センチュリー21・ジャパン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

センチュリー21・ジャパン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

センチュリー21・ジャパンは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、日本国内で不動産仲介業のフランチャイズシステムを展開する企業です。加盟店の拡充や各種業務支援システムの提供などを通じて収益を得ています。直近の業績は、サービスフィー収入やITサービス収入の増加等により増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社センチュリー21・ジャパンの有価証券報告書(第43期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. センチュリー21・ジャパンってどんな会社?


同社は日本国内で不動産仲介フランチャイズ「センチュリー21」を展開し、加盟店支援を行う企業です。

(1) 会社概要


1983年に設立され、同年センチュリー21・ジャパンへ商号変更し、米国発の不動産フランチャイズ事業を日本で開始しました。2001年に日本証券業協会へ店頭登録、2004年にはジャスダック証券取引所に上場しました。2023年には加盟契約店数が1,000店舗を超えるなど、順調にネットワークを拡大しています。

従業員数は単体で93名体制です。筆頭株主は総合商社の伊藤忠商事で、第2位は中央日本土地建物、第3位は資産管理等を行う三井住友信託銀行となっています。大手企業の出資背景を持ちながら、全国の加盟店に対するフランチャイズネットワークの拡大と支援を通じて、安定した事業運営を行っています。

氏名 持株比率
伊藤忠商事 48.44%
中央日本土地建物 6.82%
三井住友信託銀行 4.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長社長執行役員は高坂勇介氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
高坂勇介 代表取締役社長社長執行役員 1988年伊藤忠商事に入社。建設・不動産部門長などを経て、2025年より現職。
高橋龍二 取締役専務執行役員フランチャイズサポート第1本部長 1987年伊藤忠商事に入社。2010年に同社へ入社し、社長室長などを経て、2025年より現職。
今川憲之 取締役執行役員営業本部長 1987年オフィス・ジャパンに入社。2000年に同社へ入社し、九州支店長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、矢野孝一氏(伊藤忠商事アジア・大洋州住生活グループ長兼伊藤忠シンガポール)、森田道明氏(中央日本土地建物上席常務執行役員)、吉本好伸氏(東西土地建物顧問)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産フランチャイズ事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 不動産フランチャイズ事業


同社は、米国発の不動産仲介業のフランチャイズシステム「センチュリー21」を日本国内で展開するフランチャイザーです。全国の不動産仲介業者を加盟店とし、経営者や営業スタッフに対する教育・研修、各種情報システムの提供、ウェブやマスメディアによる共同広告の実施など、多岐にわたる業務支援を提供しています。

本事業の運営は同社が行っています。主な収益源は加盟店から受け取るサービスフィー(不動産取引による総売上高等の一定割合)です。また、新規加盟時の加盟金や契約更新時の更新料、不動産ポータルサイトへの物件掲載等に伴うITサービス収入などで構成され、安定的なフランチャイズ運営基盤を構築しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績推移を見ると、経常利益および当期利益は概ね安定した成長傾向にあります。一時的な足踏みが見られる時期もありましたが、直近にかけては加盟店網の維持・拡大やITサービス提供等の施策が奏功し、順調な増益基調を維持しています。堅実な事業運営が業績の安定成長に繋がっていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常利益 9億円 9億円 10億円 12億円 12億円
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 7億円 7億円 8億円 9億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益推移を見ると、営業利益は横ばい圏で堅調に推移しています。新規加盟店の獲得やサービス拡充に向けた投資を実施しつつも、安定した本業の収益力を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業利益 11億円 11億円

(3) セグメント収益


同社は「不動産フランチャイズ事業」の単一セグメントであるため、事業全体の業績動向となります。当期は、新規加盟募集の強化やITシステムの利用料計上開始などにより、全体として堅調な収益を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
不動産フランチャイズ事業 40億円 43億円
連結(合計) 40億円 43億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの推移を見ると、営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなる「健全型」のパターンを示しています。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良な状態です。財務指標については、企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.7%であり、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10億円 11億円
投資CF -20億円 -7億円
財務CF -5億円 -6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「住まいを想う仕事、人生を輝かせる使命」をブランドビジョンとして掲げています。企業価値の根幹である「センチュリー21」ブランドの価値向上を最大のミッションと位置づけ、店舗数とサービス品質の両面において常に業界のリーダーとしての自負と自覚を持ち、企業価値の向上と社会貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、独自の対人行動基準である「5軸」(コンプライアンス、フェアネス、当事者意識、チームワーク、人材育成)を掲げ、心理的安全性の高い労働環境の実現を目指しています。また、地域社会との繋がりを重視し、加盟店が地域に根差した活動を通じて人々の生活基盤維持に貢献する企業文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、フランチャイズビジネスにおいて規模の拡大と効率経営が重要であるとの認識に立ち、中長期的な経営目標として「加盟店舗数」「営業総利益経常利益率」「自己資本利益率(ROE)」の向上を掲げています。ブランド価値を高めながら、加盟店各社と共に永続的な成長を実現するための指標として重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


事業戦略の両輪として「ネットワークの規模拡大」と「加盟店成長のための経営支援」を掲げています。具体的には、AI等のデジタル技術を活用した業務効率化支援、加盟店の事業承継サポート、国際ブランドを活かしたインバウンド・グローバル取引の活性化などに注力し、フランチャイズビジネスのさらなる成長を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、全国の加盟企業における事業経営発展や、経営者・従業員のウェルビーイング実現を支援できる人材の育成を方針としています。臨機応変で柔軟な思考力、企業経営者と信頼関係を築く人間力、多様な価値観を包摂できる力を重視し、研修プログラムの拡充や資格取得支援などを通じたスキルアップを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 49.4歳 11.6年 8,066,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンゲージメントスコア(56.6%)、平均有給休暇消化率(86.9%)、離職率(4.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) フランチャイズ方式とブランド維持のリスク


フランチャイズ事業の成長には加盟店舗数の増加が不可欠です。加盟店に対するサービス水準の低下や、一部加盟店による不祥事・法令違反が発生した場合、フランチャイズ全体のブランドイメージ低下を招き、加盟店の流出や業績悪化に繋がるリスクがあります。

(2) 国際本部との契約継続に関するリスク


同社は米国国際本部とのフランチャイズ契約により、日本国内における独自の事業展開権を永久保有しています。しかし、重大な契約違反が発生し是正されない場合などは契約解除権を行使される可能性があり、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(3) システム運用と情報セキュリティリスク


加盟店向けの営業支援システム等の開発・維持には多額の投資が必要です。大規模災害やサイバー攻撃によるシステム障害、情報漏洩が発生した場合、加盟店への賠償責任や一般消費者からの信用失墜を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。