デロイトグループ転職ガイド:年次報告書から読み解く会社の実態(FY2025版)

デロイトグループ転職ガイド:年次報告書から読み解く会社の実態(FY2025版)

デロイト トーマツ グループへの転職を検討中の方へ。グローバル売上705億ドル・日本22,000名の巨大プロフェッショナルファームの実態を、年次報告書・透明性報告書などの一次情報から徹底解説。経営戦略、報酬制度、キャリアパス、選考対策まで網羅したFY2025版完全ガイド。


目次

本記事は、Deloitte(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)が公表した以下の公式一次資料に加え、デロイト トーマツ グループを中心とする日本法人の公式情報に基づき、客観的なファクトを積み上げて作成しています。

  • Deloitte Global Impact Report 2025:デロイトグローバルネットワーク全体の経営成績、将来戦略、およびAIやサステナビリティへの投資状況、人材・DEIに関する取り組みをまとめた年次報告書。
  • Deloitte US 2025 Transparency Report:ネットワークの中核を成す米国法人における、監査品質、ガバナンス、人材の評価・報酬、およびパートナーの利益配分制度の透明性を詳述した報告書。
  • Deloitte Global Ethics & Compliance:プロフェッショナルとして遵守すべき倫理基準、行動フレームワーク「ACT」、および「Speak up」カルチャーを含む価値観(Shared Values)を定義した公式文書。
  • デロイト トーマツ グループ Impact Report 2025:日本国内における業務収入(FY2025:3,908億円)や、MDM(複数専門分野の統合モデル)を軸とした組織再編、AEB・Audit Innovationへの投資状況、Vision 2030に基づく経営戦略の記録。
  • 合同会社デロイト トーマツ 公式採用資料(ウェブサイト):コンサルティング・アドバイザリー領域における職種・求める人物像、「Give文化」「美点凝視」といった組織カルチャー、およびTalent Cross(独自キャリアプラットフォーム)に関する公式定義。
  • 合同会社デロイト トーマツ 発足概要(ニュースリリース、2025年12月):デロイト トーマツ コンサルティング、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、デロイト トーマツ リスクアドバイザリーの3法人統合により誕生した新会社(約11,000名)の組織構造と6つの新サービスドメインに関する資料。

1. 企業の概要とアイデンティティ:180年の歴史と約47万人を擁するプロフェッショナルネットワーク

デロイトは、約180年の歴史を持つ世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワークです。本章では、グローバルネットワークの構造から経営体制、理念体系、そして組織カルチャーの根幹に至るまで、デロイトというファームのアイデンティティを一次資料のファクトから詳述します。

1-1 デロイトネットワークの概要

「デロイト」という名称は、英国の保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(DTTL、通称デロイト グローバル)と、そのメンバーファームおよび関係法人から構成されるグローバルネットワーク全体の総称です。

各国のメンバーファームは、法的に独立した別個の組織体として運営されており、他のファームの行動に対して互いに責任を負うことはありません。DTTL自体はクライアントへのサービス提供を行わず、品質やプロフェッショナル基準、共通方針の策定といった、ネットワーク全体の調整役を担っています。

1. 沿革:180年の歴史と現在

創設以来約180年の歴史を有し、現在ではFortune Global 500企業の約9割にサービスを提供しています。

現在のグローバルネットワークの直接的な起源は、1990年1月に「トウシュ ロス インターナショナル」「デロイト ハスキンズ アンド セルズ インターナショナル」が合併して誕生した「デロイト ロス トーマツ インターナショナル」にまで遡ります。

2. グローバルの事業規模(FY2025)

各メンバーファームは法的に独立していますが、「デロイト」という共通のブランドのもと、グローバル共通のプロフェッショナル基準、Shared Values(共通の価値観)、業務手法、テクノロジープラットフォームを共有することで、世界規模での一貫したサービス品質を実現しています。

  • 展開国・地域数: 150を超える国と地域
  • プロフェッショナル人員数: 約47万3,050人
  • グローバル売上高: 705億米ドル(FY2025)

日本を含むアジア圏では「デロイト アジア パシフィック リミテッド」を通じて、「連携+自治」(独立した法人でありながら、投資規模や品質向上で連携する)の枠組みで運営されています。

1-2 トップと経営陣

デロイトは独立した法人の集合体であり、グローバルと日本法人それぞれに独立したガバナンス機関と経営トップが置かれています。

1. グローバルのトップ体制

グローバルCEO(Joe Ucuzoglu = ジョー・ウクゾグル)およびグローバルチェア(Anna Marks)は、17名のメンバーで構成されるDeloitte Global Board of Directors(グローバル取締役会)によって選任されます。

両名の報酬と評価は、Stewardship Committee(スチュワードシップ委員会)が監督し、最終決定はグローバル取締役会が行います。グローバル戦略の推進・執行は、主要メンバーファームのシニアリーダー20名で構成されるExecutive Committee(グローバル執行委員会)が担っています。

2. 日本法人(デロイト トーマツ グループ)

日本法人であるデロイト トーマツ グループの現グループCEOは木村 研一、ボード議長は永山 晴子です。なお、2026年2月18日付のプレスリリースにより、2026年6月1日付で以下の通りトップマネジメントが交代することが正式に決定しています。

  • 次期ボード議長:大久保 孝一(現職:デロイト トーマツ グループ執行役 Audit & Assuranceビジネスリーダー/有限責任監査法人トーマツ代表執行役)
  • 次期グループCEO:長川 知太郎(現職:デロイト トーマツ グループ執行役 コンサルテイティブビジネスリーダー/合同会社デロイト トーマツ代表執行役)

選任プロセスは内規に基づき、推薦委員会による候補者推薦、ボードでの審議を経たのちに、パートナーによる社員総会の承認により決定しています。

デロイト トーマツ グループの次期ボード議長およびグループCEOが決定Icon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/press-room/nr20260218.html

デロイト トーマツ グループは、次期事業年度(FY27:2026年6月~2027年5月)以降のガバナンスおよび執行を担うリーダー(トップマネジメント)を以下の通り決定しました。選任は内規に基づき、推薦委員会が候補者を推薦し、ボード(取締役会に相当)での審議を経たのちに、パートナーによる社員総会の承認により決定しました。

1-3 グローバルの企業理念体系

デロイトは、グローバル共通の「パーパス」「価値観(Shared Values)」を頂点とし、その下に各メンバーファームの理念を紐づけるピラミッド型の理念体系を構築しています。

1. パーパス(存在意義):"Making an impact that matters"

クライアントのため、メンバー(人材)のため、そして社会のために、常に最も重要な課題に挑戦し続け、圧倒的な価値をもたらす。これがデロイトのすべての活動の原点です。

2. Shared Values(グローバル共通の価値観)

世界中のデロイトのメンバーが共有し、日々の行動の軸とする5つの価値観が定められています。

  • Lead the way(率先して道を切り拓く):今後のプロフェッショナルのあるべき姿を率先して追求し、多くの人々の機会創出や持続可能な社会の実現に貢献する。
  • Serve with integrity(誠実に行動する):誠実性を堅持し、クライアント、規制当局、社会一般からの信頼向上に努める。
  • Take care of each other(互いを思いやる):一人ひとりを尊重し、公平性の確保、互いの成長と幸福追求に向けて配慮し助け合う。
  • Foster inclusion(インクルージョンを促進する):多様性を受け容れ、それを活かし強みとするinclusiveな組織風土を醸成する。
  • Collaborate for measurable impact(目に見えるインパクトに向けて協働する):目に見える高い成果をめざし、多様なプロフェッショナルが相互協力の精神で国境や専門性の垣根を越えて協働する。

