※本記事は、コアの有価証券報告書(第57期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コアってどんな会社?
独立系のITソリューションプロバイダーとして、社会課題解決型のシステム開発を幅広く手掛けています。
■(1) 会社概要
1969年に独立系ソフトウェア会社として設立され、1973年にコアグループを結成し組込みシステム開発に着手しました。1997年に関連会社7社を吸収合併して現在の社名となり、2003年に東京証券取引所市場第二部へ上場、翌年には市場第一部へ指定されました。近年も積極的なM&Aにより事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結で1,444名、単体で1,013名です。筆頭株主は創業者の関連会社であるタネムラコーポレーションで、第2位はシージー・エンタープライズ、第3位はコア従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| タネムラコーポレーション | 14.58% |
| シージー・エンタープライズ | 13.03% |
| コア従業員持株会 | 7.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。
代表取締役会長最高経営責任者を種村良平氏、代表取締役社長執行役員最高執行責任者を横山浩二氏が務めています。社外取締役の比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 種村良平 | 代表取締役会長最高経営責任者 | 1973年コアグループ結成代表。同年システムコア(現コア)代表取締役社長。2003年より現職。 |
| 横山浩二 | 代表取締役社長執行役員最高執行責任者 | 1995年西日本シンクタンク(現コア)入社。エンベデッドソリューションカンパニー社長等を経て2024年より現職。 |
| 牛嶋友美 | 取締役副社長執行役員最高戦略責任者M&A推進担当グローバル推進担当社会ソリューションカンパニー社長 | 2004年日本アイ・ビー・エム入社。2008年コア入社。管理統括本部長などを歴任し、2026年より現職。 |
| 神山裕司 | 取締役専務執行役員ESG推進担当 | 1991年山武ハネウエル(現アズビル)入社。1998年コア入社。中四国カンパニー社長等を歴任し、2026年より現職。 |
| 亀谷良 | 取締役専務執行役員最高情報責任者中四国カンパニー社長 | 1995年西日本シンクタンク(現コア)入社。ビジネスソリューションカンパニー社長等を歴任し、2026年より現職。 |
| 市川卓 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年日本ソフトウェア開発(現システナ)入社。2005年コア入社。最高財務責任者等を歴任し、2022年より現職。 |
社外取締役は、小林利典(大阪中小企業投資育成社長)、竹野俊成(竹野公認会計士事務所所長)、圷由美子(東京弁護士会総務委員会副委員長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「未来社会ソリューション事業」「産業技術ソリューション事業」「顧客業務インテグレーション事業」を展開しています。
■未来社会ソリューション事業
環境や生活基盤などの未来における社会課題に対し、自社の特長を活かして高付加価値なソリューションを創出しています。公共分野やエネルギー分野、医療分野を中心にシステムやサービスを提供しています。
顧客からのシステム開発受託やクラウドサービスの利用料などが主な収益源です。運営はコアのほか、コアネットインタナショナル、レゾナが行っています。
■産業技術ソリューション事業
顧客が有する業務課題に対し、IoT(AI)やGNSSなどの特化ICT技術を活かしたソリューションを提供しています。IT点呼システムや製造業向けソリューション、メディア向けシステム開発などを手掛けています。
システム開発受託やパッケージ製品の販売、ライセンス料などが収益源となっています。運営は主にコア、ギガ、ラムダシステムズ、コア興産などが行っています。
■顧客業務インテグレーション事業
顧客業務に対し、業務知識やノウハウを活かしたICTトータルサービスを提供しています。金融分野の信販系システムや、流通分野の運送会社向けシステムなどの受託開発を中心に担っています。
システム開発・構築に関する受託開発費用が主な収益源となっています。運営はコアを中心に、ソフト流通センター、システムファクトリーかごしま、アコード・システム、プロネットが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間で売上高・利益ともに継続的な拡大を達成しています。特に利益率の改善が進んでおり、高付加価値型ソリューションへのシフトやプロジェクト管理の徹底が成果として表れています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 218億円 | 228億円 | 240億円 | 246億円 | 265億円 |
| 経常利益 | 25億円 | 28億円 | 32億円 | 33億円 | 39億円 |
| 利益率(%) | 11.2% | 12.3% | 13.4% | 13.3% | 14.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 16億円 | 18億円 | 20億円 | 22億円 | 25億円 |
■(2) 損益計算書
前年度から売上高が増加したことに伴い、売上総利益・営業利益ともに拡大しました。売上総利益率および営業利益率も向上しており、収益力の強化が進んでいることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 246億円 | 265億円 |
