fonfun 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

fonfun 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する情報サービス企業です。クラウドソリューションとDXソリューションの2事業を軸に展開しています。M&Aによる事業拡大や既存事業の成長により、当期の業績は売上高が前期比81.3%増、営業利益が同100.5%増と大幅な増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社fonfun の有価証券報告書(第29期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. fonfunってどんな会社?


モバイル向けリモートメール事業で創業し、現在はM&Aを活用しながらSaaSやDX支援を展開する企業です。

(1) 会社概要


1997年にネットビレッジとして設立され、1999年にリモートメール事業を開始しました。2002年にナスダック・ジャパン(現東証スタンダード)へ上場し、2006年に現社名へ変更しています。2023年にTOBによりサイブリッジ合同会社の子会社となり、2024年には合同会社selfreeなどを完全子会社化しました。

同社の従業員数は単体で70名です。筆頭株主は親会社であるサイブリッジ合同会社で、第2位は同グループのサイブリッジグループとなっており、両社で議決権の過半数を保有しています。第3位はクリアデラです。

氏名 持株比率
サイブリッジ合同会社 47.94%
サイブリッジグループ 14.43%
クリアデラ 4.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は水口翼氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
水口 翼 代表取締役社長 サイブリッジグループ代表取締役などを経て、2023年6月より現職。サイブリッジ合同会社職務執行者を兼務。
松井 都 取締役DXソリューション本部長 株式会社システムソフトなどを経て、サイブリッジグループへ転籍。r.c.o代表取締役を経て2023年6月より現職。
八田 修三 取締役コーポレートソリューション本部長 2002年に入社。リモートメール事業部担当部長、経営管理部部長、代表取締役社長などを歴任し、2023年6月より現職。


社外取締役は、緒方健介(プロモツール代表取締役)、小栁肇(Augmentation Bridge代表取締役)、古久保武紀(フィリピンコンサルティング代表取締役CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウドソリューション事業」および「DXソリューション事業」を展開しています。

クラウドソリューション事業


法人および個人に対し、コミュニケーション円滑化や業務効率化を実現するクラウドサービスやソフトウェアを提供しています。SMS配信サービス「バンソウSMS」、リモートメール、クラウド電話システム「CallConnect」、飲食店向け日次決算プラットフォーム「れすだく」などが含まれます。

収益は主にサービスの利用料やコンテンツ配信料として顧客から受領しています。運営は主にfonfunが行っています。当期には、合同会社selfreeや株式会社イー・クラウドサービスなどのM&Aを通じてSaaSプロダクトを拡充しました。

DXソリューション事業


企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援するため、コンサルティングからシステム開発、ソフトウェア提供までを行っています。技術者派遣(SES)やノーコードツールを活用した開発支援なども手掛け、顧客の事業価値向上に貢献しています。

収益は、システム開発やコンサルティングの対価、エンジニアリングサービスの提供料として顧客から受領しています。運営はfonfunが主体となって行っています。当期には株式会社ゼロワンからの事業譲受やグルーコードコミュニケーションズ株式会社の取得により事業基盤を強化しました。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間(単体)の業績推移です。売上高は増加傾向にあり、特に直近ではM&Aの効果等により大幅に規模が拡大しています。利益面では、一時的な赤字を計上した期もありましたが、直近では増益基調にあり、利益率も向上しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4.4億円 3.7億円 3.9億円 7.0億円 12.7億円
経常利益 0.2億円 0.0億円 0.2億円 0.9億円 1.6億円
利益率(%) 4.7% 0.6% 5.3% 13.2% 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 -0.2億円 0.2億円 0.7億円 1.7億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大していますが、利益率はやや低下しました。営業利益は倍増し、営業利益率も改善しています。事業規模の拡大が進む中で、収益性が高まっていることが確認できます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 7.0億円 12.7億円
売上総利益 4.1億円 5.9億円
売上総利益率(%) 58.3% 46.6%
営業利益 0.7億円 1.5億円
営業利益率(%) 10.7% 11.8%


販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が1.1億円(構成比24%)、のれん償却額が0.8億円(同18%)を占めています。売上原価においては、情報サービス売上原価が6.8億円(構成比100%)を占めています。

(3) セグメント収益


両セグメントともに大幅な増収増益となりました。クラウドソリューション事業はM&Aによるサービス拡充が寄与し、DXソリューション事業はエンジニアの増員やSES事業の拡大等が成長を牽引しています。特にDXソリューション事業の売上成長が顕著です。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
クラウドソリューション事業 5.6億円 8.0億円 1.4億円 2.6億円 33.0%
DXソリューション事業 1.4億円 4.7億円 0.5億円 0.8億円 17.1%
調整額 - - -1.1億円 -1.9億円 -
連結(合計) 7.0億円 12.7億円 0.7億円 1.5億円 11.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**積極型**: 営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.8億円 1.9億円
投資CF 2.9億円 -12.2億円
財務CF -0.9億円 8.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「テクノロジーで社会をもっとスマートに。」というミッションを掲げています。データとテクノロジーの力を活用し、顧客ビジネスへの深い理解に基づき、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるイノベーションを顧客と共に創出することで、持続可能な成長と市場における競争優位性の確立を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「謙虚」「誠実」「前向き」「勤勉」という価値観を大切にしています。これらを共有する企業文化のもと、従業員の自律的なキャリア形成と専門性向上を支援し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを重視しています。また、社内の活力と創造性を引き出し、イノベーションを推進することを指針としています。

(3) 経営計画・目標


中期経営計画「プロジェクトフェニックス」において、以下の目標を掲げています。
* 売上高:20億円
* EBITDA:4億円
* エンジニア体制:100名

(4) 成長戦略と重点施策


「プロジェクトフェニックス」達成に向け、M&Aにより取得した事業とのシナジー最大化や、AI等の先端技術の活用による独自ソリューション開発を強化します。クラウドソリューション事業では機能拡充による収益確保、DXソリューション事業では特定業種の深耕と新規開拓を推進し、クロスセル等で収益性を向上させます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「エンジニア100名体制」を目指し、採用チャネルの多様化やダイレクトリクルーティングを強化しています。育成面では、研修制度の充実や資格取得支援によるリスキリングを推進し、従業員の専門性と創造性を高める方針です。また、多様な人材が活躍できる職場環境整備や、公正な評価・処遇によるエンゲージメント向上に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.6歳 7.1年 5,482,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.3%
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※正規・非正規の差異については、HTMLに記載がないため省略しています。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新と競争環境の変化


AIやIoT等の技術革新スピードが速く、顧客ニーズも高度化・多様化しています。これらに迅速に対応できない場合や、国内外の競合との競争激化により優位性を維持できない場合、競争力低下や収益性悪化を招く可能性があります。

(2) 高度IT人材の確保・育成


エンジニア等の高度IT人材の獲得競争が激化しており、人材の確保・育成が計画通り進まない場合や流出した場合、事業拡大の遅延やサービス品質低下を招く可能性があります。これは中期計画の「エンジニア100名体制」達成にも影響します。

(3) M&A戦略とPMIの成否


M&Aを重要戦略としていますが、買収後のPMI(事業統合)が計画通り進捗せず、期待したシナジー効果が発揮されない場合や、対象事業の業績が想定通り推移しない場合、のれんの減損等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。