フライトソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フライトソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フライトソリューションズは東京証券取引所スタンダード市場に上場するシステム開発会社です。物流・金融業界向けのシステム構築や、自社開発の電子決済ソリューション、ECサイト構築パッケージなどを展開しています。直近の決算では、新製品開発投資や大型案件の期ズレなどが響き、赤字幅が拡大しています。


※本記事は、株式会社フライトソリューションズ の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フライトソリューションズってどんな会社?


システム開発と決済ソリューションを2本柱とするIT企業です。技術力を強みとし、独自の決済端末やサービスの開発に注力しています。

(1) 会社概要


同社は1988年に画像処理のデジタル化を目的として設立されました。2004年に東証マザーズへ上場し、2013年には持株会社体制(フライトホールディングス)へ移行しました。その後、2023年10月に事業子会社を吸収合併して持株会社体制を解消し、現在の商号であるフライトソリューションズとなりました。近年はAndroid端末を用いたタッチ決済ソリューションなど、フィンテック領域での事業拡大を推進しています。

2025年3月31日現在、従業員数は110名(単体)です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は個人の萩野幸治氏で、第2位はノムラ・インターナショナル・ピーエルシー(金融機関)、第3位は個人の松村直史氏となっています。

氏名 持株比率
萩野 幸治 1.87%
NOMURA INTERNATIONAL PLC A/C JAPAN FLOW 1.75%
松村 直史 1.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名、計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は片山圭一朗氏が務めています。なお、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
片山 圭一朗 代表取締役社長 1985年イーゼル入社。1988年フライト(現同社)設立、代表取締役社長。2023年よりプロダクト&フィナンシャルサービス事業部長を兼務し現職。
松本 隆 男 代表取締役副社長 1979年コンピューターサービス入社。CSK東北システム代表取締役専務などを経て、2011年同社代表取締役副社長。2023年より管理本部長を兼務し現職。
和田 克 明 常務取締役 1987年コナム入社。CSK東北システムを経て、2005年同社SI事業部事業部長。2023年よりバリュークリエーション事業部長等を兼務し現職。


社外取締役は、重富貴子(弁護士)、伊東幸子(東京科学大学副学長)、萩原義春(司法書士事務所代表パートナー)です。

2. 事業内容


同社は、「SIソリューション事業」「決済ソリューション事業」「ECソリューション事業」を展開しています。

(1) SIソリューション事業


物流系や金融系を中心とした事業会社向けに、システムコンサルティングやシステム開発・保守サービスを提供しています。また、クラウドサービスを活用したシステム開発支援なども行っています。

収益は、顧客企業からのシステム開発費用や保守運用手数料から得ています。運営はフライトソリューションズが行っています。

(2) 決済ソリューション事業


自社製品である電子決済ソリューション「Incredist」シリーズや、Android端末を活用したタッチ決済ソリューション「Tapion」シリーズの開発・販売を行っています。無人自動精算機向けの決済ソリューションやマイナンバーカードを用いた本人確認ソリューションも手掛けています。

収益は、決済端末の販売代金や、決済ソリューションの利用料、運用保守費用から得ています。運営はフライトソリューションズが行っています。

(3) ECソリューション事業


B2B(企業間取引)向けのECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」シリーズの開発および販売を行っています。パッケージ導入に伴うコンサルティングやシステムカスタマイズ、保守サービスも提供しています。

収益は、ECサイト構築パッケージのライセンス料や導入支援費用、システム開発費、保守料から得ています。運営はフライトソリューションズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。なお、同社は2023年10月の組織再編により連結決算から単体決算へ移行しており、第38期(2025年3月期)は非連結の数値となります。

(1) 業績推移


直近の業績を見ると、売上高は30億円台で推移していますが、利益面では苦戦が続いています。特に直近の2025年3月期は、新製品開発に伴う費用の増加や案件の期ズレなどの影響により、赤字幅が拡大しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 34億円 32億円 30億円 32億円 31億円
経常利益 -2.8億円 1.5億円 0.6億円 -0.9億円 -3.3億円
利益率(%) -8.1% 4.8% 1.9% -2.9% -10.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.8億円 1.1億円 0.4億円 -0.8億円 -3.8億円

