ソフトクリエイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソフトクリエイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソフトクリエイトホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、ECサイト構築パッケージ等を提供するECソリューション事業と、ワークフロー等のクラウドサービスを展開するITソリューション事業を手掛けています。直近の業績は、売上高が前期比で増収となり、経常利益も増益と好調に推移しています。


※本記事は、株式会社ソフトクリエイトホールディングスの有価証券報告書(第59期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ソフトクリエイトホールディングスってどんな会社?


ECサイト構築プラットフォームやITインフラ構築などの各種ソリューションサービスを提供するIT企業です。

(1) 会社概要


1969年に設立され、1985年にソフトクリエイトへ商号変更して受託開発等を開始しました。1999年にECサイト構築パッケージ(現ecbeing)の販売を開始し、2005年に大証ヘラクレスへ上場しました。その後、東証一部を経て現在は東証プライム市場に上場し、2012年には純粋持株会社体制へ移行して現社名へと変更しています。

従業員数は連結で1,230名、単体で25名です。筆頭株主は同社役員が代表を務める資産管理会社のティーオーシステムであり、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位はSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505044です。

氏名 持株比率
ティーオーシステム 27.49%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.87%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505044 5.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長は林勝氏、代表取締役社長は林宗治氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
林勝 代表取締役会長 白坂産業(現同社)入社後、社長等を経て2013年より現職。ソフトクリエイト等の役員を兼任。
林宗治 代表取締役社長 同社取締役等を経て2013年より現職。エイトレッド会長、エクスジェン・ネットワークス取締役等を兼任。
林雅也 代表取締役副社長 同社入社後、取締役等を経て2017年より現職。ecbeing社長、visumo取締役等を兼任。
中桐雅宏 取締役専務執行役員 同社入社後、取締役等を経て2022年より現職。ソフトクリエイト、ecbeing等の取締役を兼任。
佐藤淳 取締役常務執行役員 同社入社後、経営管理部長等を経て2022年より現職。ソフトクリエイト監査役等を兼任。


社外取締役は、安田洋史氏(元東芝提携戦略部長)、原田陽一氏(元日本ユニシス常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ECソリューション事業」および「ITソリューション事業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

ECソリューション事業


ECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売、カスタマイズ、データセンターでのホスティングサービスに加え、WEBマーケティングサービス等の付加価値サービスを提供しています。顧客企業に対してトータル的なECソリューションを展開しています。

収益源は、パッケージソフトの販売、カスタマイズの開発費用、および継続的なホスティングやマーケティング支援などの各種サービス利用料です。運営は主にecbeing、visumo、エートゥジェイなどの子会社が行っています。

ITソリューション事業


同社グループが開発した「X-pointクラウド」「AgileWorks」「L2Blocker」などのソフトウェアプロダクトの販売や、ネットワーク構築、法人顧客向けIT機器や市販パッケージソフトウェアの販売を行っています。

収益源は、自社開発プロダクトの販売や各種クラウドサービスの継続利用料、セキュリティ・インフラ構築などのサービス提供に対する対価です。運営は主にソフトクリエイト、エイトレッドなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が毎期順調に拡大しており、増収基調を維持しています。経常利益も売上成長に伴って継続的に増加しており、利益率も18%から19%台の高い水準で安定的に推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 212億円 243億円 279億円 310億円 344億円
経常利益 42億円 45億円 54億円 58億円 65億円
利益率(%) 19.6% 18.5% 19.2% 18.6% 19.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 16億円 27億円 24億円 19億円 21億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は約41%と高い水準を維持しており、営業利益も堅調に伸びていることから、収益性の高い事業構造であることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 310億円 344億円
売上総利益 129億円 140億円
売上総利益率(%) 41.6% 40.8%
営業利益 55億円 62億円
営業利益率(%) 17.8% 18.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が27億円(構成比35%)、賞与及び賞与引当金繰入額が6億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


ECサイト構築プラットフォームや各種クラウドサービスの需要拡大を背景に、ECソリューション事業およびITソリューション事業の双方が増収増益となり、全社的な業績拡大を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ECソリューション事業 166億円 181億円 41億円 45億円 24.8%
ITソリューション事業 143億円 163億円 30億円 32億円 19.8%
調整額 -2億円 -2億円 -13億円 -12億円 -
連結(合計) 310億円 344億円 58億円 65億円 19.0%


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.2%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も59.7%であり、いずれも市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


企業ミッションとして「中堅企業並びに大手企業内部門に、最適なITソリューション・サービスを、営業・技術が一体となって提供し、顧客企業の成長と社会の発展に寄与する」ことを掲げています。顧客企業にとって単なる業者ではなく、常にベストパートナーであることを目指す「ベストパートナーソリューションプロバイダ」を標榜しています。

(2) 企業文化


コーポレートスローガンとして「Speed&Change」を掲げています。変化する時代への対応力と、失敗を恐れないチャレンジスピリットのもと、常に時代の一歩先をゆく事業展開を目指す文化があります。また、「実利主義経営」「環境変化への素早い対応」「実績・実力主義」の3つを経営指針として重んじています。

(3) 経営計画・目標


経営ビジョンとして「Webソリューション・サービスを基盤とした高収益会社」の実現を掲げています。継続的な事業拡大を通じて企業価値の向上を図るため、経常利益および利益成長率を重要な経営指標として設定し、たとえ厳しい経済環境下においても安定的に発展し続ける優良企業を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


EC市場やクラウドサービス市場の拡大、企業のセキュリティ投資意欲の高まりを背景に、ECソリューション事業およびITソリューション事業のさらなる拡大を図ります。特にIT技術者の確保・育成、重点顧客戦略による販売体制の強化と知名度の向上、および市場での優位性を高めるための製品機能の強化に重点的に取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


属性にとらわれない積極的な採用活動や中核人材の登用を行うとともに、社員の能力を最大限に発揮させる仕組み作りに注力しています。能力を向上させるための研修の実施や評価制度の充実、資格取得奨励金などのスキルアップ支援を推進し、健康診断やメンタルヘルスチェックなどの社内環境整備も積極的に進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与は東京証券取引所プライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.6歳 7.0年 6,894,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.4%
男性育児休業取得率 33.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 77.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 69.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 収益構造の変化に伴うリスク


同社グループはECソリューション事業を成長ビジネスとして位置づけていますが、ソフト系IT市場およびEC市場が想定する程には成長しなかった場合、当該事業の成長が阻害され、利益率の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の育成・確保に関するリスク


継続的な成長と販売・開発体制の強化には、IT技術者の確保・育成が重要な課題です。積極的な採用活動を行っていますが、想定通りの人材確保が進まない場合や、人材の社外流出が発生した場合には、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティとシステム障害のリスク


クラウドサービス等の提供にあたり、万一の障害に備えた管理体制を整えていますが、サーバーの停止や不正アクセスによる情報漏洩などが発生した場合、業務遂行への支障や損害賠償請求の対象となり、社会的信用の低下を招いて事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。