※本記事は、株式会社日本ケアサプライ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本ケアサプライグループは、介護保険制度下の在宅介護サービス基盤に貢献するため、福祉用具レンタル卸および販売卸をコアビジネスとしています。高齢者生活支援サービスとして、訪問看護・リハビリテーション、通所介護、食事サービスなども提供しています。
単体従業員数は1,026名、連結従業員数は1,062名です。同社グループのセグメントは高齢者生活支援事業の1つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ライフタイムメディ、ケアビジネスサポートシステムなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本ケアサプライは、健康長寿社会への貢献を社是とし、介護を必要とする方々を支える事業を展開しています。同社グループは、社員一人ひとりが自分らしく働ける柔軟な環境と、継続的な教育機会の提供を通じて、長期的なキャリア形成を支援する方針です。社員のワークライフバランスを重視し、働きやすい環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
日本ケアサプライでは、従業員の平均勤続年数が比較的長く、安定した環境でキャリアを築いている傾向が見られます。平均年齢も中堅層が中心となっており、経験豊富な人材が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,907,242円 |
| 平均勤続年数 | 9.5年 |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 単体従業員数 | 1,026人 |
| 連結従業員数 | 1,062人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.6% |
日本ケアサプライでは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)の退職給付制度を採用しています。この制度は同社および一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は11.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本ケアサプライは、2040年度に向けた長期ビジョン「けあさぷVision2040」の実現に向け、従業員を重要なステークホルダーと位置づけています。多様性の確保を含む人材育成と社内環境整備を重視し、柔軟な働き方と継続的な教育機会の提供を通じて、社員の知識やスキル、仕事への意欲を高め、生産性向上を目指す方針です。
給与制度については、「一般職」と「管理職」に区分されており、一般職は業務遂行上の知識や能力、経験、習熟度合いを評価して決定されます。管理職は資格等級に基づく資格給と、職責グレードに基づく職責給を評価し決定する仕組みです。賞与は、一般職・管理職ともに半期ごとの業績を勘案し、賞与考課に基づいて決定されます。
同社が求める人材像として、「SINCERITY / 誠実であること」「CHALLENGING SPIRIT / チャレンジ精神」「TEAMWORK / チームワーク」を掲げています。ワークライフバランスの推進にも力を入れており、育児短時間勤務の対象年齢拡大や短縮時間の拡大、子の看護・介護休暇の有給取得、時間単位の有給休暇制度など、法令を上回る多様な支援制度を導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 13.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 78.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 79.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 84.6% |
育児・介護支援
当社の指標、目標及び実績を開示しております。
| 指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 育休取得率 | 100.0% | 71.4% |
| 育休復帰率 | 100.0% | 96.3% |
人材育成・エンゲージメント
当社の指標、目標及び実績を開示しております。
| 指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 人材開発投資額 | 28千円/人 | 19千円/人 |
| 有給休暇取得率 | 70.0% | 75.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社日本ケアサプライは、介護保険制度を基盤とした福祉用具サービスと、高齢者の生活を支援するサービスを提供しています。在宅介護を支えるインフラとして、多岐にわたるサービスを展開していることが特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
日本ケアサプライは、介護保険制度下における在宅介護サービスの基盤作りに貢献するため、福祉用具レンタル卸と福祉用具の販売卸を全国の指定居宅サービス事業者向けに展開しています。使用後に返却された福祉用具は、徹底した品質管理のもと、洗浄・消毒・点検・補修の保守サービスを経て再レンタルされる循環型の収益モデルを構築しています。
高齢者生活支援サービスとしては、子会社を通じて訪問看護・リハビリテーションや通所介護などのサービスを提供しています。同社自身も介護事業者向けの食事サービスや生活支援物販を手掛けており、地域やニーズに応じた複合的なサービスで高齢者の在宅生活を支援しています。また、福祉用具貸与事業者向けにクラウドサービスも提供し、事業者の業務効率化にも貢献しています。
同社グループの販売実績を見ると、福祉用具サービスが全体の大部分を占めており、高齢者生活支援サービスがそれに続く構成となっています。海外事業に関する記述はなく、収益は国内市場に集中していると考えられます。特定の顧客への収益集中に関する言及もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに着実に増加傾向を示しています。特に直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも前期から大きく伸びています。これは、主力である福祉用具サービスが堅調に推移したことや、先行投資の成果が刈り取られたことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 233億円 | 259億円 | 286億円 | 320億円 | 349億円 |
| 経常利益 | 23.6億円 | 21.4億円 | 22.0億円 | 24.9億円 | 31.2億円 |
| 経常利益率 | 10.1% | 8.3% | 7.7% | 7.8% | 8.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 16.8億円 | 15.1億円 | 15.8億円 | 17.9億円 | 22.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 107.81 | 97.46 | 101.57 | 115.35 | 145.32 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたりの営業利益も同様に増加しており、組織全体の収益を創出する力が強化されていることを示しています。これらの指標の改善は、事業の効率化や収益構造の強化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 32.5百万円 | 32.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.5百万円 | 2.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を確保している状況を示しています。これにより、経営の安定性が保たれていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は高い水準にあり、財務基盤の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も確保されており、事業運営における安定性が期待できる状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 175億円 | 186億円 |
