※本記事は、株式会社コア の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コアってどんな会社?
独立系のITソリューション企業として、組込み系から業務系まで幅広いシステム開発と自社製品を展開しています。
■(1) 会社概要
1969年にシステムコアとして設立され、1973年にコアグループを結成しました。2003年に東証二部へ上場し、翌2004年に東証一部へ指定替えとなりました。2016年にはレゾナを子会社化するなどグループを拡大し、2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しました。現在も独立系の強みを活かし、全国拠点で事業を展開しています。
連結従業員数は1,310名、単体では997名が在籍しています。筆頭株主はタネムラコーポレーション、第2位はシージー・エンタープライズ、第3位はコア従業員持株会となっており、創業家関連の資産管理会社等が大株主の上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| タネムラコーポレーション | 14.58% |
| シージー・エンタープライズ | 13.03% |
| コア従業員持株会 | 7.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長最高経営責任者には種村良平氏が就任しています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 種村 良平 | 代表取締役会長最高経営責任者 | 1973年コアグループ結成代表。同年システムコア(現コア)社長を経て、2003年より現職。 |
| 横山 浩二 | 代表取締役社長執行役員最高執行責任者 | 1995年入社。中四国カンパニー社長、エンベデッドソリューションカンパニー社長、専務執行役員などを経て2024年より現職。 |
| 神山 裕司 | 取締役専務執行役員最高財務責任者最高情報責任者経営統括本部長関係会社担当 | 1998年入社。ラムダシステムズ社長、エンベデッドソリューションカンパニー社長、ソリューションビジネス本部長などを経て2024年より現職。 |
| 亀谷 良 | 取締役専務執行役員中四国カンパニー社長産業技術ソリューション事業セグメントオーナー | 1995年入社。ビジネスソリューションカンパニー社長、関西カンパニー社長を経て、2024年6月より現職。 |
| 牛嶋 友美 | 取締役最高戦略責任者グローバル推進担当 | 2004年日本アイ・ビー・エム入社。2008年同社入社。ビジネスソリューションカンパニー社長などを経て2022年より現職。 |
| 市川 卓 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年日本ソフトウェア開発(現システナ)入社。2005年同社入社。ビジネスソリューションカンパニー社長、CFOなどを経て2022年より現職。 |
社外取締役は、小林利典(大阪中小企業投資育成代表取締役社長)、竹野俊成(竹野公認会計士事務所所長)、圷由美子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「未来社会ソリューション事業」「産業技術ソリューション事業」および「顧客業務インテグレーション事業」を展開しています。
■(1) 未来社会ソリューション事業
官公庁や自治体向けの公共システム、医療機関向けの電子カルテソリューション、エネルギー関連システムなどを提供しています。環境や生活基盤における社会課題に対し、自社の技術とノウハウを活かした高付加価値なソリューションを創出しています。
収益は、システム開発やソリューション導入に伴う対価、および保守・運用サービスの利用料などから得ています。運営は主に同社が中心となり、子会社のコアネットインタナショナルやレゾナなども事業を展開しています。
■(2) 産業技術ソリューション事業
DX(デジタルトランスフォーメーション)やIoT、AI、自動運転、GNSS(衛星測位システム)などの先端技術を活用したソリューションを提供しています。顧客企業の製品開発や業務課題に対し、特化したICT技術で支援を行います。
収益は、受託開発費や技術支援サービスの対価、自社プロダクトのライセンス料などから得ています。運営は同社のほか、子会社のギガやラムダシステムズなどが担っています。
■(3) 顧客業務インテグレーション事業
金融、製造、流通など幅広い業界の顧客に対し、基幹業務システムの構築や保守、SI(システムインテグレーション)サービスを提供しています。長年培った業務知識を活かし、顧客の業務効率化を支援するICTトータルサービスです。
収益は、システムインテグレーションに伴う開発費やエンジニアリングサービスの対価から得ています。運営は同社および子会社のプロネット、持分法適用関連会社の古河市情報センターなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。利益面でも、税引前利益相当額(経常利益)は毎期増加しており、利益率も10%台から13%台へと向上しています。当期純利益も順調に推移しており、長期的に安定した成長と収益性の向上が続いています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 208億円 | 218億円 | 228億円 | 240億円 | 246億円 |
| 経常利益 | 21億円 | 25億円 | 28億円 | 32億円 | 33億円 |
| 利益率(%) | 10.2% | 11.2% | 12.3% | 13.4% | 13.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 14億円 | 16億円 | 20億円 | 23億円 | 22億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は前年とほぼ同水準を維持しています。営業利益も微増となりましたが、営業利益率は若干低下しました。全体として、事業規模の拡大に合わせ、安定した収益構造を維持していることが分かります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 240億円 | 246億円 |
| 売上総利益 | 66億円 | 68億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.5% | 27.6% |
| 営業利益 | 31億円 | 32億円 |
| 営業利益率(%) | 13.1% | 12.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比29%)、その他経費が9億円(同25%)を占めています。売上原価においては、労務費や外注費などが主な内訳となります。
