※本記事は、KLab株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
KLabは、スマートフォン向けアプリを中心としたモバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を主軸に事業を展開しています。マンガやアニメなどのIPを活用したゲーム開発に注力するほか、GPU AIクラウド事業や総合AIエンタテインメント事業も手掛けています。
単体従業員数は294名、連結従業員数は322名です。同社グループの事業セグメントはゲーム事業とその他の2つです。
同社グループは、収益のボラティリティが大きいゲーム事業への依存からの脱却を図るため、GPU AIクラウド事業及び総合AIエンタテインメント事業を新たに立ち上げています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
KLabはモバイルオンラインゲームを主力事業とする企業です。エンタテインメントコンテンツを通じて世界中のユーザーに価値を提供しており、その事業特性から、従業員の専門性や創造性が重視される環境がうかがえます。給与水準や働き方についても、そうした事業背景を反映した特徴が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期的にキャリアを形成できる環境が整っていることがうかがえます。平均勤続年数と平均年齢からは、一定の経験を積んだ人材が活躍している傾向が見て取れます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,814,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.0年 |
| 平均年齢 | 39.0歳 |
| 単体従業員数 | 294人 |
| 連結従業員数 | 322人 |
| 単体のグループ内比率 | 91.3% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「世界と自分をワクワクさせろ」というミッションのもと、全従業員が働くことを楽しみ、能力を十分に発揮できる職場環境の整備と人材育成の支援を重視しています。これは事業の成長に資すると考えられています。
人材育成および社内環境整備に関する方針として、多様性の確保を含めた人材の育成・強化に努めています。具体的には、従業員が能力を発揮・成長できる評価・表彰制度、ワークライフバランスの確保、各種研修制度の導入などを通じて労働環境の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 66.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 72.9% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
KLabは、主にモバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を手掛ける企業です。既存タイトルの安定運用と新作タイトルの開発に注力しつつ、新たな事業領域への展開も進めています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
KLabグループは、KLab、連結子会社2社、持分法適用関連会社1社で構成されています。マンガやアニメなどのIP(知的財産)を活用したモバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を主軸として事業を展開しています。収益は主にゲーム内課金から得られています。
当連結会計年度においては、既存タイトルである『BLEACH Brave Souls』や『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』の安定運用に努めました。また、2026年リリース予定の新作タイトル『ドラゴンクエストスマッシュグロウ』やTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』のIPを活用したタイトルの開発にも注力しています。
同社グループは、収益のボラティリティが大きいゲーム事業への依存からの脱却を図るため、新たな経営戦略としてGPU AIクラウド事業及び総合AIエンタテインメント事業を立ち上げています。このうち、GPU AIクラウド事業におけるGPUサーバーの販売が堅調に推移し、売上高に貢献しました。
同社グループの売上高は、日本とその他の国又は地域に分けられます。当連結会計年度においては、その他の国又は地域からの売上高が日本を上回る構成となっています。主要な顧客としては、Apple Inc.、Google Inc.、Xsolla (USA), Inc.が挙げられます。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| ゲーム事業 | 82.4億円 | 63.7億円 |
| その他の事業セグメント | 71百万円 | 4.9億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向にあります。営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失が継続して計上されています。
当連結会計年度においては、売上高は前期から減少しました。営業損失は前期から改善しましたが、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失は前期から悪化しています。親会社株主に帰属する当期純損失の主な要因としては、ソフトウエア資産の減損損失の計上が挙げられます。一方で、投資有価証券の売却による収入や株式の発行による収入により、現金及び現金同等物の期末残高は増加しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 239億円 | 169億円 | 107億円 | 83.1億円 | 68.6億円 |
| 経常利益 | △10.3億円 | △73百万円 | △8.5億円 | △12.8億円 | △14.2億円 |
