準や仕事における軸などを洗い出しておきましょう。これらに具体性を添えるエピソードを挙げられると尚よいでしょう。
日立化成の面接攻略法(面接対策)
■日立化成の中期経営計画を理解した上で自己分析をする
面接に臨む前に必ず押さえておきたいのが日立化成の中期経営計画(2019~2021年度)です。
前中期経営計画では、7.6%の売上成長率実現や経営基盤の強化などの成果も見られたものの、その他の数値目標はほぼ未達。品質検査不正が発覚したこともあり、多くの課題を残しました。こうした前中期経営計画を踏まえ、今中期経営計画では経営と事業の質的向上を目的とし、「グローバルでのガバナンス強化」と「高収益基盤の確立」を二本柱に据えた戦略を展開する方針です。
コンプライアンス体制を再整備し、グローバル規模でグループガバナンスを強化することで、社会および顧客から再び信頼を得られる企業として生まれ変わることを目指します。事業戦略としては、業界標準となり得るソリューションを提供することで、トップシェア事業の拡大を狙います。
事業の多角化に取り組んできた前中期経営計画から方針を転換し、次世代通信インフラや次世代モビリティなど、すでにもっている強みや技術を活かして新事業・新製品を創り出すことに重点を置きます。その際、各部門の責任や権限を明確化した品質保証体制の構築にも注力していくとしています。
また、上図のようなコーポレートスローガンを掲げ、化学を通じて新しい価値創造を実現し、社会に役立つ革新的な製品の開発に取り組む同社。企業ブランドロゴも、「発想力」や「創造力」を形象化したものとなっており、新奇なものを生み出す力やひらめきにこだわる同社の姿勢がよく表れています。中途採用にあたっても、チャレンジ精神をもって「Wonder」に向き合い、公益性の高い製品の開発に取り組める人材を求めていると考えられます。これまでのキャリアの中で、創意工夫を凝らして新製品を開発した経験や独自のアイデアを結実させた経験があれば積極的にアピールしましょう。
■「なぜ日立化成に転職したいのか」の明確化には他社研究が必要
中途採用面接でよく聞かれることのひとつとして「なぜ当社か」というものがあります。もちろん日立化成の口コミにも志望動機に関する記述が多く見られます。志望動機を通じて面接官が知りたいのは「これまでのキャリアを活かして当社で何がやりたいのか」であり、入社後のビジョンや業務への意欲です。業務上の困難を乗り越える原動力となる明確なキャリアビジョンは、入社後に成果を挙げるためのひとつの素地でもあります。「日立化成というフィールドだからこそ実現したいキャリアビジョン」という観点から志望動機を用意しておくと役立ちます。
そのためには、同業他社の研究を通じて日立化成の戦略や製品開発の姿勢を浮き彫りにし、企業理解を深めておく必要があります。具体的には、以下のような化学メーカーについて調べておくことをおすすめします。
- 日東電工株式会社
- 東レ株式会社
- 株式会社カネカ
- 株式会社クラレ
日立化成の採用面接で実際に聞かれた質問内容
日立化成の戦略や方針、求める人物像などが具体的に掴めてきたのではないでしょうか。採用面接を受けるにあたっては、中期経営計画や製品開発に関する姿勢を理解した上での自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が重要となります。
「安定性を重視する保守的で堅実な社風」を踏まえ、「チャレンジ精神をもって『Wonder』に向き合い、公益性の高い製品の開発に取り組める人材」であると印象づけられるようなエピソードを準備しておくとよいでしょう。創造力やひらめきをアピールできる内容であれば有利です。
以下に、面接経験者が実際に聞かれた質問を口コミから抜粋してご紹介します。ここまで取り組んできた面接対策の仕上げとして、ぜひ自分なりの回答を作成し、実際に面接に臨むつもりでシミュレーションしてみてください。
[20代後半・男性/海外営業] 【結果:内定を辞退】
[30代前半・男性/海外営業] 【結果:一次面接で不採用】
[20代前半・男性/研究開発] 【結果:最終面接で不採用】
[20代前半・男性/研究開発] 【結果:最終面接で不採用】
日立化成の採用面接に向けて
日立化成の採用面接を受けるにあたって、押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
- 「安定性を重視する保守的で堅実な社風」を理解し、それに合致した行動がとれる人材であることをアピールする。
- 日立化成の中期経営計画および製品開発の姿勢を理解して、これに沿った自己分析をおこない、自己PRへとつなげる。
- 競合他社についての理解を深め、「なぜ日立化成なのか」に対する答えを明確にしておく。
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大阪大学文学部卒業後、インフラ系SIer、大手信用調査会社、製薬会社で総務畑を歩む。企業を俯瞰的に見るのが得意。