Purpose & Value | デロイト トーマツ グループIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/story/purpose-values.html

Deloitteでは、Make an impact that mattersというPurposeを日々実践しています。これは共通の価値観とグローバルなビジネス行動原則を通じて実現します。

3. 行動フレームワーク「ACT」

グローバル共通の倫理的判断・行動フレームワークとして「ACT」が導入されています。 以下の3ステップで、倫理的なジレンマに直面した際の意思決定を支援します。

  • Assess the situation:状況を評価する
  • Consider and Consult:検討し相談する
  • Take action:行動する

4. 「Speak up」カルチャーと心理的安全性

違和感や倫理的な問題に直面した際、一人で抱え込まずに声を上げる「Speak up」の環境がグローバルで強く推奨されています。サードパーティが運営する匿名の内部通報窓口(Deloitte Speak Up等)が整備されており、声を上げた者に対する報復行為は一切容認されないことが厳格に定められています。

Deloitte Global Code: Implementing the Global CodeIcon outbound

https://www.deloitte.com/global/en/about/story/purpose-values/global-principles-of-business-conduct/implementing-the-global-code.html

Implementing Deloitte Global Code ensures ethical behaviour through education, confirmation, resources, non-retaliation, action plans, monitoring, and role-based training.

1-4 日本法人の企業理念

グローバルのパーパスとShared Valuesを上位に置きながら、デロイト トーマツ グループは日本法人独自の経営理念と長期ビジョンを体系化しています。「何のために存在するか」から「2030年にどうありたいか」まで、一貫した理念の連鎖が構築されているのが特徴です。

1. 経営理念「FIT」

日本法人独自の理念として、以下の3つ(頭文字をとって「FIT」と呼ばれる)を掲げています。

  • Fairness to society:経済社会の公正を守り率先してその発展に貢献する。
  • Innovation for clients:クライアントの期待を超える知的専門サービスを総合的に提供する。
  • Talent of people:各人の個性を尊重し能力を発揮できる生きがいのある場を創りだす。

経営理念 - 有限責任監査法人トーマツ 採用サイトIcon outbound

https://recruit.tohmatsu.co.jp/about/philosophy

有限責任監査法人トーマツの定期採用サイトです。法人概要、募集要項や採用フロー、全国の事務所で開催されるイベント情報やブログ、先輩紹介など、公認会計士を目指している就活生の皆さんに役立つ情報を発信しています。

2. 長期ビジョン「Vision 2030」

2030年までに「One of a Kind(唯一無二)」のプロフェッショナルファームになることを目指し、創出すべきインパクトを3つの価値として定義しています。

  • Social Value:社会の公器としての範を示し、持続可能性の高いビジネスモデルを提言・実現することで、より良い地球環境・資源をつないでいく。
  • Client Value:複雑な課題解決を通じてクライアント企業の持続的な成長を実現し、次世代リーダーシップ人材を輩出する。
  • People Value:多様な人材が主体的な成長意欲に動機づけられる状態を「People First」として掲げ、唯一無二のキャリア体験と自己実現の場を提供する。

3. コンサルティング新会社のタグライン

2025年12月に発足したコンサルティング新会社「合同会社デロイト トーマツ」を含むグループのMDM(複数専門分野の統合モデル)を象徴するタグラインとして、「Together makes progress.」を掲げています。

Together makes progress | デロイト トーマツ グループIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/story/together-makes-progress.html

重要なインパクトを与えるというパーパスに導かれ、私たちはビジネスとそれ以外の前進を後押しするために必要なインサイト、視点、タレント、テクノロジーを提供します。

1-5 日本法人の企業文化

Vision 2030で掲げた「People First」を実現するため、デロイト トーマツ グループはルールに縛られるのではなく「自己規律」に基づく行動を基盤とし、以下の3つを軸にカルチャー醸成を進めています。

1. Ethics & Integrity

単なるルール遵守にとどまらず、プロフェッショナルとしての自覚と責任に根ざした「アスピレーショナル・エシックス(高い志を伴う倫理観)」への転換を図っています。対話型のワークショップなどを通じ、AI時代における倫理的判断力の醸成にも取り組んでいます。

監査を祖業とするファームとして、独立性の保持はあらゆる品質管理の基盤です。提供サービスや金銭的利害に関する厳格な独立性ルールは、社員・職員本人のみならず「その家族」にまで及びます。

各ビジネス部門には「独立性チャンピオン」が配置され、日常的な相談や啓蒙活動を担っています。また情報セキュリティ面ではISO 27001認証を取得・維持し、CRO、CCO、CIO、CISOが連携した体制でクライアント情報の機密性を守っています。

Ethics & Integrity | デロイト トーマツ グループIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/story/purpose-values/ethics-integrity.html

デロイト トーマツ グループは、一人ひとりがEthics に則った行動をIntegrity(誠実性)をもって実行することについて、一人ひとりが日々考えエシカルリーダーシップを発揮していくことで、クライアント、社職員、そして社会によりよいImpactを生み出します。<br>

2. Diversity, Equity & Inclusion(DEI)

多様性を成長の源泉・経営戦略と位置づけています。2030年までに女性従業員比率を50%に引き上げる目標を掲げており、FY2025時点ではシニアマネジャー・マネジャー層の女性比率が22.6%、経営職層(パートナー、マネージングディレクター)の女性比率が13.5%となっています。

男性の育休・育児関連休暇取得率はFY2025に102%を達成しています。また障がい者雇用率は2.85%、定着率(2年以上在籍)は89%と高い水準を維持しています。

Diversity, Equity and Inclusion (DEI) 推進の取り組み | デロイト トーマツ グループIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/people/social-responsibility/our-diversity-equity-and-inclusion.html

デロイト トーマツ グループは多様性を包括する組織づくりに留まることなく、「Equity=公平性の担保」までを目指していきます。女性活躍推進・多文化共生・障がい者雇用・LGBT+ Allyなどの分野でDiversity, Equity and Inclusion (DEI) を推進していきます。

3. Professional Well-being

単に楽をすることではなく、自身のプロフェッショナルワークの向上に達成感を感じ、成長意欲を持ち続けられる環境を目指しています。その象徴的な取り組みが、従業員満足度調査における「幸福なプロフェッショナル度」のKPI化です。「多様な意見があっても総じて幸せかどうか」を示すこの指標は、FY2025時点で71%、2030年に90%到達を目標として経営レベルでモニタリングされています。

育成面では、傾聴と対話を促す「I'm all ears」研修をパートナー層を皮切りに全プロフェッショナルへ展開しており、コンサルティング部門の一部ユニットでは「美点凝視」という方針を明文化し、一人ひとりの長所・強みに着目した評価・育成を実践しています。

デロイト トーマツ グループのWell-being(ウェルビーイング)〜人とひとの相互の共感と信頼に基づく「Well-being」社会の実現に向けてIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/people/social-responsibility/well-being.html

私たち一人ひとりを起点とする個人のレベル、私たちが属する地域コミュニティの集合体である社会のレベル、そして、それらすべての基盤である地球環境のレベルという3つのレベルWell-beingを相乗的に高めていくことが必要不可欠であり、継続的な改善・向上が図られ、全ての人々の主体的な関与を通じてその成果を実感し、共に分かち合うことができている社会があるべき姿だと考えます。

