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編集部が注目した重点ポイント
①不採算事業の売却と事業ポートフォリオの最適化を断行する
2026年3月期上期において、不採算事業であったルシアンおよび七彩の連結除外を完了しました。構造改革の一環として、収益性の低い事業をグループから切り離し、経営資源を中核事業に集中させる姿勢を鮮明にしています。転職者にとっては、整理された事業基盤のもとで、より成長性の高い領域へ挑戦できる環境が整いつつあると言えます。
②次期中期経営計画を延期しビジネスモデルを抜本的に見直す
市場環境の変化に対応しきれていない現状を踏まえ、当初2025年内に公表予定だった次期中期経営計画を2026年5月へ延期することを決定しました。従来の百貨店中心の卸売モデルから、自社EC(電子商取引)やデジタルを活用したパーソナライズ対応への転換を「ゼロベース」で再検討しており、DXやマーケティング領域の専門人材に対するニーズが急増する見込みです。
③欧州における大型買収完了とグローバルPMIを推進する
前年9月に買収した英国のBravissimo社の連結が当期より本格寄与しています。欧州市場での存在感が高まる一方で、物流倉庫火災などの不測の事態からの早期復旧と、グループシナジーの創出が急務となっています。グローバル拠点間でのオペレーション統合や管理体制の構築に長けた人材にとって、活躍の機会が大きく広がっています。
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連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.4
売上収益
875億円
-2.9%
事業利益
30.5億円
+32.2%
営業利益
215億円
+86.5%
※事業利益 = 売上収益 - 売上原価 - 販売費及び一般管理費(事業の継続的な業績を測る指標)
2026年3月期第2四半期の連結累計実績は、売上収益が前期の不採算事業売却影響や米中市場の低迷により減収となりました。一方、営業利益については新京都ビル等の固定資産売却益(176億円)が大きく寄与し、大幅な増益を達成しています。利益面ではBravissimo社の買収に伴う小売比率の上昇により、売上総利益率が58.0%(前年同期比1.4pt改善)と、収益構造の改善が進んでいます。
通期業績予想については、国内成長戦略の遅れや海外の関税影響を織り込み、売上・利益ともに下方修正されました。通期売上収益は1,738億円、事業損益は15億円の赤字に転じる見通しです。修正後の計画に対する上期の進捗率は、売上収益で50.3%と概ね計画ラインにありますが、事業利益は下期に賦課金の一括計上や戦略的投資を見込んでいるため、依然として厳しい着地が予想されます。
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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.5
ワコール事業(国内)
【事業内容】主力ブランド「WACOAL」「Wing」等を展開するグループの中核。百貨店、量販店、直営店、ECなど多チャネルで展開。
【業績推移】売上収益442億円(前年同期比1.8%減)。事業利益は7億円と前年の赤字から黒字転換。
【注目ポイント】ブランド再編により各ブランドのストーリーラインが明確化。3Dボディ計測を活用した「わたしに合うブラ診断」の利用者が2.5ヶ月で20万人を突破し、購買率が全体平均の約2倍となる成果が出ています。リアル店舗の縮小をECとデジタルの融合でカバーする、オムニチャネル戦略の推進人材が求められています。
ワコール事業(海外)
【事業内容】米国ワコール、欧州、中国などグローバルに展開。2024年よりBravissimo社が加わり規模拡大。
【業績推移】売上収益351億円(前年同期比1.6%増)。増収も米国・中国の不振と欧州の火災影響で利益は減少。
【注目ポイント】米国ではEC基盤をShopifyへ順次切り替え中であり、UI・UX改善の初期フェーズにあります。欧州では買収後のPMI(統合プロセス)を推進中。各国で市場環境に合わせた快適性重視の商品開発や、関税影響を跳ね返すサプライチェーンの最適化が急務であり、グローバルな事業開発人材が不可欠です。
ピーチ・ジョン事業
【事業内容】若年層を中心に人気の「PEACH JOHN」ブランドを展開。EC売上比率が52%とグループ内で突出して高い。
【業績推移】売上収益55億円(前年同期比7.3%増)。新規顧客獲得施策が奏功し、事業損益は黒字化。
【注目ポイント】有名タレントの起用やコラボ企画により、ECサイトの新規購入者数が前年を大きく上回って推移。獲得した新規客を既存客化(ファン化)させる施策を来期以降の課題としており、CRM(顧客関係管理)やファンマーケティングの知見を持つ人材への期待が高まっています。
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今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.38
ワコールHDは現在、大きな転換点にあります。質疑応答で言及された通り、市場環境の変化により「強みを発揮できる場所が縮小している」との強い危機感を持ち、ビジネスモデルをゼロベースから見直す作業に入っています。外部の知見を積極的に活用する方針を示しており、既存の商慣習に囚われない改革意識を持つ外部人材の採用が、今後の成長の鍵を握ります。
具体的な成長戦略として、需要連動生産による返品の低減(通期で10億円以上の削減見込み)や、アフォーダブル(購入しやすい)価格帯の強化を掲げています。また、米国や中国でのブランド認知向上に向けた戦略的投資も織り込んでおり、グローバル規模でのブランディング刷新を担うポジションが注目されます。2026年5月の新中期経営計画の発表に向け、これまでの成功体験を超えた新しいワコールを共に創る人材が求められています。
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求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「伝統ある企業の抜本的な改革」に携わりたいという意欲が強力な武器になります。特に、百貨店主体のビジネスから、EC・デジタル・データ活用型のモデルへの移行期である点に着目し、自身の専門スキルを「新しいワコールの基盤構築」にどう活かせるかを具体化してください。SCANBEを活用したパーソナライズ体験の拡大など、テクノロジーで顧客価値を再定義する領域に触れると評価に繋がりやすいでしょう。
面接での逆質問例
- 「次期中期経営計画をゼロベースで再構築されるとのことですが、外部人材の知見に対してどのような役割やスピード感を期待されていますか?」
- 「米国でのECシステム切り替え(Shopify)において、日本国内でのオムニチャネル戦略との技術的・戦略的なシナジーはどのように計画されていますか?」
- 「ピーチ・ジョン事業で得られた新規顧客獲得の成功体験を、主力ブランドであるワコールの若年層開拓にどう水平展開していく予定でしょうか?」
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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
本人の意思が尊重されるところが良い
バリバリ働いて上を目指すような働き方、家庭との両立を考えて時間短縮で働く働き方等、本人の意思が尊重されるところが良いと思います。
(30代前半・クリエイティブ関連職・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明資料
- 2026年3月期 第2四半期 決算説明会 質疑応答要旨(QA形式)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。