| 経常利益率 | △4.3% | △0.4% | △8.0% | △15.4% | △20.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △34.7億円 | △5.4億円 | △18.2億円 | △27.8億円 | △41.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △90.38 | △13.97 | △44.98 | △62.91 | △73.53 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期から増加しています。これは売上高が減少する一方で、従業員数が大幅に減少したことによるものです。
従業員1人あたりの営業利益(連結)は、営業損失が継続しているものの、前期から改善傾向にあります。これは全社的なコストコントロールや人員削減といった固定費の縮小が影響していると考えられます。これらの指標は、組織の効率化が進められている状況を示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.1百万円 | 21.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △2.9百万円 | △4.1百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
KLabは、事業構造の転換と費用削減を進める中で、財務基盤の強化に取り組んでいます。本業の資金流動性には課題が見られるものの、投資活動と財務活動により手元資金は増加しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
KLabの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期で76.9%となっており、前期の65.6%から増加しています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。一方で、ROE(自己資本利益率)は当期で△40.6%と、前期の△25.6%からさらに悪化しており、収益性には課題が見られます。現金及び預金は当期で52.1億円と、前期の16.1億円から大きく増加しており、手元資金は厚みを増しています。これらの状況は、事業の安定性や将来の成長投資の余力に影響を与える財務状況を示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 104億円 | 103億円 |
| 自己資本比率 | 65.6% | 76.9% |
| ROE(自己資本利益率) | △25.6% | △40.6% |
| 現金及び預金 | 16.1億円 | 52.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
KLabのキャッシュフローを見ると、当期は営業活動によるキャッシュフローが18.0億円の減少となりました。これは主に減損損失の計上や税金等調整前当期純損失の計上によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュフローは24.8億円の増加となり、これは投資有価証券の売却による収入が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローも29.2億円の増加となり、株式の発行による収入が大きく寄与しています。結果として、フリーキャッシュフローは6.8億円のプラスとなっています。本業での資金創出力には課題が見られるものの、資産売却や資金調達により手元資金を確保している状況です。このような資金の流れは、事業の再構築や新たな成長分野への投資に向けた財務戦略を示しており、今後の事業展開や雇用安定性に影響を与える要素となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1.4億円 | △18.0億円 |
| 投資CF | △10.5億円 | 24.8億円 |
| 財務CF | 5.6億円 | 29.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △11.8億円 | 6.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
KLabは、継続して営業赤字および営業活動によるキャッシュフローのマイナスを計上していたことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在していました。しかし、当連結会計年度末において、この状況は解消したと判断されています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、モバイルオンラインゲーム市場における競合の激化が挙げられています。また、ゲーム事業の収益がApple Inc.およびGoogle Inc.のプラットフォーマーに大きく依存しているため、これらの規約や手数料率の変更が事業に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、高度化・多様化するゲーム開発に対応できる専門人材の育成および確保のための投資が必要であることが挙げられています。先進技術に対応できるエンジニア等の専門人材の採用・育成を強化することで、市場環境の変化に対応し、競争力の維持・向上を図る方針です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
KLabは、「世界と自分をワクワクさせろ」という企業ミッションを掲げ、グローバルにエンタテインメントコンテンツを展開しています。世界中のユーザーをひとつにつなげることを目指し、常に新しい価値創造に挑戦する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
KLabは、「世界と自分をワクワクさせろ」を企業ミッションに掲げています。グローバルに展開する企業として確固たる地位を築くことを目指し、事業を推進しています。
