0 編集部が注目した重点ポイント
① 欧州MXDA事業の減損502億円を計上する
オランダの連結子会社であるMSCN社において、メタキシレンジアミン(MXDA)製造設備の建設工事を一時中断しました。建設費高騰や市場環境の変化を受け、固定資産の減損損失502億円を特別損失として計上しています。2025年9月からの構造的変化であり、短期的には純損失となりますが、不採算懸念への早期対応として転職者は注視すべき動きです。
② 構造改革に向けたタスクチームを発足させる
社長をトップとする「事業ポートフォリオ強靭化タスクチーム」を新たに設置しました。オルソキシレン(OX)チェーンからの事業撤退に加え、聖域なきコスト削減やアセットライト化を推進します。抜本的な構造改革の実行を鮮明にしており、経営資源の再配置に伴う新しいポジションや専門職の採用機会が期待される局面です。
③ AIサーバー向け電子材料の販売を拡大させる
先端分野であるAIサーバー向け基板材料「OPE®」の販売数量が増加しました。半導体パッケージ用BT材料も需要回復と在庫確保の動きにより、電子材料部門は増収増益を達成しています。同社が強みを持つ「Uniqueness & Presence(U&P)事業」へのフォーカスが加速しており、ICT関連事業でのキャリア成長性が高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.5
2026年3月期第2四半期の売上高は3,616億円となり、前年同期比で減収となりました。電子材料の販売は好調でしたが、ポリカーボネートやメタノールの市況下落、およびオルソキシレン(OX)チェーンからの撤退が響きました。営業利益も、無機化学品の新拠点立ち上げに伴う固定費増や円高影響により25.5%の減益を記録しています。
特筆すべきは、オランダ子会社におけるMXDAプロジェクトの建設工事一時中断に伴う、502億円の減損損失計上です。これにより親会社株主に帰属する中間純利益は279億円の赤字となりました。一方で、財務健全性は引き続き確保しており、累進配当方針を維持する姿勢を見せています。
通期業績予想に対する進捗状況は、修正後の通期利益目標(営業利益440億円)に対し中間期で251億円を達成しており、進捗率は57.1%となっています。このため、修正後の計画に対しては概ね順調に推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.27
機能化学品(電子材料・無機化学等)
事業内容:半導体パッケージ用BT材料、AIサーバー用基板材料、半導体向け超純薬液、光学樹脂、ポリカーボネート等の製造販売。
業績推移:売上高2,199億円(前年比-1.3%)、営業利益227億円(前年比-9.8%)。一部で市況安があるも、電子材料は増益。
注目ポイント:AIサーバー向け基板材料「OPE®」の伸長が目覚ましく、次世代コンピューティングを支える中核拠点としての存在感を高めています。半導体薬液(EL薬品)においても台湾拠点の能力増強を進めており、最先端プロセスに対応可能なエンジニアや、グローバルな供給体制を構築できるサプライチェーン管理人材のニーズが急速に高まっています。
グリーン・エネルギー&ケミカル
事業内容:メタノール、アンモニア、エネルギー資源、メタキシレンジアミン(MXDA)などの基礎化学品事業。
業績推移:売上高1,411億円(前年比-13.9%)、営業利益43億円(前年比-56.8%)。市況下落とオランダ拠点の懸念により大幅減益。
注目ポイント:MXDA事業は一時的な苦境にありますが、風力発電ブレード向け等の新規用途は拡大傾向にあります。また、オルソキシレン事業からの撤退や、ポートフォリオ再編に向けた全社的な「事業構造改革」が進行中です。不採算事業の整理や、既存アセットを活用した新事業創出を担える経営企画や事業再生の経験を持つ人材の活躍が期待されています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第2四半期(中間期) 決算説明資料 P.22
通期の連結業績予想は、売上高7,300億円(前回比▲200億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は▲170億円(前回比▲530億円)の赤字へ下方修正されました。大型減損が直接の要因ですが、営業利益ベースでは440億円を確保する見込みです。「ICT関連事業への経営資源集中」は揺るぎない方針として掲げられており、投資規律の強化が図られています。
注目すべきは、2025年度中に実行される「聖域なきコスト削減」と「非事業用資産の売却」です。これは単なるコストカットに留まらず、次期中計に向けた財務基盤の筋肉質化を意味しています。質疑応答資料によれば、MXDAプロジェクトの今後については「あらゆる選択肢を検討中」としており、柔軟な経営判断を行うフェーズにあります。スピード感を持った事業変革に参加したい転職者にとって、今がまさに転換点となるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は現在、「Grow UP 2026」の下で事業ポートフォリオの抜本的刷新を進めています。特にAIサーバー向け「BT材料」や「OPE®」といった、高成長・高収益なスペシャリティ化学分野へのシフトを強調すると良いでしょう。「変化の激しい局面で、自らの専門性を活かして事業ポートフォリオの強靭化に貢献したい」という姿勢は、現在の経営ニーズと合致しています。
面接での逆質問例
「社長直轄の事業ポートフォリオ強靭化タスクチームが進める具体的な施策の中で、私の担当職務が果たすべき役割や期待されるスピード感について教えてください」や、「MXDAやPC(ポリカーボネート)などの重点管理事業において、現状の延長線上ではない抜本的な改善に、外からの視点をどう活かしてほしいと考えていますか?」といった質問が有効です。
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
家賃補助の上限額が低いためほぼ全員が上限額
自ら寮や社宅を出た場合でも、最大3/4の家賃補助がつくのはメリットだが、上限額が低いためほぼ全員が上限額に当たっている。
(20代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 第2四半期(中間期) 決算説明資料



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。