※本記事は、株式会社日水コン の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、1959年に設立された建設コンサルティング事業者であり、上下水道を中心とした水に関する事業に特化しています。官公庁等の公的機関から発注を受け、社会インフラの整備に関する調査・設計等の技術コンサルティングを提供しています。
単体従業員数は668名、連結従業員数は737名です。セグメントは建設コンサルティング事業の1つです。
主な国内グループ会社は、砂防エンジニアリング(建設コンサルティング事業)、イオ(分析事業・コンサルティング事業)、Rifレックスなどです。
近年、官民連携(PPP/PFI)の活用を強化しており、2024年には全国初の上下水道分野におけるウォーターPPP[レベル3.5]に対応するため、日水コンを代表企業として連結子会社である株式会社Rifレックスを設立しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日水コンは、水のインフラマネジメントを担う建設コンサルティング事業を展開しています。専門性の高い事業領域において、従業員の働き方や給与水準、人材育成への取り組みは、キャリアを考える上で重要な要素となります。同社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、人材の確保と育成を重視していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数と平均年齢から、比較的長く勤める従業員が多い安定した組織であることがう見受けられます。専門性の高い建設コンサルティング事業において、経験を積んだ人材が定着し、その知見が組織に蓄積されている傾向があると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,773,415円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 41.7歳 |
| 単体従業員数 | 668人 |
| 連結従業員数 | 737人 |
| 単体のグループ内比率 | 90.6% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度も採用されています。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
連結ベースの退職給付債務は47.8億円、年金資産は50.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日水コンは、サステナビリティ経営を推進する上で、人的資本・多様性を特に重要な項目と位置付けています。同社グループは、「技術への自負」「風通しが良く自由闊達」「仕事への責任」「個を尊重」という社員に根付く価値観を、価値創造の源泉と考えています。
経営戦略に連動した人材戦略を策定し、採用強化と流出防止による量的確保を基盤とし、各人の能力開発と適正な配置を通じて個の力を拡大することを目指しています。組織マネジメントの向上により、組織的な質的向上も図っています。
社員一人ひとりが自律的かつ継続的に成長し、高度な専門性を備えつつ広い視野と柔軟性を併せ持つ人材となるよう、実践的なOJTや豊富な研修機会などの人材育成のための社内環境を整備しています。特に、女性の活躍促進を含む多様な視点や価値観を尊重し、適材適所への配置や労働環境の改善を通じて、従業員個人の成長と会社全体の発展を目指す方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 95.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 64.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 61.5% |
多様性・登用
当該指標は提出会社単体の内容です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 採用した労働者に占める女性労働者の割合 | 18.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社日水コンは、上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティング事業を専門とする会社です。社会インフラの整備において、調査・設計等の技術的なコンサルティングサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、上下水道を中心とした水に関する建設コンサルティング事業を単一セグメントとして展開しています。官公庁等の公的機関から発注を受け、社会インフラの整備に関わる技術的なコンサルティングを行っています。具体的には、水道部門や下水道部門における調査・計画、設計、工事監理等のほか、河川・砂防、湖沼等における治水・防災、水利用、水環境といった流域水管理部門、建築部門、機電部門などを抱えています。
近年では、官から民への流れが加速する中で、PPP/PFI等の官民連携手法の活用にも積極的に取り組んでいます。国内の地方公共団体の事業運営支援や、民間の事業会社内での役割も拡大しています。海外案件においても、JICAや円借款等を通じて東南アジア、インド、アフリカ等の各国政府機関からの受注実績があります。ただし、売上高の大部分は本邦の外部顧客によるものです。
同社グループの売上高は、主に水道、下水道、河川その他の3分野から構成されています。当連結会計年度においては、水道分野が前期から増加し、下水道分野も前期から増加しました。一方、河川その他の分野は前期から減少しています。特に官公庁案件が売上高の大部分を占めており、地方共同法人日本下水道事業団が主要な顧客の一つとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5期間において売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。特に当連結会計年度では、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益が前期から増加となりました。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 208億円 | 219億円 | 235億円 | 244億円 |
| 経常利益 | - | 19.1億円 | 16.4億円 | 21.8億円 | 25.1億円 |
| 経常利益率 | - | 9.2% | 7.5% | 9.2% | 10.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 10.8億円 | 11.0億円 | 14.9億円 | 17.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 54.22 | 92.98 | 125.73 | 147.09 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しています。これは、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 32.9百万円 | 33.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.0百万円 | 3.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で安定的に資金を生み出し、健全な財務基盤を維持していることを示しています。
これにより、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる可能性があります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は高い水準を維持しており、財務基盤の安定性を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、不況時への耐性も備えている状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性につながる要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 143億円 | 150億円 |
