0 今四半期の重点ポイント
① サービスソリューションの爆発的成長と高採算化
注力領域「Fujitsu Uvance(社会課題解決型ビジネス)」の売上が3,110億円と前年同期比55%増を記録しました。増収効果に加えて不採算案件の抑制や採算性向上が進み、調整後営業利益率は11.2%へ到達。従来の工数積み上げ型から、価値提供型の高付加価値ビジネスへとポートフォリオが劇的に転換しています。
② 生成AIの実装によるデリバリ変革の加速
国内のシステム開発プロジェクトの約3割で生成AIを適用しており、2025年度末には6割への拡大を目標としています。エンジニア約3万人へのツール提供により、標準化・自動化を強力に推進。AIによる生産性向上が利益増へ直結するフェーズに入っており、AIを使いこなす専門人材の重要性が極めて高まっています。
③ 事業ポートフォリオ改革の完遂と成長投資の実行
富士通ゼネラルや新光電気工業の株式譲渡など、非注力事業の整理が順調に進展し、多額の売却益を計上しました。これらで得た資金をブレインパッド社の買収など「Data & AI」領域へ再投資しており、成長領域を明確に定めた攻めの経営姿勢が、求職者にとって大きなキャリアのチャンスを創出しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度第2四半期 決算概要 P.3
2026年3月期第2四半期累計期間は、国内市場でのDX(デジタルトランスフォーメーション)需要が極めて強く、サービスソリューションが大幅増益を牽引しました。中間利益の記録的な伸びは、事業再編に伴う株式売却益という一過性要因も大きいものの、本業の収益力を示す調整後営業利益も前年比552億円の増益と力強く成長しています。
通期予想に対する調整後営業利益の進捗率は34%となっており、前年同期の22%から大幅に改善しています。下期にはハードウェアの売上基準変更等の特殊要因を見込んでいるものの、全体として保守的な計画を据え置いており、通期目標である3,600億円の達成に向けた確度は極めて高い状態にあります。
2 事業別分析:活躍できるフィールド
出典:2025年度第2四半期 決算概要 P.5
サービスソリューション
事業内容:Uvanceを中心とした社会課題解決型クラウドサービス、国内および海外でのSI・DX実装、コンサルティングサービスを提供しています。
業績推移:売上収益1兆665億円(前年比+4.8%)、調整後営業利益1,196億円(前年比+34.8%)。利益率は11.2%へ大きく向上。
注目ポイント:国内ビジネスが前年比+8.9%(実質ベース)と極めて強く、DXおよびモダナイゼーション(システムの最新化)商談が伸長しています。生成AIを活用したデリバリ革新により、グロスマージン率が+2.0%改善。人月ベースから脱却した高付加価値オファリングへのシフトが進んでおり、コンサルティングから実装まで一気通貫で担えるDX人材が熱望されています。
ハードウェアソリューション
事業内容:ICT基盤となるサーバー・ストレージ等の販売・保守、および携帯電話基地局や光伝送システム等のネットワークインフラを提供しています。
業績推移:売上収益4,248億円(前年比△7.0%)、調整後営業利益125億円(前年比302.1%増)。採算性改善により利益が急増。
注目ポイント:アジアでの低採算事業の縮小や売上計上基準の変更により減収となりましたが、利益面ではエフサステクノロジーズの製販一体体制による効率化が寄与。ネットワークプロダクトでも基地局・光伝送装置ともに増収・増益を確保しています。グローバルな構造改革を背景に、効率的なインフラ提供を担う専門人材が求められています。
ユビキタスソリューション
事業内容:法人向けPC(クライアントコンピューティングデバイス)等の提供を行っています。
業績推移:売上収益1,131億円(前年比+4.2%)、調整後営業利益217億円(前年比+91.2%)。高い利益率を維持。
注目ポイント:Windows 10サポート終了に伴う買い替え需要が追い風となり、採算重視の販売シフトも進みました。為替影響による部材コスト低下もあり、調整後営業利益率は19.2%と驚異的な数字を叩き出しています。需要の波を捉えた緻密な販売戦略とコスト管理能力を持つ人材が、この高い収益性を支える核となっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度第2四半期 決算概要 P.22
富士通は2026年3月期の年間調整後営業利益目標3,600億円の達成を、過去最高益への挑戦と位置づけています。成長の源泉は「Uvance」であり、年間売上目標7,000億円(前年比+45%)に向けて着実に進捗しています。特に、ブレインパッド社の買収などを通じ「Data & AI」市場での圧倒的なポジション確立を狙っています。国内での旺盛な需要に対し、単に人を増やすのではなく、AIを活用して「リソースの役割を変えながらビジネスを広げる」戦略を掲げており、最先端のAI環境で自身のスキルをアップデートしたいプロフェッショナルには最適な市場環境といえます。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
富士通は「単なるITベンダー」から、グローバルに通用する「DXカンパニー」への脱皮を完了させつつあります。特に「Fujitsu Uvance」を通じた社会課題解決への強い意志に共感することが重要です。また、生成AIを現場デリバリへ徹底実装する姿勢に注目し、「先端技術を実際のビジネスプロセス改善にどう活かしたいか」という実利的な技術活用能力をアピールすることが、同社の現在の戦略的方向に合致しています。
面接での逆質問例
- 「JGG(ジャパン・グローバルゲートウェイ)や生成AIの活用により、現場のエンジニアの役割はどう具体的に高度化(シフト)していくと考えていますか?」
- 「ブレインパッド社の買収により、既存のサービスソリューション部門におけるデータ利活用ビジネスはどのように強化される計画でしょうか?」
- 「モダナイゼーション案件の需要がピークを迎える中、人材のリソース不足をAIやグローバルリソース(海外拠点)でどう補完していく方針ですか?」
5 確認したい口コミ
「改革が進む中で、社員一人ひとりが意見を出しやすい環境が整備されつつあり、風通しの良さを実感しています。全体として、組織としての一体感を大切にしつつ、個々の意見も尊重されるようになってきていると感じます」(20代前半・女性・人事)[キャリコネで口コミを見る]
「私が所属している部署は全社的にも残業が多い部署であり、定時で退社することが難しい程の業務量が与えられ、毎日朝早くから深夜まで残業している人が大勢いる。 自分も月の残業がよく40hを超えてしまうが、それ以上に残業している人が沢山いるため、不満を言い出しづらい環境であると感じている」(28歳男性・技術職)[キャリコネで給与明細を見る]



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。