※本記事は、株式会社ソフトクリエイトホールディングス の有価証券報告書(第58期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ソフトクリエイトホールディングスってどんな会社?
ECサイト構築とITインフラ支援を柱に、企業のデジタル化を支援する「ベストパートナー」を目指す企業です。
■(1) 会社概要
1969年に設立され、1983年にパソコンショップを開店してIT事業へ転換しました。1999年にECサイト構築パッケージ(現ecbeing)の販売を開始し、現在の主力を確立。2005年のヘラクレス上場を経て、2011年に東証一部へ指定替えとなりました。2012年に持株会社体制へ移行し、現在は東証プライム市場に上場しています。
連結従業員数は1,101名、単体では22名が在籍しています。筆頭株主は創業家資産管理会社のティーオーシステムで27.97%を保有しており、第2位は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。創業家が経営に深く関与しつつ、安定した株主構成を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ティーオーシステム | 27.97% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.28% |
| BIPROGY | 5.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役会長は林勝氏、代表取締役社長は林宗治氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 勝 | 代表取締役会長 | 1971年同社入社。1982年より社長を務め、2013年より現職。ecbeing代表取締役会長執行役員、ソフトクリエイト取締役会長執行役員等を兼任。 |
| 林 宗治 | 代表取締役社長 | 2000年取締役就任。各事業部長を経て2006年社長就任。2013年より現職。ソフトクリエイト社長、エイトレッド会長等を兼任。 |
| 林 雅也 | 代表取締役副社長 | 2000年入社。EC事業本部長などを歴任し、2017年より現職。ecbeing社長、エートゥジェイ会長などを兼任し、EC事業を牽引。 |
| 中桐 雅宏 | 取締役専務執行役員 | 1992年入社。営業本部長、経営管理本部長などを歴任し、2022年より現職。ソフトクリエイト取締役などを兼任。 |
| 佐藤 淳 | 取締役常務執行役員 | 1998年入社。経営管理部長、エイトレッドCFOなどを経て、2022年より経理財務本部長兼経理部長として現職。 |
社外取締役は、安田洋史(元東芝半導体国際部長、青山学院大学名誉教授)、橘大樹(石嵜・山中総合法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ECソリューション事業」および「ITソリューション事業」を展開しています。
■ECソリューション事業
ECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売、カスタマイズ、ホスティングサービスに加え、Webマーケティング支援等の付加価値サービスを提供しています。国内市場シェアNo.1のパッケージを核に、企業のECビジネスをトータルで支援する事業です。
収益は、顧客企業からのパッケージライセンス料、システム開発料、ホスティングやクラウドサービスの利用料などから得ています。運営は主にecbeing、visumo、エートゥジェイなどが担っています。
■ITソリューション事業
自社開発のワークフローシステム「X-pointクラウド」「AgileWorks」やセキュリティ製品「L2Blocker」の販売、企業向けネットワーク構築、IT機器販売を行っています。企業のDX推進やセキュリティ対策需要に対応する事業です。
収益は、製品のライセンス販売、クラウドサービス利用料、システム構築・保守費用、ハードウェア販売代金などから構成されています。運営は主にソフトクリエイト、エイトレッド、エクスジェン・ネットワークスなどが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、売上高、経常利益ともに右肩上がりの成長トレンドを描いています。特に売上高は240億円規模から310億円まで拡大し、経常利益も32億円から58億円へと順調に伸長しています。利益率も18〜19%台と高い水準を維持しており、収益性の高いビジネスモデルが確立されています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 242億円 | 212億円 | 243億円 | 279億円 | 310億円 |
| 経常利益 | 32億円 | 42億円 | 45億円 | 54億円 | 58億円 |
| 利益率(%) | 13.4% | 19.6% | 18.5% | 19.2% | 18.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 18億円 | 24億円 | 27億円 | 33億円 | 35億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高が約30億円増加し、売上総利益も約10億円増加しています。売上原価率は微増していますが、売上総利益率は40%台を維持しており、高付加価値なサービス提供が継続できています。営業利益も順調に増加しており、事業拡大と利益確保の両立が進んでいます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 279億円 | 310億円 |
| 売上総利益 | 119億円 | 129億円 |
| 売上総利益率(%) | 42.7% | 41.6% |
| 営業利益 | 52億円 | 55億円 |
