AobaーBBT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AobaーBBT 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の教育企業。「世界で活躍するリーダーの育成」を掲げ、社会人向けのリカレント教育事業と、インターナショナルスクール運営を行うプラットフォームサービス事業を展開しています。直近の業績は、スクール生徒数の増加等が寄与し、売上高77億円、営業利益4.4億円の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社Aoba-BBT の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Aoba-BBTってどんな会社?


Aoba-BBTは、社会人教育と国際教育を柱とする教育・人材育成企業です。

(1) 会社概要


1998年にオンライン型マネジメント教育事業を目的に設立され、2005年にビジネス・ブレークスルー大学院大学を開学、同年12月に東証マザーズへ上場しました。2010年には大学経営学部を設置し、2013年にアオバジャパン・インターナショナルスクール運営会社を子会社化して初等中等教育へ参入しました。2023年に現社名へ商号変更しています。

連結従業員数は637名、単体では135名です。筆頭株主は経営コンサルタントで創業者の大前研一氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
大前研一 34.63%
日本カストディ銀行(信託E口) 8.66%
上原俊彦 3.25%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は柴田巌氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
柴田巌 代表取締役社長ビジネス・ブレークスルー大学事務総長 1990年アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)入社。大前・アンド・アソシエーツを経て複数の企業で代表を歴任。2012年より同社取締役、2018年より社長を務める。
政元竜彦 取締役副社長 1990年日商岩井(現双日)入社。1999年同社入社。BBTオンライン社長などを経て、2022年より取締役兼副社長執行役員兼リカレント事業本部本部長兼法人営業本部副本部長より現職。
大前創希 取締役 2002年クリエイティブホープ代表取締役社長。ビジネス・ブレークスルー大学・大学院教授などを務め、2023年同社取締役就任。DRONE FUND共同代表パートナー等を兼任。
徳永裕司 取締役(常勤監査等委員) 1992年五洋建設入社。2001年同社入社。執行役員、取締役兼財務・総務本部本部長、CFOなどを歴任し、2023年6月より現職。


社外取締役は、鎌田由美子(元JR東日本ステーションリテイリング社長)、志村晶(元リガク社長)、大竹弘(ハッチ・ワーク取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リカレント教育事業」、「プラットフォームサービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) リカレント教育事業


社会人を対象に、経営、問題解決、英語、IT等の能力開発プログラムを提供しています。具体的には、法人向け研修、オンライン大学・大学院(BBT大学等)、オンライン英語学習、ITマネジメント研修などを展開しています。

収益は主に受講生や法人顧客からの受講料、研修費から成り立っています。運営は、Aoba-BBT、Aoba-BBT Global、ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックなどが担当しています。

(2) プラットフォームサービス事業


幼児から高校生を対象に、国際的なカリキュラムに基づくインターナショナルスクールやプリスクールを運営しています。国際バカロレア(IB)認定校として、探究型学習や多言語教育を提供しています。

収益は主に生徒・保護者からの授業料や入学金等から成り立っています。運営は、アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズが行っています。

(3) その他


上記セグメントに含まれない事業として、書籍の出版に係る印税収入や賃貸収益、新規事業等が含まれます。運営は同社グループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は59億円から77億円へと着実に拡大しています。経常利益は変動が見られるものの、黒字基調を維持しています。特に売上高は毎期増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 59億円 68億円 73億円 75億円 77億円
経常利益 2.0億円 4.7億円 3.3億円 3.9億円 4.8億円
利益率(%) 3.4% 7.0% 4.5% 5.2% 6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 2.2億円 7.2億円 2.4億円 2.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。営業利益率も5.1%から5.7%へと改善しており、増収効果が利益面に反映されています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 75億円 77億円
売上総利益 30億円 31億円
売上総利益率(%) 39.5% 39.6%
営業利益 3.8億円 4.4億円
営業利益率(%) 5.1% 5.7%


コスト構成については、販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比43%)、その他経費が3億円(同13%)を占めています。売上原価は売上高に対して約60%の水準で推移しています。

(3) セグメント収益


リカレント教育事業は個人向け領域での環境変化により微減収となりましたが、プラットフォームサービス事業は生徒数の増加や授業料改定により増収となり、全体の成長を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
リカレント教育 36億円 36億円
プラットフォームサービス 38億円 41億円
その他 0.1億円 0.1億円
調整額 0.1億円 0.1億円
連結(合計) 75億円 77億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

Aoba-BBTは、オンライン型マネジメント教育およびインターナショナルスクール運営を主たる事業としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動を通じて資金を獲得しており、前期の使用から大幅な増加に転じました。投資活動では、事業拡大に向けた設備投資や子会社株式の取得等により資金を使用しました。財務活動においては、自己株式の取得や配当金の支払い等により資金が使用されました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -4.3億円 11.0億円
投資CF 0.5億円 -1.7億円
財務CF -5.5億円 -4.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世界で活躍するリーダーの育成」をミッションとし、「Lifetime Empowerment(一生涯学び続け、一生涯成長し続ける学び舎になる)」をビジョンに掲げています。全ての年齢層に対して継続的な学習機会を提供し、グローバルに通用する人材を育成することを目的としています。

(2) 企業文化


「知のネットワークは、人間の能力を無限に伸ばす」というバリューに基づき、教育サービスを提供しています。また、全社員が共有すべき価値観として「私たちの約束(Our Commitment)」というクレドを導入し、顧客、社員、社会、株主に対する約束を掲げて日々の行動指針としています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期において、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:82億5000万円
* 営業利益:6億600万円

(4) 成長戦略と重点施策


「成長分野への選択と集中」と「組織体制の最適化」を軸に戦略を推進します。リカレント教育では、法人向け研修部門を統合・強化し、次世代経営人材育成ニーズに対応します。プラットフォームサービス事業では、インターナショナルスクールの定員対策として新校舎検討やオンライン高校事業の拡充を進め、国際バカロレア(IB)の普及拡大を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「世界で活躍する人材を育成する」というミッションのもと、人的資本を重要な資源と位置付けています。多様な人材が知のネットワークを形成する環境を重視し、主体的かつ積極的に行動できる起業家的な人材の確保や、企業カルチャーを共有できる人材の育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.8歳 8.6年 6,232,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 36.4%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(グループ全体)(50.0%)、正社員一人当たり年間受講時間(137.8時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) オンライン教育市場の変化


オンライン教育市場の成長が見込めない場合や、生成AI等の新技術への対応が遅れた場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。また、国内外の競合他社との価格・サービス競争が激化した場合もリスクとなります。

(2) 法的規制・制度変更


キャリア教育推進特区や大学設置基準等の法制度に変更があった場合、事業展開に制約を受ける可能性があります。また、大学設置基準を満たせなくなり認可が取り消された場合や、特区の協定違反等により特例措置が受けられなくなった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) インターナショナルスクールの運営


スクール運営において、英語で経営ができる教学経営陣、世界標準のカリキュラム、質の高い教員の確保など、特有の経営要素を維持できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

(4) システム障害・セキュリティ


サービス提供が通信ネットワークやシステムに依存しているため、障害やサイバー攻撃、情報漏洩等が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により、事業に重大な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。