2. 事業の概況と市場での立ち位置:グローバル売上705億ドルと日本法人の成長

本章では、グローバル全体の財務指標からセグメント別・インダストリー別の業績内訳、そしてAI・デジタルへの投資状況まで、デロイトグループの事業の実態を数字で読み解きます。

2-1 主要財務指標

デロイトグループの財務情報は、グローバルネットワーク全体の売上高、地域別内訳、そして日本法人の業務収入という3つの階層で把握するのが有効です。なお、デロイトは独立した法人の集合体であるため、グローバル全体の数値はメンバーファームの合算として開示されています。

1. グローバル全体の売上高と成長率の推移

FY2025のグローバル売上高は705億米ドル(1ドル150円換算で約10兆6,000億円規模)に達し、3年連続で成長を続けています。ただし成長率はFY2023の9.3%(米ドルベース)から鈍化傾向にあり、FY2024は3.6%、FY2025は4.9%と回復基調に転じています。

指標 FY2023 FY2024 FY2025
売上高 64.9 67.2 70.5
売上成長率(米ドルベース) 9.3% 3.6% 4.9%
売上成長率(現地通貨ベース) 14.9% 3.1% 4.8%

出典:Deloitte Global Impact Report 2025。単位:十億米ドル、売上成長率は米ドルベース、売上成長率は現地通貨ベース

2. 地域別売上高の推移

地域別では、南北アメリカが一貫して全体の過半数を占める最大市場です。EMEAは安定した成長を維持している一方、アジアパシフィックはFY2024に微減した後、FY2025に回復しています。

日本が属するアジアパシフィックの規模はグローバル全体の約14%にとどまっており、成長余地が大きい市場と位置づけられています。

地域 FY2023 FY2024 FY2025
南北アメリカ(Americas) 35.9 36.4 38.8
EMEA(欧州・中東・アフリカ) 19.1 21.5 22.0
アジアパシフィック(Asia Pacific) 10.0 9.5 9.8

出典:Deloitte Global Impact Report 2025。単位:十億米ドル

3. 日本法人(デロイト トーマツ グループ)の業務収入推移

日本法人の業務収入は、FY2025に3,908億円(新収益認識会計基準適用ベース)に達し、前年度比約10%増の力強い成長を示しています。グローバルの成長率(4.9%)を大きく上回る伸びであり、日本市場がデロイトグループにとって重要な成長拠点であることが数字からも読み取れます。

指標 FY2024 FY2025
業務収入(単純合計) 3,627 3,908
業務収入(新収益認識基準) 4,458 4,911
成長率(前年度比・新収益認識基準) 10.2%

出典:デロイト トーマツ グループ Impact Report 2025。単位:億円。単純合計は各グループ法人の業務収入の合算値。新収益認識会計基準適用ベースはグループ全体での統一基準による数値。

2-2 セグメント別業績

デロイトの事業はグローバルレベルでは「監査・保証業務」「税務・法務」「コンサルティング」の3セグメントで構成されています。日本法人は法人グループ別に業務収入が開示されており、2025年12月の大規模な組織再編の影響が数字にも反映されています。

1. グローバル全体のセグメント別売上高

最大セグメントはコンサルティングであり、FY2025の売上高は437億米ドルとグローバル全体の約62%を占めています。

なお、デロイトは2024年にコンサルティング領域の事業部門を再編しています。従来は「コンサルティング」「ファイナンシャルアドバイザリー」「リスクアドバイザリー」がそれぞれ独立したセグメントとして存在していましたが、この再編によりこれらを「Consulting(コンサルティング計)」として一本化しました。

また、内部をサービス名の縦割りではなく、変革テーマベースで「Strategy, Risk & Transactions」「Technology & Transformation」の2つに再定義しています。

事業セグメント FY2024 FY2025
Audit & Assurance(監査・保証業務) 14.1 14.7
Tax & Legal(税務・法務) 11.6 12.2
Consulting services total(コンサルティング計) 41.6 43.7
∟ Strategy, Risk & Transactions 9.8 10.3
∟ Technology & Transformation 31.8 33.4

出典:Deloitte Global Impact Report 2025。単位:十億米ドル。

◆Audit & Assurance(監査・保証業務)

  • 財務諸表監査を中核として、資本市場の信頼性を担保する役割を担います。近年はサステナビリティ保証AI保証など新たな保証領域にも対応を拡大しています。
  • 品質向上と業務変革(Audit Innovation)に向け、クラウドベースの監査プラットフォーム「Omnia」や、生成AI・エージェンティックAIを監査プロセスに組み込み、高度なデータ分析や内部統制テストの効率化を推進しています。

◆Tax & Legal(税務・法務)

  • 急速に変化する各国の税法・規制への対応を軸に、クライアントの競争力維持とコンプライアンス確保を支援します。
  • 税務管理プラットフォーム「Intela」を活用したアドバイザリー業務のほか、税務・法務部門の業務を包括的に受託する「Operateサービス」、グローバルなe-invoicing(電子インボイス)ソリューションなども展開しています。

◆Consulting:Strategy, Risk & Transactions(戦略・リスク・トランザクション)

  • AI主導の自動化、コスト構造改革、レジリエンスといった経営トップのアジェンダを支援します。
  • 戦略策定、M&A、財務アドバイザリー、リスクアドバイザリー、サステナビリティなどの専門知見に最先端テクノロジーを掛け合わせ、複雑な経営課題の解決を伴走支援します。

◆Consulting:Technology & Transformation(テクノロジー・トランスフォーメーション)

  • コンサルティング内で最大のサブセグメント(FY2025:334億米ドル)であり、生成AIをはじめとする先進技術を活用したクライアントのDXを牽引します。
  • クラウド移行、サイバーセキュリティ、人事変革など企業活動全体のトランスフォーメーションを支援するほか、独自のデジタル変革プラットフォーム「Deloitte Ascend™」を活用し、市場投入の迅速化と意思決定の高度化を実現します。

2. 日本法人のセグメント別業務収入

日本法人では、コンサルティング・アドバイザリー等のグループ会社が前年度比20%増と大幅な増収を記録した一方、監査法人は約9%減となっています。この増減の背景には、2023年12月に監査法人内のリスクアドバイザリー事業本部の一部組織・機能をデロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社へ移転した組織再編の影響があります。

また、2025年12月には、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社およびデロイト トーマツ リスクアドバイザリー合同会社が合併し、「Strategy & Innovation」「M&A・Restructuring」「Technology & Transformation」「Cyber」などのサービスドメインを持つ新会社「合同会社デロイト トーマツ」が発足しています。

事業グループ FY2024 FY2025 成長率
監査法人(監査・保証業務等) 1,430 1,298 -9.3%
コンサルティング・アドバイザリー等 1,932 2,325 +20.3%
税理士法人・弁護士法人等 264 285 +7.9%

出典:デロイト トーマツ グループ Impact Report 2025。単位:億円。成長率はFY2025の前年度比。

2-3 製品・サービス別(インダストリー別)業績

デロイトはセグメント(事業ライン)別に加え、インダストリー(業界)別にも売上高を開示しています。どの産業・業界でデロイトがビジネスを展開しているかを把握することは、転職後に自身の業界知見を活かせるかどうかを判断するうえでも有効な指標です。

