日本ペイントホールディングスの転職研究 2025年12月期3Q決算に見るキャリア機会

日本ペイントホールディングスの転職研究 2025年12月期3Q決算に見るキャリア機会

日本ペイントホールディングスの2025年12月期3Q決算は、売上・営業利益ともに過去最高を更新。AOCの買収完了により収益構造が劇的に進化し、「アセット・アセンブラー」としての成長が加速しています。「なぜ今日本ペイントHDなのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

AOCの買収完了で収益構造を劇的に強化する

2025年3月にグローバル・スペシャリティ・フォーミュレーターであるAOCの買収を完了し、当第1四半期より新たな報告セグメントとして追加されました。これにより、単なる塗料メーカーから「アセット・アセンブラー」としてのプラットフォームへ進化しており、転職者にとってはグローバルなM&A推進や事業統合に携わるキャリア機会が飛躍的に拡大しています。

調整後営業利益が前年同期比32.6%増と大幅に伸びる

第3四半期累計で売上収益・営業利益ともに過去最高を更新し、グループの実質的な収益力を示す調整後営業利益は2,010億円に達しました。原材料費率の改善やM&A貢献が奏功しており、調整後営業利益率も15.2%(前年同期比+2.9pt)と大幅に向上しています。強固な財務基盤を背景に、研究開発や人財への投資がさらに加速する好循環に入っています。

自社株買いと成長投資の両立で株主価値を高める

2025年10月に、上限300億円の自己株式取得を決議しました。AOCの順調なキャッシュ創出を背景に、「将来のM&A投資」と「株主還元」を高いレベルで両立させています。資本効率を重視した経営スタイルが徹底されており、ファイナンスや経営企画などの専門性を活かしたいプロフェッショナル層にとって、極めて刺激的な環境が整っています。

1 連結業績ハイライト

売上収益・各利益項目ともに第3四半期累計で過去最高を更新。AOCの新規連結と既存事業の収益改善が、グループ全体の成長を力強く牽引しています。
連結業績サマリー

出典:2025年12月期 第3四半期決算説明資料 P.5

売上収益

1兆3,184億円

前年比 +7.8%

調整後営業利益

2,010億円

前年比 +32.6%

親会社帰属四半期利益

1,343億円

前年比 +38.6%

※調整後営業利益:IFRS基準の利益から、M&A関連費用、PPA(買収に伴う無形資産の評価)関連費用、減損損失、超インフレ会計の影響など、一過性の要因を除外して算出した指標。

第3四半期連結累計期間において、売上収益は前年同期比7.8%増、営業利益は同36.4%増の1,906億円と、極めて好調な決算となりました。特に2025年3月から新たに加わったAOCが397億円の利益貢献を果たしており、M&Aによるインオーガニック成長が目に見える成果となって現れています。また、原材料価格の安定と製品値上げの浸透により、グローバル全地域で売上総利益率が向上しており、収益構造そのものが強靭化しています。

通期業績予想に対する進捗率は、売上収益で72.4%、営業利益で78.1%となっており、利益面での進捗は順調です。売上収益については、中国やインドネシア市場の軟調により75%を若干下回っていますが、AOCの寄与や為替影響を考慮すれば、計画通りの着地が見込まれる概ね順調な推移と評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

各地域・事業セグメントが自律的な成長を追求。新設されたAOCセグメントに加え、既存の4地域でも構造改革が進み、専門人財の需要が高まっています。
セグメント別実績

出典:2025年12月期 第3四半期決算説明資料 P.14

日本(日本ペイント、日本ペイント・オートモーティブコーティングス等)

事業内容:自動車用、汎用、工業用塗料、ファインケミカル、船舶用塗料などの製造・販売を担当。国内の研究開発拠点「東京イノベーションセンター」も擁する中核セグメント。

業績推移:売上収益は1,514億円(前年比+1.2%)、調整後営業利益は149億円(同+6.1%)。自動車用が生産回復で増収を確保した一方、汎用はリフォーム需要の低迷で微減となりました。

注目ポイント:原材料費率の改善により、減収影響を跳ね返して増益を達成しました。新たに本格稼働した「東京イノベーションセンター」では、グループ横断の技術共有「LSI(活用・共有・統合)」を推進しており、最先端のR&D体制を構築するための研究開発職や技術管理職の重要性が増しています。

注目職種:研究開発、生産技術、DX推進、品質管理

NIPSEA(中国、アジア、トルコ、インド等)

事業内容:中国を中心としたアジア全域での塗料ビジネスを展開。汎用塗料から自動車用まで、圧倒的なシェアを誇るグループ最大の成長エンジン。

業績推移:売上収益は6,710億円(前年比-1.5%)、調整後営業利益は1,106億円(同+10.5%)。中国での取引形態見直しによる見かけ上の減収を除けば、実質的には堅調な成長を維持しています。

注目ポイント:中国市場の不動産低迷という逆風の中でも、コスト削減と高付加価値製品へのシフトにより2桁の増益を実現しました。トルコ(Betek Boya)やインドネシアなど、成長著しい地域での販売網拡大が続いており、不確実な環境下で成果を出す海外事業管理やマーケティング人財へのニーズが極めて高い状態です。

注目職種:海外営業、マーケティング、経営企画(グローバル)、サプライチェーンマネジメント

DuluxGroup(太平洋、欧州)