| 自己資本比率 | 65.5% | 67.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.5% | 12.5% |
| 現金及び預金 | 7.4億円 | 6.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上により、資金を獲得しています。これは本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出があり、将来に向けた事業基盤の強化に資金を投じていることがうかがえます。
その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回る状況です。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金の純減少や配当金の支払いにより資金が減少しています。これらの資金の流れから、同社グループは安定した事業運営を継続しつつ、成長投資も行っていることが読み取れます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.9億円 | 32.3億円 |
| 投資CF | △11.7億円 | △9.3億円 |
| 財務CF | △1.9億円 | △23.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.2億円 | 22.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業は介護保険制度の影響を強く受けるため、制度変更が需要動向や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、超高齢化社会を背景に大手企業の介護事業への参入が活発化しており、競合による価格競争や収益への影響が予測されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの高齢者生活支援事業では人材の確保が重要であり、事業計画を遂行するためには人材の安定的な採用と定着が不可欠です。これらが達成できない場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社日本ケアサプライは、高齢者やそのご家族の生活を支援し、社会に貢献することを目指す企業です。創立以来受け継がれてきた理念と、長期的なビジョンに基づき、持続可能な社会の実現に貢献する企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、創立以来「品質第一」と「誠実第一」の理念を大切にしています。高齢者生活支援企業として社会に貢献することを目指しており、福祉用具サービスを中心に事業活動の拡大を図っています。
また、高齢者やそのご家族の生活支援につながる「高齢者生活支援サービス」を数多く展開し、事業基盤の更なる拡大を目指しています。2025年2月に公表した長期ビジョン「けあさぷVision2040」では、「健康長寿社会への貢献」を社是として掲げています。
ステークホルダーと共に社会課題を解決しながら成長し、高齢者を含むすべての人が健康で豊かな生活を送れる社会に向けて、より良い暮らしに必要なサービスや「自分らしく」生きられる選択肢を提供し続ける企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、創立以来「品質第一」と「誠実第一」の理念を大切にしています。サステナビリティに関する基本方針として、社是である「健康長寿社会への貢献」を存在意義と定めています。
ステークホルダーとの協働により、豊かな暮らしに役立つ商品やサービスの提供を通じて社会課題の解決に挑むことを掲げています。新しい価値の創造と健全な事業活動を通じて、中長期的な企業価値向上を追求し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、長期ビジョン「けあさぷVision2040」に基づき、複数の重点テーマに取り組んでいます。具体的には、女性活躍に向けたアクションプランの推進や、人材価値向上のためのキャリアパスを踏まえた人材育成を掲げています。
また、持続的成長と企業価値向上に資するガバナンス体制の構築も推進しています。人材面では、少子高齢化・人口減少による人手不足に対し、働き方や意識改革、各種研修を通じた人材育成の強化を図っています。
採用と定着の強化、人的資本投資の継続的な推進にも注力しており、女性活躍に向けたキャリア支援や啓発活動の更なる推進も行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、経営の透明性、公正性の確保及び意思決定の迅速化を図り、企業価値を継続的に増大させるため、コーポレート・ガバナンスの整備と強化を最重要課題の一つと考えています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社は、三菱商事とALSOKが主要株主として名を連ねる企業です。複数の事業会社が上位株主として同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三菱商事 | 38.52% |
| ALSOK | 30.57% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口) | 4.29% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は平松雅之氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平松 雅之 | 代表取締役社長 | 1991年4月 三菱商事㈱入社、2004年5月 同社経営企画室長、2024年6月 同社代表取締役社長兼営業本部長兼サービス本部長、2025年7月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 宮入 卓也 | 取締役 | 1990年4月 三菱商事㈱入社、2010年6月 ライフタイム・パートナーズ㈱取締役副社長、2022年10月 同社上席執行役員開発本部長、2024年6月 同社取締役常務執行役員開発本部長、2025年7月 同社取締役常務執行役員より現職。 |
| 篤田 崇広 | 取締役 | 1992年4月 三菱商事㈱入社、2020年4月 三菱商事ライフサイエンス㈱取締役専務執行役員、2024年4月 三菱商事㈱ヘルスケア本部長、2024年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、吉池由美子氏(三菱総合研究所 執行役員人事部長)、小林信昭氏(東京海上日動ベターライフサービス 代表取締役社長)、秦純子氏(eichi 代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役が経営に対し中立かつ客観的な観点から助言・提言を行う体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役報酬は、会社の持続的な成長と企業価値の向上を図るインセンティブとなるような報酬体系とし、役位・職責に応じた基本報酬と業績連動報酬等により構成します。業績連動報酬は、業績連動賞与と株価連動報酬で構成されており、単年度及び中長期の事業計画に沿った経営指標目標や重点戦略目標の達成度合いに応じて支給されます。監査役の報酬は、株主の負託を受けた独立の機関として職務執行が可能な人材を登用できること、客観性と透明性の高いものであることを基本方針としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 79百万円 | 19.7百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 17百万円 | 8.7百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 24百万円 | 4.8百万円 |
同社役員報酬の総額は120百万円であり、対象となる役員の合計は11名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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