最大のインダストリーは「Financial Services(金融サービス)」であり、FY2025の売上高は195億米ドルに上ります。

全体的にFY2023からFY2025にかけて右肩上がりの成長を示していますが、唯一「Technology, Media & Telecom(テクノロジー・メディア・通信)」のみFY2024に微減した後、FY2025に回復しています。

「Government & Public Services(政府・公共サービス)」は3年間で11.1億から13.1億ドルへと安定した成長を続けており、公共領域への需要拡大が鮮明です。

インダストリー FY2023 FY2024 FY2025
Financial Services(金融サービス) 17.8 18.3 19.5
Consumer(消費財) 12.6 13.0 13.4
Government & Public Services(政府・公共サービス) 11.1 12.4 13.1
Energy, Resources & Industrials(エネルギー・資源・産業財) 9.5 10.3 10.7
Technology, Media & Telecom(テクノロジー・メディア・通信) 8.0 7.5 7.9
Life Sciences & Health Care(ライフサイエンス・ヘルスケア) 5.8 5.8 6.0

※単位:十億米ドル。日本法人および米国法人単体のインダストリー別数値は非開示。

なお、日本法人のコンサルティング部門においても、グローバルと同様のインダストリー区分(Consumer、Financial Services、Government & Public Servicesなど)に特化した専門組織が編成されており、業界固有の課題に対応する体制が敷かれています。

2-4 研究開発・設備投資

デロイトグループの投資戦略は、「AI・テクノロジー」「人材育成」という2つの領域に集中しています。グローバルレベルでは方針と総額が示されており、日本法人ではより具体的な投資額が開示されています。

1. 生成AI・テクノロジーへの投資

グローバルでは、サービス提供や社内オペレーションの変革、革新的な新製品・サービスの立ち上げを目的として、FY2030までに30億米ドル以上を生成AI(GenAI)領域に投資する方針を掲げています。近年は特に「Agentic AI(自律型AI)」やマルチエージェントAIシステムに注力しており、クライアントの業務を自動化・高度化するAIエージェントのエコシステム構築に多額の資金を投じています。

日本法人では、このグローバルの方針を具体的な投資として実行しています。プロフェッショナルの専門知見をデジタル・アセット化する「AEB(Asset-enabled Business)」にFY2025で約76億円、テクノロジーと監査知見を結合させる「Audit Innovation」に同約67億円を投じています。またFY2024以降、安心・安全に利用可能なシステム環境の構築や、グループ独自の生成AIの研究・開発・業務実装への投資も強化しています。

2. 人材育成・デロイト ユニバーシティへの投資

グローバルでは人材育成に対し年間6億7,300万米ドル以上(日本円で1兆円以上)を直接投資しており、その象徴的な設備として世界最高水準の研修施設「デロイト ユニバーシティ(DU)」を世界7拠点で展開しています。

日本法人のFY2025における人材育成関連投資額は163億円に上ります。この大幅な増加の主因は、2029年の開校を目指して千葉県かずさアカデミアパークを候補地として進められている「デロイト ユニバーシティ アジアパシフィック ノースイーストアジア」の建設投資が本格化したことです。育成プログラムの詳細については5-2を参照してください。

デロイト トーマツ、プロフェッショナル育成機関である「デロイト ユニバーシティ」を、かずさアカデミアパークに建設へIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/about/press-room/nr20250730.html

プロフェッショナルとして求められるスキルの習得やメンバー間の連携強化を通じて、世界で活躍できる人材を育成する場~2029年の開校を目指す<br>

3. 事業戦略と展望:MDMと大規模組織再編が示す事業変革の全容

本章では、「Making an impact that matters」というパーパスを軸としたグローバル戦略の全体像と、それを体現するために日本法人が断行した歴史的な組織再編、そしてガバナンス体制の実態を詳述します。

3-1 事業戦略

デロイトのグローバル戦略と日本法人の戦略は、「MDM(Multi-Disciplinary Model)」という共通のビジネスモデルを軸に据えながら、それぞれの市場環境に応じた形で展開されています。

1. グローバルの事業戦略

デロイトグローバルの戦略の核は、テクノロジー、ツール、インサイト、深い業界経験を監査・コンサルティング・税務等のすべてのビジネスで結集し、統合されたソリューションをクライアントに提供する「MDM(Multi-Disciplinary Model)」です。

注力領域としては、AI主導の自動化、コスト構造改革、レジリエンスといった戦略的アジェンダの形成支援、およびサステナビリティへの移行を支援するソリューションの実装を掲げています。また、デジタル化の拡大や規制対応といった運用上の課題に対し、エンドツーエンドのモデルで継続的なイノベーションと運用上の安定性を提供する「Operate(オペレート)サービス」の展開も強化しています。

What we do | デロイト トーマツ グループIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/what-we-do.html

デロイトは、ともにあることが未来を創り、原動力になると信じています。私たちはともに、世界中の知力を結集し、多様な業界に対し幅広いサービスを提供しています。クライアント、人々、そしてコミュニティの成長を支援しながら、ともに、創造の先へと前進していきます。

2. 日本法人の事業戦略

日本法人では、複雑化・高度化するクライアントニーズに対し、グローバルと同様のMDMをビジネスモデルの根幹に据えながら、デジタル化を強力に推し進めています。戦略の柱は以下の3点です。

1. MDMを通じた統合価値提供と歴史的組織再編

  • グループの多様なプロフェッショナルが連携し、提案から実装・運用までを幅広くカバーするMDMの実現を加速させるため、2025年12月1日付でコンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリー・リスクアドバイザリーの主要3法人を統合し、約11,000名を擁する新会社「合同会社デロイト トーマツ」を発足させました。この統合の戦略的意図と組織の具体的な実態については7-2で詳述します。

2. ビジネスモデルのデジタル転換(AEBとAudit Innovation)

  • これまでプロフェッショナルが人手で提供していた専門的な知見やサービスをデジタル・アセット化し、クライアントの課題を速やかに可視化・分析する新たな事業モデル「AEB(Asset-enabled Business)」を推進しています。
  • 監査業務においては、テクノロジーとプロフェッショナルの知見を有機的に結合させ、付加価値の向上と社会全体でのコスト低減を目指す「Audit Innovation」を展開しています。

3. サステナビリティ領域のグループ横断展開

  • 気候変動やサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ(ブルーエコノミー等)といった領域において、グループ全体の知見を集約するバーチャルな事業横断組織「Sustainability & Climate Virtual Business Unit(S&C VBU)」を設置し、横断的なサービス提供体制を整えています。

3-2 戦略を実現する組織

デロイトのMDM(Multi-Disciplinary Model)戦略は、単一の多国籍企業ではなく独立した法人の集合体というネットワーク構造のなかで、いかに一貫した品質と連携を実現するかという組織設計の問いと表裏一体です。

1. グローバル全体の組織構造(独立と連携)

「デロイト」はデロイト グローバル(DTTL)と、法的に独立した各国のメンバーファームによって構成されています。DTTL自体はクライアントに直接サービスを提供せず、ネットワーク全体の品質基準や共通方針の調整役を担っています。

各メンバーファームは法的に独立しつつも、共通のブランド、Shared Values、業務手法、テクノロジープラットフォームを共有することで、世界規模での一貫したサービス品質を実現しています。

2. アジアパシフィックの連携(デロイトAP)

