タカミヤ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカミヤ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカミヤは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、足場など建設用仮設機材の開発・製造・販売・レンタルおよびプラットフォーム事業を展開しています。プラットフォームへの転換が進み利益率が改善したことで、直近の業績は増収増益と好調に推移しています。建設業界の構造的課題の解決に貢献する企業です。


※本記事は、株式会社タカミヤの有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タカミヤってどんな会社?


建設用仮設機材のレンタル・販売から、機材の管理運用を包括的に担うプラットフォーム事業へと転換を進める企業です。

(1) 会社概要


同社は1969年6月に大阪市で設立され、仮設資材の売買を開始しました。1974年には仮設資材のリースおよびレンタルへと事業を転換し、国内外への拠点網拡大やM&Aを通じて成長を遂げました。2005年にジャスダックに上場後、東京証券取引所への上場を経て、現在はスタンダード市場に所属しています。2019年には現在のタカミヤへと商号を変更し、直近では2025年4月に東京本社を設立するなど事業体制を強化しています。

従業員数は連結で1,351名、単体で752名です。筆頭株主は創業家関連とみられる有限会社タカミヤで、第2位も資産管理業務等を行うライズ・エイトとなっています。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
有限会社タカミヤ 21.19%
ライズ・エイト 9.51%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役会長兼社長は髙宮一雅氏が務めており、社外取締役の比率は38.5%となっています。

氏名 役職 主な経歴
髙宮一雅 代表取締役会長兼社長 朋栄森林開発を経て同社入社。取締役ビルドテクノレンタル事業部長、代表取締役社長等を経て、2017年より現職。
髙宮章好 代表取締役副社長 東京ダンケを経て同社入社。財務部長、管理部門統括、ホリー代表取締役社長等を経て、2016年より現職。
安部努 専務取締役 同社入社後、営業本部営業第二部長、青森アトム代表取締役社長、執行役員営業本部長等を経て、2025年より現職。
安田秀樹 取締役常務執行役員経営戦略本部長Takamiya Lab.本部長 同社入社後、経理部長、経営企画室長、経営管理本部長等を経て、2021年より現職。
向山雄樹 取締役執行役員製造本部長Takamiya Lab.副本部長 同社入社後、事業開発本部長、海外事業本部長、キャディアン代表取締役社長等を経て、2021年より現職。
辰見知哉 取締役執行役員経営管理本部長Takamiya Lab.副本部長 同社入社後、経理部長、上席執行役員経営管理本部長等を経て、2021年より現職。
川上和伯 取締役執行役員営業本部長Takamiya Lab.副本部長 同社入社後、東京支店長、工事部長、東日本統括部長、エコ・トライ代表取締役等を経て、2022年より現職。
桝野隆史 取締役(常勤監査等委員) ホリー入社後、同社専務取締役、タカミヤ執行役員品質保証本部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、下川浩司(税理士法人下川&パートナーズ代表社員)、古市德(元新光インベストメント代表取締役社長)、酒谷佳弘(ジャパン・マネジメント・コンサルティング代表取締役)、上甲悌二(弁護士法人淀屋橋・山上合同代表社員)、加藤幸江(弁護士法人中央総合法律事務所シニアカウンセル)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラットフォーム事業」「販売事業」「レンタル事業」「海外事業」を展開しています。

プラットフォーム事業


足場などの仮設機材の運用マネジメントサービス「OPE-MANE」を中心としたプラットフォームサービスを提供しています。建設業界の顧客に対し、機材の最適化や業務の省力化・省人化を支援するソリューションを展開しています。

顧客の預入機材量の増加に伴う機材の追加レンタルや購入などのリカーリング収益を主な収益源としています。同事業の運営は、主に同社が主体となって展開しています。

販売事業


建設現場で使用される足場等の仮設関連機材、中古機材、アグリ・太陽光関連製品などの環境関連製品、および制震材などの建材・構造材の開発・製造・販売を行っています。

顧客への機材や製品の販売代金を収益としています。同事業は、同社のほか、トータル都市整備、イワタなどの国内連結子会社が事業を運営しています。

レンタル事業


建設工事に不可欠な外部足場材、支保工材などの仮設機材をレンタルし、あわせて施工・運搬サービスも提供しています。建設需要に対応し、必要な現場への機材の安定供給を担っています。

機材のレンタル料および付随する施工・運搬などの労務・サービス料を収益としています。運営は、同社およびトータル都市整備、ヒラマツ、イワタなどの国内レンタル子会社が行っています。

