※本記事は、株式会社タカミヤ の有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. タカミヤってどんな会社?
建設現場に欠かせない「足場」等の仮設機材を主軸に、製造・販売・レンタルから管理プラットフォームまで展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1969年、仮設資材の売買を目的として大阪で設立されました。2005年にジャスダック証券取引所へ上場し、2010年にはホリーを子会社化(後に吸収合併)して事業基盤を拡大しました。2014年に東京証券取引所市場第一部へ指定され、2019年に現在の商号へ変更しました。近年では2025年に日建リースを子会社化するなど、業容の拡大を続けています。
連結従業員数は1,392名、単体では771名が在籍しています。筆頭株主は創業家一族の資産管理会社と見られる有限会社タカミヤで、第2位も同様に創業家関連と推察される株式会社ライズ・エイトです。安定的な株主構成のもと、創業家のリーダーシップによる経営が行われていることがうかがえます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社タカミヤ | 18.88% |
| ライズ・エイト | 9.52% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.81% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.7%です。代表取締役会長兼社長は髙宮一雅氏が務めています。社外取締役比率は38.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙 宮 一 雅 | 代表取締役会長兼社長 | 1992年同社入社。取締役副社長等を経て2002年代表取締役社長就任。2017年より現職。 |
| 髙 宮 章 好 | 代表取締役副社長 | 1995年同社入社。管理部門統括、ホリー社長等を経て2016年より現職。営業本部等を管掌。 |
| 安 部 努 | 専務取締役 | 1991年同社入社。営業本部長、青森アトム社長等を経て2025年4月より現職。 |
| 安 田 秀 樹 | 取締役常務執行役員経営戦略本部長Takamiya Lab.本部長 | 1990年同社入社。経営企画室長、経営管理本部長、海外事業本部長等を経て2025年4月より現職。 |
| 向 山 雄 樹 | 取締役執行役員製造本部長Takamiya Lab.副本部長 | 1993年同社入社。事業開発本部長、海外事業本部長等を経て2021年より現職。 |
| 辰 見 知 哉 | 取締役執行役員経営管理本部長Takamiya Lab.副本部長 | 1995年同社入社。経理部長、執行役員等を経て2021年より現職。 |
| 川 上 和 伯 | 取締役執行役員営業本部長Takamiya Lab.副本部長 | 1990年同社入社。東京支店長、工事部長等を経て2022年より現職。 |
| 桝 野 隆 史 | 取締役(常勤監査等委員) | ホリー専務取締役、同社上席執行役員グローバル品質保証本部長等を経て2024年より現職。 |
社外取締役は、下川浩司(税理士法人代表)、古市 德(元新光インベストメント社長)、酒谷佳弘(元プレサンスコーポレーション監査役)、上甲悌二(弁護士)、加藤幸江(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プラットフォーム事業」「販売事業」「レンタル事業」「海外事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。
■プラットフォーム事業
建設業界の課題解決を目指す「タカミヤプラットフォーム」を中心とした事業です。仮設機材の管理・運用を効率化するソリューションを提供し、顧客の資産効率向上を支援しています。
主な収益源は、機材管理サービス「OPE-MANE(オペマネ)」の利用に伴う収益や、不足機材のレンタル、関連サービスなどの対価です。運営は主に同社が担い、顧客の機材運用を一元的にサポートしています。
■販売事業
建設用仮設機材の開発・製造・販売を行う事業です。次世代足場「Iqシステム」などの高付加価値製品のほか、環境関連として太陽光パネル設置用架台や農業用ハウスなども取り扱っています。
収益は、建設会社や機材レンタル会社などへの製品販売代金です。運営は同社に加え、製造を担うホリーコリア、ホリーベトナム等のグループ会社が連携して行っています。
■レンタル事業
建設現場で使用される仮設機材のレンタルおよび施工サービスを提供する事業です。全国の拠点ネットワークを活用し、必要な機材を必要なタイミングで現場に供給しています。
収益源は、取引先である建設会社等からの機材レンタル料および施工サービス料です。運営は同社のほか、トータル都市整備、青森アトムなどの国内レンタル子会社各社が行っています。
■海外事業
海外市場における仮設機材の製造・販売・レンタルを行う事業です。アセアン地域を中心に、現地の建設需要に対応した製品やサービスを展開しています。
収益は、海外顧客への製品販売やレンタルによる対価です。運営は、韓国のホリーコリア、ベトナムのホリーベトナム、フィリピンのDIMENSION-ALL INC.などの海外子会社が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第56期まで増加傾向にありましたが、直近の第57期では微減となりました。利益面では、第56期に経常利益が大きく伸長しましたが、第57期は減益となり、利益率も低下しています。全体として、事業規模は維持しつつも利益水準の変動が見られる状況です。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 388億円 | 398億円 | 419億円 | 441億円 | 438億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 20億円 | 24億円 | 36億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 4.0% | 4.9% | 5.7% | 8.1% | 4.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 10億円 | 15億円 | 19億円 | 12億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は441億円から438億円へとわずかに減少しました。売上原価率は概ね横ばいですが、販管費が増加した影響で営業利益は前期の34億円から21億円へと縮小し、営業利益率も低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 441億円 | 438億円 |
| 売上総利益 | 144億円 | 141億円 |
| 売上総利益率(%) | 32.7% | 32.2% |