| 自己資本比率 | 62.0% | 59.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.9% | 11.9% |
| 現金及び預金 | 97.7億円 | 104億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や賞与引当金の増加などにより、前期に比べて増加となりました。これは本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入や有価証券及び投資有価証券の取得による支出などにより、前期に比べてマイナス幅が拡大しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いや株式交付信託による自己株式の取得などにより、前期に比べてマイナス幅が拡大しています。結果としてフリーキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性につながるものと考えられます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 15.0億円 | 26.2億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △12.1億円 |
| 財務CF | △5.6億円 | △17.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 13.0億円 | 14.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが属する建設コンサルティング事業は堅調な事業環境で推移していますが、官公庁による補助金の減少やODA投資の縮小、環境問題への社会的要請や顧客のニーズの変化への対応が遅れた場合、受注高が減少する可能性があります。また、競合他社との激しい競争による受注価格の著しい低下や、競合他社の技術力・サービス力向上による相対的な競争優位性の喪失により、大幅な受注減が発生する可能性もあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは人材を最も重要な経営資源と考えており、計画的な人材の確保・育成が行えなかった場合や、想定を超える人材の流出が発生した場合、既存従業員の負担増加や通常業務の滞りにより業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日水コンは、上下水道を中心とした水のコンサルティング事業を通じて、社会の持続可能性に貢献することを目指しています。同社グループは、水のインフラマネジメントを担い、社会に潤いをもたらす企業として、独自の価値観と戦略を掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
日水コンは1959年の創立以来、上下水道を中心とした水のコンサルティング事業を展開しています。同社グループは「日水コングループビジョン2030」を推進しており、「水のインパクトカンパニー」をパーパス(存在意義)としています。
ミッションは「水の統合インフラマネジメントの担い手」であり、「潤いのある持続可能な社会の実現」を目指しています。また、「水に関する社会問題の解決を通じて経済的成長を実現する」というサステナビリティ経営を実行しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループがサステナビリティ経営を遂行する上で、社員に根付いている価値観として「技術への自負」、「風通しが良く自由闊達」「仕事への責任」そして「個を尊重」を挙げています。これらの価値観が同社グループの価値創造の源泉であると考えています。
同社グループは、従業員の多様な視点や価値観を尊重し、その能力を発揮できるように適材適所への配置や労働環境の改善に取り組んでいます。これにより、従業員個人の成長と会社全体の発展を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な企業価値向上のために、コーポレート・ガバナンスの強化や働き方改革への対応、サステナビリティ経営の実践を重要な課題としています。
コーポレート戦略として、グループ体制強化に向けて新たな地域会社・SPC(特別目的会社)の設立や、戦略的なM&Aを推進する方針です。人材の量的確保と質的確保の解決に向けては、採用強化と流出抑止(リテンション強化)を基盤とし、従業員の能力開発とその保有能力の発揮による組織的な質的向上を図ります。
設計品質の底上げを重要な柱とし、ベテランから中堅・若手への体系的な技術伝承及び部門横断的な設計照査活動の強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日水コンの取締役会は、社外取締役を含む8名で構成され、経営方針や事業計画、重要な業務執行の決定と監督を行っています。同社は、株主総会、取締役会、監査等委員会、会計監査人を機関として設置し、内部監査室と連携することで、ガバナンス体制の維持・強化に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日水コンの株主構成を見ると、複数の事業会社や公益財団法人が上位に名を連ねています。これにより、幅広いステークホルダーに支えられた安定的な資本基盤がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| クボタ | 19.97% |
| 公益財団法人水・地域イノベーション財団 | 15.34% |
| 伊藤忠商事 | 8.43% |
| 栗本鐵工所 | 6.48% |
| 石垣メンテナンス | 2.95% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は中西新二氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中西 新二 | 代表取締役社長 | 1985年同社入社。執行役員水道事業部長、取締役執行役員営業本部長、取締役常務執行役員地域統括本部長などを経て、2025年3月より同社代表取締役社長。公益社団法人全国上下水道コンサルタント協会会長より現職。 |
| 野村 喜一 | 代表取締役会長 | 1971年同社入社。取締役下水道本部長、常務取締役、取締役副社長、代表取締役社長を経て、2019年3月より同社代表取締役会長。公益財団法人水・地域イノベーション財団理事長より現職。 |
| 小石川 信昭 | 取締役 専務執行役員 | 1974年同社入社。取締役下水道西部本部長、常務取締役執行役員事業統括本部長、代表取締役副社長執行役員管理本部長などを経て、2021年3月より同社取締役専務執行役員管理本部長。2026年1月より同社取締役専務執行役員コーポレート管掌(兼)内部統制統括部長より現職。 |
| 種市 尚仁 | 取締役 常務執行役員 | 1986年同社入社。執行役員下水道事業部長、常務執行役員コンサルティング本部長を経て、2025年3月より同社取締役常務執行役員コンサルティング本部長より現職。 |
社外取締役は、小川健一氏(元東京都下水道サービス代表取締役社長・指名報酬委員会委員・サステナビリティ委員会委員)、髙田裕久氏(公認会計士・監査等委員会委員・指名報酬委員会委員)、柗田由貴氏(弁護士・監査等委員会委員・サステナビリティ委員会委員)です。
同社は、監査等委員会設置会社です。社外取締役は、取締役会において監査等委員会の監査および会計監査の結果について報告を受け、必要に応じて取締役会の意思決定の適正性を確保するための助言・提言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日水コンの取締役報酬は、役位等に応じた固定報酬である基本報酬、短期インセンティブとしての業績連動報酬(賞与)、中長期インセンティブとしての非金銭報酬(株式報酬)で構成されています。社外取締役および監査等委員である取締役は、基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 1.4億円 | 27.2百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 13百万円 | 4.2百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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