(2) 損益計算書


前期(連結)と当期(単体)を比較すると、売上高は微減となりましたが、開発投資の先行などにより営業損失が拡大しました。売上総利益率は向上したものの、販管費の負担が重く、最終的な利益を圧迫する構造となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 32億円 31億円
売上総利益 2.8億円 3.7億円
売上総利益率(%) 8.6% 12.1%
営業利益 -1.5億円 -3.0億円
営業利益率(%) -4.7% -9.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.9億円(構成比29%)、支払手数料が1.3億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期はSIソリューション事業で利益を確保したものの、決済ソリューション事業において開発費負担や大口案件の翌期への期ズレが発生し、損失を計上しました。ECソリューション事業もセキュリティ強化等の対応により損失となっています。

区分 売上(2025年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
SIソリューション事業 12億円 1.4億円 12.5%
決済ソリューション事業 18億円 -1.0億円 -5.7%
ECソリューション事業 1.2億円 -0.5億円 -39.8%
調整額 - -2.9億円 -
合計 31億円 -3.0億円 -9.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**パターン:勝負型**
本業の営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる中で、借入や株式発行などの財務活動で資金を調達し、開発投資(無形固定資産の取得)を行っている状態です。将来の成長に向けた先行投資フェーズといえます。

項目 2025年3月期
営業CF -0.8億円
投資CF -3.5億円
財務CF 3.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はマイナスであり、財務の安定性を測る自己資本比率は33.4%で、スタンダード市場の非製造業平均(48.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「変化に強い経営」「デジタル情報化社会に貢献する経営」「プロフェッショナルを育む経営」「個人と会社の目標を一致させる経営」を企業理念として掲げています。技術によってデジタルメディア社会の成長を支え、広く世の中に貢献することを使命(ミッション)としています。

(2) 企業文化


社員一人ひとりが共有すべき価値観として、「お客様を第一に」「技術を中心に」「明るくオープンなチームを」「スピーディに結果を」「挑戦を続けて」「誠実に規範を守って」という行動指針を定めています。技術を価値の源泉とし、スピードと責任感を持って仕事に取り組み、難しいことにも積極的に挑む姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は現在、成長途上の段階にあると認識しており、売上高および経常利益の拡大を重要な課題としています。具体的な数値目標は公表していませんが、経営資源を有効活用して高付加価値ソリューションを提供し、営業利益率の向上を目指す方針を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後は、プロジェクトにおける技術・ノウハウの共有化を進め、個人のスキルを組織の力に変えることに注力します。また、優秀な人材の確保・育成と、外部パートナーとのアライアンス強化を重点施策としています。事業面では、Android端末によるタッチ決済ソリューション「Tapion」シリーズや、新モデルの決済端末の拡販により、ストック収入の大幅増大を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は技術系の会社として、新卒・中途を問わず積極的に技術系人材を採用しています。採用や評価において性別や国籍などによる区別はなく、能力や実績、適性を重視しています。育成面では、技術者の育成プランや各種研修制度を推進し、個々が活躍できる場を拡大することを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.1歳 10.8年 5,614,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 9.5%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 74.9%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 75.9%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) -%


※非正規雇用の賃金差異については、対象者がいない、または算出不能等の理由により記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合環境の激化


同社は独自の技術力を強みとしていますが、大手の同業他社や新規参入企業との競争が激化した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。技術優位性の維持が重要となります。

(2) 技術革新への対応


IT業界は技術革新のスピードが速く、OSやネットワーク機器などのシステム基盤も常に変化しています。同社が想定する以上の急速な技術革新が起きた場合、対応が遅れることで競争力を失い、業績に影響が出る可能性があります。

(3) システムトラブルの発生


提供するソリューションにおいて不具合やバグ、納期遅延などが生じた場合、損害賠償責任の発生や信頼の低下を招くリスクがあります。また、災害やサイバー攻撃など予期せぬ事態によるシステム停止もリスク要因となります。

(4) 営業損失の計上と財務状況


決済ソリューション事業における開発費用の増加などにより、営業損失および経常損失が継続しています。これにより金融機関との契約条項に抵触する状況が生じていますが、資金繰りの懸念はないとしています。しかし、業績回復が遅れた場合、財務状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。