※本記事は、ゲンダイエージェンシー株式会社の有価証券報告書(第31期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ゲンダイエージェンシーってどんな会社?
パチンコホール向けの広告企画制作を主力とし、インターネット広告や販促物等を提供する企業です。
■(1) 会社概要
1994年に現代広告社として創業し、1995年に会社設立。2003年に現在のゲンダイエージェンシーへ社名を変更しました。2004年にジャスダック証券取引所へ株式を上場。その後も営業拠点の拡大や子会社の設立、吸収合併などを経て事業を拡大し、2006年には不動産事業を開始しています。
現在は連結で208名、単体で138名の従業員を抱える体制で事業を運営しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は取締役である山本正卓氏一族の資産管理会社であるGAキャピタルで、第2位および第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| GAキャピタル | 32.95% |
| 梅田 美智子 | 3.27% |
| 内藤 征吾 | 2.60% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)は大島克俊氏が務めています。取締役10名のうち社外取締役は2名(比率20.0%)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大島克俊 | 代表取締役社長最高経営責任者(CEO) | 2002年に同社へ入社。上野営業所長や営業企画開発部長、執行役員などを歴任。2021年に取締役、2023年に最高営業責任者(CMO)に就任し、2024年より現職。 |
| 両角正人 | 取締役最高財務責任者(CFO) | テンアライドを経て2004年に同社へ入社。松本営業所長や神戸営業所長、経理部長、執行役員を歴任。2024年に取締役に就任し、2025年より現職。 |
| 黒子好章 | 取締役最高人事責任者(CHO)最高コンプライアンス責任者(CCO) | 1997年に同社へ入社。上野営業所長や八王子営業所長、人事部長、執行役員を歴任。2009年に最高人事責任者(CHO)に就任し、2025年より現職。 |
| 山本正卓 | 取締役 | アイユー、ファランを経て、1994年に現代広告社を創業。1995年の同社設立時に代表取締役社長に就任。2004年より最高経営責任者(CEO)を務め、現在に至る。 |
社外取締役は、田坂正樹(ピーバンドットコム会長)、谷口辰成(セキュア社長CEO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「広告事業」および「不動産事業」の報告セグメントと「その他」事業を展開しています。
■広告事業
インターネットメディアを利用した広告の企画制作、新聞折込広告、ダイレクトメールや店舗内外装飾用ポスター・POP等の販促物、映像・デザイン等のクリエイティブ制作、マスメディア広告の企画制作、店舗イベントの企画運営などを行っています。主な顧客はパチンコホール業界です。
顧客であるパチンコホールやフィットネス施設等から、広告の企画制作や媒体出稿に関する対価を収益として受け取ります。運営は同社および、ユーアンドユー、ジュリアジャパン、ジールネット、プレスエーなどの子会社が行っています。
■不動産事業
パチンコホールをはじめとした商業施設全般に関する不動産の賃貸、仲介などを提供しています。パチンコホールの新規出店に伴う用地取得需要への対応や、パチンコホール跡地の売買仲介などを行っています。
所有する賃貸用不動産からの賃貸収益や、不動産の売買・賃貸仲介に伴う手数料等を主な収益源としています。運営は子会社であるランドサポートが担っています。
■その他事業
広告事業の隣接分野や新たなビジネスモデルなど、グループの持続的成長の実現に向けた新事業開発や調査研究を主な目的として展開しています。
既存事業とのシナジーが見込まれる新規セクターの開拓や新規サービスの開発を推進しています。運営は子会社であるアークが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は74億円から77億円のレンジで安定的に推移しています。経常利益は一時的な落ち込みがあったものの、インターネット広告など高付加価値サービスの拡販や収益性の改善により、直近では利益率が大きく向上し大幅な増益を達成しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 74億円 | 75億円 | 74億円 | 77億円 | 75億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 4億円 | 3億円 | 4億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 5.6% | 3.5% | 5.4% | 9.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.8億円 | 4億円 | -0.3億円 | 5億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
インターネット広告の販売増により売上総利益が増加し、売上総利益率は向上しました。一方で紙媒体広告の急減や人的資本への投資による販売費及び一般管理費の増加があったものの、営業利益は前年を大きく上回る結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 77億円 | 75億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 27億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.5% | 35.9% |
| 営業利益 | 4億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 5.4% | 9.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が9億円(構成比45%)、支払手数料が2億円(同10%)、地代家賃が2億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
広告事業は、紙媒体の需要減少があったものの、収益性の高いインターネット広告の拡販により売上総利益率が改善し、大幅な増益となりました。不動産事業は、賃貸収益に加えてパチンコホール跡地の売買仲介等に伴う手数料収益を計上し、増収増益に貢献しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 広告事業 | 76億円 | 74億円 |
| 不動産事業 | 1億円 | 1億円 |
| その他 | - | - |
| 連結(合計) | 77億円 | 75億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のパターンに該当します。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 7億円 |
| 投資CF | -1億円 | -3億円 |
| 財務CF | -1億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.9%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「イノベーションと創造性に満ちた取り組みで、クライアントの業績発展を支援する活動を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。」を合言葉に掲げています。真摯な姿勢と熱意をもって最良なサービス提供に努めることで、クライアント企業のコミュニケーション戦略実現のパートナーとして信頼される企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は行動規範として、「法令遵守」「株主重視」「顧客満足」「従業員尊重」の4つを掲げています。これらを基盤として、ステークホルダーの要求を満たしながら企業価値の最大化を図っています。また、「クライアント企業に喜ばれる仕事をみんなで楽しむ」というスローガンのもと、社内コミュニケーションの活性化に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、中期的な目標値として以下の経営指標を掲げています。
* 売上高営業利益率:10.0%以上
* ROE(自己資本利益率):10.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は特定業種への依存度を改善し、収益の多様化を実現するための積極的な事業開発に取り組んでいます。具体的には、パチンコホール広告以外の分野としてフランチャイズ業界やフィットネス施設等への市場開拓を進めています。また、紙媒体からインターネット広告へのシフトに対応し、自社開発メディアの充実やデジタルコンテンツの複合によるプロモーション戦略の提供により、収益基盤の強化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人的資本こそが価値創造の源泉であると考え、個の創造性と専門性を追求するための階層別の研修プログラムを整備しています。また、次世代管理職候補者を創出するサクセッションプランの遂行や、若年層従業員の定着率向上に向けたエンゲージメント施策を実施し、多様なワークスタイルを支える人事制度の改善を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.6歳 | 12.0年 | 5,741,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.5% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 38.8% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇消化率(55.5%から60%以上へ向上)、女性従業員の比率(25%から30%以上へと向上)、入社3年以内の離職率(33%以下に低減)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告の収益性悪化
各メディアの自主規制強化や競合他社による類似サービスの開発、さらに生成AIなどの技術進化に伴うユーザーの行動変化により、提供する広告サービスの需要減退や競争優位性が低下した場合、収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 仕入価格の上昇
インフレによる原料費の高騰や人件費の上昇、中東情勢によるエネルギー危機などを背景に、紙媒体を中心とした広告制作物の仕入価格が上昇しています。顧客への価格転嫁が不十分となった場合、経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。
■(3) 人材の確保と育成
持続的な成長は人材に大きく依存しており、優秀な人材の計画的な採用や育成、定着率の向上が重要となっています。計画通りの人材確保ができない場合や、人材の流出を招いた場合には、組織の創造性や生産性が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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