※本記事は、株式会社フライトソリューションズの有価証券報告書(第39期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フライトソリューションズってどんな会社?
物流・金融系向けのシステム開発や決済ソリューションを展開するIT企業です。
■(1) 会社概要
1988年に画像処理のデジタル化を目的に設立され、1995年よりインターネット関連のコンサルティングを開始しました。2004年に東証マザーズへ上場し、2022年には東証スタンダード市場へ移行しました。2024年に現在の社名であるフライトソリューションズへと変更し、決済領域などへ事業を拡大しています。
同社の単体従業員数は110名です。筆頭株主はSBI証券で、第2位は楽天証券共有口となっています。上位株主にはネット証券等の金融機関が名を連ねており、個人株主の片岡房雄氏も上位に名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBI証券 | 3.25% |
| 楽天証券共有口 | 2.81% |
| 片岡房雄 | 1.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は片山圭一朗氏が務めています。社外取締役比率は約57%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 片山圭一朗 | 代表取締役社長 | 1988年フライト(現同社)設立。同社代表取締役社長に就任。2014年よりFLIGHT SYSTEM USA Inc.のCEOを務め、2023年より同社プロダクト&フィナンシャルサービス事業部長。 |
| 松本隆男 | 代表取締役副社長 | 1979年コンピューターサービス入社。CSK東北システム設立等を経て2002年同社取締役副社長。2023年より管理本部長。 |
| 和田克明 | 常務取締役 | 1987年コナム入社。CSK東北システムを経て2005年同社SI事業部事業部長。2023年よりバリュークリエーション事業部長。 |
社外取締役は、重富貴子氏(弁護士)、伊東幸子氏(東京科学大学副学長・教授)、萩原義春氏(司法書士)、黒田正治氏(日本電気上席事業主幹)です。
2. 事業内容
同社グループは、「SIソリューション事業」、「決済ソリューション事業」、「ECソリューション事業」を展開しています。
■(1) SIソリューション事業
物流系や金融系を中心とした事業会社向けに、システムのコンサルティングから開発、保守までを一貫して提供しています。また、クラウドサービスを活用したシステム開発支援も手掛けています。
顧客からのシステム開発・運用保守等の請負代金やシステムエンジニアリングサービス(SES)の対価が主な収益源です。運営は同社が主体となって行っています。
■(2) 決済ソリューション事業
自社開発の電子決済ソリューションやAndroid端末によるタッチ決済ソリューション、無人自動精算機向けの決済ソリューション、公的個人認証ソリューションなどを提供しています。
顧客への決済端末やソフトウェアの販売代金、システム導入費、並びに決済センターの利用手数料などが主な収益源です。運営は同社および子会社が主体となって行っています。
■(3) ECソリューション事業
B2B向けのECサイト構築パッケージの販売と、その導入に係るコンサルティングやシステム開発、運用保守を提供しています。
顧客企業からのパッケージソフトウェアのライセンス費用やシステム構築費、導入後の保守費用が主な収益源です。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績推移を見ると、新製品の開発や提案活動への注力により先行費用が発生し、売上高は減少傾向にあります。利益面でも営業赤字が継続しており、事業拡大と投資回収に向けた重要な局面を迎えています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 29億円 |
| 経常利益 | -3億円 | -3億円 |
| 利益率(%) | -10.9% | -10.1% |
| 当期利益 | -4億円 | -3億円 |
■(2) 損益計算書
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 31億円 | 29億円 |
| 売上総利益 | 4億円 | 4億円 |
| 売上総利益率(%) | 12.0% | 12.5% |
| 営業利益 | -3億円 | -3億円 |
| 営業利益率(%) | -9.7% | -9.4% |
販売費及び一般管理費のうち、支払手数料が3億円(構成比50%)、給与手当が2億円(同31%)を占めています。また、売上原価の内訳では外注加工費が7億円(同26%)、経費が8億円(同31%)となっています。
■(3) セグメント収益
決済ソリューション事業は新製品の拡販により増収となりましたが、大型案件の納期ズレや開発投資により赤字となっています。SIソリューション事業は前年の大型案件の反動で減収減益となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| SIソリューション事業 | 12億円 | 9億円 | 1億円 | 0.9億円 | 9.3% |
| 決済ソリューション事業 | 18億円 | 19億円 | -1億円 | -0.4億円 | -2.1% |
