MARUWA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

MARUWA 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のセラミック基板・電子部品メーカー。主力はセラミック部品事業と照明機器事業。第52期は、次世代高速通信や新エネルギー車向け需要が堅調に推移し、売上高は前期比16.7%増、経常利益は28.0%増と大幅な増収増益を達成。過去最高の業績を更新しました。


※本記事は、株式会社MARUWA の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月13日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. MARUWAってどんな会社?


独自のセラミック材料技術を核に、電子部品やLED照明等の製造販売をグローバルに展開する技術開発型メーカーです。

(1) 会社概要


1973年4月に丸和セラミックとして設立され、通信機器向け特殊磁器の生産を開始しました。1998年12月に株式を上場し、翌1999年にMARUWAへ商号を変更。2000年3月には東証・名証一部へ指定されました。その後、2005年にMARUWA SHOMEIを設立して照明事業へ本格進出し、2012年にはヤマギワを子会社化するなど事業領域を拡大しています。

連結従業員数は1,332名、単体では651名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の神戸アートで、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。

氏名 持株比率
神戸アート 29.50%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.66%
日本カストディ銀行(信託口) 9.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は神戸俊郎氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
神戸 俊郎 取締役社長 CEO(代表取締役) 2001年同社入社。コンポーネンツカンパニーCEO、取締役(事業戦略担当)などを経て2022年より現職。
神戸 誠 取締役会長(代表取締役) 1973年同社設立に伴い専務取締役就任。1992年代表取締役社長を経て、2022年より現職。神戸アート代表取締役社長も兼任。
林 春行 取締役副会長(材料開発担当) 1990年同社入社。開発部主任研究員、取締役開発室長、取締役(材料開発担当)などを経て2022年より現職。
マニマラン アントニ 取締役専務(生産改善担当) 1995年同社入社。Maruwa(Malaysia)Sdn.Bhd.代表、取締役海外事業本部長などを経て2022年より現職。


社外取締役は、加藤晶英(社会保険労務士法人加藤事務所代表社員)、坂口美穂(公認会計士・税理士坂口美穂事務所所長)、岡内彩(ウィーケン経営企画室長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「セラミック部品事業」、「照明機器事業」を展開しています。

(1) セラミック部品事業


高熱伝導基板、高強度基板、特殊セラミック基板などのセラミック製品や、半導体装置用部品、車載用製品、情報通信用製品などを製造・販売しています。脱炭素社会の実現に向けた新エネルギー車市場や、次世代高速通信市場などを主要な顧客ターゲットとしています。

製品の販売を通じて顧客から対価を得ています。運営は、同社およびMaruwa (Malaysia) Sdn. Bhd.などの海外連結子会社が行っています。

(2) 照明機器事業


LED高輝度照明、LED光源モジュール、施設照明、住環境照明、デザイン照明などの製造・販売を行っています。また、調光制御システムや照明空間デザイン・設計も手掛けています。

製品の販売を通じて顧客から対価を得ています。運営は主に株式会社MARUWA SHOMEIが製造販売を、株式会社YAMAGIWAが仕入商品の販売を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに右肩上がりの成長トレンドにあります。特に利益面では、高い利益率を維持しながら拡大しており、第52期には過去最高益を更新しました。自己資本比率も約90%と極めて高い水準を維持し、財務基盤は盤石です。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 414億円 543億円 588億円 616億円 718億円
経常利益 103億円 192億円 212億円 211億円 270億円
利益率(%) 24.9% 35.3% 36.0% 34.3% 37.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 49億円 78億円 299億円 146億円 192億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに伸長しています。営業利益率は30%台後半という製造業としては極めて高い水準に達しており、高付加価値製品へのシフトや生産性向上が奏功していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 616億円 718億円
売上総利益 310億円 395億円
売上総利益率(%) 50.3% 54.9%
営業利益 198億円 269億円
営業利益率(%) 32.2% 37.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が29億円(構成比23%)、研究開発費が17億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


セラミック部品事業は、情報通信関連や車載関連の好調により大幅な増収増益となり、全社利益を牽引しました。照明機器事業も、高級マンション向けや公共LED照明が堅調で増収増益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
セラミック部品事業 532億円 625億円 200億円 271億円 43.3%
照明機器事業 83億円 94億円 11億円 14億円 15.3%
連結(合計) 616億円 718億円 198億円 269億円 37.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入返済を行いつつ、投資も自己資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 172億円 254億円
投資CF -108億円 -77億円
財務CF -14億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は89.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「会社の発展、社員の幸福、株主の満足感、社会の豊盛は四位一体である」という企業理念を掲げています。グローバルな競争下で輝く企業を目指し、技術革新と品質強化を推進するとともに、ESG・SDGsを通じた社会貢献により企業価値の向上を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


「ハングリー精神を持ち、自ら考えて行動できるプロ人材の育成」を重視する文化があります。早い段階から仕事にテーマを持たせ、OJTや社外研修などを通じて社員の成長を促しています。また、性別や国籍にかかわらず活躍できる「ダイバーシティ」の推進や、残業ゼロ制度の導入など、多様な働き方の実現にも注力しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、本業の収益力を重視し、「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置づけています。AIを活用した差別化戦略による高付加価値製品の開発や、生産性向上、工程改善を通じて、同指標の向上を目指しています。具体的な数値目標としては、2030年度に向けたGHG排出量削減や再生可能エネルギー発電量などの環境目標も掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


脱炭素社会の進展により成長が期待される市場への「選択と集中」を進めています。特に新エネルギー車市場、光通信市場、半導体関連市場へ経営資源を集中させ、セラミック技術を活かした「差別化製品の開発」を推進します。また、グローバルな組織体制の強化や、地政学リスク等に対応する危機管理体制の構築にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


グローバルでの供給体制維持のため、ハングリー精神を持つプロ人材の育成を掲げています。若手への権限委譲や多様な研修制度を用意し、外国人材の採用も積極的に進めています。また、社員が心身ともに健康に働けるよう、有給取得率や男性育児休業取得率の向上を重視し、残業ゼロ制度やテレワーク活用など職場環境の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 11.4年 8,875,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 25.0%
男女賃金差異(全労働者) 54.4%
男女賃金差異(正規) 62.3%
男女賃金差異(非正規) 72.3%


※女性管理職比率については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(88.1%)、外国人社員数(約500名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国際情勢や経済状況等に関するリスク


同社グループは日本および世界各国で製造・販売を行うグローバル企業であるため、各国の経済情勢、市場環境、政策、規制の変更などが経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(2) 個別事業に関するリスク


セラミック部品事業では、新エネルギー車や電子部品市場の拡大を見込んでいるものの、景気減速や消費低迷の影響を受ける可能性があります。照明機器事業では、公共工事の遅延などが業績に影響する可能性があります。

(3) 技術革新によるリスク


脱炭素に向けた市場変革や技術革新のスピードが加速しており、開発スピードが他社に劣後した場合、競争力が低下する恐れがあります。同社は時代に先行した研究開発と設備投資により対応を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。