ゲンダイエージェンシー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゲンダイエージェンシー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する、パチンコホール専門の広告事業を主力とする企業です。2025年3月期の業績は、売上高77億円(前期比3.5%増)、経常利益4.2億円(同58.7%増)、純利益3.6億円(同184.9%増)と増収増益を達成しました。広告ガイドラインへの対応やデジタル広告の伸長が寄与しています。


※本記事は、ゲンダイエージェンシー株式会社 の有価証券報告書(第30期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゲンダイエージェンシーってどんな会社?


パチンコホール業界に特化した広告企画制作を主力とし、ネット広告や折込チラシなどを展開する企業です。

(1) 会社概要


1994年に創業者の山本正卓氏が個人事業として創業し、1995年に法人を設立しました。2004年にJASDAQ市場へ上場を果たし、全国各地に営業拠点を展開しました。2010年代にはジュリアジャパン等の子会社化を通じてグループ体制を強化し、2022年の東京証券取引所の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。

同グループの連結従業員数は207名、単体では139名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるGAキャピタル株式会社で、第2位以降は個人株主が名を連ねています。安定した株主構成のもと、パチンコホール広告のリーディングカンパニーとして事業を展開しています。

氏名 持株比率
GAキャピタル 36.78%
内藤 征吾 3.00%
梅田 美智子 2.92%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)は大島克俊氏が務めています。取締役7名のうち社外取締役は2名で、社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
大島 克俊 代表取締役社長最高経営責任者(CEO) 2002年入社。営業企画開発部長、取締役等を経て、2024年より現職。
上川名 弦 代表取締役最高執行責任者(COO) 1998年入社。事業開発室長、取締役等を経て、2008年より現職。
高 秀一 取締役最高財務責任者(CFO) 公認会計士。2001年入社。執行役員社長室長等を経て、2004年より現職。
山本 正卓 取締役 1994年創業。代表取締役社長、CEO等を経て、2004年より現職。
両角 正人 取締役経理部長 2004年入社。松本・神戸営業所長、経理部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、田坂正樹(株式会社ピーバンドットコム取締役会長)、姜理惠(法政大学デザイン工学部システムデザイン学科教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「広告事業」および「不動産事業」、「その他」事業を展開しています。

(1) 広告事業


パチンコホールを主な顧客とし、集客のための広告企画制作を行っています。インターネット広告、新聞折込チラシ、店内外のポスターやPOPなどの販促物、映像・デザイン制作など、多岐にわたる品目を提供しています。近年は特にインターネットメディアを利用した広告に注力しています。

収益は、顧客であるパチンコホール等からの広告制作費や媒体掲載料等から得ています。運営は主にゲンダイエージェンシー、連結子会社のユーアンドユー、ジュリアジャパン、ジールネット及びプレスエーが行っています。

(2) 不動産事業


パチンコホールをはじめとした商業施設全般に関する不動産を取り扱っています。遊技場施設の賃貸や、売買・賃貸の仲介業務などを展開しています。

収益は、保有不動産の賃貸料収入や、不動産仲介に伴う手数料収入から得ています。運営は連結子会社のランドサポートが行っています。

(3) その他


広告や不動産以外の新規事業領域です。具体的にはキャンピングカーレンタル事業などを含みます。

収益は、キャンピングカーのレンタル料などから得ています。運営は連結子会社のジールネットおよびアークが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は70億円台半ばで推移しています。2021年3月期には赤字を計上しましたが、その後は回復基調にあります。特に直近の2025年3月期は、経常利益率が5.4%まで改善し、当期純利益も大幅な増益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 73億円 74億円 75億円 74億円 77億円
経常利益 -2.7億円 3.1億円 4.2億円 2.6億円 4.2億円
利益率(%) -3.7% 4.2% 5.6% 3.5% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.8億円 0.8億円 4.1億円 -0.3億円 5.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、利益面でも大幅な改善が見られます。売上総利益率が向上しており、営業利益率は前期の3.4%から5.4%へと上昇しました。コストコントロールと高付加価値サービスの販売が進んだことが伺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 74億円 77億円
売上総利益 22億円 24億円
売上総利益率(%) 29.5% 31.5%
営業利益 2.5億円 4.2億円
営業利益率(%) 3.4% 5.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が9億円(構成比46%)、支払手数料が2億円(同9%)を占めています。売上原価に関しては詳細な内訳データはありませんが、外注費などが含まれていると考えられます。

