MARUWA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

MARUWA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

MARUWAは、東証プライム、名証プレミア、ロンドン、シンガポール市場に上場する企業です。主に半導体や車載向けのセラミック部品事業と、LEDを用いた照明機器事業を展開しています。直近の業績は、次世代高速通信関連が好調に推移し増収となった一方、利益面は前年を下回り増収減益に着地しています。


※本記事は、株式会社MARUWAの有価証券報告書(第53期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月12日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. MARUWAってどんな会社?


半導体や車載、情報通信向けのセラミック部品および照明機器の製造販売を主力とするグローバル企業です。

(1) 会社概要


1973年に通信機器向け特殊磁器の生産を目的に丸和セラミックとして設立されました。1998年に東証および名証の市場第二部へ株式上場を果たし、1999年にMARUWAへ社名を変更しています。2000年には東証・名証の第一部指定に加え、ロンドンおよびシンガポールの証券取引所にも上場しています。

現在の同社グループは、連結従業員数1,322名、単体従業員数690名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は芸術振興など財団活動の支援を行う関係会社の神戸アートで、第2位および第3位は信託業務や資産管理を行う金融機関となっています。

氏名 持株比率
神戸アート 29.57%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 10.30%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) 8.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は神戸俊郎氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
林春行 取締役会長(材料開発担当) 1990年同社入社。開発部主任研究員、取締役開発室長などを経て、2015年より取締役(材料開発担当)、2022年より取締役副会長を務め、2025年6月より現職。
神戸俊郎 取締役社長 CEO(代表取締役) 2001年同社入社。コンポーネンツカンパニーCEO、取締役(事業戦略担当)などを経て、2022年4月より現職。
マニマランアントニ 取締役専務(生産改善担当) 1995年同社入社。マレーシア子会社代表、取締役海外事業本部長などを経て、2015年より取締役(生産改善担当)、2022年4月より現職。
山口大介 取締役管理本部長(管理・IR担当) 2019年同社入社。人事労務室長、管理本部COOを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、坂口美穂氏(公認会計士・税理士 坂口美穂事務所所長)、岡内彩氏(NOKIOO エキスパート)、久保雅男氏(大阪大学大学院工学研究科 招へい教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、セラミック部品事業および照明機器事業を展開しています。

(1) セラミック部品事業


半導体、車載、情報通信等の分野に向けて、高熱伝導基板や高強度基板、特殊セラミック基板などの部品を製造販売しています。新エネルギー車の高温・高電圧下でも機能する高強度基板や、次世代高速通信向けの高性能・小型な電子部品などのニーズに対応する差別化製品を提供しています。

製品の販売による代金を顧客から受け取ることで収益を得ています。運営は同社およびマレーシアの子会社が製造と販売を担うほか、台湾、ヨーロッパ、アメリカ、韓国、上海、インド、ドイツ、イスラエルの各販売子会社を通じてグローバルに製品を供給しています。

(2) 照明機器事業


LEDを用いた高輝度照明やLED光源モジュール、施設照明、住環境向けのデザイン照明などを提供しています。トンネルや道路などで使用される公共照明のほか、環境問題への意識向上や光の質に対する要求の高まりに応えるため、同社のセラミック材料技術を融合させた製品開発を進めています。

照明機器などの製品販売による代金として顧客から収益を得ています。運営は、同社の子会社であるMARUWA SHOMEIが製品の製造および販売を行っているほか、YAMAGIWAが仕入商品の販売を担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は継続して成長しており、一貫した増収基調を保っています。利益面でも高水準を維持しており、経常利益率は毎期34%〜37%台で推移するなど、安定した高い収益力を示しています。総じて、堅調な事業拡大と高い利益水準を両立しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 543億円 588億円 616億円 718億円 745億円
経常利益 192億円 212億円 211億円 270億円 263億円
利益率(%) 35.3% 36.0% 34.3% 37.6% 35.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 78億円 299億円 146億円 165億円 182億円

(2) 損益計算書


売上高は前年から増加したものの、売上総利益や営業利益はわずかに減少しています。利益率も前年から低下していますが、依然として営業利益率30%超という極めて高い高収益体質を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 718億円 745億円
売上総利益 395億円 392億円
売上総利益率(%) 54.9% 52.6%
営業利益 269億円 250億円
営業利益率(%) 37.5% 33.5%


販売費及び一般管理費(142億円)のうち、給与及び手当が30億円(構成比21%)、研究開発費が21億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のセラミック部品事業は、次世代高速通信関連が高水準に推移したことで増収となりました。また、照明機器事業においても、オフィス向け照明や公共LED照明案件が好調に推移し、前年を上回る売上を記録しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
セラミック部品事業 625億円 638億円
照明機器事業 94億円 107億円
連結(合計) 718億円 745億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動による強固なキャッシュ創出力を背景に、借入金の返済を進めつつ、手元資金で積極的な設備・研究開発投資を賄っている優良かつ健全な財務状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 254億円 169億円
投資CF -77億円 -218億円
財務CF -15億円 -12億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は90.5%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「会社の発展、社員の幸福、株主の満足感、社会の豊盛は四位一体である」との企業理念のもと、グローバルな企業競争下で輝ける企業を目指しています。100年に一度の変革期において技術革新を推し進め、品質を強化するとともに、ESG・SDGsを通して社会に貢献することで企業価値の向上を図る方針を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「企業倫理規範」において、社訓の精神のもと組織・個人が誠実に行動し、総合力を発揮することを定めています。また、社員の人格・個性を尊重して安全な職場環境を維持するとともに、地球環境への配慮を重点項目として社会的責任を果たすことなど、高い倫理観をもって企業活動を行う文化を重んじています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、本業による利益に関する指標である「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置付けています。AIを取り入れ、差別化戦略による高付加価値製品の開発や生産性向上、工程改善を通して、同指標の継続的な向上を図ることを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


脱炭素に向けた各市場の急速な変革を踏まえ、同社は数年先を見据えた差別化製品の開発を進めています。成長が期待される新エネルギー車市場や光通信、半導体関連市場などに経営資源を集中させるほか、ダイバーシティの推進や人材育成に注力してグローバルな組織体制を強化する戦略を描いています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、ハングリー精神を持ち、自ら考えて行動できるプロ人材の育成を目指しています。早い段階から仕事にテーマを持たせる実践的なスキル習得を重視し、各種研修や大学との共同研究を行っています。また、グローバルでの供給体制維持に向け、外国人材の積極採用や社員が健康に働ける職場環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.0歳 10.7年 8,837,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 64.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 56.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(93.8%)、管理本部における女性社員比率(約50%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 各国市場の経済情勢変動


同社グループは日本および世界各国に製造・販売拠点を置き、グローバルな事業展開を行っています。そのため、各国の経済情勢や市場環境、政策や規制の変更などにより事業が影響を受ける可能性があります。また、為替相場の変動によるリスクも存在します。

(2) 技術革新スピードによる競争環境の変化


同社グループが参入している各市場は、脱炭素に向けた変革が加速しており、技術革新のスピードも早まっています。他社と比較して新製品の開発スピードが遅れた場合、競争力が低下し、同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 脱炭素等の個別事業市場における市況悪化


セラミック部品事業においては、新エネルギー車市場や次世代通信、AI等の普及による需要拡大を見込んでいますが、一般的な景気減速による消費低迷のリスクがあります。また、照明機器事業においても、自然災害などによる工期遅延が発生した場合に影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。