日本を含むアジア圏では「デロイト アジア パシフィック リミテッド」を通じ、「連携+自治」の枠組みで運営されています。法的に独立した別個の法人でありながら、投資規模や品質向上において緊密に連携するこのモデルが、アジア太平洋地域全体でのサービス品質の底上げを支えています。

3. 日本法人の組織体制

日本法人では、MDM戦略を体現するための大規模な組織再編が2025年12月に実施されました。新会社「合同会社デロイト トーマツ」の発足を含む組織構造の詳細については、7章で詳述します。

4. 報酬・評価制度:パートナーシップ制と成果主義が交差する報酬構造

本章では、グローバルの報酬ポリシー意思決定プロセス、日本法人のパートナーシップガバナンス、そして評価システムの実態を詳述します。

4-1 報酬体系

デロイトは独立した法人の集合体であるため、報酬制度はグローバルで一律に定められているわけではなく、各メンバーファームが独自に決定しています。グローバル全体での報酬データの集計・開示は行われておらず、分配および留保された経済的価値については機密情報として扱われています。

1. グローバルトップの報酬決定プロセス

グローバルCEOおよびグローバルチェアの報酬は、事前に承認された年間目標に対するパフォーマンスに基づき、Stewardship Committee(スチュワードシップ委員会)が監督したうえで、グローバル取締役会が最終決定します。

2. 日本法人のパートナーシップガバナンスと報酬

日本法人の報酬ガバナンスの根幹は、出資者であるパートナー(約1,000名)が経営の重要事項の決定に参加するパートナーシップ制度です。グループへの出資は創業以来、所属するパートナーのみから行われており、外部資本は一切受け入れていません。

ボード内委員会の一つとして設置された報酬委員会が、ボード議長およびグループCEOの評価と報酬の決定、ならびにパートナーの報酬決定プロセスおよび制度運用の監督を担っています。

なお、監査品質の確保を最優先とするため、監査部門のパートナーが監査クライアントに対して非監査サービスを販売し直接的な報酬を得ることは、グローバル共通のルールとして厳格に禁じられています。MDMという多角的ビジネスモデルを採用しながらも、監査の独立性を守るための報酬上の歯止めが制度として組み込まれている点は、デロイトの報酬体系における重要な特徴です。

3. 年収水準について

デロイトは報酬額を機密情報として扱っており、公式資料からは具体的な年収水準を確認することができません。職位別・部門別の年収水準については、転職エージェントや各種口コミサイト等の外部情報を参照することをお勧めします。

4-2 評価システム

デロイトの評価システムは、グローバル共通の方針として「定期的かつ継続的なフィードバック」を核に置いています。各メンバーファームが独自の人事システムを活用しているため、評価実施率等のデータはグローバル全体での集計は行われていません。ここではグローバルの方針を最も具体的に体現した事例として米国法人の運用を参照しつつ、日本法人独自のアプローチを紹介します。

1. グローバル共通の評価方針と米国法人の例

グローバル共通の評価方針は、年間を通じて定期的なパフォーマンス・フィードバックと、キャリア開発に関する対話を提供する包括的な仕組みを導入しており、これをプロフェッショナル育成の核と位置づけています。

なお、米国法人では、パートナー、プリンシパル、マネージングディレクター(PPMD)が年度初めに役割や戦略目標を反映した個人目標を設定します。この目標はキャリア開発アドバイザーやリーダーシップのレビューを経て継続的に評価されます。

特筆すべきは監査部門における「品質(Quality)」の絶対視です。品質に対する期待を満たせなかった場合はパフォーマンス評価に厳格に反映され、場合によってはアサインメントの制限を伴うカスタマイズされた「パフォーマンス改善・開発計画」が策定されます。また、ファームの戦略実現、部門横断的なチーム連携、人材開発、包括的な価値貢献に焦点を当てた独自の評価システム「Elevate」も導入されています。

2. 日本法人の評価・育成スタンス

日本法人では、人材への価値提供において課題の指摘よりも「才能を引き出す」育成に重きを置いています。その実践として、評価者やコーチに必要な「傾聴と対話」のスキル向上を目的とした「I'm all ears研修」をパートナー層を皮切りに全プロフェッショナルへ展開しています。

コンサルティング部門の一部ユニットでは「美点凝視」という方針を明文化し、欠点ではなく一人ひとりの長所や強みに着目した評価・育成を実践しています。戦略からデジタルエンジニアまで多様な専門性を持つメンバーが集まるなかで、それぞれの異なる強みを組み合わせてチームとしての付加価値を最大化する発想が根底にあります。

また、個人の評価とは別に、組織全体の状態を測る指標として「幸福なプロフェッショナル度」をKPIとしてモニタリングしています(詳細は1-5参照)。個人の成長と組織の健全性を両輪で管理するアプローチは、日本法人のPeople First経営の具体的な表れといえます。

5. 人材・キャリア:長期的視点での育成と多様なキャリアパス

デロイトの人材戦略は、単に優秀な人材を獲得するだけでなく、入社後のプロフェッショナルとしての長期的な成熟を前提に設計されています。本章では、キャリアパスの構造、人材育成の方針と実績、そして採用規模とDEIの具体的な数字まで、デロイトで働くことの実態を詳述します。

5-1 キャリアパス

デロイトのキャリアパスは、10年・20年という長期的な視点で設計されており、専門性を深めるだけでなく、自らがキャリアをデザインする自律性が重視されています。

1. 職位階層

資料内の人員データや女性比率データから、デロイトには以下の職位階層が存在することが確認できます。

  • 経営職層:パートナー(Partner)、プリンシパル(Principal)、マネージングディレクター(Managing Director)
  • 管理職層:シニアマネジャー(Senior Manager)、マネジャー(Manager)
  • プロフェッショナルスタッフ:ディレクター(Director)からジュニアスタッフ(Junior staff)までを含む、クライアントサービス等を担う層
  • アドミニストレーティブスタッフ:ビジネスをサポートする業務(エグゼクティブアシスタント等)を担う層

2. キャリア形成のスタンス(日本法人)

単に優秀な人材を獲得するだけでなく、入社後の成長機会を約束し、プロフェッショナルとして10年・20年の成熟を見据えた採用と育成を行っています。専門分野に限らない幅広い知識を身につけるため、研修がモジュール単位で提供されており、他のビジネス(部門)のトレーニングコースを自由に選択して受講できる仕組みが整っています。

3. 社内異動とグローバルへの挑戦(日本法人)

各ビジネスの専門性を生かしたグループ内での特色ある異動や派遣施策が用意されており、グローバルのポジションを含む社内公募サイトなど複数のパスが用意されています。

創業当初から海外派遣に積極的に取り組んでおり、現在約20か国でメンバーが活躍しています。グローバル人材の育成状況を継続的に確認するため、「常時グループ全メンバーの一定割合が海外で就業している状態」を目標として掲げています。

海外進出する日系企業を支援する「JSG(Japanese Services Group)」も、グローバルでのキャリアを積む重要な経路の一つです。1975年から約50年の歴史を持つこの組織では、日本からの派遣メンバーが現地のデロイトメンバーとタッグを組み、日系企業の本社と海外子会社へ一体的なサービスを提供しています。

