みずほリース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

みずほリース 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する総合金融サービス企業です。みずほフィナンシャルグループおよび丸紅の持分法適用関連会社として、リース・割賦、ファイナンス等の事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比6.0%増、経常利益が同30.1%増となり、増収増益を達成しました。


#記事タイトル:みずほリース転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、みずほリース株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. みずほリースってどんな会社?


みずほフィナンシャルグループ系の総合金融サービス企業です。丸紅との資本業務提携により、商流と金融を融合したビジネスを展開しています。

(1) 会社概要


1969年に設立され、1981年に興銀リースへ商号を変更しました。2004年に東京証券取引所市場第二部に上場し、翌2005年には同市場第一部へ指定されました。2019年に資本業務提携に伴い現在の社名へ変更し、みずほフィナンシャルグループの持分法適用関連会社となりました。2024年には丸紅とも資本業務提携を強化しています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は2,282名、単体従業員数は819名です。筆頭株主はみずほフィナンシャルグループで、第2位は総合商社の丸紅、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。大手金融グループと総合商社双方の強みを活かした事業基盤を持っています。

氏名 持株比率
みずほフィナンシャルグループ 23.09%
丸紅 20.00%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性2名の計16名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長兼CEOは中村昭氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
津原 周作 取締役会長取締役会議長 2009年みずほフィナンシャルグループ秘書室長、2017年みずほ銀行副頭取を経て、2019年同社副社長執行役員に就任。2020年代表取締役社長CEOを経て、2023年4月より現職。
中村 昭 取締役社長(代表取締役)CEO 2013年みずほフィナンシャルグループ執行役員、2019年みずほ銀行副頭取を経て、2020年同社副社長執行役員に就任。2023年4月より現職。
永峰 宏司 取締役副社長(代表取締役)サステナビリティ統括責任者 2017年みずほフィナンシャルグループ常務執行役員、2020年同社執行役専務を経て、2021年同社専務執行役員に就任。2023年4月より現職。
石附 武積 取締役副社長 1981年丸紅入社。2020年同社代表取締役專務執行役員CAOなどを歴任し、2024年4月に同社を退任。2024年6月より現職。
阿部 昌彦 専務取締役 2016年みずほフィナンシャルグループ執行役員、2018年みずほ銀行常務執行役員を経て、2021年同社常務執行役員に就任。2024年6月より現職。
大高 昇 常務取締役 1987年同社入社。2014年企画部副部長、2017年執行役員システム企画室長、2020年常務執行役員を経て、2023年6月より現職。
佐藤 健介 常務取締役 1991年同社入社。2017年経営企画部長、2019年執行役員、2023年常務執行役員業務推進部長を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、根岸修史(元積水化学工業会長)、河村肇(元丸紅専務執行役員)、青沼隆之(元名古屋高等検察庁検事長)、渡邉夏海(リクルートVP)、浦田晴之(元オリックス銀行社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リース・割賦」「ファイナンス」および「その他」事業を展開しています。

リース・割賦


情報関連機器、不動産、産業・工作機械、輸送用機器、環境・エネルギー関連設備等のリースおよび割賦販売業務を行っています。顧客は設備投資を行う法人企業が中心です。

収益は、顧客からのリース料や割賦販売代金などから構成されます。運営は、みずほリース、第一リース、みずほ東芝リース、エムエル・エステート等の連結子会社が行っています。また、海外においては現地法人が事業を展開しています。

ファイナンス


不動産、航空機、船舶、環境・エネルギー分野等を対象とした金銭の貸付、出資、ファクタリング業務等を行っています。企業の資金調達ニーズや事業戦略に応じた金融サービスを提供しています。

収益は、貸付金利息や手数料収入などが主な源泉です。運営は、みずほリースおよびミライズ・キャピタル等の子会社が担っています。航空機リース関連では、海外子会社を通じた事業展開も行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、中古物件売買や発電事業等を行っています。