主力であるモバイルオンラインゲーム事業では、現状を打破し、黒字化と業績のV字回復を最優先の経営課題としています。また、特定の事業環境に左右されない強固な収益基盤を構築するため、「IP/エンタメ」「AI」「ブロックチェーン」の3つの領域で経営の多角化を進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
KLabグループは、企業ミッション「世界と自分をワクワクさせろ」のもと、全従業員が働くことを楽しみ、能力を十分に発揮できる職場環境の整備と人材育成の支援を重視しています。多様性の確保を含めた人材の育成・強化のため、評価・表彰制度やワークライフバランスの確保、各種研修制度の導入など、労働環境の整備に努めることを方針としています。
モバイルオンラインゲーム事業では「少数精鋭主義」を徹底し、意思決定の迅速化と開発・運営の効率化により「スピード」と「質」の両立を図っています。新規事業創出においては、多産多死戦略のもと、AIを活用して仮説構築から検証、意思決定までを高速に循環させるプロセスを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
KLabグループは、事業拡大のために優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。ミッション・ビジョンを体現し、将来的に企業を牽引する人材を育成すべく、採用活動、教育研修、人事制度改革に継続して取り組んでいます。
また、モバイルオンラインゲーム業界の技術革新に対応するため、新技術をゲーム開発に活かす研究開発を進めています。サービスの健全性向上とユーザーの安全性確保も重視し、関係機関や同業他社と連携して、ユーザーが安心してサービスを利用できる環境の提供に努めています。持続的な成長のため、コーポレートガバナンスの強化・充実も図っています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
KLabは取締役会設置会社であり、監査等委員会設置会社です。同社は経営の効率化と健全性・透明性の確保を重視し、コーポレート・ガバナンスの強化・充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
KLabの株主構成を見ると、筆頭株主はINTERACTIVE BROKERS LLCであり、機関投資家が上位に名を連ねています。その他、信託銀行や証券会社など多様な株主によって支えられていることが特徴です。特定の株主が第三者割当増資により株式を引き受けた経緯も確認できます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| INTERACTIVE BROKERS LLC(常任代理人:インタラクティブブローカーズ証券) | 12.81% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.52% |
| 楽天証券共有口 | 4.60% |
なお、INTERACTIVE BROKERS LLCは、2025年12月23日に同社が第三者割当増資のために発行した株式を引き受けたULTIMATE CLASSIC INVESTMENT LLCの株式をその指示により保有しているため、主要株主となっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは真田哲弥氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 真田 哲弥 | 代表取締役社長CEO | 1998年9月 ㈱サイバードを設立取締役副社長。2000年8月 同社を設立 代表取締役会長。2001年3月 同社代表取締役社長。2022年4月 ㈱BLOCKSMITH&Co.代表取締役社長。2025年3月 同社代表取締役社長CEOより現職。 |
| 五十嵐 洋介 | 取締役 | 2000年2月 ヴィジョンアーツ㈱入社。2003年8月 同社入社。2005年6月 同社取締役。2018年3月 同社代表取締役副社長COO。2025年3月 同社取締役より現職。 |
| 高田 和幸 | 取締役CFO | 2008年6月 ベリングポイント㈱入社。2010年9月 同社入社。2012年4月 同社経営管理部長。2015年3月 同社常務取締役CFO。2025年3月 同社取締役CFOより現職。 |
| 中根 良樹 | 取締役 | 1999年4月 日本電信電話㈱入社。2005年4月 同社入社。2009年9月 同社執行役員。2013年4月 同社開発本部長。2019年3月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、井上昌治氏(弁護士・監査等委員)、松本浩介氏(ピクスタ社外取締役・監査等委員)、吉川友貞氏(プライムロード代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会における監督機能の強化を図っています。社外取締役は全員が監査等委員である取締役として、客観的かつ中立な立場から経営を監督する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
KLabの役員報酬は、監査等委員でない取締役に対しては固定報酬と譲渡制限付株式報酬を組み合わせた体系を採用しています。一方、監査等委員である取締役の報酬は、職務の独立性を重視し、業績に連動しない固定報酬としています。この報酬体系は、企業業績と企業価値の継続的な向上を目指し、各取締役の職責と貢献に見合った設計となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.1億円 | 21.3百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 15百万円 | 5.0百万円 |
同社役員報酬の総額は1億2,148万円で、対象となる役員の合計は8名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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