| 売上総利益 | 68億円 | 76億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.6% | 28.7% |
| 営業利益 | 32億円 | 38億円 |
| 営業利益率(%) | 12.9% | 14.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比29%)、研究開発費が2.7億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
売上規模の最も大きい産業技術ソリューション事業が順調に拡大し、全社業績を牽引しています。未来社会ソリューション事業も公共分野等の好調により成長を続けている一方、顧客業務インテグレーション事業は微減となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 未来社会ソリューション事業 | 46億円 | 51億円 |
| 産業技術ソリューション事業 | 120億円 | 137億円 |
| 顧客業務インテグレーション事業 | 80億円 | 78億円 |
| 連結(合計) | 246億円 | 265億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 20億円 |
| 投資CF | 0.5億円 | -8.1億円 |
| 財務CF | -11億円 | -6.4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.7%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も73.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
コアグループは、ベンチャースピリッツを原点に「絶えず新たな付加価値を創出する」「高い倫理観をもって社会に貢献する」という2つの企業使命を掲げています。独立系のITソリューションサービス会社として、常にエンドユーザー主体のサービスを中心に、情報サービス産業の核(CORE)となることを目指しています。
■(2) 企業文化
「Speed・Simple・Self・創(Creative)・技(Technology)・動(Action & Challenge)」の精神に、「Idea・Fight・Service」を加えた『<3S-CTAC>+IFS』を企業価値追求のスローガンとしています。多様な価値観を重視し、失敗を恐れず前向きに挑戦できる環境を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
情報サービス業界平均を上回る成長率確保を念頭に、各種経営指標の目標値を設定し事業を推進しています。
・売上高営業利益率:15%以上
・自己資本利益率(ROE):15%以上
・自己資本比率:50%以上
・配当性向:30%
■(4) 成長戦略と重点施策
これまでの社会課題解決力を基盤に、「ソリューションプラットフォーマー」としてビジネスモデルを進化させます。AI活用を前提とした新ソリューションの創出や、クローズド環境でのAIプラットフォーム全国展開を推進します。あわせて、M&Aによる事業規模拡大やAIを活用した人材育成に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「AIファースト」を掲げ、高付加価値を創出するAI人材の育成に注力しています。また、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を推進するとともに、柔軟な働き方や健康経営の推進、リスキリングの支援など、従業員一人ひとりが心身ともに健やかに能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.6歳 | 15.6年 | 7,006,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 3.3% |
| 男性育児休業取得率 | 72.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 83.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 85.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 72.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(74.6%)、離職率(5.7%)、G検定合格者(累計)(185人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) プロジェクト管理の不確実性
システム開発のプロジェクトにおいては、事前の見積りや進捗管理の不備により、実際の原価が見積りを上回るなど採算が悪化するリスクがあります。同社はプロジェクト審査会等を通じた進捗モニタリングや開発体制の適正化を図り、プロジェクト管理体制の強化に努めています。
■(2) 情報セキュリティ上の脅威
サイバー攻撃の巧妙化や不正アクセス、過失による情報漏洩が発生した場合、システムの停止や損害賠償、社会的信用の失墜につながるリスクがあります。対策として、国際的基準に基づいたセキュリティ管理体制の構築と従業員教育を徹底し、事業継続性の確保に努めています。
■(3) IT人材の確保と育成
IT業界の人材獲得競争の激化により、必要な専門人材の採用が計画通りに進まない、あるいは中核人材が流出するリスクがあります。採用DXの推進やAIを活用した育成プログラム、健康経営の実践などを通じて、働きがいのある環境づくりと人的資本の強化に取り組んでいます。



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