0 編集部が注目した重点ポイント
① 米州パッケージ事業の拡大に向けてSonoco社TFP事業を連結する
2025年度中間期より、米国のパッケージ大手であるSonoco社の軟包装・熱成形容器事業(TFP事業)の新規連結を完了しました。これにより生活・産業セグメントは大幅な増収となり、世界最大級の市場である米州での製造・販売基盤が劇的に強化されています。グローバルでの持続可能なパッケージ需要を取り込む体制が整い、転職者にとっても海外事業開発の機会が大きく広がっています。
② フォトマスク事業を担うテクセンドフォトマスク社を上場させる
2025年10月16日付で、連結子会社であったテクセンドフォトマスク社が東京証券取引所プライム市場へ新規上場を果たしました。今後は持分法適用会社(グループが一部株式を保有する提携会社)へと移行します。この大きな事業構造の変化は、グループ全体の資本効率を高める戦略の一環であり、半導体関連領域における迅速な投資判断と競争力強化を目的としています。
③ 成長領域へのシフトによりNon-GAAP営業利益で2ケタ増益を達成する
M&Aに伴う一過性費用を除いた実質的な収益力を示すNon-GAAP営業利益において、前年同期比で14.0%増という高い成長を実現しました。デジタルビジネスや海外生活系事業などの「成長事業」が着実に収益を押し上げており、紙からデジタル、そしてサステナブルへという事業ポートフォリオの変革が具体的な成果として現れています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 中間期決算説明会 P.3
※Non-GAAP営業利益 = 営業利益から、買収に伴うのれん・無形資産の償却費、M&A関連費用、株式報酬関連費用など、本業との関連が低い一過性の費用を差し引いた利益指標。
2026年3月期中間期の売上高は、米国のSonoco社TFP事業などの新規連結効果により過去最高水準の8,636億円に達しました。会計上の営業利益(GAAP)は、M&Aに関連する一過性費用の計上により減益となりましたが、実質的な稼ぐ力を示すNon-GAAPベースでは2ケタ増益と好調です。また、保有する政策保有株式の縮減も計画通り進み、純資産に対する比率は目標の15%未満を達成しています。
通期予想に対する進捗状況は、親会社株主に帰属する当期純利益(修正計画700億円)に対して298億円となり、進捗率は約42.6%です。一見低く見えますが、下期に本格寄与するデジタルビジネスの成長や構造改革効果、さらにはテクセンドフォトマスク社の上場に伴う特殊要因を織り込んでおり、業績の修正計画に対しては概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 中間期決算説明会 P.5
情報コミュニケーション事業
事業内容:マーケティングDX、セキュアビジネス(政府系ID・カード)、BPO、出版・商業印刷など。
業績推移:売上高4,254億円(前年同期比0.0%増)、営業利益109億円(5.5%増)。
注目ポイント:出版・商業印刷の市場縮小が続く中、デジタルビジネス(Erhoeht-X)の営業利益が下期に本格寄与する見通しです。海外ではHID社の市民ID事業やDZ Card社の新規連結により、グローバルなIDソリューション展開を加速させています。既存の「印刷」から「データとセキュア」への転換を支えるエンジニアやコンサルタントの需要が非常に高い領域です。
生活・産業事業
事業内容:サステナブルパッケージ(SXパッケージ)、建装材(空間演出事業「expace」)など。
業績推移:売上高3,305億円(前年同期比19.9%増)、営業利益148億円(5.4%減)。
注目ポイント:(注:Sonoco社TFP事業などは前年同期は未連結のため単純比較不可)。売上高はM&A効果で大幅増収となりました。国内でも高付加価値なSXパッケージの構成比が拡大し、収益性が向上しています。欧米での環境規制(PPWR等)強化を背景に、フィルムから加工までの一貫体制をグローバルで構築しており、サステナビリティを軸にした材料開発やサプライチェーン管理の経験者が求められています。
エレクトロニクス事業
事業内容:半導体パッケージ基板(FC-BGA)、フォトマスク、ディスプレイ関連部材。
業績推移:売上高1,189億円(前年同期比14.4%減)、営業利益204億円(18.8%減)。
注目ポイント:主力製品のFC-BGAは第1四半期に在庫調整の影響を受けましたが、第2四半期から回復基調に転じています。特にサーバー向けの高付加価値品が好調で、新潟の新ライン稼働によりAIサーバー向け等の増産体制を整えています。テクセンドフォトマスク社の持分法化により、今後は次世代パッケージ基板への技術開発投資をより強化する方針であり、最先端の半導体技術に携わりたいエンジニアには絶好のタイミングです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 中間期決算説明会 P.21
TOPPANグループは現在、大規模な事業ポートフォリオ変革の真っ只中にあります。2025年度はSonoco社TFP事業の買収やテクセンドフォトマスク社の上場など、「非連続な構造改革」を実行した年となりました。来期以降は、これらM&Aに伴う約100億円規模の一時費用が減少することに加え、海外拠点の垂直統合シナジーが本格的に発現し、大きく増益する見通しです。
質疑応答での言及によると、情報系事業においては、賞与引当期間の統一などの内部改革も進んでおり、来期には全社で約50億円の利益押し上げ要因となります。今後は、AIサーバー用基板の認定取得や、欧米・アジアでのIDビジネス拡大に向けた攻めの投資が続きます。各分野でグローバルな課題解決に挑める環境が整っており、専門スキルを持つ転職者にとっては、自身の介在価値を最大限に発揮できるチャンスと言えます。
4 求職者へのアドバイス
HINT 志望動機のヒント
「単なる印刷会社からDX・SXのリーディングカンパニーへ」という変革のストーリーに、自身のスキルをどう結びつけるかが鍵です。例えば、米州でのSonoco社買収を契機としたグローバル供給網の構築や、マーケティングDX領域での新規案件拡大など、具体的な成長ドライバーに対して「自分の知見をどう活かせるか」を語ることで、強い説得力が生まれます。
Q&A 面接での逆質問例
- 米州TFP事業の統合が進む中で、日本国内の技術拠点と海外の製造拠点の連携において、現在どのような課題やシナジーを期待されていますか?
- テクセンドフォトマスク社の上場に伴い、エレクトロニクスセグメントにおける今後の研究開発投資は、具体的にどの次世代技術に重点を置いていく方針でしょうか?
- デジタルビジネスの「スケール化」が下期の重点項目に挙げられていますが、現場レベルでの職種間連携(営業とエンジニアなど)を強化するために導入している仕組みはありますか?
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
学歴による差別がないのはとても良い
学歴による差別がないのはとても良い。旧帝大でも役職につかない人もいれば、あまりメジャーではない私立大卒や、高卒や中卒で幹部についている人もいる。フェアに人物を見て評価している感じはある。
(30代前半・企画営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]ワークライフバランスを取ることは難しい
部署にもよるが基本的に受注産業であるため自分たちで仕事のコントロールを行うことは困難であり、やはり残業は多い。休日も必ず誰かしらは出勤しており、ワークライフバランスを取ることは難しい。
(30代前半・企画営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 中間期決算説明会(2025年11月13日発表)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。