ヒューマンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヒューマンホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヒューマンホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、人材関連、教育、介護などを主要事業として展開しています。直近の業績は、人材関連事業でのサービス高付加価値化や介護事業における稼働率改善などが寄与し、全事業で増収を達成し、全体として増収増益の好調なトレンドを維持しています。


※本記事は、ヒューマンホールディングス株式会社の有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヒューマンホールディングスってどんな会社?


教育・人材・介護の3本柱で、人々の成長と社会参加を支援する企業グループです。

(1) 会社概要


同社グループの歴史は、1985年に教育事業を目的として設立された教育未来社から始まりました。1988年には人材派遣事業を行うヒューマン・タッチ(現ヒューマンリソシア)を設立し、1999年には介護事業にも参入しました。2002年に持株会社としてヒューマンホールディングスを設立し、現在の体制へと移行しました。その後、2004年にジャスダック証券取引所への上場を果たしています。

現在は連結で4,740名、単体で132名の従業員を抱える規模に成長しています。同社の大株主構成を見ると、筆頭株主は有限会社ペアレンツであり、第2位は佐藤新悟氏、第3位には代表取締役社長を務める佐藤朋也氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
有限会社ペアレンツ 22.27%
佐藤新悟 9.64%
佐藤朋也 8.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐藤朋也氏が務めています。社外取締役比率は10.0%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤朋也 代表取締役社長 1991年ザ・ヒューマン入社。2001年同社代表取締役社長就任。2002年より現職。
佐藤耕一 取締役ファウンダー 1985年教育未来社代表取締役社長就任。2002年当社代表取締役会長就任。2021年より現職。
黒﨑耕輔 取締役管理本部担当 1995年ザ・ヒューマン入社。2002年当社取締役就任。2004年常務取締役を経て2009年より現職。
佐藤安博 取締役経営企画担当 2014年当社入社、執行役員特命担当就任。2015年当社取締役就任。2019年より現職。
高橋哲雄 取締役人材関連事業担当 1997年ヒューマン・タッチ入社。2024年ヒューマンリソシア代表取締役就任。2024年より現職。
瀬戸口信也 取締役介護事業担当 2016年ヒューマンライフケア取締役就任、2017年同社代表取締役就任。2019年より現職。


社外取締役は、南靖郎(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「人材関連事業」「教育事業」「介護事業」および「その他」事業を展開しています。

人材関連事業


企業向けに人材派遣、人材紹介、業務受託、DXソリューション、海外ITエンジニア派遣などのサービスを提供しています。労働力不足やDX推進の課題を抱える企業に対し、専門性の高い人材を供給しています。

主に派遣先企業や業務受託元企業から派遣料金や業務受託料、紹介手数料を受け取るモデルです。運営は主にヒューマンリソシアが行っています。

教育事業


社会人向けのリスキリングや資格取得支援、全日制教育、児童向けロボット教室、外国人向け日本語教育、および保育施設の運営など、多様な世代に教育機会を提供しています。

受講生からの入学金や受講料、教材費などを主な収益源としています。運営はヒューマンアカデミーやヒューマンスターチャイルドなどがそれぞれ担っています。

介護事業


デイサービスや訪問介護などの在宅介護サービス、グループホームや介護付き有料老人ホームなどの施設介護サービスを提供し、利用者が自分らしく生きることを支援しています。

国民健康保険団体連合会からの介護報酬および利用者からのサービス利用料や入居一時金を収益源としています。運営はヒューマンライフケアが担っています。

その他事業


プロバスケットボールクラブ「大阪エヴェッサ」の運営によるスポーツ事業や、ネイルサロンの運営および自社ブランド商品の開発・販売を展開しています。

スポンサー企業からの協賛金やチケット収入、サロン顧客からの施術料や商品代金などを収益源としています。運営はヒューマンプランニングやダッシングディバインターナショナルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、着実な増収トレンドを描いています。利益面についても、一時的な落ち込みがあったものの、その後は収益性の改善が進み、直近では経常利益率が上昇傾向にあります。事業規模の拡大と利益水準の向上が両立している状態です。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 863億円 916億円 959億円 1003億円 1025億円
経常利益 27億円 25億円 33億円 36億円 39億円
利益率(%) 3.1% 2.7% 3.4% 3.6% 3.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 15億円 22億円 26億円 22億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は安定して推移しています。また、営業利益率もわずかながら改善を見せており、コストコントロールが適切に行われていることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1003億円 1025億円
売上総利益 258億円 264億円
売上総利益率(%) 25.7% 25.7%
営業利益 34億円 36億円
営業利益率(%) 3.4% 3.5%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与賞与が113億円(構成比50%)、広告宣伝費が20億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


全事業セグメントにおいて増収を達成しています。主力の事業では人材需要を背景としたサービス単価の向上や稼働率の改善が寄与し、その他の事業でもファン層の拡大などが売上成長を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
人材関連事業 595億円 607億円
教育事業 263億円 264億円
介護事業 123億円 129億円
その他 22億円 26億円
連結(合計) 1003億円 1025億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 15億円 33億円
投資CF -14億円 -7.6億円
財務CF -15億円 -12.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として、綱領「為世為人(世のため人のため)」、バリュープロミス「SELFing(セルフィング)」を掲げています。社会と人々のために貢献することを使命とし、仕事を通じて学んだことを活かしさらに学べるよう「人を育てる」事業と「人を社会に送り出す」事業を一体化させたビジネスモデルを展開しています。

(2) 企業文化


自分自身の発見と開発を通じて社会へ貢献し、その自分らしさをカタチにする循環を「SELFing」と呼んでいます。多様な視点や価値観を尊重し、従業員一人ひとりが「なりたい自分」を思い描き、その実現に向けた設計と自己成長を持続的に果たそうとする姿勢を重視する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


経営効率の改善による利益率の向上を重要課題として位置づけています。中短期的な目標として、連結売上高経常利益率5%を当面の目標として掲げており、各事業において競争力を高めることで企業価値の向上と社会と共にある持続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


日本の労働人口減を中長期の重点領域と定め、教育を中心としたビジネスモデルの強化や高付加価値ビジネスの創造に注力しています。また、AIの活用による業務効率化や商品・サービスモデルの高付加価値化を進めるとともに、事業戦略に即したM&Aを推進することで、持続的な成長と社会課題の解決を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を最も価値のある資産と位置づけ、従業員の「なりたい自分」に向けた自己実現の支援を人材戦略の根幹としています。国籍・年齢・性別を問わない多様な人材の採用・登用を進め、社内資格の取得推進など教育リソースを活用した育成や、柔軟な働き方が選択できる労働環境の整備により定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.4歳 13.4年 6,187,812円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 74.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.9%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 126.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制等への対応


人材派遣事業や介護事業など、行政の許可・指定を受ける事業を展開しており、法改正や重大な法令違反による事業停止命令等を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 事業を支える人員の確保


派遣スタッフや講師、保育士、介護スタッフの確保が非常に重要です。雇用情勢の変化や人材不足の深刻化により、計画通りに十分な人員を確保・配置できない場合、事業運営に支障をきたすリスクがあります。

(3) 社会保険料の会社負担増加


派遣スタッフの社会保険完全加入を徹底していますが、今後の社会保険制度の改正により会社負担額が大幅に上昇した場合、コスト増を通じて財務状況や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。