※本記事は、平安レイサービス株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 平安レイサービスってどんな会社?
神奈川県湘南エリアを中心に、葬儀式場や結婚式場を展開する冠婚葬祭サービスの専門企業です。
■(1) 会社概要
同社は1969年、神奈川県平塚市に株式会社雅裳苑として設立されました。1999年に株式会社湘和を合併し、現商号である平安レイサービス株式会社に変更しています。2002年に日本証券業協会へ株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所(現スタンダード市場)へ上場しました。2020年にはエリア強化のため、さがみライフサービス株式会社を子会社化しています。
2025年3月31日現在の連結従業員数は293名、単体では201名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役会長の相馬秀行氏、第2位は小余綾弘産株式会社、第3位は事業会社の光通信株式会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 相馬秀行 | 20.42% |
| 小余綾弘産 | 18.32% |
| 光通信 | 3.58% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は山田朗弘氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 相馬 秀 行 | 代表取締役会長 | 1983年11月同社入社。専務取締役管理本部長、代表取締役社長、へいあん代表取締役社長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 山 田 朗 弘 | 代表取締役社長 | 1999年9月へいあん入社。同社事業本部長、専務取締役事業本部長兼県央事業部長、代表取締役専務取締役管理本部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 原 田 教 夫 | 取締役事業本部長 | 1993年1月同社(旧湘和)入社。西事業部長、事業本部長兼県央事業部長などを経て、2019年6月より現職。さがみライフサービス代表取締役を兼務。 |
| 土 屋 浩 彦 | 取締役 | 2003年1月へいあん入社。同社取締役、シンエイ・クリエート・サービス代表取締役、同社取締役管理本部長などを経て、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、藤田和重(公認会計士・監査法人シドー代表社員)、芝田弘美(プリズムゲート代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「冠婚事業」「葬祭事業」「互助会事業」「介護事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 冠婚事業
神奈川県茅ヶ崎市と小田原市にある2拠点の婚礼施設にて、一般個人や互助会加入者を対象に結婚式を施行しています。また、平塚市の店舗では貸衣裳、写真撮影、着付け等のサービスを提供しています。
収益は、顧客からの挙式・披露宴代金や衣裳レンタル料、サービス料などから得ています。運営は、施設の運営およびサービスの提供を同社が行い、料理については子会社の山大商事株式会社を通じて仕入れています。
■(2) 葬祭事業
神奈川県および東京都に「湘和会堂」「湘和会館」など合計53拠点の葬祭施設を有し、葬儀施行サービスや仏壇仏具販売を行っています。小規模化する葬儀ニーズに対応した施設展開やフランチャイズ加盟社の募集も行っています。
収益は、個人や法人顧客からの葬儀施行代金、仏壇仏具の販売代金などから得ています。運営は主に同社が行っていますが、神奈川県小田原市の一部施設については子会社のさがみライフサービス株式会社が担当しています。料理や返礼品は子会社の山大商事株式会社から仕入れています。
■(3) 互助会事業
神奈川県湘南エリアを地盤とする冠婚葬祭互助会の運営を行っています。互助会加入者の募集営業や会員情報の管理業務を担い、会員の冠婚葬祭施行を同社へ斡旋しています。
収益は、互助会加入者からの掛金や、同社への施行斡旋に基づく手数料収入などが主な源泉です。運営は連結子会社の株式会社へいあんが行っており、同社とは施行斡旋保証契約を締結しています。
■(4) 介護事業
神奈川県湘南エリアを中心に、訪問介護・看護、福祉用具の販売・レンタルを行う居宅介護事業を展開しています。また、グループホームやデイサービス併設の高齢者向け賃貸住宅を運営し、介護サービスを提供しています。
収益は、利用者からの介護サービス利用料や介護保険給付費、福祉用具の販売・レンタル料などから得ています。運営は連結子会社の株式会社へいあんが行っています。
■(5) その他
上記報告セグメントに含まれない事業として、物流事業を行っています。
収益は、グループ内の諸施設への料理や返礼品等の提供に伴う対価です。運営は連結子会社の山大商事株式会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加傾向にあり、順調に規模を拡大しています。利益面でも、経常利益は毎期増加しており、利益率も10%台後半の高い水準を維持しています。当期純利益については変動が見られるものの、直近期では過去最高益となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 90億円 | 97億円 | 101億円 | 106億円 |
| 経常利益 | 11億円 | 14億円 | 16億円 | 18億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 13.1% | 15.2% | 16.8% | 17.5% | 17.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 9億円 | 11億円 | 8億円 | 14億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益および営業利益も増加しました。売上総利益率は30%台前半で安定しており、営業利益率も16%台を維持しています。増収効果が利益の押し上げに寄与した形です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 101億円 | 106億円 |
