0 編集部が注目した重点ポイント
① 北米拠点の統合で川上領域を黒字化させる
中期経営計画の最優先課題であった北米ユニットの収益改善が大きく進展しました。スケソウダラ相場の堅調な推移に加え、生産拠点の統合によるコスト低減効果が発現し、川上(一次加工)領域が前年同期の赤字から劇的な黒字転換を果たしています。構造改革が実を結び、北米全体の営業利益は前年対比で21億円の改善を記録しました。
② 欧州でのM&Aにより海外事業を拡大させる
グローバル戦略の加速に向けて、2025年5月に欧州の水産加工会社を取得しました。この新規連結により、欧州事業の営業利益は約6億円増加し、エリア全体の利益成長を牽引しています。既存事業の価格改定も奏功しており、水産商事・欧州事業の利益は前年比28%増の成長を達成。海外経常利益比率も50%を超える水準へ上昇しています。
③ 社名変更でソリューション企業へと変革する
2026年3月より、社名を「Umios(ウミオス)株式会社」へ変更することを決定しました。単なる水産物供給の枠を超え、海を起点に社会課題を解決する「ソリューションカンパニー」への変貌を目指しています。これに伴い、デジタル投資や人的資本への積極投資を計画しており、企業文化の刷新とバリューチェーンの強靭化を同時に推進する方針です。
1 連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.5
5,367億円
+0.9%
187億円
+16.6%
183億円
+16.8%
50.4%
+7.2pt
2026年3月期中間期の業績は、売上高が微増ながらも、営業利益・経常利益で前年同期を大幅に上回る増益を達成しました。特に営業利益は中間期としての過去最高益を更新。北米における構造改革の効果に加え、戦略的に進めているM&Aによる欧州事業の拡大が寄与しています。純利益は前年の資産売却益の反動で減益となりましたが、本業の収益性は極めて高い水準を維持しています。
通期計画の営業利益300億円に対する進捗率は62.3%に達しており、中間期の着地として非常に順調な進捗を見せています。上方修正した計画の達成に向け、盤石な体制が整っています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.23
水産資源セグメント
事業内容:国内外での漁業、養殖、および北米拠点での水産資源の一次加工から最終製品の販売までを担当。
業績推移:営業利益10億円(前年同期は23億円の赤字)。33億円の大幅な改善を達成。
注目ポイント:北米ユニットの黒字化が最大のトピックです。カニカマ製品の販売好調に加え、2025年12月には工場の拡張工事が完了予定。今後、川下(最終製品)戦略を強化するため、北米でのM&Aや業務提携も推進中であり、グローバルな事業開発やPMO経験者の需要が高まっています。
食材流通セグメント
事業内容:国内外での水産物・畜産物の卸売、加工、および欧州でのトレーディング・加工拠点運営。
業績推移:営業利益92億円(前年比0.9%増)。畜産事業の見直しを進めつつ利益を確保。
注目ポイント:欧州子会社の連結化により、グローバル水産物流の拠点機能が強化されました。国内ではホタテやエビの販売単価上昇を的確に利益へ反映させています。質疑応答で言及された通り、魚種別のリスクヘッジ体制が整っており、相場変動に強い高度なトレーディング機能を担うプロフェッショナルが求められています。
加工食品セグメント
事業内容:冷凍食品、ねり製品の製造・販売、およびタイを拠点とした高付加価値ペットフード事業。
業績推移:売上高939億円(前年比4.7%増)、営業利益75億円(前年比6.9%減)。
注目ポイント:タイでのペットフード事業が、北米市場のプレミアム需要を捉えCAGR(年平均成長率)約7%の成長を見せています。国内の原材料高騰を吸収するための価格改定効果も出始めています。ファインケミカル領域では医薬品向け素材の販売が好調で、水産由来の機能性素材を活用したR&Dや新規事業立案の重要性が増しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料 P.15
マルハニチロは、2026年3月の社名変更「Umios株式会社」を一つの大きなターニングポイントに据えています。中期経営計画の最終年度に向け、1,400億円以上の成長投資を継続中であり、特に海外拠点の拡充やデジタル変革(DX)への支出を加速させています。質疑応答で言及された通り、営業キャッシュフローは500億円規模を維持しており、投資の原資も安定しています。
下期の見通しについては、マグロやカツオの相場低迷を考慮し「慎重」としていますが、業績の実態は通期計画達成に向けて順調な推移です。特に「Umios」ブランドへのパッケージ改定や本社移転、新CI(コーポレート・アイデンティティ)の浸透といった企業変革費用を、今期だけで50億円計上しており、これは単なるロゴ変更ではなく、組織全体の意識改革とシナジー創出を狙ったものです。この「第二の創業」とも言える変革期は、新しい組織作りに関わりたい中途採用人材にとって、稀有なチャンスと言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
マルハニチロは今、創業100年を超える伝統的な水産企業から、海を起点とした価値創造を行う「ソリューションカンパニー」への脱皮を宣言しています。北米での劇的なV字回復や、欧州での攻めのM&Aなど、グローバル規模での「攻めの姿勢」が鮮明です。「日本発のグローバル企業の変革を、専門スキルで支えたい」「食を通じて持続可能な社会を作りたい」といった、目的意識を持ったキャリア形成に最適なフェーズです。
- 「2026年3月の社名変更(Umios)に向けた企業変革が進んでいますが、現場の組織風土レベルでどのような『挑戦』が具体的に評価されていますか?」
- 「北米でのカニカマ増産工事が完了間近ですが、現地生産の拡大に伴い、日本の本社側ではどのような海外マネジメントの役割が期待されていますか?」
- 「海外経常利益比率が50%を超えましたが、M&A後のPMI(統合プロセス)において、グローバルグループ間の連携で現在最も注力している課題を教えてください。」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
中途採用が組織の軸に座るイメージを持てない
終身雇用色が非常に強い為、人数的にも取りきれていない感じである。中途採用の方が組織の軸に座るイメージは持てない環境です。
(40代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算説明会 質疑応答要旨



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。