(3) セグメント収益


主力の広告事業は、紙媒体の減少をインターネット広告等の伸長で補い、増収増益を達成しました。不動産事業は手数料収益の計上などがありましたが、全体としては減収減益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
広告事業 73億円 76億円 5億円 7億円 9.1%
不動産事業 0.7億円 0.6億円 0.3億円 0.2億円 33.9%
その他 0.1億円 0.0億円 -0.0億円 -0.0億円 -33.3%
調整額 - - -2.8億円 -3.0億円 -
連結(合計) 74億円 77億円 2.5億円 4.2億円 5.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2.6億円 5.1億円
投資CF 1.6億円 -1.3億円
財務CF -7.2億円 -1.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.7%で市場平均(スタンダード7.2%)を上回っています。財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.1%で市場平均(スタンダード非製造業48.5%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「イノベーションと創造性に満ちた取り組みで、クライアントの業績発展を支援する活動を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」を合言葉としています。クライアント企業のコミュニケーション戦略実現のパートナーとして信頼される企業を目指し、常に最良なサービスの提供に努めています。

(2) 企業文化


行動規範として「法令遵守」「株主重視」「顧客満足」「従業員尊重」の4つを掲げています。ステークホルダーの要求を満たしながら企業価値の最大化を目指す姿勢に加え、新たな経営体制の下、これまでの固定概念を払拭し、チャレンジする企業文化の醸成を進めています。

(3) 経営計画・目標


持続的な成長を実現するため、「生産性」「付加価値」及び「資本効率」を重視した経営を推進しており、中期的な目標値として以下の指標を掲げています。

* 売上高営業利益率:10.0%以上
* ROE(自己資本利益率):10.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


特定業種への依存度改善と収益多様化のため、新たな事業機会の模索と事業開発に取り組んでいます。

* パチンコホール広告以外の分野(フィットネス、住宅、学習塾等)における市場開拓。
* 集客施設におけるデジタルメディアの市場浸透および動画等デジタルコンテンツによるプロモーション戦略の最適化。
* 広告事業の隣接分野(デジタルメディア、エリアマーケティング等)への事業領域拡大。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員が安心して働ける会社を目指し、従来の成果型報酬重視から、中長期的なキャリア形成を重視した人事制度へ移行しています。また、人的資本への投資を推進するため、新たに人事担当取締役を設置する予定です。従業員が活躍できる環境を整備し、事業の収益性と成長性の向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.0歳 12.0年 5,498,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 62.3%
男女賃金差異(正規雇用) 69.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 27.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇消化率(60%以上へ向上目標)、女性従業員の比率(30%以上へ向上目標)、入社3年以内の離職率(33%以下に低減目標)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定業種の広告需要への依存


同社グループの売上高は、パチンコホール業界の広告需要に大きく依存しています。パチンコホールに対する法的規制や業界の自主規制が強化された場合、広告需要の減少により業績が悪化する可能性があります。また、パチンコ遊技人口の減少等により市場需要が同社の予測を大きく下回った場合も、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) インターネット広告領域のリスク


広告メディアの自主規制強化により、同社サービスの利用が制限される可能性があります。また、競合他社による類似サービスの開発や市場投入により、同社サービスの独自性や競争優位性が低下した場合、収益性に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 仕入価格上昇によるリスク


インフレによる原料費高騰や人件費の上昇により、紙媒体を中心とした広告制作物の仕入価格が上昇傾向にあります。これらを販売価格に適正に転嫁できない場合、同社グループの収益性が悪化し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。