0 編集部が注目した重点ポイント
① 通期利益予想を270億円に上方修正する
第3四半期までの堅調な事業環境を背景に、通期最終利益の予想を230億円から270億円へ上方修正しました。グローバルでの缶材需要の伸長や、米国拠点でのコスト削減施策が実を結んでいます。業績拡大に伴い、キャリア採用者にとっても挑戦しがいのある成長局面が続いています。
② 航空宇宙分野へ230億円規模の投資を断行する
成長分野である航空宇宙・防衛材向けに、合計約230億円の設備投資を決定しました。国内最大級のリング材製造設備や厚板焼入れ設備を導入し、H3ロケット等の需要を捕捉します。2027年度以降の稼働に向け、技術開発や製造管理の分野で高度な専門人材の活躍機会が拡大する見込みです。
③ 米国拠点のスクラップ処理能力を大幅に拡大する
北米子会社のTAAにてシュレッダーラインが2026年1月に本格稼働を開始しました。リサイクル原料の活用メリットを最大化し、コスト競争力を高める構造改革が進んでいます。環境配慮型の「循環型アルミ」へのシフトはグループの重要戦略であり、サステナビリティ推進に貢献できるキャリアが期待できます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第3四半期 決算説明会資料 P.1
売上収益
8,416億円
+14.0%
営業利益
511億円
+3.8%
最終利益
249億円
▲0.2%
※事業利益 = 持続的な事業活動の成果。営業利益から、棚卸資産影響、一時的・特殊な重要性のある損益を控除したもの。 当第3四半期累計期間の業績は、販売数量が前年同期比で48千t増加の993千tとなり、売上収益は8,416億円と二桁増収を達成しました。営業利益についても、棚卸資産影響等のプラス要因もあり511億円(前年同期比18億円増)を確保しています。一方で、為替の変動(バーツ高ドル安)が収益の押し下げ要因となりましたが、構造改革によるコスト削減が下支えしています。 通期予想に対する進捗状況は、営業利益ベースで約77%(通期予想660億円に対し511億円)に達しており、業績は極めて順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第3四半期 決算説明会資料 P.7
日本(UACJ単体等)
事業内容:飲料缶材、自動車材、半導体製造装置向け厚板等の製造販売を担当。国内マザー工場として技術開発の中核を担う。
業績推移:販売数量は357千t。半導体製造装置向けの厚板に回復の兆しが見えるほか、価格改定の効果が着実に発現。
注目ポイント:航空宇宙・防衛分野への大規模投資が決定し、深谷製造所や鋳鍛製作所での生産体制強化が進んでいます。既存のアルミ圧延技術を応用し、ロケット部品等の高付加価値製品へのシフトを推進しており、研究開発や生産技術、品質保証といった領域で高い専門性が求められています。
米国(TAA / UWH)
事業内容:TAAは飲料缶材の圧延、UWH(Automotive Whitehall Industries)は自動車用押出・加工部品を提供。
業績推移:TAAは需要旺盛で、販売数量366千t。UWHは北米BEV生産の急変を受け厳しい環境にあるもコスト削減で収益確保。
注目ポイント:TAAでは熱間圧延増強とシュレッダーライン能力拡大が完了し、コスト競争力が大幅に向上しています。リサイクル原料の活用メリットが拡大しており、サーキュラーエコノミーの実装に深く関わることができます。北米自動車市場の不透明さには、日本・タイからの柔軟な供給体制で対応するなど、グローバルSCMの重要性が増しています。
タイ(UATH)
事業内容:ラヨン製造所を中心に、世界33カ国へ缶材等を輸出するグローバルな供給拠点として機能。
業績推移:販売数量は前年比15千t増の241千t。為替影響等により利益は圧縮されるも、拡販活動により販売量は拡大。
注目ポイント:タイ国内販売に加え、北米・ASEAN向け等のグローバル供給が全体の約70%を占めます。新規顧客の開拓と価格改定を強力に推進しており、世界市場を相手にした営業・マーケティングや、多国間での物流最適化を担う人材のニーズが高まっています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第3四半期 決算説明会資料 P.21
通期見通しの上方修正は、同社の稼ぐ力が着実に向上している証左です。特に事業利益目標480億円への引き上げは、北米市場でのプレゼンス向上と生産コストの低減が大きく寄与しています。 今後は、航空宇宙・防衛材といった成長分野への230億円規模の先行投資が、将来の収益の柱として期待されています。JAXAの技術開発テーマに採択されるなど、国家的なプロジェクトに参画する機会も増えており、エンジニアにとっては「日本発、世界最大級の技術」に携わる大きなキャリアチャンスです。 また、PBR 1.35倍、ROE 9%以上といった資本効率の向上を掲げ、自己株式の取得(300万株/151億円)や増配など、株主還元も強化。財務基盤の安定性と成長への意欲を両立させており、中長期的な視点でキャリアを築きたい求職者にとって非常に魅力的な環境が整いつつあります。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は今、単なる素材メーカーから「成長分野(航空宇宙等)への投資家」へと進化しています。「大規模設備投資を通じた新市場開拓」や「グローバルSCMの最適化」といった具体的なキーワードを、自身の経験と紐付けることが有効です。また、CDP「A-」評価を獲得している実績に触れ、「リサイクル技術による環境貢献」への意欲を示すことも、同社のビジョン「軽やかな世界」と合致し、高い評価に繋がるでしょう。
面接での逆質問例
・「航空宇宙分野への230億円の投資は、2027年以降の稼働を目指されていますが、立ち上げ期における専門人材への具体的な期待役割を伺えますか?」 ・「北米でのシュレッダーライン本格稼働など、リサイクル率向上に向けた現場の課題や、技術的なブレイクスルーが必要な領域はどこにありますか?」 ・「グローバル3極体制において、日本拠点が担う『技術開発の司令塔』としての役割は今後どのように進化していく予定でしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 2025年度 第3四半期 決算説明会資料(2026年2月12日公表)



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