| ECソリューション事業 | 1.2億円 | 0.8億円 | -0.5億円 | -0.3億円 | -36.3% |
| 連結(合計) | 31億円 | 29億円 | -3億円 | -3億円 | -9.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業は赤字ですが、将来成長のために借入等で投資を継続する「勝負型」のキャッシュ・フロー状況です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていません。財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.6%で、スタンダード市場の非製造業平均(48.5%)を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.8億円 | -0.4億円 |
| 投資CF | -3億円 | -3億円 |
| 財務CF | 3億円 | 2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「デジタル情報化社会に貢献する経営」を企業理念に掲げ、先進技術を応用したソリューションの提供により社会に貢献することを目指しています。また、存在意義(ミッション)として「私たちの技術によってデジタルメディア社会の成長を支えていきます」「私たちが培った技術を使って、広く世の中に貢献していきます」と定めています。
■(2) 企業文化
行動指針(共有する価値観)として、「お客様を第一に」「技術を中心に」「明るくオープンなチームを」「スピーディに結果を」「挑戦を続けて」「誠実に規範を守って」を掲げています。技術を価値の源泉とし、環境の変化や技術革新をチャンスと捉えて行動するプロフェッショナルを育む企業風土を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
企業規模の観点から成長途上にあると認識しており、事業の拡大(売上高・経常利益の拡大)を重要な経営目標に掲げています。具体的には、経営資源を有効活用して高付加価値なソリューションを提供することで、営業利益率の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
デジタルメディア領域で培ったコア技術と独創的なソリューションに特化し、成長市場を捉えたビジネスを展開する方針です。決済ソリューション事業では新モデルや自社運営の決済センターサービスの拡販を通じてストック収入の拡大を図り、SIソリューション事業ではクラウドサービスを活用したシステム開発支援に注力して経営の安定化を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高度な技術力を軸に社会の課題を解決する革新的なソリューションの提供を目指し、専門性を有する技術者集団の育成と多様な人材が活躍できる環境整備を推進しています。採用面では理系学生や即戦力となる高度経験者層の獲得に注力し、育成面では資格取得支援やAIツールの導入、定期的な1on1を通じた自律的なキャリア形成を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.0歳 | 11.1年 | 5,631,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 13.6% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※男性育児休業取得率、およびパート・有期労働者の男女賃金差異は、当事業年度において対象となる従業員がいなかったため記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
(1) 競合と技術革新への対応
自社開発のソフトウェアと先進技術を組み合わせたソリューションを提供していますが、大手の同業他社や新規参入企業との競争が激化する可能性があります。また、技術革新のスピードが速い領域であるため、継続的なノウハウのアップデートや迅速な環境変化への対応が遅れた場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
(2) システムトラブル等の発生
提供するソリューションにおいて、誤作動やバグ、納期遅延などの不具合が生じた場合、損害賠償責任の発生や顧客からの信頼喪失につながる恐れがあります。また、自然災害やサイバー攻撃等による予期せぬシステム障害が生じた場合にも、同社の事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) プロジェクト採算の悪化
請負契約によるシステム開発案件では、事前に想定される工数や難易度、リスクを考慮して受注金額を決定していますが、予想できないトラブルの発生や進捗の遅れにより開発工数が当初の計画を大幅に超過した場合、プロジェクトの採算が悪化するリスクがあります。
(4) 人材および外注先の確保
今後の安定的な成長を実現するためには、優秀な人材の確保と育成が重要な課題です。また、ビジネスの拡大に伴い協力会社(外注先)を活用していますが、求める要件を満たす人材の採用が計画通りに進まない場合や、適正なコストの協力会社が不足する場合には、事業展開に支障をきたす可能性があります。



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