4. 退職時のトランジション支援

グローバルの一般的な方針として、社員がデロイトを退職する際には、適用される法律や一般的な慣行に従い、再就職支援サービス(アウトプレースメント)を提供しています。入社時だけでなく退職時のサポートまでを視野に入れた姿勢は、長期的なプロフェッショナルとの関係構築を重視するデロイトらしい特徴といえます。

5-2 人材育成

デロイトの人材育成は、グローバル規模での圧倒的な投資量(詳細は2-4参照)と、日本法人独自の「才能を引き出す」育成哲学が組み合わさった体系として設計されています。

1. グローバル全体の育成規模と実績

グローバル全体での従業員向け公式研修時間は合計2,100万時間、一人あたりの年間平均研修時間は45時間に達しています。

育成内容は「技術的なスキル」と「人間的なスキル」の両立を重視しており、生成AI(GenAI)、クラウド、サイバーセキュリティなどの技術的なリスキリング・アップスキリングを継続的に提供する一方、好奇心やレジリエンスといった「Enduring Human Skills(時代を超えて求められる人間的スキル)」の育成にも注力しています。

2. デロイト ユニバーシティ(DU)での学習体験

対面での学習体験やリーダーシップ開発、ネットワーキングを目的とした「デロイト ユニバーシティ(DU)」は、単なる研修施設にとどまらず、世界中のデロイトのプロフェッショナルが集い、知見を交換・深化させる場として機能しています。

日本では2029年の開校を目指し、千葉県かずさアカデミアパークを候補地として「デロイト ユニバーシティ アジアパシフィック ノースイーストアジア」の建設計画が進んでいます。グローバルのDUネットワークに日本拠点が加わることで、アジア太平洋地域における人材開発の中核拠点となることが期待されています。

3. 日本法人の育成方針と実績

日本法人では、課題(弱点)の指摘よりも「才能を引き出す」育成へのシフトを明確に打ち出しています。育成は以下の4つの領域で推進されています。

  • カルチャー醸成:自己規律とアスピレーショナル・エシックスに基づく行動の内面化。
  • 専門スキル:各ビジネス領域における高度な専門知識の習得。他のビジネス部門のトレーニングコースを自由に選択して受講できる仕組みが整っており、専門分野を超えた幅広い知識の習得が推奨されています。
  • ソフトスキル:傾聴やコーチングなど、対話と協働を支えるスキルの向上。「I'm all ears研修」をパートナー層から全プロフェッショナルへ展開中。
  • Wellness:生理や更年期等の身体の変化、気分の揺らぎのセルフケアをカジュアルに学べるプログラムや、産業医によるセッションを提供。

4. Z世代・ミレニアル世代が中心のワークフォース

グローバル全体の従業員の約80%が、Z世代およびミレニアル世代で構成されています。デロイトはこれらの世代が「経済的安定」「意義のある仕事」「ウェルビーイング(幸福度)」が密接に結びついたキャリアを求めているという調査結果に基づき、バランスの取れた働き方や成長機会への投資に注力しています。

前述のWellness研修の導入や「幸福なプロフェッショナル度」のKPI化といった日本法人の取り組みも、こうした世代の価値観を踏まえた人材戦略の具体的な表れといえます。

6. 経営課題とリスク:MDMに内在する構造的リスクとAI時代の新たな課題

デロイトは、監査・保証業務を祖業としながらコンサルティング、税務・法務までを統合的に提供するMDMを強みとしています。しかし同時に、このビジネスモデルに本質的なリスクが内在していることを公式資料の中で率直に認めています。本章では、デロイト自身が認識・開示している経営課題とリスクを、一次資料のファクトに基づいて整理します。

6-1 MDMに内在する構造的リスク(独立性の維持)

監査クライアントに対してコンサルティング等の非監査サービスを提供することによる「独立性」「客観性」の欠如は、監査品質の低下を招き、社会的な信用を根底から覆すリスクとなります。

デロイトはこの構造的リスクを管理するため、監査部門のパートナーが非監査サービスを販売して直接的な報酬を得ることを禁じるなど、包括的な独立性監視システムと厳格なルールによってリスクを能動的にコントロールしています。

6-2 AIの急速な社会実装に伴うリスク(倫理・ガバナンスと環境負荷)

グローバルのマテリアリティ(重要課題)評価においても「AI」「データプライバシーとサイバーセキュリティ」が最上位のトピックとして特定されており、AI普及の裏にあるリスクへの対応が急務となっています。

生成AI(GenAI)をビジネスに組み込む際、データの信頼性や倫理的・法的・規制的な複雑さが大きなリスクとなります。デロイトはこれに対処するため「Trustworthy AI」フレームワークを導入し、責任あるAI活用の基盤整備を進めています。

またAIのスケールアップは、データセンター等の稼働により膨大なエネルギーを消費します。これがデロイト自身の環境負荷(カーボンフットプリント)の増大につながるリスクとして認識されており、AI投資と環境目標の両立が課題となっています。

6-3 プロフェッショナルとしての「社会的信用」に関わる関与リスク

専門家としての社会的信用が高いからこそ、意図せず犯罪や不正に巻き込まれるリスクが指摘されています。士業者などのプロフェッショナルはその専門性や信用の高さからマネーロンダリングに利用されるリスクがあり、グローバル共通のAML(アンチ・マネーロンダリング)ポリシーを整備して対応しています。また近年、社会保障費の増加や経済対策による公共案件の拡大に伴い、公共領域のサービスに関与する際の汚職・腐敗行為への巻き込まれリスクも明確に認識されています。

7. 日本法人の実態:2.2万人を擁する日本最大級のプロフェッショナルグループ

デロイト トーマツ グループは、国内30都市以上に拠点を持つ日本最大級のプロフェッショナルグループです。本章では、日本法人の組織体制と資本構造、注力領域、そしてデロイト トーマツ グループならではの特徴を詳述します。

7-1 日本法人の体制と資本構造

デロイト トーマツ グループの最大の特徴の一つは、その資本構造にあります。グループへの出資は創業以来、所属するパートナー(現在約1,000名)からのみ行われており、海外のデロイトを含め外部資本は一切受け入れていません。日本のパートナーが経営の自律性を持ち、独立した意思決定を行う体制が維持されています。

グループ全体のガバナンスおよび経営執行機能を担う法人は、2025年12月1日付で「合同会社デロイト トーマツ グループ」へと名称を変更し、グループ全体を統括しています。

  • 日本法人のガバナンスは、出資者であるパートナー(約1,000名)が経営の重要事項の決定に参加するパートナーシップ制度を基本としています。一般事業会社の取締役会にあたる「ボード」を設置し、経営執行機関(Executive Committee)の監督・評価を行っています。
  • ボードは議長、評議員、グループCEO、監査法人の代表執行役で構成され、執行に関与しない評議員が中心となることで監督機能を強化しています。議決権を持つボードメンバーの女性比率は37.5%に達しています。また経営の透明性と議論の質を向上させるため、独立した外部有識者3名を「独立非業務執行役員(INE)」として選任し、ボードに陪席させています。
  • ボード内には「推薦委員会」「報酬委員会」「監査委員会」「リスク&エシックス委員会」に加え、INEのみで構成され社会的期待に応えているかを監督する「公益監督委員会」の5つの委員会が設置されています。

7-2 歴史的組織再編:新会社「合同会社デロイト トーマツ」の発足

2025年12月1日、デロイト トーマツ グループは複雑化・高度化するクライアントの経営課題に対し、より多面的かつ機動的にサービスを提供できる体制を構築するため、大規模な組織再編を実施しました。