| 営業利益率(%) | 18.5% | 17.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が24億円(構成比32%)、賞与及び賞与引当金繰入額が5億円(同7%)を占めています。人件費が主要なコスト要因となっており、人的リソースへの投資が事業運営の鍵であることが分かります。
■(3) セグメント収益
ECソリューション事業はEC市場の拡大を背景に増収増益となり、ITソリューション事業もクラウドサービスやセキュリティ構築が好調で2桁増収となりました。両セグメントともに高い利益率を確保していますが、特にECソリューション事業が利益額で全体を牽引しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ECソリューション事業 | 155億円 | 166億円 | 40億円 | 41億円 | 24.5% |
| ITソリューション事業 | 124億円 | 143億円 | 28億円 | 30億円 | 20.9% |
| 調整額 | -2億円 | -2億円 | -14億円 | -13億円 | - |
| 連結(合計) | 279億円 | 310億円 | 54億円 | 58億円 | 18.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で稼いだキャッシュを、ソフトウェア開発などの投資や株主還元(配当・自己株式取得)に充てており、財務規律の取れた「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 65億円 | 50億円 |
| 投資CF | -14億円 | -21億円 |
| 財務CF | -10億円 | -15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.5%で市場平均(プライム市場非製造業平均)を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「ベストパートナーソリューションプロバイダ」を企業ミッションとして掲げています。中堅企業や大手企業内部門に対し、営業と技術が一体となって最適なITソリューションを提供し、単なる業者ではなく、顧客企業の成長と社会の発展に寄与する真のパートナーとなることを目指しています。
■(2) 企業文化
「Speed & Change」をコーポレートスローガンとしています。変化する時代への対応力と失敗を恐れないチャレンジスピリットを重視し、常に時代の一歩先を行く事業展開を目指す文化があります。また、「実利主義経営」「環境変化への素早い対応」「実績・実力主義」を経営指針として掲げています。
■(3) 経営計画・目標
「Webソリューション・サービスを基盤とした高収益会社」の実現を経営ビジョンとして掲げています。業態転換を経て成長途上にあると認識しており、特定の数値目標の開示はありませんが、「経常利益」および「利益成長率」を重要な経営指標と位置づけ、継続的な事業拡大を通じて企業価値向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
EC市場やクラウド市場の拡大、DX推進を背景に、ECソリューション事業およびITソリューション事業の拡大を急務としています。特に、主力製品「ecbeing」やセキュリティ、クラウドビジネスの販売体制強化、製品機能の強化、そして人材の確保・育成を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
IT技術の進歩と顧客要求の高度化に対応するため、積極的な人材採用による確保と、研修や評価制度の充実による育成を重視しています。また、属性にとらわれない採用や中核人材の登用、女性活躍推進を進めるとともに、健康診断や資格取得支援などにより、社員が能力を最大限発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 36.6歳 | 6.3年 | 7,242,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.4% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 70.3% |
※上記数値は主要事業会社であるecbeingの実績値に基づきます(core_data参照)。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ソフト系IT業界の市場変動リスク
同社グループの事業はソフト系IT業界に属しており、企業のIT投資意欲や経済情勢の影響を受けやすい特性があります。景気後退により顧客の投資が縮小した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、EC市場の成長が鈍化した場合には、主力事業の成長が阻害されるリスクがあります。
■(2) 開発プロジェクトの採算性悪化
システム開発業務において、作業進捗の遅延や想定外の費用発生により採算が悪化する可能性があります。また、顧客検収後に予期せぬ不具合が発生した場合には、損害賠償請求や信頼性の低下を招き、事業展開や業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 収益構造の変化と事業成長の阻害
ECソリューション事業を成長の柱と位置づけていますが、市場環境の変化等により想定通りの成長が実現できない場合、利益率が低下する恐れがあります。また、システム開発の検収時期が9月や3月に集中する傾向があり、検収遅延が発生すると売上計上が翌期にずれ込むリスクがあります。
■(4) 投資および有価証券に関するリスク
業務提携やM&Aに伴う投資を行っていますが、計画通りに進捗しない場合、投資費用が回収できない可能性があります。また、保有する有価証券の時価下落や投資先の業績不振により評価損が発生し、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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