| 売上総利益 | 32億円 | 34億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.4% | 32.1% |
| 営業利益 | 16億円 | 17億円 |
| 営業利益率(%) | 16.2% | 16.4% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が5.4億円(構成比32.4%)、給与手当が3.6億円(同22.0%)を占めています。売上原価においては、労務費が32.1億円(構成比44.7%)、経費が23.1億円(同32.0%)となっています。
■(3) セグメント収益
主力の葬祭事業は、施行件数および単価の増加により増収増益となりました。互助会事業と介護事業も増収増益で推移しています。一方、冠婚事業は売上高・利益ともに減少し、苦戦しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 冠婚 | 3億円 | 3億円 | 0.4億円 | 0.4億円 | 12.8% |
| 葬祭 | 87億円 | 92億円 | 25億円 | 26億円 | 28.5% |
| 互助会 | 0.0億円 | 2億円 | 1億円 | 1億円 | 61.5% |
| 介護 | 11億円 | 11億円 | 0.2億円 | 0.3億円 | 2.3% |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | 4.6% |
| 調整額 | -2億円 | -2億円 | -10億円 | -11億円 | - |
| 連結(合計) | 101億円 | 106億円 | 16億円 | 17億円 | 16.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業で稼いだ資金で借入返済を行いつつ、手元資金で投資も賄えている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15億円 | 14億円 |
| 投資CF | -11億円 | -39億円 |
| 財務CF | -5億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均(7.2%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.6%で市場平均(48.5%)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「真心込めた行動でお客様のお役に立つ」という経営方針のもと、結婚式・葬儀式・ヘルスケアを中心としたライフサイクル全般にわたるサービスを通じて顧客満足を実現し、地域社会に貢献することを経営理念としています。
■(2) 企業文化
同社は儀式文化を重要視し、人と人との繋がりを大切にする姿勢を持っています。環境変化に対応しつつ、個々のニーズに応える商品・サービス開発やコスト改善、人材の適正確保を行い、生産性向上を目指す風土があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、連結営業利益率とその成長を重要な経営指標として位置づけています。具体的には、連結営業利益率17%以上を目標とし、利益の確保と安定的な成長を図る方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
新商品・新サービスの企画と提案販売を促進し、オリジナル商品や周辺売上の強化を図ります。また、既存営業エリアの地盤強化と新規エリアへの拡大を進め、小規模化に対応した施設の改修や建替えを行います。さらに、内製部門の自動化やマルチジョブスタッフの育成により、生産性と労務効率の向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を競争力の源泉と捉え、少子高齢化による人手不足に対応するため、定年年齢の見直しや働き方の多様化を進めています。ジェンダー平等に配慮した採用や女性幹部の登用、育児両立支援制度の整備に注力し、ワークライフバランスの推進を通じて生産性と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.6歳 | 13.3年 | 5,577,219円 |
※平均年間給与は、当期中の支給実績であり、基準外賃金及び賞与を含めております。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.0% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 48.4% |
| 男女賃金差異(正規) | 61.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 96.7% |
※男性労働者の育児休業取得率は、該当者がいない等の理由により「-」となっています。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人口動態による業績の影響
20歳~39歳の人口減少に伴い、冠婚事業の利用者総数の減少が予想されます。一方、高齢者人口の増加により葬祭事業の利用者は増加傾向にあります。同社の事業は、これら将来の人口動態の変化により、業績に影響を受ける可能性があります。
■(2) 冠婚部門・葬祭部門における施行受注件数の季節的変動について
結婚式は春・秋に集中しやすく、葬儀式は冬場に死亡者数が増加する傾向があります。こうした季節的な人口動態の推移により、月ごとの施行受注件数や収益が増減し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 高齢単身世帯数の変動による業績の影響
核家族化や未婚化の進行により高齢単身世帯が増加しています。これにより、葬儀の会葬者数が減少したり、火葬のみの形式が増加したりする可能性があり、葬祭事業の単価下落などを通じて業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 当社施設の立地・開発による業績の影響
葬祭ホールの新規出店には、好立地の確保や周辺住民への説明・理解が必要です。条件に合う物件の検索やオーナー・住民との交渉が難航した場合、施設計画に遅れが生じ、業績に影響を与える可能性があります。



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