※本記事は、株式会社コパ・コーポレーション の有価証券報告書(第27期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コパ・コーポレーションってどんな会社?
実演販売を核とした卸売・小売業を展開。「実演販売士」を組織化し、TV通販やEC等で商品を販売する独自ビジネスモデルを持つ企業です。
■(1) 会社概要
1998年に設立され、店頭販売やTV通販での実演販売を開始しました。2006年に実演販売士育成スクール(現「売の極意塾」)の運営を開始し、人材育成体制を強化。2018年には直営店舗「デモカウ」を出店しました。2020年に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、2023年にはライブ配信型クラウドファンディング「わくたん」事業を開始するなど、実演販売のノウハウを活かした事業拡大を進めています。
2025年2月時点の単体従業員数は45名です。筆頭株主は創業社長の吉村泰助氏で、第2位および第3位は同氏の資産管理会社となっており、創業者とその関連会社で過半数の株式を保有するオーナー企業です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉村 泰助 | 38.48% |
| エンパワーフィールド | 23.63% |
| チョイズ | 6.75% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉村泰助氏です。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉村 泰助 | 代表取締役社長 | 1996年吉村泰助事務所設立。1998年同社設立とともに代表取締役社長に就任。関連会社の代表や財団法人の代表理事も兼任し、現在に至る。 |
| 磯貝 翼 | 取締役営業本部長 | 2005年メディアバスターズ入社。SBヒューマンキャピタル等を経て2017年同社入社。ネット事業部長、経営企画室長などを歴任し、2022年より現職。 |
社外取締役は、明歩谷秀邦(元西武信用金庫恵比寿支店長)、川原武浩(ふくや代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「実演販売関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) TV通販
TV通販番組や24時間テレビショッピングチャンネル向けに商品を卸売りする事業です。番組には同社の実演販売士が出演し、商品の魅力を視聴者に深く訴求します。
収益は、TV通販番組運営会社(ジュピターショップチャンネルやロッピングライフ等)への商品卸売による対価です。運営は主に同社が行っています。
■(2) ベンダー販売
小売店(東急ハンズ、ロフト等)に対して商品を卸売りし、店頭で販売する事業です。実演販売士が店頭で実演を行ったり、販促動画を提供したりして販売を促進します。
収益は、小売店への商品卸売による対価です。運営は主に同社が行っています。
■(3) インターネット通販
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールにて商品を販売する事業です。実演販売士が出演する動画を用いて商品の特徴や使用方法を説明します。
収益は、一般消費者への商品販売による対価です。運営は主に同社が行っています。
■(4) セールスプロモーション
企業からの依頼に基づく実演販売士の派遣、動画制作・出演、およびクラウドファンディング事業「わくたん」の運営を行う事業です。
収益は、依頼主からの出演料・制作費や、クラウドファンディング運営による手数料等です。運営は主に同社が行っています。
■(5) デモカウ
直営店舗および自社ECサイト「デモカウ」にて商品を直接消費者に販売する事業です。店舗では実演販売士が接客を行い、顧客ニーズの把握や商品企画へのフィードバックも担います。
収益は、一般消費者への商品販売による対価です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にあり、第23期の68億円から第27期には21億円まで縮小しています。利益面では第25期以降、経常損失および当期純損失が続いていますが、第27期は前期と比較して赤字幅が縮小しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 68億円 | 39億円 | 26億円 | 22億円 | 21億円 |
| 経常利益 | 9.3億円 | 1.3億円 | -1.2億円 | -3.7億円 | -2.8億円 |
| 利益率(%) | 13.7% | 3.5% | -4.6% | -16.8% | -13.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5.8億円 | 0.9億円 | -1.3億円 | -12.8億円 | -4.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は減少しましたが、売上総利益率は37.0%から43.3%へと改善しています。これは海外製品の直接調達による原価低減などが寄与しています。販売費及び一般管理費は微減にとどまりましたが、利益率の改善により営業損失の幅は縮小しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 22億円 | 21億円 |
| 売上総利益 | 8.2億円 | 8.9億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.0% | 43.3% |
| 営業利益 | -3.7億円 | -2.8億円 |
