0 編集部が注目した重点ポイント
① 運送事業で5拠点の統廃合を断行し収益構造を改善する
営業赤字が続く運送(トラック)事業において、2025年10月から順次、足利や三郷を含む5か所の拠点統廃合を計画しています。NXグループとの事業統合を踏まえたネットワークの効率化により、2026年度以降に年間約10億円の統合効果を見込んでおり、物流領域でのDXやオペレーション改革を担う人材の重要性が高まっています。
② REIT事業へ初参入し開発資金の早期回収を加速させる
2025年10月、ザイマックスグループと共同で上場リートのスポンサーとなり、リート事業に初参入しました。これにより自社保有にこだわらない資産循環型モデルへ移行し、中部圏のまちづくりを推進します。金融・不動産証券化の専門スキルを持つ人材にとって、新たな事業領域でのキャリア機会が大きく広がっています。
③ 宮城交通グループの連結化により交通事業を増収へ導く
2025年3月末に宮城交通グループを連結子会社化したことで、交通事業全体の収益が大きく底上げされました。当第2四半期においてバス事業の収入は前年同期比31.1%増と飛躍しており、M&Aを通じたエリア拡大と経営統合プロセス(PMI)に関わるポジションの採用可能性を示唆しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 投資家様向け決算説明会資料 P.4
2026年3月期第2四半期の決算は、営業収益こそ宮城交通グループの寄与もあり増収となりましたが、営業利益は運送事業の収支悪化や人件費の増加により大幅な減益となりました。中間期の進捗率は、通期予想(営業収益6,950億円、営業利益340億円)に対してそれぞれ48.3%、50.4%となっており、期初の想定を下振れた結果、通期予想の下方修正が発表されています。
この進捗状況から、下半期に向けた目標達成のハードルは高いものの、50%台の進捗を維持していることから、利益ベースでは概ね順順に推移していると評価できます。特に第4四半期に収益が集中しやすい不動産事業などの動向が、通期達成の鍵を握ることになります。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 投資家様向け決算説明会資料 P.7
交通事業
事業内容:鉄道(名古屋鉄道)、バス(名鉄バス、宮城交通等)、タクシー事業など、グループの基幹インフラを担います。
業績推移:営業収益は前年同期比11.5%増の887億円、営業利益は5.1%増の124億円と堅調な伸びを見せました。
注目ポイント:中部国際空港(セントレア)への空港線利用者が2019年度比で100%超まで回復しており、イベント需要も好調です。また、宮城交通グループの連結加入によるシナジー創出が急務となっており、組織管理やオペレーションの標準化を図れる人材が求められています。
運送事業
事業内容:名鉄NX運輸を中心としたトラック配送および海運事業を展開しています。
業績推移:貨物取扱量の減少により営業収益は6.8%減、営業損益は48億円の赤字に転落しました。
注目ポイント:現在、収益性改善を最優先課題としており、労働条件の改善と委託料削減を並行して進めています。既存のやり方に捉われない「物流の2024年問題」解決に向けた構造改革のプロフェッショナルが必要不可欠な状況です。
不動産事業
事業内容:オフィスや商業施設の賃貸、名鉄都市開発による分譲マンション販売などを手掛けます。
業績推移:首都圏での分譲マンション引渡戸数の減少により、営業利益は19.8%減の73億円となりました。
注目ポイント:リート事業への参入に加え、2030年度までに政策保有株式500億円の縮減や資産売却を進める「アセットコントロール」を強化中です。開発だけでなく「保有から運用へ」の転換を支える金融・アセットマネジメント経験者への期待が高まっています。
レジャー・サービス事業
事業内容:名鉄ホテルグループの運営、観光施設、名鉄観光サービスによる旅行業を構成します。
業績推移:観光需要の回復により、営業利益は前年比36.9%増の19億円と大幅増益を達成しました。
注目ポイント:名古屋市内の主要ホテルでは、平均客室単価が過去最高水準で推移しています。新穂高ロープウェイのリニューアルなど体験価値の向上に注力しており、インバウンドをターゲットとしたマーケティング職の活躍の場が広がっています。
流通事業
事業内容:名鉄百貨店および輸入車販売などの物品販売事業を展開しています。
業績推移:営業収益は6.4%増の342億円ですが、営業赤字が15億円に拡大しました。
注目ポイント:輸入車販売は好調なものの、その他物品販売の収支悪化が響いています。事業ポートフォリオの再構築が経営レベルで検討されており、不採算部門の立て直しや新規チャネル開拓に意欲的な人材が必要とされています。
航空関連サービス事業
事業内容:ヘリコプター事業や機内食、空港地上業務などを受託しています。
業績推移:受注増により増収となりましたが、修繕費の増加で営業利益は36.8%減の5億円となりました。
注目ポイント:中部国際空港の第2滑走路整備に伴い、将来的な需要増が確実視されています。整備体制の強化や運航管理の高度化が求められており、技術・専門性の高い人材の安定確保が課題となっています。
その他の事業
事業内容:設備保守整備、ITシステム開発、保険代理業など多岐にわたります。
業績推移:システム関連の受注が好調で、営業利益は53.9%増の13億円と大幅な増益を遂げました。
注目ポイント:グループ全体のデジタル化を支える中核として、売上高利益率も改善傾向にあります。内製化の推進やDXソリューションの外販拡大など、グループ内外で活躍できるエンジニア職種のニーズが非常に高いです。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 投資家様向け決算説明会資料 P.14
今後の成長戦略の目玉は、不動産事業における「リート事業への本格参入」です。これにより開発資金を早期に回収し、新たな再開発プロジェクトへの投資へ回す好循環を生み出す計画です。また、2026年開催の「アジア・アジアパラ競技大会」に向けた輸送・宿泊需要の取り込みも進んでおり、地域活性化に直結する大規模なビジネス機会が控えています。運送事業の赤字圧縮に向けた「拠点統廃合」は、2026年度以降に年間10億円規模の効果を見込んでおり、苦境を乗り越えるための抜本的な経営体力の強化が期待されます。採用においては、こうした変革期を乗りこなせる実務経験と、グループ横断的な視点を持つ人材の獲得に注力する構えです。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「地域の足を守る」という伝統的な使命感に加え、最新決算で強調されている「リート活用によるアセットライト経営」や「物流事業の抜本的再編」といったビジネスモデルの転換に触れることが効果的です。安定したインフラ基盤を持ちながらも、自らを変革しようとする姿勢に共感し、自身の専門性(金融、DX、PMI等)をどう活かしたいかを具体的に語るのが良いでしょう。
面接での逆質問例
- 「運送事業の拠点統廃合が進む中で、現場の生産性を向上させるために現場社員に期待されている具体的な役割やスキルの変化は何ですか?」
- 「リート事業への参入により、不動産開発のスピード感がどう変わると予測していますか? また、外部資本を取り込んだまちづくりにおいて中途採用者が貢献できる最大の領域を教えてください。」
- 「グループ執行役員制度の導入により、事業セグメント間の連携がどのように強化されていますか? 具体的な成功事例があれば伺いたいです。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
他の大手私鉄と比べると低い
総合職は若いうち、残業代も基本的にはないので、大手企業の中では安いです。他のお手私鉄と比べると圧倒的に低いと思います。
(20代後半・財務・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期 投資家様向け決算説明会資料(2025年11月12日発表)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月7日発表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。