0 編集部が注目した重点ポイント
① ナカノ商会の連結により法人向けビジネスを加速させる
2025年3月期第4四半期より株式会社ナカノ商会を連結子会社化したことで、コントラクト・ロジスティクス(CL)事業が飛躍的に拡大しています。同社のノウハウを活用し、企業間の在庫・配送拠点やEC総合物流センターの運営など、付加価値の高いサプライチェーンソリューションの提案力が強化されており、法人領域でのキャリア機会が大きく広がっています。
② プライシング適正化により収益構造を抜本的に改善する
大口法人顧客を中心に、付加価値に応じた適正な運賃改定(プライシング適正化)の交渉が一段落し、2025年10月以降順次反映される見通しです。低採算顧客との交渉に目途がついたことで、下期以降の継続的な収益貢献が期待されています。単なる価格転嫁ではなく、顧客の経営課題を解決するソリューション提案へのシフトが進んでいます。
③ 間接コストの削減とDX推進で筋肉質な組織を作る
業務プロセスの標準化とAI活用により、本社管理費などの間接コスト削減を強力に推進しています。組織階層のスリム化を図り、余剰人員を顧客と向き合う第一線の組織へ再配置することで、生産性と営業力の向上を両立させています。データ・ドリブン経営への移行により、構造的なコスト削減と付加価値創出を両立させるフェーズに入っています。
1 連結業績ハイライト
出典:ヤマトグループ 決算説明資料 P.1
2026年3月期第2四半期累計の連結業績は、営業収益が9,067億円(前年同期比7.9%増)と増収を達成しました。営業利益はマイナス37億円となりましたが、前年同期の150億円の赤字からは112億円の大幅な改善を見せています。これは法人部門のプライシング適正化や、ナカノ商会の新規連結による増収効果、さらには輸送効率化によるコスト抑制が寄与したものです。
通期予想に対する進捗状況については、営業収益・利益ともに「概ね期初の想定通り」の着地となっています。通期営業利益目標の400億円に対し、中間期は季節性もあり損失を計上していますが、10月以降の運賃改定反映や幹線輸送の効率化を見込んでおり、計画達成に向けて概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:ヤマトグループ 決算説明資料 P.16
エクスプレス事業
【事業内容】 宅急便を中心とした国内輸配送サービス。ヤマトグループの基盤となる最大セグメント。
【業績推移】 外部顧客への営業収益は7,557億円(前年同期比2.5%増)。営業損失は167億円(前年同期比110億円改善)。
【注目ポイント】 法人部門でのプライシング適正化が着実に進展しており、SD(セールスドライバー)1稼働当たりの収入も増加傾向にあります。不在率の低下や自動配送ロボットの活用実証など、テクノロジーによるラストマイルモデルの変革に注力しており、現場のオペレーション改革を推進できる人材が求められています。
コントラクト・ロジスティクス事業
【事業内容】 倉庫・在庫管理と輸配送を組み合わせた法人向けソリューションの提供。
【業績推移】 外部顧客への営業収益は795億円(前年同期比104.4%増)。営業利益は25億円。(※前年同期はナカノ商会が未連結のため単純比較不可)
【注目ポイント】 ナカノ商会の連結により規模が倍増し、案件パイプラインも大幅に拡大しています。統合型ビジネスソリューション拠点の展開を加速しており、大規模な物流センターの立ち上げや運営管理において、即戦力となるプロフェッショナル人材への期待が高まっています。
グローバル事業
【事業内容】 国際フォワーディング、越境EC支援、海外現地でのロジスティクスサービス。
【業績推移】 外部顧客への営業収益は487億円(前年同期比18.7%増)。営業利益は45億円(前年同期比1.7%増)。
【注目ポイント】 越境EC事業者への提案強化や国際小口輸送の拡大が牽引。注力地域であるインドや東南アジア、北米での営業体制を強化しています。国内の顧客基盤を活かしながら、エンドツーエンドのグローバルサプライチェーンを設計できるキャリア機会が豊富です。
モビリティ事業
【事業内容】 車両整備に加え、EV導入・エネルギー管理を含む「EVライフサイクルサービス」を提供。
【業績推移】 外部顧客への営業収益は103億円(前年同期比3.2%増)。営業利益は25億円(前年同期比22.7%増)。
【注目ポイント】 単なる整備事業から、顧客の環境負荷低減を支援するグリーン・モビリティ事業へと進化しています。EV充電設備や太陽光発電の供給、運行管理システムとの連携など、脱炭素社会のインフラを担う新たなビジネスモデルの構築が進んでいます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:ヤマトグループ 決算説明資料 P.11
ヤマトグループは、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画をアップデートしました。最終年度の目標として営業利益600億円(利益率3.1%)、ROE 6%以上を掲げ、持続的な成長軌道への回帰を目指しています。今後は幹線輸送の抜本的な効率化や、データ・ドリブン経営の本格推進により、さらなるコスト削減と価値創出を図る方針です。
質疑応答資料によると、保有不動産の有効活用や売却・オフバランス化を検討しており、創出したキャッシュを成長投資や株主還元に最適配分していく考えが示されています。また、統合型ビジネスソリューション拠点は2027年3月期までに4拠点の稼働を予定しており、法人向けビジネスの基盤整備が急ピッチで進んでいます。M&Aについても明確なシナジーが見込める案件に対しては積極的な姿勢を見せており、事業ポートフォリオの変革を支える専門人材のニーズは今後さらに高まるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
ヤマト運輸は今、「単なる運び屋」から「サプライチェーン全体の価値提供者」へと激変の最中にあります。ナカノ商会の連結や統合型拠点の展開など、法人向けロジスティクスを強化する戦略に対し、自身の持つ専門性(営業、エンジニアリング、企画等)がどう貢献できるかを語るのが効果的です。また、データ・ドリブン経営やAI活用による構造改革に主体的に関わりたいという意欲も、現在の経営方針と強く合致しています。
・「ナカノ商会のノウハウを既存のネットワークと融合させるにあたって、現在現場レベルで最も期待されているシナジーは何ですか?」
・「データ・ドリブン経営を推進する中で、第一線の組織への人材再配置が進んでいますが、現場の意思決定スピードや権限にどのような変化が起きていますか?」
・「幹線輸送の効率化(フレイター活用や輸送データ配車)において、外部パートナー企業との共創を具体的にどのように進めていく計画ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
働いた分だけ稼ぐことは可能
働いた分だけしっかりと出るので自分の働き方次第で稼ぐことは可能である。報酬についても残業代や時間外勤務がしっかりと反映されるのでよい。勤務時間中も休憩時間が一時間確保されており、事務所でお昼も食べれることから環境に関してはよい。
(20代前半・物流サービス・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- ヤマトホールディングス株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信
- ヤマトグループ 決算説明資料 2026年3月期 第2四半期(中間期)
- 「2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会」 主な質疑応答(要旨)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。