| 営業利益 | 34億円 | 21億円 |
| 営業利益率(%) | 7.7% | 4.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が40億円(構成比33%)、家賃が8億円(同6%)を占めています。売上原価では、外部購入費や製造経費などが主な構成要素となります。
■(3) セグメント収益
プラットフォーム事業は売上高が約1.9倍、利益が約2.1倍と大幅な成長を遂げました。一方、販売事業は減収減益となり、利益面で大きく落ち込みました。レンタル事業は売上高が微増ながら利益は減少しています。海外事業は減収となりましたが、利益は微増を確保しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| プラットフォーム事業 | 28億円 | 52億円 | 6億円 | 12億円 | 23.2% |
| 販売事業 | 112億円 | 89億円 | 13億円 | 3億円 | 3.0% |
| レンタル事業 | 266億円 | 268億円 | 37億円 | 32億円 | 12.0% |
| 海外事業 | 35億円 | 29億円 | 3億円 | 3億円 | 12.1% |
| その他 | - | - | - | - | - |
| 調整額 | △46億円 | △46億円 | △24億円 | △30億円 | - |
| 連結(合計) | 441億円 | 438億円 | 34億円 | 21億円 | 4.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
タカミヤのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や賃貸資産の取得による支出等があったことから、前年よりも支出が増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社株式の取得等があったため、こちらも前年より支出が増加しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入があったことから、前年よりも大幅な収入超過となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | △2億円 | △6億円 |
| 投資CF | △32億円 | △45億円 |
| 財務CF | 28億円 | 61億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、仮設機材等の提供を通じて質の高い高付加価値サービスを広く提供し、事業を通じた社会貢献を果たすことを企業理念としています。顧客のニーズを的確に捉えた新商品開発とサービス向上に努め、新たな価値を提供し続けることで、持続的成長とステークホルダーへの貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
社是である「愛」のもと、「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げています。従業員一人ひとりが高いモチベーションと向上心を持って目標にチャレンジすることを重視し、個々の能力開発や自己実現をサポートする環境づくりと、公正で納得性の高い人事制度の整備を基本としています。
■(3) 経営計画・目標
「中期経営計画 2024-2026」において、以下の数値目標を掲げています。
* 連結営業利益:30億円
* 売上高営業利益率:5.7%以上
* ROE:6.0%以上
* ROIC:3.0%以上
* OPE-MANE利用者数:累計284社以上
■(4) 成長戦略と重点施策
従来の資産取得による収益拡大モデルから、バランスシートに依存しない「ストックビジネス」への転換を加速させています。特にプラットフォーム事業を中核とし、建設業界の課題である人手不足や生産性向上に対応するソリューション提供に注力しています。
* OPE-MANE利用者の拡大とプラットフォーム基盤の強化
* 機材管理物流拠点(Base)の整備・拡充による利便性向上
* DX投資による業務改革と顧客サービスの付加価値向上
* 海外拠点(フィリピン、韓国、ベトナム)の収益向上とグローバル展開
* アグリ事業における高付加価値農業の展開とベンチャー連携
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が活躍できる環境整備とエンゲージメント向上を重視しています。DX推進によるリモートワークやフレックスタイム制の導入、オフィスのリニューアルなどを進めています。また、独自の人事制度や研修、社内表彰制度「Takamiya Award」などを通じて、社員のスキルアップと自律的な行動を促進し、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.9歳 | 10.8年 | 5,408,919円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.3% |
| 男性育児休業取得率 | 56.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 64.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 58.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性・外国人管理職人数(4人)、女性・外国人係長人数(11人)、女性・外国人総合職採用人数(4人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設投資動向等の影響
同社グループの業績は、主要顧客である建設業界の動向に強く影響を受けます。民間設備投資や公共事業予算の増減により建設投資が著しく変動した場合、仮設機材の需要が変化し、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 貸倒れリスク
取引先は多数に分散していますが、その多くは建設会社です。建設業界を含む全般的な景気低迷により取引先の財務状況が悪化した場合、売上債権の貸倒れが増加し、業績に悪影響を与えるリスクがあります。
■(3) 有利子負債への依存
仮設機材の購入資金を主に借入金や社債で調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が高い水準にあります。金利が上昇した場合には支払利息負担が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 建設業界の人手不足
建設業における熟練技能者の高齢化と若年入職者の減少による労働力不足が深刻化しています。施工体制の維持が困難になり、工事の遅延や中断が発生するリスクが高まっており、同社グループの事業にも間接的な影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。