0 編集部が注目した重点ポイント
① 島根原子力2号機の稼働が収支を劇的に改善させる
2024年12月の島根原子力発電所2号機の再稼働により、燃料費負担が大幅に軽減されました。中間期の営業利益は前年同期比30.1%増の909億円に達しており、電源構成の最適化が収益基盤を強固にしています。技術系人材にとって、安定稼働を支える重要なフェーズにあります。
② 通期業績予想を上方修正し利益目標を1,000億円へ引き上げる
需給関連収支の改善や燃料価格調整の期ずれ影響により、2026年3月期の連結経常利益予想を当初の850億円から1,000億円へ上方修正しました。電力販売量の増加も寄与しており、市場競争が激化する中でも販売戦略の成果が明確に数値として表れています。
③ 新経営ビジョンで資本効率(ROIC)重視の経営へ舵を切る
2025年9月に策定された「中国電力グループ経営ビジョン2040」では、ROIC(投下資本利益率)3%以上の達成を掲げました。従来のインフラ維持型から、資本コストを意識した高収益体質への転換を目指しており、財務や戦略部門でのキャリア機会が拡大しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期(中間期)決算説明会 P.1
2026年3月期中間期の業績は、燃料価格の低下に伴う燃料費調整額の減少により売上高は7,262億円と微減しましたが、利益面では飛躍的な成長を遂げました。島根原子力発電所2号機の稼働による収支改善効果が約110億円、燃料費調整制度の期ずれ差益の拡大が大きな押し上げ要因となっています。
通期計画に対する進捗率は、経常利益ベースで84.5%に達しており、業績は順調に推移しています。下期の不透明な燃料価格変動を織り込んでもなお、高い目標達成の蓋然性を示しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期(中間期)決算説明会 P.6
総合エネルギー事業
事業内容:電力の発電および小売販売を主軸とし、ガス供給やエネルギーソリューションを展開するコア事業です。
業績推移:売上高は6,677億円(前年比214億円減)となりましたが、営業利益は748億円(同223億円増)と大幅な増益を記録しました。
注目ポイント:原子力発電の活用再開により、電源の競争力が劇的に向上しています。今後は卸売市場の活用やデジタルトレーディングの高度化、製造業の電化支援など、「稼ぐ力」の最大化に向けた専門人材の需要が非常に高まっています。
送配電事業
事業内容:中国電力ネットワーク株式会社が担う、電力の安定供給のための送電・配電インフラ運営事業です。
業績推移:売上高2,375億円に対し、営業利益は151億円(前年比4億円増)と着実な利益を確保しています。
注目ポイント:修繕費の増加というコスト要因はあるものの、託送収益の増加や事業者間精算の好転が利益を下支えしています。レジリエンス強化や次世代グリッド構築に向けた、デジタル技術を活用した設備管理への変革が急務となっています。
情報通信事業
事業内容:エネルギア・コミュニケーションズを主体とし、法人向けICTソリューションやコンシューマ向け通信サービスを提供しています。
業績推移:売上高229億円(前年比9億円増)、営業利益は19億円(同4億円減)と堅調な売上を維持しています。
注目ポイント:地域のデジタルトランスフォーメーションを牽引する役割を担っています。電力事業とのシナジーを活かしたデータセンター事業やAI活用など、非電力分野での収益柱の育成が期待されており、ITスペシャリストの活躍の場が広がっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期(中間期)決算説明会 P.20
中国電力グループは、2030年度までの「変革と基盤づくり」の期間において、島根原子力発電所3号機の運転開始(2030年度まで)を最重要マイルストーンに掲げています。この巨大プロジェクトの完遂に向けて、原子力部門だけでなく、建設、安全対策、地域対応など広範な領域で高度な専門性を有する人材を必要としています。
また、財務戦略においても大きな転換点を迎えています。2026年度からはDOE(株主資本配当率)の導入を予定しており、利益連動のみならず、資本の厚みに応じた安定配当を目指します。これは、長期的かつ安定的な事業運営への自信の表れであり、経営の安定性を重視する転職者にとってポジティブな指標となります。
さらに、PBR(株価純資産倍率)1倍超の恒常化を目指し、資産スリム化や政策保有株式の売却など、バランスシートマネジメントを強化しています。事業ポートフォリオの最適化やM&Aを通じた成長加速も視野に入っており、コーポレート機能のプロフェッショナルにとっても刺激的な環境と言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「地域のインフラを守る」という伝統的な使命感に加え、経営ビジョン2040で示された「資本効率の向上」や「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードを軸に構成することをお勧めします。例えば、「原子力の安定稼働による収益改善を原資とした、地域のGX(グリーントランスフォーメーション)の牽引に貢献したい」といった、収益と社会貢献を両立させる視点が評価されやすいでしょう。
面接での逆質問例
「経営ビジョン2040において、ROIC3%以上という高い目標を掲げられていますが、私の担当する現場の業務レベルでは、どのようなKPI(重要業績評価指標)への意識が求められるようになりますか?」といった質問は、経営層の意図を汲み取りつつ、自分の実務への落とし込みを意識している姿勢をアピールできます。また、島根3号機の安全対策に関する最新技術の導入状況についても、前向きな関心を示す良いテーマです。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
ワークライフバランスは取りやすい
労働組合がしっかりしている(管理職以外全員加入)こともあり、ブラックではありません。休暇も比較的取りやすいので、ワークライフバランスは取りやすいと思います。
(30代前半・営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料:
- 2025年度 第2四半期(中間期)決算説明会(2025年11月14日)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年10月31日)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。