fonfun 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

fonfun 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

fonfunは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、クラウドソリューション事業と企業のデジタルトランスフォーメーションを支援するDXソリューション事業を展開する企業です。積極的なM&Aにより事業規模を拡大しており、直近の業績では売上高や各利益項目において大幅な増収増益を達成し、高い成長を遂げています。


※本記事は、fonfunの有価証券報告書(第30期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. fonfunってどんな会社?


クラウドサービスとDX支援を軸に、企業の業務効率化やプロセス最適化、デジタル化を推進しています。

(1) 会社概要


1997年3月にネットビレッジとして設立され、2002年9月にナスダック・ジャパン(現スタンダード市場)に上場しました。2006年6月にfonfunへ社名変更しています。近年はM&Aを積極的に推進しており、2024年にSMS配信事業やSaaS事業を譲受したほか、複数社を完全子会社化し規模を拡大しています。

現在の従業員数は連結で273名、単体で122名です。筆頭株主は投資事業等を行う親会社のサイブリッジで、第2位はサイブリッジグループです。第3位にはクリアデラが名を連ねており、親会社グループによる持株比率が高いのが特徴です。

氏名 持株比率
サイブリッジ 47.95%
サイブリッジグループ 14.23%
クリアデラ 4.80%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は水口翼氏が務めており、社外取締役の比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
水口翼 代表取締役社長 2004年5月シンクマーク(現サイブリッジグループ)設立。2023年6月より現職。
松井都 取締役 兼 DXソリューション本部長 1989年4月システムソフト入社。2023年6月より現職。
八田修三 取締役 兼 コーポレートソリューション本部長 1993年4月日本インターシステムズ入社。2002年1月同社入社。2023年6月より現職。


社外取締役は、緒方健介(元みずほ銀行行員)、小栁肇(元電通社員)、古久保武紀(元三越伊勢丹社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「クラウドソリューション事業」および「DXソリューション事業」を展開しています。

(1) クラウドソリューション事業


法人および個人のお客様に対し、コミュニケーションの円滑化や業務効率の向上を実現するクラウドベースの各種サービス、アプリケーションの企画、開発、提供を行っています。従来からの強みであるインターネットサービスやコンテンツ配信も含まれており、SMS配信サービスやクラウド電話等を提供しています。

SMS配信やクラウド電話等の従量課金、およびサブスクリプション型の利用料などが主な収益源です。運営は同社が主体となって行っているほか、関連会社のソリッド・ネット等もサービスを提供しています。

(2) DXソリューション事業


企業のデジタルトランスフォーメーション推進を支援するため、コンサルティングからシステム開発、業務プロセスのデジタル化を促進するソリューションおよびソフトウェアの企画、開発、提供を行っています。顧客の本質的な課題解決に貢献する独自性の高いシステム開発やエンジニアリングサービスが主力です。

受託開発に基づくソフトウェア開発費や技術者派遣に伴う役務提供の対価、システム運用保守費が主な収益源です。運営は同社および連結子会社のYNPが主体となって事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社の連結業績は、直近の2026年3月期において売上高が大きく拡大し、経常利益および当期利益も大幅な増益を記録しています。積極的なM&Aの実行等による事業基盤の拡大が寄与し、収益性の指標である利益率も改善傾向を示しており、力強い成長フェーズに入っていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 5.6億円 6.4億円 - - 21.1億円
経常利益 0.1億円 0.4億円 - - 2.7億円
利益率(%) 1.3% 6.7% - - 12.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.2億円 0.2億円 0.7億円 1.7億円 4.1億円

(2) 損益計算書


同社は直近の事業年度より連結財務諸表を作成しています。それに伴い、売上高や各利益項目が大きく増加し、高水準の売上総利益と営業利益を確保しています。継続的な事業拡大により、本業の稼ぐ力を示す営業利益率も10%を超える良好な水準で推移しており、安定した収益構造を構築しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - 21.1億円
売上総利益 5.9億円 8.3億円
売上総利益率(%) - 39.4%
営業利益 1.5億円 2.4億円
営業利益率(%) - 11.5%