■(3) セグメント収益
産業技術ソリューション事業は、IoTやDX関連の需要を取り込み大幅な増収増益となりました。一方、未来社会ソリューション事業は一部不採算案件の影響で減益となり、顧客業務インテグレーション事業は金融分野の開発縮小等により減収となりましたが、利益は微増を確保しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 未来社会ソリューション事業 | 48億円 | 46億円 | 7億円 | 5億円 | 10.1% |
| 産業技術ソリューション事業 | 105億円 | 120億円 | 16億円 | 19億円 | 15.7% |
| 顧客業務インテグレーション事業 | 87億円 | 80億円 | 8億円 | 8億円 | 10.4% |
| 連結(合計) | 240億円 | 246億円 | 31億円 | 32億円 | 12.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、営業活動で獲得した資金と金融機関からの借入金により、運転資金の確保と事業拡大のための設備投資を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、事業の収益性が堅調であることを示唆しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得・売却や固定資産の取得などにより、前年度から使用額が大幅に減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の減少や配当金の支払いなどにより、使用額が増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 22億円 | 24億円 |
| 投資CF | -7億円 | 0億円 |
| 財務CF | -8億円 | -11億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、独立系のITソリューションサービス会社として、エンドユーザー主体のサービスを中心に「情報サービス産業の核(CORE)」となることを目指しています。自社の技術と経験を活かしたICTサービスの提供により、「ソーシャル・ソリューションメーカー」として社会課題の解決を図り、持続可能な社会の実現に向けて新たな価値を共創することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「Speed・Simple・Self・創(Creative)・技(Technology)・動(Action & Challenge)」の精神に、創業期からの信条である「Idea・Fight・Service」を加えた「3S-CTAC + IFS」をスローガンとしています。技術者集団として、顧客に信頼と安心、イノベーションを提供し、常に前向きに創造・実行することを指針としています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、情報サービス業界平均を上回る成長率の確保を目指し、経営指標の目標値を定めています。第14次中期経営計画の最終年度として、収益力の向上と効率化を追求し、企業価値の最大化に取り組んでいます。
* 売上高営業利益率:12.9%(実績)
* 自己資本利益率(ROE):12.6%(実績)
* 自己資本比率:73.6%(実績)
* 配当性向:35.2%(実績)
■(4) 成長戦略と重点施策
「ソーシャル・ソリューションメーカー」としてSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実現を目指し、「事業・人材・財務」の三位一体戦略に生成AIの活用を加えて推進しています。事業面では「0 to 1」による高付加価値ソリューションの創出と、「1 to 10」によるスケールアップを実行し、利益率向上と案件大型化を図ります。
* 2026年3月期 売上高目標:270億円
* 2026年3月期 営業利益目標:35億円
* 2026年3月期 当期純利益目標:25億円
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「SX人材」の育成を最重要課題と位置づけ、採用強化や従業員満足度の向上による人材確保を進めています。アップスキリングによるソリューション力の向上と、専門知識を持つ優秀な人材の確保により競争力を高めるとともに、多様な価値観を重視し、働きやすい環境整備を行うことで人的資本の価値向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 40.6歳 | 15.6年 | 6,712,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 84.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 80.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(73.4%)、離職率(7.4%)、平均残業時間(18.0時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) プロジェクト管理について
プロジェクトの原価総額の見積もりは専門的な判断と仮定を含むため、不確実性を伴います。人件費や外注費の変動、仕様変更などにより見積もりに重要な変更が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。同社では、プロジェクト審査会等によるモニタリングや計画精度の向上に努めています。
■(2) 外注生産の活用について
IT人材不足の中で、同社は必要に応じて協力会社への外注生産を行っています。協力会社において質・量の確保ができない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対策として、協力会社との長期的関係の維持や、特化技術に対応できる技術者の育成を進めています。
■(3) 情報セキュリティについて
顧客や同社グループの情報資産を取り扱う中で、機密情報の漏洩や不正使用が発生した場合、損害賠償責任等により業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社は情報セキュリティ委員会を設置し、監視活動や教育訓練を実施して対策を講じています。
■(4) 人的資本について
専門的な技術や知識を持つ優秀な人材の確保・育成が事業の成長に不可欠です。人材獲得競争の激化により必要な人材が不足した場合、事業拡大に支障をきたす可能性があります。同社は採用強化やSX人材の育成、多様な人材の確保に取り組んでいます。



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