1. コンサルティング系3法人の統合

これまで主要事業法人であった「デロイト トーマツ コンサルティング」「デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー」「デロイト トーマツ リスクアドバイザリー」の3法人が合併し、人員数約11,000名を擁する新会社「合同会社デロイト トーマツ」が誕生しました。代表執行役にはグループCEOの木村研一が兼務で就任しています。

これにより、現在のデロイト トーマツ グループの主要事業法人は、国家資格が求められる士業法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人)と、それ以外の経営支援サービスを提供する「合同会社デロイト トーマツ」という構造に整理されました。

2. コンサルティング領域のマトリックス組織と6つの新サービスドメイン

新会社が担うコンサルティング領域では、特定の業界に特化した「インダストリー(業界軸)」と、戦略、M&A、AI・データ、SAP等のテクノロジーなど特定の手法に特化した「オファリング(サービス軸)」を掛け合わせたマトリックス組織が構築されています。

3法人の統合に伴い、新たに以下の6つのサービスドメインが設けられています。

  1. Strategy & Innovation
  2. Risk Management & Forensic
  3. M&A・Restructuring
  4. Technology & Transformation
  5. Finance Transformation
  6. Cyber

また新会社内には、最先端技術の社会実装に挑む次世代専門組織として「Smart X Lab.」「Customer Technology」「Growth & Innovation」といった専門部隊も配置されています。

What we doIcon outbound

https://www.deloitte.com/jp/ja/what-we-do.html

デロイト トーマツ グループは、多様なプロフェッショナルの連携によってクライアントの期待を超えるサービスを総合的に提供しています。

3. クライアントへの価値提供を最大化する仕組み

多様な専門家集団を束ね、クライアントに統合的な価値を提供するための仕組みとして、以下が制度化されています。

  • LCSP(Lead Client Service Partner):特定のクライアントに対するサービス提供を統括する責任パートナー。グループ全体が保有するサービスを適切に組み合わせ、提案から実装・運用までを総合的にカバーします。
  • JSG(Japanese Services Group):1975年から約50年の歴史を持つ組織で、海外進出する日系企業の本社と海外子会社へ一体的なサービスを提供します。日本からの派遣メンバーと現地のデロイトメンバーがタッグを組む体制が確立されています(キャリアパスとしての詳細は5-1参照)。

7-3 日本市場の注力領域

デロイト トーマツ グループは、Vision 2030の実現に向け、日本市場における以下の5つの領域を重点的に推進しています。

1. AI・デジタル技術の社会実装と事業モデル変革(DX/AEB)

これまでプロフェッショナルが人手で行っていた専門的な知見やサービスをデジタル・アセット化し、クライアントの課題を速やかに可視化・分析する「AEB(Asset-enabled Business)」を推進しています。

「Customer AI Hub」などの専門組織を通じ、生成AI、メタバース(デジタルツイン)、Web3(DAO、NFT)、量子技術といった最先端テクノロジーを用いて、顧客体験の変革や新たなビジネスモデルの創出を支援しています。

2. サステナビリティ・気候変動への対応(GX)

グループ全体の知見を集約するS&C VBUを中核に、脱炭素(カーボンニュートラル)への公正な移行(Just Transition)支援、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ、人権問題への対応など、幅広いサステナビリティ・アジェンダに取り組んでいます。

海洋面積で世界6位のポテンシャルを持つ日本において、海を守りながら持続的な経済圏発展を目指す「ブルーエコノミー」を提唱し、産業横断のコンソーシアムに対して知見を提供しています。

3. 社会課題解決・地方創生と公共インフラの変革

日本の社会保障基盤の変化や人口減少を見据え、官民連携(PPP)を通じた公共領域へのコンサルティングを推進しています。

少子高齢化やデジタル化の波に対応する中央省庁の政策・組織変革、年金・医療・労働行政等の業務改革やDXを支援するほか、「Regional Government」領域においてデジタル田園都市国家構想に向けたスマートシティ構想、福島復興支援、自治体DXなど、官・地域と民間企業をつなぐまちづくりを推進しています。

また運輸・物流、公共交通、道路、空港といった社会インフラの変革やスマート物流、インフラのメンテナンスDX化もリードしています。

4. 経営・事業の抜本的再編(M&A・資本再編)

M&Aの実行にとどまらず、企業の成長戦略を実現するための「M&A・資本再編を契機とした経営改革(Transformation)」をボードルーム(経営陣)のアドバイザーとして伴走支援しています。グループ経営体制改革、持株会社化、カーブアウト(事業切り出し)、クロスボーダーの統合(PMI)などに注力しています。

5. 監査の革新(Audit Innovation)

監査業務においてテクノロジーとプロフェッショナルの知見を有機的に結合させ、付加価値の高い洞察の提供と社会全体でのコスト低減を目指す「Audit Innovation」に、FY2025で約67億円を投資しています。

7-4 日本法人の特徴

デロイト トーマツ グループは、Vision 2030の実現に向けた「One of a Kind(唯一無二)」のプロフェッショナルファームを目指し、「People First」を経営の中心に置いています。1-5で述べた制度・方針が日々の現場でどのように体現されているかという観点から、日本法人ならではの特徴を紹介します。

1. 多様なバックグラウンドの受容と「Give文化」

コンサルティング部門では、同業他社だけでなく、事業会社、ITベンダー、金融、官公庁、エンジニア、さらには元プロスポーツ選手に至るまで、多様なバックグラウンドを持つメンバーが活躍しています。異業種出身者に対しては手厚い育成サポートが提供されており、前職で培った業界特有の知見をコンサルタントとしての提供価値に転換できる環境が整っています。

こうした多様な専門家の連携を機能させる組織文化として、互いに助け合う「Give文化」が根付いています。異なる専門性を持つメンバーが相互に強みを提供し合い、チームとしての付加価値を最大化する発想が組織全体に浸透しています。

2. 「才能を引き出す」カルチャーとProfessional Well-being

人材育成において、課題の指摘よりも「才能を引き出す」ことに重きを置く姿勢は、現場レベルでは「美点凝視」「I'm all ears」といった具体的な取り組みとして実践されています(詳細は1-5参照)。「幸福なプロフェッショナル度」を経営KPIとしてモニタリングしていることも、この姿勢の組織的な表れといえます。

3. 先進的な人権尊重とDEI

国や地域の法律・文化にかかわらず、世界中のデロイト内で個人が平等に扱われる「大使館モデル」を導入しており、LGBT+カップルに対する福利厚生や休暇の不平等を解消しています。

また、配偶者に限らず親子等も含めたドメスティックファミリーバイオレンス(DFV)の被害に遭うメンバーに対し、外部専門機関の紹介・費用負担、シェルター手配、犯罪被害からの回復支援まで行う独自の「DFV支援制度」を設けています。

4. スケールの大きな社会貢献

毎年10月を中心に社員やその家族が地域課題の解決に貢献する「Impact Month」を実施し、延べ6,000名以上が参加しています。また教育やスキル開発を通じて社会的に不利な立場に置かれた人々を支援する「WorldClass」プログラムにも取り組んでいます。

自社設立の「デロイト トーマツ ウェルビーイング財団」を通じ、複数のNPO等が連携して社会課題に挑む取り組みへの助成やプロフェッショナルによる伴走支援も行っています。