海外事業


韓国やベトナム、フィリピンなどの海外市場において、仮設機材や関連資材の製造・販売、およびレンタル・施工サービスを提供しています。現地での建設プロジェクトに向けた機材供給を行っています。

海外の顧客からの製品販売代金や機材のレンタル料を収益としています。同事業は、ホリーコリア、ホリーベトナム、DIMENSION-ALL INC.などの海外子会社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が堅調に拡大傾向にあり、利益面は変動を伴いつつも直近で大幅な増益となっています。特に直近ではプラットフォーム事業への転換が進展したことや社内効率化による販管費抑制が奏功し、増収ならびに各段階利益の大きな改善を達成しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 398億円 419億円 441億円 438億円 452億円
経常利益 20億円 24億円 36億円 19億円 30億円
利益率(%) 4.9% 5.7% 8.1% 4.2% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 5億円 11億円 5億円 15億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に加えて売上総利益率が32.2%から34.7%へ改善したことで、営業利益率も4.7%から7.2%へ大きく向上しています。利益率の高いプラットフォーム事業への事業ポートフォリオのシフトが着実に進んでいることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 438億円 452億円
売上総利益 141億円 157億円
売上総利益率(%) 32.2% 34.7%
営業利益 21億円 33億円
営業利益率(%) 4.7% 7.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が42億円(構成比33%)、家賃が8億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


各事業の収益動向をみると、プラットフォーム事業がユーザー数の増加やリカーリング収益の好調により大幅な増収増益を牽引しています。また、レンタル事業も単価改定が進み利益率が改善しました。一方、海外事業は建設投資の低調により減収減益となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
プラットフォーム事業 52億円 68億円 12億円 17億円 24.4%
販売事業 89億円 100億円 3億円 5億円 4.6%
レンタル事業 268億円 268億円 32億円 42億円 15.8%
海外事業 29億円 16億円 3億円 -1億円 -6.0%
連結(合計) 438億円 452億円 21億円 33億円 7.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -6億円 47億円
投資CF -45億円 -9億円
財務CF 61億円 -29億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は30.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「仮設機材等の提供を通じて、高付加価値サービスをお客様に広く提供し、事業を通じた社会貢献を果たすこと」を企業理念として掲げています。品質、安全性および供給力の向上に加え、高付加価値化と生産性向上を通じて、持続的な成長とステークホルダーへの貢献を目指しています。

(2) 企業文化


「愛」を社是とし、「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学としています。従業員一人ひとりが働きがいを感じ、自ら考え行動する「自走」する環境をつくることでエンゲージメントを高め、持続的な企業価値の向上につなげる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


中長期的な企業価値向上を図るため、収益性と資本効率の両立を重視し、ROIC(投下資本利益率)を重要な経営指標としています。また、プラットフォーム関連指標であるOPE-MANE利用者数の拡大も目標に掲げています。

* 連結営業利益
* 売上高営業利益率
* ROE
* ROIC

(4) 成長戦略と重点施策


機材管理や物流、整備・保全、デジタル活用を通じて、顧客利便性の向上と自社の資産効率向上の両立を図るプラットフォーム事業への転換を進めています。OPE-MANEの導入促進や新たなサービスコンテンツの開発などにより、建設業界の人手不足や生産性向上の課題解決に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、「働きやすさ」と「働き甲斐」を追求する環境整備を経営の柱としています。柔軟な勤務形態の導入や社内通貨制度による連携のほか、実践的な学習環境の提供や若手主体型研修による自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.6歳 11.4年 5,650,241円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.8%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 60.0%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 60.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性・外国人管理職比率(3.0%)、女性・外国人係長比率(14.5%)、女性・外国人総合職採用比率(21.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設投資動向等の影響


同社グループが取り扱う仮設機材は建設現場で使用されるため、民間設備投資や国・地方公共団体の公共事業予算など建設投資動向の変動が業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

(2) システム及び情報セキュリティに関するリスク


事業運営上の重要なITインフラについて、システム障害の未然防止やセキュリティ対策に努めていますが、新たな脆弱性やサイバー攻撃により情報漏洩や業務停止が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法令違反に関するリスク


建設業法に基づく特定建設業の許可や古物商許可、倉庫業登録など、事業遂行に不可欠な許認可を受けており、これらが取り消される事態が生じた場合には事業継続が困難になるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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