収益は、中古物件の売却益や売電収入などです。運営は、エムエル商事やエムエル・パワーなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、経常利益ともに増加傾向にあります。特に2025年3月期は、経常利益が前期比で30%以上増加し、当期純利益も過去最高を更新しました。利益率も改善傾向にあり、収益性が高まっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 4,979億円 5,548億円 5,297億円 6,561億円 6,954億円
経常利益 275億円 201億円 401億円 509億円 662億円
利益率(%) 5.5% 3.6% 7.6% 7.8% 9.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 218億円 149億円 284億円 352億円 420億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は前期間と比較して向上しており、収益性の改善が見られます。営業利益についても増益基調を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 6,561億円 6,954億円
売上総利益 736億円 863億円
売上総利益率(%) 11.2% 12.4%
営業利益 395億円 490億円
営業利益率(%) 6.0% 7.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与・賞与・手当が120億円(構成比32%)、支払手数料が39億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで売上高が増加しました。特に「その他」セグメントの増収率が顕著です。利益面でも、リース・割賦、ファイナンスともに増益となり、全社業績の向上に寄与しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
リース・割賦 6,208億円 6,452億円 254億円 284億円 4.4%
ファイナンス 338億円 415億円 201億円 238億円 57.4%
その他 16億円 87億円 3億円 14億円 16.0%
調整額 -27億円 -26億円 -62億円 -46億円 -
連結(合計) 6,561億円 6,954億円 395億円 490億円 7.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

みずほリースは、財務活動において、配当金の支払いがあったものの、増資や社債発行等により多額の収入を得て、財務基盤を強化しています。営業活動によるキャッシュ・フローは支出となりましたが、これは事業拡大に伴う一時的な資金流出と考えられます。投資活動においても支出があり、将来の成長に向けた投資が行われていることがうかがえます。これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -1,922億円 -3,933億円
投資CF -520億円 -532億円
財務CF 2,665億円 4,571億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ニーズをつなぎ、未来を創る」をミッションとして掲げています。金融の枠を超えた新たな価値を創造し、顧客の事業発展と持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。また、ビジョンとして「挑む、変える、成し遂げる。」を掲げています。

(2) 企業文化


同社は「Value(価値観)」として、「お客さま第一」「変革への挑戦」「チームワーク」「誠実・情熱」を定めています。また、社員一人ひとりが働きがいや充実感を覚える組織を目指し、自発的かつ主体的にチャレンジするカルチャーへの変革を推進しています。

(3) 経営計画・目標


「中期経営計画2025」において、最終年度(2025年度)の経営目標数値を以下の通り設定しています。

* 当期利益:420億円
* ROA:1.6%以上
* ROE:12%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「中期経営計画2025」では、事業ポートフォリオをコア、グロース、フロンティアの3分野に分け、経営資源を配分しています。また、みずほグループや丸紅グループとの連携強化、サステナビリティ経営の推進、DXの加速などを重点施策としています。

* 事業ポートフォリオ運営の変革・高度化:成長領域への資源投下、アライアンス推進
* サステナビリティ経営の推進:脱炭素社会実現への貢献、サーキュラーエコノミーへの取り組み
* 成長を支える経営基盤の強化:DX加速、人財戦略の高度化、ガバナンス強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「共に挑戦し、共に変革し、共に成長していく人」を求めています。多様な価値観を持つ人財の採用強化、専門性を備えた人財や次世代経営者候補の育成、適切な評価・処遇による登用を進めています。また、社員が快適で安全に働ける環境の確保にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.1歳 14.2年 9,366,601円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.0%
男性育児休業取得率 86.6%
男女賃金差異(全労働者) 55.9%
男女賃金差異(正規雇用) 71.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 110.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(74.6%)、エンゲージメントスコア(71)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営環境に関するリスク


エネルギー価格の高騰や供給網の混乱、金利や為替の急激な変動などにより、顧客の設備投資が減少した場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(2) 金利変動リスク


調達金利と運用金利の期間や条件の不一致により、金利変動が収支に影響を与える可能性があります。同社はALM(資産負債の統合管理)やデリバティブ取引によりリスク管理を行っています。

(3) アセットリスク


不動産や航空機リース事業等において、取引先の業績悪化や物件の資産価値が著しく減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、資産価値の動向や将来収支の見込みを管理し対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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