8. 採用情報:中途採用が主力の大規模採用と、多様なバックグラウンドを歓迎する選考

デロイト トーマツ グループの採用は、プロフェッショナルとしての成熟を見据えて行われています。本章では、採用プロセスと規模、選考における評価基準、そして選考対策の実践的なポイントを詳述します。

8-1 採用プロセスと規模

◆グローバルおよび日本における採用規模

  • FY2025において、デロイトのグローバルネットワーク全体では約771万件の応募を受け付け、30,460件のインターンシップを実施したうえで、年間97,390名の新規採用を行っています。
  • 日本法人ではFY2025に新卒採用1,289人、中途(キャリア)採用2,050人を採用しており、中途採用が新卒を大きく上回っています。即戦力や多様な異業種経験を持つ人材の獲得が、組織成長の最大の推進力となっていることが数字からも読み取れます。

◆多様な採用チャネルと「Talent Cross」

  • 国内向けの「新卒・定期採用」「キャリア(中途)採用」の窓口に加え、「海外新卒採用担当」を設置し、ロンドンキャリアフォーラム等の海外イベントを通じたグローバル人材の獲得も積極的に進めています。
  • また候補者との継続的な接点を構築するため、グループ独自のキャリアプラットフォーム「Talent Cross(タレントクロス)」への登録を案内し、柔軟なエントリーを受け付けています。

◆学歴・職歴にとらわれない多様な採用

  • 多様な個の協働と創造的思考の発展を促すため、学歴や職務経歴にとらわれない採用を推進しています。障がいを持つメンバー(Diverse Abilities)の雇用に特化したインターンシップも継続的に展開しており、テクノロジースキルの習得を支援するこのプログラムをステップとして、実際に100名を超える方が入社しています。

8-2 多様な人材を歓迎する採用スタンスと共通マインドセット

デロイト トーマツ グループの採用における最大の特徴は、特定の業界やコンサルティング経験の有無を問わない間口の広さです。

事業会社、ITベンダー、金融機関、官公庁職員、エンジニア、NGO・国際機関、さらには元プロスポーツ選手に至るまで、多種多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍しており、前職で培った業界固有の知見をコンサルタントとしての提供価値に転換できる環境が整っています。

こうした多様な人材に共通して求められるのは、以下のマインドセットです。

◆チャレンジ精神と自己成長へのコミット

  • 既成概念を超えて新たな領域に対峙する姿勢と、新規テーマへの知識欲・向上心が複数の職種JDを通じて一貫して強調されています。「セルフスターター」として主体的に動ける人材が求められています。

◆やり抜く力(グリット)と打たれ強さ

  • 戦略コンサルタントのJDでは「根気強さ・打たれ強さ、泥臭い仕事を厭わない覚悟」が明記されており、困難なプロジェクトを最後まで完遂する粘り強さが重視されています。

◆多様なステークホルダーを巻き込むコミュニケーション力とチームプレー

  • 官民連携、クロスボーダー、マルチステークホルダーの案件が多いデロイトでは、セクターをまたいだ関係者を動かすコミュニケーション能力と、チームとして成果を出す協調性が一貫して求められています。

◆社会課題解決への当事者意識

  • 「誰かのためになる仕事がしたい」「官民連携を通じて地域の未来を創出したい」といった表現が複数のJDに登場します。自身の業務が社会にどう影響を与えるかを考えられる人物像が、職種を問わず求められています。

8-3 選考対策

デロイト トーマツ グループの選考は、「書類選考」と「筆記試験」「面接(平均2〜3回)」で構成され、職種によってはケース面接や技術テストが加わります。以下に、共通の対策ポイントと職種・領域別の固有ポイントを整理します。

書類選考(共通):「業界知見×コンサルへの転換意欲」を明確に

デロイトは異業種出身者を明示的に歓迎していますが、「なぜコンサルタントとして働きたいのか」「前職の業界知見をどう活かすか」を具体的に示すことが重要です。

志望動機では、「Making an impact that matters」というパーパスや、Vision 2030が掲げる「Social Value」「Client Value」「People Value」との接点を自身の経験に結びつけて表現できると説得力が増します。

面接(共通):Give文化へのフィットと「やり抜いた経験」の言語化

複数回の面接では、マインドセットの確認が重要なウェイトを占めます。特に以下の2点を具体的なエピソードで準備することを推奨します。

  • 「チームで成果を出した経験」:多様な専門家と協働してクライアントに価値を提供する「Give文化」へのフィットが重視されます。自分が周囲に何を与え、どう連携して成果を出したかを語れるエピソードが有効です。
  • 「困難をやり抜いた経験」:複数のJDに「根気強さ・打たれ強さ・泥臭い仕事を厭わない覚悟」という表現が登場します。前例のない課題や逆境に直面した際に、どう粘り強く対処したかを具体的に語れる準備が重要です。

1. Monitor Deloitte(戦略コンサルタント)志望者

戦略コンサルタントの採用面接では、与えられたビジネス上の課題について限られた時間内で解決策を考え、その考え方と結論を面接担当者に説明する「ケース面接」が実施される可能性が高く、精緻な論理思考力と筋の良いビジネスモデルの構想力が問われます。

単なる論点整理にとどまらず、「自分が経営者だったらどう判断するか」という視座と、その解決策が社会・産業全体にどのようなインパクトをもたらすかまで言及できると、求める人物像に近づきます。

グローバル案件が多いためバイリンガルレベルの英語力が望まれますが、戦略コンサルファーム経験者だけでなく、NGO・国際機関、VC・スタートアップ、デザインファーム、投資銀行など多彩なバックグラウンドも明示的に歓迎されています。

2. Technology Strategy & Transformation・AI & Data志望者

専門テック系の採用面接では、技術テストが課される場合があります。BI/DWH/ETLの導入経験、クラウド(AWS・Azure・GCP)上でのデータ分析基盤構築経験、Python・Rなどのデータ解析スキルは具体的なプロジェクト事例として準備しておくことが有効です。

また、実装のみを担うエンジニアではなく「経営視点でクライアントと対話できるコンサルタント」としての資質が重視されるため、技術スキルをビジネス課題の解決にどう結びつけたかを語る準備が重要です。英語力(TOEIC700点以上優遇)も求められます。

3. Sustainability(サステナビリティ・GX領域)志望者

GX・気候変動の専門経験は「不問」と明記されており、コンサルファームやメーカー・エネルギー企業・政府機関での業務経験があれば幅広く挑戦できます。専門知識よりも「日本のGX・脱炭素を推進したい」「社会経済全体の枠組みを変えたい」という社会課題解決への強い当事者意識と主体性が選考の重要な要素となっています。自身の問題意識を具体的な経験と結びつけて語ることが有効です。

4. Regional Government(地方創生・自治体DX領域)志望者

「行政を支援する志・粘り強さ・タフさ」が明示的に求められており、専門知識よりも志の強さが重視される領域です。コンサルファームやシンクタンクでの経験が基本要件ですが、官公庁・自治体でのコンサルティング経験があれば特に優遇されます。「官民連携を通じて地域の未来を創出したい」という具体的なアスピレーションを、自身の経験や地域課題への問題意識と結びつけて語ることが有効です。

この記事の執筆者

外資系IT企業、コンサルティングファーム、システムインテグレーターの各業界の現場の最前線で活躍してきたヘッドハンター集団。サーチ型エージェントとして活動しています。
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