0 編集部が注目した重点ポイント
① ASKUL関東DCの稼働でV字回復への投資を断行する
2025年6月より、大型物流拠点である「ASKUL関東DC」の稼働を開始しました。立ち上げに伴う減価償却費や一時コストの発生により、当1Qの利益面は前年同期比で大幅な減益となりました。しかし、これは2027年5月期のV字回復を見据えた戦略的投資であり、物流拠点再編を主導するSCM・物流企画ポジションでのキャリア機会が拡大しています。
② 基幹システムの刷新を完了しDX基盤を強固にする
当1Qにおいて、長年の課題であった基幹システムのリプレイス(SAP移行)を完了しました。今後の成長に向けたIT基盤が整ったことで、新アスクルWebサイトへの完全統合や、データ利活用による価格自動最適化、在庫管理の高度化が加速します。デジタルを経営の中核に据える環境で、テクノロジーを武器に事業成長を牽引するIT人材の重要性が一段と高まっています。
③ 「本気プライス」戦略でお客様数の回復を急ぐ
中期経営計画の最重要テーマとして「お客様数の回復」を掲げ、価格競争力強化施策を本格始動しました。為替ポジションの改善により得られた利益を原資として値下げを断行し、中小事業所を中心とした顧客基盤の再構築を図ります。市場動向に合わせた機動的なマーケティングや、高収益なPB(独自企画)商品の開発力を発揮できる人材が強く求められています。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年5月期 第1四半期決算概要 P.6
売上高
1,223億円
+3.3%
営業利益
10.5億円
△59.1%
親会社株主純利益
3.4億円
△77.7%
2026年5月期第1四半期の売上高は1,223億円となり、第1四半期として過去最高を更新しました。主力のASKUL事業で生活用品や現場用消耗品(MRO)が伸長し、増収を牽引しています。利益面では、2025年6月に稼働した「ASKUL関東DC」の立ち上げに伴う固定費増(約11.5億円)や、基幹システム刷新費用が重なり、営業利益は10.5億円と前年同期比で大幅な減少となりました。
通期営業利益予想110億円に対する進捗率は9.5%にとどまりますが、質疑応答資料において「計画を上回るスタート」と明言されています。これは上期に投資コストが集中し、下期から物流効率化による利益改善を見込む「V字型」の期中計画に沿ったものであるため、業績は順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年5月期 第1四半期決算短信 P.4
eコマース事業
事業内容:法人向け「ASKUL」および個人向け「LOHACO」を運営。事務用品から生活用品、現場用消耗品まで幅広く取り扱います。
業績推移:売上高1,202億円(前年同期比+3.4%)。生活用品カテゴリが+7.7%と伸長し、売上の「日用品化」が鮮明です。
注目ポイント:従来型オフィス用品が鈍化する中、「仕事場の日用品」へのシフトを急いでいます。150〜200の新規オリジナル商品の発売を予定しており、商品開発MDや、大企業向けの購買管理システム接続を担う営業・技術チームの増強が不可欠となっています。
ロジスティクス事業
事業内容:ASKUL LOGISTによる外販物流受託。配送ネットワークの運営と効率化を担います。
業績推移:売上高19億円(前年同期比+2.0%)。外注費の増加等を吸収できず、営業損失3,300万円を計上しました。
注目ポイント:ASKUL関東DCへの移管と並行し、日高DCの閉鎖といった物流拠点の抜本的再編を推進中です。単なる配送管理にとどまらず、配送ルート最適化や拠点設計をテクノロジーで解決できる高度なSCM人材の獲得に注力しています。
その他(製造事業等)
事業内容:飲料水の製造を行う嬬恋銘水株式会社等、サプライチェーンの垂直統合を支える事業です。
業績推移:売上高5億円(前年同期比△23.2%)。前年同期に実施した在庫商品の一括販売の反動により減収減益となっています。
注目ポイント:猛暑に伴う飲料需要を捉え、安定稼働を維持しています。グループ内供給体制の強化と品質保証の高度化を担う、生産管理のプロフェッショナルが活躍しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年5月期 第1四半期決算概要 P.25
今期を「成長性の回復に向けた転換期」と位置づけ、下期に向けて利益を積み上げる計画です。質疑応答で言及された通り、2Q以降は為替ポジション改善効果の本格化に加え、ASKUL関東DCへの物量集約による「物流費比率の低減」が期待されています。拠点再編による固定費圧縮の効果は来期以降のV字回復に直結する見込みです。
DX戦略では、2026年5月期中に「ASKULサイト」から「新アスクルWebサイト」への移行を開始し、翌期中の統合完了を目指しています。質疑応答ではスマートフォン対応の強化も明言されました。ECと物流が密結合した独自のプラットフォームを構築するため、開発体制の内製化をさらに加速させており、大規模システム刷新の主役に加わるチャンスが広がっています。
4 求職者へのアドバイス
アスクルは現在、単なる物販会社から、高度なIT・物流基盤を武器とした「DXエコマース企業」へと進化を遂げる過渡期にあります。志望動機では、今期完了した基幹システムリプレイスや関東DC稼働といったインフラ刷新を好機と捉え、自身のスキルをいかに「お客様数の回復」や「配送効率の最大化」という具体的成果に結びつけたいかを語ることが有効です。「V字回復の原動力になりたい」という熱意は、変革期にある同社で高く評価されるでしょう。
- 「ASKUL関東DCへの集約に伴い、配船や在庫配置の自動化に向けて現場ではどのようなDXプロジェクトが進行していますか?」
- 「『本気プライス』戦略において、価格競争力以外でPB(独自商品)が果たすべき役割をどう定義されていますか?」
- 「基幹システムを刷新されましたが、開発チームにおいて今後内製化をさらに強化したい特定技術領域はどこでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
女性はかなり働きやすい環境になっている
女性比率が高いためか、女性の働きかたには会社として積極的に制度設計を進めている。産休育休は当然ながら、テレワークなどを活用することで女性はかなり働きやすい環境になっていると思う。また女性社員の座談会なども実施されており、キャリアパスなどを部署を超えて相談することが可能。
(30代前半・プログラマ・男性) [キャリコネの口コミを読む]評価者によっても基準が曖昧
査定については、KPIを定めて定量的な評価に基づいてが基本だが、評価者によっても基準が曖昧であり、あてにならない。
(30代後半・マーチャンダイザー・男性) [キャリコネの口コミを読む]使用した主な公開資料:
- アスクル 2026年5月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- アスクル 2026年5月期 第1四半期決算概要
- アスクル 2026年5月期 第1四半期決算 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。