販売費及び一般管理費のうち、のれん償却額が1.1億円(構成比19%)、給料及び手当が0.9億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


クラウドソリューション事業はストック収益ビジネスの持続的な拡大により、高い利益率を達成しています。一方、DXソリューション事業は技術的知見やノウハウを蓄積しデジタル人材の充実を図った結果、グループ最大の売上規模を誇る成長ドライバーとして大きく貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
クラウドソリューション事業 - 9.6億円 - 3.4億円 35.8%
DXソリューション事業 - 11.5億円 - 1.1億円 9.7%
調整額 - - - -2.1億円 -
連結(合計) - 21.1億円 - 2.4億円 11.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は31.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.7%で市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF - 2.5億円
投資CF - -4.7億円
財務CF - 3.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「テクノロジーで社会をもっとスマートに。」というミッションを経営の基本方針の中心に据え、持続可能な成長を追求しています。データとテクノロジーの力を最大限に活用し、顧客のビジネスに対する深い理解に基づき、デジタルトランスフォーメーション(DX)によるイノベーションを顧客と共に創出することを目指しています。

(2) 企業文化


従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、働きがいを感じながら成長できる環境の整備を重視しています。「謙虚」「誠実」「前向き」「勤勉」という価値観を共有する企業文化のもと、従業員の自律的なキャリア形成と専門性向上を支援し、社内の活力と創造性を引き出してイノベーションを絶え間なく推進する組織風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


第二次中期経営計画「プロジェクトフェニックスⅡ」(2026年4月~2029年3月)を策定し、持続的な成長に向けた挑戦的な目標を掲げています。既存事業の成長に加え、新たな収益機会の創出により事業成長を加速させる計画です。

* 売上高100億円
* EBITDA 20億円

(4) 成長戦略と重点施策


すべての業務にAIを組み込む「AIドリブン経営」の確立とDX事業の深耕を全社戦略として推進しています。競争力強化のため、AI等の先端技術の積極的な研究開発を進めるとともに、M&Aで取得した事業とのシナジー効果を早期に最大化し、独自性の高い高付加価値ソリューションの開発と提供に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員の成長と働きがいの向上」を重視し、多様な人材が能力を発揮できる魅力ある職場環境の整備と公正な評価・処遇に努めています。AI領域を含む高度なIT人材の確保・育成・定着を最重要課題と位置づけ、全社的なAIリスキリングや従業員持株会の拡充など、「能力」「従業員構成」「労働環境」への投資を重点的に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 37.8歳 7.5年 5,146,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(目標)(40.0%)、男性労働者の育児休業取得率(目標)(30.0%)、労働者の男女の賃金の差異(目標)(90.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化及び技術革新への対応に関するリスク


クラウドサービス市場やDX市場は技術革新のスピードが速く、AIやIoT等の新たなテクノロジーが次々と登場しています。これらの変化や顧客ニーズの高度化に迅速に対応できない場合、提供するサービスの競争力低下や陳腐化が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競争激化に関するリスク


成長が期待される情報サービス市場には国内外の多数の事業者が存在し、価格競争やサービス開発競争が激しさを増しています。特定の顧客セグメントや業務領域における専門性を高められない場合、市場シェアの低下や収益性の悪化を招くリスクがあります。

(3) 人材の獲得・育成及び維持に関するリスク


クラウド技術やDX推進を担う優秀なエンジニアやコンサルタントの獲得競争は激化しています。人材の確保及び育成が計画通りに進まない場合、または既存の優秀な人材が流出した場合には、事業拡大の遅延やサービス品質の低下を招き、持続的な成長に支障をきたす可能性があります。

(4) M&A戦略及び事業統合プロセスに関するリスク


事業基盤の強化や新規事業領域への進出を目的としたM&Aにおいて、買収後の事業統合プロセスが計画通りに進捗せず期待したシナジー効果が発揮されない場合、のれんの減損損失が発生するなど、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。