0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期の経常利益予想を430億円へ上方修正する
中間期は銀粉の減販やデリバティブ評価損失により減益となりましたが、下期は金属価格の上昇や廃棄物処理の受注増を見込み、通期計画を期初から90億円積み上げました。資源安の逆風を跳ね返す構造的な収益力の向上が確認されており、転職者にとっては事業の安定性と成長性の両面が魅力となります。
② 電子材料部門でウェアラブル向け大型案件を開始する
2025年度新規案件として、ウェアラブルデバイス向けの近赤外LED・PDの量産を2025年6月より開始しました。苦戦していた電子材料部門の立て直しが計画通り進捗しており、次世代案件の獲得に向けた開発体制の強化も進んでいます。最先端デバイスの材料開発に携わるキャリア機会が大きく広がっています。
③ 熊本に総合リサイクル拠点を新設し事業を拡大する
2025年8月の竣工に向け、熊本県に「DOWAエコシステム 熊本事業所」を設立しました。半導体や自動車産業が集積する九州エリアで、本質的な資源循環の実現を目指します。地域密着型の高効率リサイクルビジネスを立ち上げるフェーズにあり、事業開発や拠点運営などのポジションで活躍の場が期待されます。
1 連結業績ハイライト
出典:経営戦略説明会 2025年度(2026年3月期)中間期 P.2
売上高
3,171億円
-10.0%
営業利益
117億円
-45.3%
経常利益
156億円
-42.2%
2026年3月期中間期の業績は、前年同期の3,525億円に対し売上高3,171億円と減収となりました。利益面では、貴金属相場の上昇に伴うデリバティブ評価損失の計上や、亜鉛原料の購入条件悪化が響き、経常利益は前年同期比42.2%減と厳しい結果です。一方で、下期は伸銅品の増販や廃棄物処理の好調を背景に、通期経常利益予想を期初計画から大きく引き上げています。
通期経常利益予想430億円に対する中間期の実績進捗率は36.3%となっており、数値上は進捗が遅れているように見えますが、これは下期の金属価格上昇や需要回復を織り込んだ下期偏重の計画によるものです。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:経営戦略説明会 2025年度(2026年3月期)中間期 P.6
環境・リサイクル部門(DOWAエコシステム)
事業内容: 廃棄物処理、土壌浄化、家電・金属リサイクル、東南アジアでの環境事業などを展開。
業績推移: 中間経常利益は61億円。廃棄物処理の単価は堅調ですが、デリバティブ損失で前年比減益。
注目ポイント: 熊本での新拠点開設に加え、インドネシアでの石油開発に伴う廃棄物受注が拡大しています。「循環のクオリティ」追求に向けた高度な資源選別技術と、アジア全域を跨ぐグローバルな環境インフラの構築に専門人材のニーズが高まっています。
製錬部門(小坂製錬、秋田製錬等)
事業内容: 金・銀・銅・亜鉛・PGM(白金族金属)等の非鉄金属製錬およびリサイクル。
業績推移: 中間経常利益は44億円。原料購入条件の悪化が響きましたが、下期は相場上昇の恩恵を見込みます。
注目ポイント: 北米の新拠点を活用した排ガス触媒の集荷増など、上流(採鉱)から下流(リサイクル)までの垂直統合を強化中です。市況変動に強い事業体質への変革を進める中、グローバルな原料調達や製錬プロセスの最適化を担う人材を求めています。
電子材料部門(DOWAエレクトロニクス)
事業内容: 半導体材料(LED・PD)、磁性粉、銀粉、燃料電池材料などの製造・販売。
業績推移: 中間経常損益は5億円の赤字。太陽光パネル向け銀粉の減販が主要因です。
注目ポイント: AI拡大に伴うデータセンター向け燃料電池材料(複合酸化物粉)が急伸しており、2026年度の黒字転換を目指しています。ウェアラブル向け次世代半導体材料など、高付加価値製品へのポートフォリオ転換を加速させるためのR&D人材が不可欠です。
金属加工部門
事業内容: 伸銅品、めっき、回路基板等の製造。主要顧客は自動車・情報通信業界。
業績推移: 中間経常利益は24億円。自動車向けが回復基調にあり、売上は前年同期を上回りました。
注目ポイント: AIサーバー向けの伸銅品など、最先端テクノロジーを支える高機能材料の需要が拡大しています。アジア拠点での増強投資も進めており、グローバル供給体制の高度化を支える生産技術や品質管理の専門性が高く評価される環境です。
熱処理部門(DOWAサーモテック等)
事業内容: 自動車部品等の熱処理受託加工、工業炉の設計・製造・メンテナンス。
業績推移: 中間経常利益は10億円。国内の自動車生産回復により、前年比で増益を達成しました。
注目ポイント: 成長著しいインド市場で、自動車・二輪向け熱処理事業を強力に推進。国内では熱処理の外製化需要を積極的に取り込んでいます。脱炭素対応の新型炉開発など、伝統的技術とクリーンエネルギーを融合させる挑戦的な課題が山積しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:経営戦略説明会 2025年度(2026年3月期)中間期 P.9
DOWAグループは、2027年度までにリサイクル金属のUL認証を15品目以上取得することを目指すなど、製品のブランディングを通じた差別化戦略を打ち出しています。特に、顧客の工程廃棄物を回収し再び製品として戻す「クローズドループリサイクル」の確立に注力しており、単なる素材メーカーの枠を超えた「循環型ビジネスパートナー」への進化を遂げようとしています。
経営陣は、データセンター需要による燃料電池材料の急増を「計画外のポジティブな案件」として捉え、早期の収益化に自信を見せています。また、人的資本の強化として、SNS活用やアルムナイ採用(退職者の再雇用)を導入し、社内外に開かれた組織づくりを推進中です。多様なバックグラウンドを持つ専門人材を受け入れる土壌が急速に整っています。
4 求職者へのアドバイス
HINT 志望動機のヒント
DOWAの最大の強みは、製錬・電子材料・環境リサイクルが連携した「独自の循環型ビジネスモデル」にあります。単に技術力をアピールするだけでなく、「資源をめぐる真ん中に」という理念に対し、自身の専門性がどのように「循環の質」を高めることに貢献できるかという視点で語ることが有効です。特に熊本事業所の新設やインド展開、データセンター向け新材料など、具体的に動いている新プロジェクトとの接点を見つけることが、熱意を伝える鍵となります。
Q&A 面接での逆質問例
・「熊本事業所でのクローズドループリサイクル実現に向けて、現在現場で最も解決すべき技術的・オペレーション的課題は何だとお考えですか?」
・「データセンター向けの燃料電池材料が急伸していますが、この需要を一時的なブームに終わらせず、長期的な収益基盤にするための戦略を教えてください。」
・「中期計画2027で掲げられている『循環の役割を表現した目標』の達成に向けて、部門を跨いだ動静脈連携ビジネスを加速させるために中途採用者に期待される役割は何ですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
責任の所在が曖昧
責任の所在が曖昧になりやすく似たような失敗を繰り返しているケースが多々見受けられるように感じられます。本社は若干官僚的で、地方の工場はそれぞれ異なった雰囲気があると思います。
(30代前半・研究開発・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- DOWAホールディングス株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- DOWAホールディングス株式会社 経営戦略説明会 2025年度(2026年3月期)中間期 資料



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