※本記事は、株式会社センチュリー21・ジャパン の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. センチュリー21・ジャパンってどんな会社?
世界的な不動産仲介ブランド「センチュリー21」の日本本部として、全国規模の加盟店ネットワークを展開しています。
■(1) 会社概要
1983年、伊藤忠商事が米国のセンチュリー21・リアルエステートコーポレーションと契約し設立されました。2001年に店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2018年にはSREホールディングス(旧ソニー不動産)やLINEヤフー(旧ヤフー)と業務提携し、不動産取引プラットフォームの活用を開始。2024年にはキッザニア甲子園にパビリオンをオープンするなど、ブランド認知向上に努めています。
同社(単体)の従業員数は85名です。筆頭株主は総合商社の伊藤忠商事であり、第2位は総合不動産会社の中央日本土地建物、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊藤忠商事 | 48.44% |
| 中央日本土地建物 | 6.82% |
| 三井住友信託銀行 | 4.87% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は高坂勇介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 高坂勇介 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1988年伊藤忠商事入社。同社建設第一部長、建設・不動産部門長代行、建設・不動産部門長を経て、2025年4月より同社専務執行役員。同年6月より現職。 |
| 高橋龍二 | 取締役専務執行役員企画本部長 | 1987年伊藤忠商事入社。同社大阪建設部長代行を経て、2010年同社入社。常務取締役西日本営業本部長、常務執行役員東日本営業本部長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 今川憲之 | 取締役営業本部長代行兼九州支店長 | 1987年オフィス・ジャパン入社。2000年同社入社。東京第2本店長、開発部門長などを経て、2024年7月より営業本部長代行兼九州支店長。2025年6月より現職。 |
社外取締役は、矢野孝一(伊藤忠商事 建設第二部長)、森田道明(中央日本土地建物 常務執行役員)、吉本好伸(東西土地建物 取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産フランチャイズ事業」の単一セグメントを展開しています。
■サービスフィー収入
加盟店に対し、国際本部が開発した「センチュリー21マーク等」や「センチュリー21システム」の非独占的使用権を提供しています。加盟店はこれを利用して不動産仲介業等の営業活動を行います。
対価として、加盟店が受領する総売上高(仲介手数料等)の一定割合にあたるサービスフィーを受け取ります。運営は同社が行っています。
■ITサービス収入・加盟金収入
加盟店向けに不動産ポータルサイトへの物件掲載サービスなどのITシステムを提供し、その利用料を受け取ります。また、新規加盟時および契約更新時(5年ごと)には、加盟店から加盟金や更新料を受け取ります。
これらのサービスや権利の提供は、フランチャイザーである同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高(営業収益)は30億円台後半から40億円台へと堅調に推移しています。特に直近の2025年3月期は売上高40.5億円、経常利益11.8億円となり、増収増益を達成しました。経常利益率は20%台後半から30%近くへと高い水準を維持しており、安定した収益基盤を有していることが読み取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 39億円 | 37億円 | 38億円 | 39億円 | 40.5億円 |
| 経常利益 | 10.2億円 | 9.1億円 | 9.3億円 | 9.9億円 | 11.8億円 |
| 利益率(%) | 26.5% | 24.5% | 24.4% | 25.6% | 29.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7.1億円 | 7.4億円 | 6.5億円 | 6.7億円 | 8.0億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。2025年3月期の売上総利益率は76.3%と前年からさらに改善し、高い収益性を維持しています。営業利益についても前年比で増加し、営業利益率は26.5%に達しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 39億円 | 40.5億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 31億円 |
| 売上総利益率(%) | 75.3% | 76.3% |
| 営業利益 | 9.4億円 | 10.7億円 |
| 営業利益率(%) | 24.3% | 26.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び賞与が6億円(構成比29%)、減価償却費が2億円(同11%)を占めています。売上原価においては、サービスフィー原価が4億円(構成比38%)、広告拠出金が4億円(同37%)となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、収入形態別に分析すると、主力のサービスフィー収入が前期比で増加し、収益全体を牽引しています。ITサービス収入も堅調に推移しました。一方、加盟金収入は減少しましたが、全体としてはサービスフィー収入の伸びが寄与し、増収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| サービスフィー収入 | 33億円 | 35億円 |
| ITサービス収入 | 3.1億円 | 3.2億円 |
| 加盟金収入 | 1.6億円 | 1.4億円 |
| その他 | 0.7億円 | 0.7億円 |
| 連結(合計) | 39億円 | 40.5億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、運転資金をすべて自己資金で賄う方針です。
営業活動では、主に税引前当期純利益の計上により資金収入がありました。
投資活動では、有価証券の取得により資金を使用しました。
財務活動では、配当金の支払いにより資金を使用しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 10億円 |
| 投資CF | 0.3億円 | -20億円 |
| 財務CF | -7億円 | -5億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「センチュリー21」ブランドを企業価値の根幹とし、加盟店がお客様から高い評価を得られるようブランド価値向上に努めることを最大のミッションとしています。「住まいを想う仕事、人生を輝かせる使命」をブランドビジョンに掲げ、店舗数とサービス品質の両面で業界のリーダーであることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、常に厳しい行動基準と高い倫理観を持って運営することを重視しています。フランチャイズ全体でデジタル技術を活用しながらも、人によるアナログなサービスの高品質化と地域社会への貢献を追求する文化があります。また、加盟店の経営者や従業員のWell-being実現を支援するため、柔軟な思考力と人間力を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社はフランチャイズビジネスにおいて規模の拡大と効率経営が重要であると考え、以下の指標を重要な経営指標として掲げています。具体的な数値目標については中長期的な視点でその向上を目指しています。
* 加盟店舗数
* 営業収益経常利益率
* 自己資本利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
「センチュリー21ネットワークの規模拡大」と「加盟店成長の為の経営支援」を基本戦略としています。既存フランチャイズ事業の強化として、店舗網拡大や加盟店の業務効率化に向けたIT活用・BPO支援を進めます。また、海外ネットワークを活用したグローバル取引支援や、事業承継問題への対応、シナジーの高い事業への投資や提携を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、加盟企業の発展とWell-being実現を支援するため、柔軟な思考力と人間力を有する人材の育成を目指しています。イノベーション創出が可能な人材を重要な経営資源と捉え、リスキリングによる専門知識の習得やデジタルリテラシーの向上、従業員エンゲージメントの改善に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 48.8歳 | 11.7年 | 7,770,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(77.8%)、平均有給休暇消化率(92.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 業績の変動要因
同社の収益の大半を占めるサービスフィー収入は、加盟店の売上に連動しています。そのため、不動産市況、地価動向、金利水準、法令改正、住宅税制の変更、他社との競争激化など、外部環境の変化によって加盟店の業績が変動した場合、同社の業績も影響を受ける可能性があります。
■(2) フランチャイズ方式について
事業成長には加盟店舗数の増加が重要ですが、当社サービスの質低下、法的規制への違反、他社ブランドへの流出、加盟店による不祥事やイメージダウン等が発生した場合、店舗数が大幅に減少し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) ブランドイメージによる影響
「センチュリー21」の統一ブランドで事業展開しているため、不動産広告の内容に不備や不正があった場合や、それに伴うネガティブな情報・風評が流布した場合には、ブランドイメージが低下し、同社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。