事業内容:オーストラリア、ニュージーランド(DGL太平洋)および欧州(DGL欧州:Cromology、JUB等)での汎用塗料および周辺事業を展開。

業績推移:売上収益は2,938億円(前年比-1.7%)、調整後営業利益は325億円(同-0.6%)。為替影響や欧州の住宅市場低迷の影響を受け、ほぼ横ばいの推移となりました。

注目ポイント:市場環境は厳しいものの、南欧での事業成長や太平洋でのシェア獲得が進んでいます。「SAF(接着剤・密封剤)」などの周辺領域への買収も継続しており、多角的な事業ポートフォリオを管理する力が必要です。異なる文化を持つ海外拠点のPMI(買収後統合)を担えるビジネスリーダー候補には絶好の舞台です。

注目職種:事業開発、PMI担当、財務コントローラー、エリアマネージャー

米州(Dunn-Edwards、NPA等)

事業内容:米国を中心とした自動車用、汎用塗料の製造・販売。特に建築用の建築塗料ブランドを複数展開。

業績推移:売上収益は905億円(前年比-2.8%)、調整後営業利益は60億円(同-17.6%)。経済の不確実性と住宅市場の停滞による需要減少が直撃しました。

注目ポイント:厳しい業績となりましたが、原材料費率の改善は進んでいます。自動車用塗料では新規獲得による増収も果たしており、「攻め」の営業戦略への転換期にあります。市場の底打ちを見据え、効率的な拠点運営やデータに基づいたセールス・アナリティクスを導入できるプロフェッショナルが求められています。

注目職種:法人営業、データアナリスト、物流戦略、拠点長候補

AOC(2025年3月より新規連結)

事業内容:コーティング周辺製品向けの不飽和ポリエステルやビニルエステル等の配合設計・製造・販売。高収益なスペシャリティ・フォーミュレーター事業を展開。

業績推移:当期から新規連結されたため、3Q累計で売上収益1,117億円、調整後営業利益397億円を計上(注:前年同期は未連結のため単純比較不可)。利益率は35.6%と驚異的な水準です。

注目ポイント:グループ全体の「キャッシュカウ(収益源)」として期待通りの活躍を見せています。独自の技術力と高度にカスタマイズ可能なビジネスシステムが強みであり、これを他のグループ企業へ水平展開する「ナレッジ共有」の旗振り役として、事業開発やエンジニアリングの専門性を持つ人材がグローバルで必要とされています。

注目職種:化学エンジニア、グローバル経理、M&A担当、法務(国際契約)

3 今後の見通しと採用の注目点

通期計画の達成に揺るぎなし。AOCのシナジー創出と、国内研究拠点の本格稼働が来期以降の成長を担保します。
通期見通しと重点施策

出典:2025年12月期 第3四半期決算説明資料 P.6

2025年12月期の通期連結業績予想は据え置かれ、営業利益は前期比31.0%増の2,440億円と過去最高を更新する見込みです。質疑応答資料によれば、第4四半期にはAOCの買収関連費用(PPA)などの一過性要因が計上されるものの、それを補って余りあるオーガニック成長が期待されています。特に中国・アジア地域での原材料費のさらなる改善が利益を押し上げる計画です。

注目すべきは、買収したAOCが順調にキャッシュを創出している点です。これにより、新たなM&Aパイプライン(案件候補)への投資意欲が衰えておらず、今後も「アセット・アセンブラー」としての拡大が続く可能性が示唆されています。転職者にとっては、既存事業の安定だけでなく、新規事業の立ち上げや統合実務に携わるチャンスが途切れないことを意味しています。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「アセット・アセンブラー」という独自の経営モデルに対する理解が不可欠です。単なる塗料の製造販売ではなく、世界中の優良な企業を傘下に収め、それぞれの自律経営を尊重しながら「LSI(活用・共有・統合)」によってグループ全体の価値を最大化する戦略に共感を示すことが重要です。特にAOCの買収成功例に見る「高いキャッシュ創出力を持つ企業との相乗効果」に触れ、自身のスキルがグループ横断の成長にどう貢献できるかを語ると、面接官の強い関心を引くことができるでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

  • 「東京イノベーションセンターが本格稼働しましたが、グローバル各拠点(NIPSEAやDuluxGroup等)との技術共有プロセスにおいて、具体的にどのような組織的・技術的課題を解決しようとしているのでしょうか?」
  • 「AOCの連結により高収益なスペシャリティ分野が強化されましたが、既存の建築用・自動車用セグメントとの間で、製品開発やサプライチェーンの相互活用をどのように加速させる計画ですか?」
  • 「MSV(株主価値最大化)のために自社株買いと成長投資を両立されていますが、現場の意思決定において、資本効率(ROE)はどの程度意識されていますか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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働き方としては健全

私が所属する部署では残業時間は平均10時間以内に収まっており、働き方としては健全だと思われます。

(20代後半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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求められる成果が高い

中途採用の場合は、即戦力を期待され、それなりに求められる成果も高いと感じた。

(30代前半・経理・男性) [キャリコネの口コミを読む]
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 日本ペイントホールディングス株式会社 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕
  • 日本ペイントホールディングス株式会社 2025年12月期 第3四半期決算説明資料
  • 日本ペイントホールディングス株式会社 2025年12月期 第3四半期決算説明資料(参考データ)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。

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