| 営業利益率(%) | -16.8% | -13.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.1億円(構成比18%)、販売手数料が2.2億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期はTV通販とインターネット通販が増収となった一方、ベンダー販売とセールスプロモーションが減収となりました。TV通販は新規商品採用が奏功し、ネット通販は主力商品の販売が好調でした。一方、ベンダー販売は取扱商品数減少の影響を受けました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) |
|---|---|---|
| TV通販 | 8.3億円 | 8.4億円 |
| ベンダー販売 | 5.7億円 | 3.5億円 |
| インターネット通販 | 6.3億円 | 7.1億円 |
| セールスプロモーション | 1.2億円 | 0.9億円 |
| デモカウ | 0.5億円 | 0.5億円 |
| その他 | 0.0億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 22億円 | 21億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
コパ・コーポレーションは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、商品の仕入代金や一般管理費などの運転資金需要に対応しております。投資活動によるキャッシュ・フローは、社内システム投資などの設備資金需要を反映しております。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期運転資金の調達と返済に関わる動きを示しております。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -4.0億円 | -2.1億円 |
| 投資CF | -1.1億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -2.5億円 | -0.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「やさしさと感動を売って、人々に笑顔を与える」ことを存在意義として掲げています。実演販売を商いの王道と考え、その可能性を追求する総合商社であり続けることを目指しています。また、時代によって変わる正しい生活文化を提案し、実演販売の文化を清く正しく承継していくことを経営の方針としています。
■(2) 企業文化
実演販売の力を重視する文化があり、「営業力」「広告宣伝力」「商品企画力」の3要素によって支えられています。実演販売士が消費者の目の前で商品を使用して見せ、能動的に需要を喚起します。また、「売の極意塾」という育成システムを通じて、販売スキルだけでなく商品企画もできる人材(実演アンカーマン)を継続的に輩出する仕組みを整えています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、売上高、営業利益および営業利益率を重要な経営指標として位置付けています。具体的な数値目標は記載されていませんが、販売力の強化、価格交渉等による売上原価の低減、費用削減に取り組むことで、売上高および営業利益の増加、営業利益率の上昇を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
独自の「3Dマーケティング販売戦略」を推進しています。これは実演販売士がTV通販で需要を喚起し、ベンダー販売やネット通販など異なるチャネルへ波及させ、利益を最大化する戦略です。今後の重点施策として、ライブコマースとクラウドファンディングを組み合わせた「わくたん」事業の強化や、海外製品の直接調達による原価率低減を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は実演販売士の育成を競争力の源泉と位置づけています。「売の極意塾」という独自の講座を通じて、販売スキルや法令知識に加え、商品企画もできる「実演アンカーマン」の育成に注力しています。また、中途採用による柔軟な人員増強で優秀かつ多様な人材を確保し、即戦力を重視した教育により組織全体のレベルアップを図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 38.3歳 | 4.0年 | 541万円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(正規) | 90.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性育児休業取得率、男女賃金差異(全労働者・非正規)については、公表義務の対象ではない等の理由により有報への記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境の影響
複数の販売チャネルを持っていますが、景気動向や円安、インフレによる消費者マインドの低下など、外部経済環境の変動により消費者の需要が減少した場合、同社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定販売先への依存
TV通販会社や大手ECモールへの依存度が高く、当期における売上高の23.4%がジュピターショップチャンネル、22.1%がアマゾンジャパン合同会社向けです。これらの販売先との契約終了や取引方針の変更が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 実演販売士の確保・育成
同社の強みは実演販売にあり、実演販売士の育成と採用を継続的に行っています。しかし、人材の確保や育成が計画通りに進まない場合や、既存の実演販売士が社外へ流出した場合、販売力や商品企画力に影響が出る可能性があります。
■(4) 在庫リスク
商品は基本的に自ら仕入れて在庫として保有するため、消費者需要の減少により在庫過多となった場合、棚卸資産の評価減が必要となる可能性があります。特に独占販売商品において仕入先から一定の売上目標を設定される場合、過大な在庫を保有するリスクがあります。



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