※本記事は、Aoba-BBTの有価証券報告書(第28期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. Aoba-BBTってどんな会社?
インターナショナルスクールの運営とオンライン学習を通じたリカレント教育プログラムを提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1998年、オンライン型マネジメント教育の提供を目的に設立されました。2005年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2010年には「ビジネス・ブレークスルー大学経営学部」を開学しました。2013年にアオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズを子会社化しています。
現在の従業員数は連結629名、単体131名体制です。筆頭株主は創業者でビジネス・ブレークスルー大学学長を務める大前研一氏で、第2位は資産管理業務などを行う日本カストディ銀行、第3位は香港上海銀行東京支店となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大前 研一 | 34.63% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 8.66% |
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD | 4.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は柴田巌氏が務めており、社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴田 巌 | 代表取締役社長ビジネス・ブレークスルー大学 事務総長 | 1990年アンダーセン・コンサルティング入社。複数企業の代表取締役を経て2019年7月より現職。 |
| 政元 竜彦 | 取締役副社長 | 1990年日商岩井入社。1999年同社入社。BBTオンライン代表取締役社長等を経て2025年4月より現職。 |
| 徳永 裕司 | 取締役(常勤監査等委員) | 1992年五洋建設入社。2001年同社入社。2019年同社執行役員(CFO)等を経て2023年6月より現職。 |
| 大前 創希 | 取締役 | 2002年クリエイティブホープ代表取締役社長。DRONE FUND共同代表パートナー等を経て2023年6月より現職。 |
社外取締役は、鎌田由美子(元東日本旅客鉄道事業創造本部部長)、志村晶(元理学電機代表取締役社長)、大竹弘(元ジーシーメディア代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プラットフォームサービス」および「リカレント教育」の報告セグメントと、「その他」事業を展開しています。
■プラットフォームサービス
幼児から高校相当の児童・生徒を対象にインターナショナルスクールを運営し、英語による探究型学習やICT教育を取り入れた国際的なカリキュラムを提供しています。都内などで国際バカロレアやケンブリッジ国際の認定校を展開し、オンラインでのプログラムも実施しています。
収益源は、児童・生徒の保護者から受け取る授業料などの固定収入が中心です。運営は主に子会社のアオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズが行っており、同社が国内の複数のキャンパスやオンラインパイロット事業を統括しています。
■リカレント教育
法人向けの次世代経営人材育成やITマネジメント研修、個人向けのオンライン学位プログラム、語学教育など、多様な学習ニーズに応えるサービスを提供しています。独自のオンライン学習システムや豊富なコンテンツライブラリを活用し、社会人の学び直しを支援しています。
収益源は、法人顧客から受け取る研修受講料や、個人から受け取る大学・大学院の学費、英語プログラムの利用料などです。運営は同社に加え、ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック、Aoba-BBT Globalなどの子会社が各領域を担っています。
■その他
報告セグメントに含まれない事業として、書籍の出版に係る印税収入、不動産の賃貸収益、新規事業の運営などを行っています。同社の教育プログラム受講生に対する起業支援事業などもここに含まれます。
収益源は、出版社から受け取る印税収入や、テナント等から受け取る不動産賃貸料などです。これらの事業運営は主に同社が主体となって実施しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して増加傾向にありましたが、直近では前年並みの水準で推移しています。経常利益と利益率は増減を繰り返しながら推移しており、堅調な事業基盤を維持している様子がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 68億円 | 73億円 | 75億円 | 77億円 | 77億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 3億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 7.0% | 4.5% | 5.2% | 6.2% | 6.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1億円 | 5億円 | 0.7億円 | 0.9億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前年と同水準を維持していますが、営業利益は増加しており、収益性の改善が進んでいます。売上総利益率は微減したものの、営業利益率が上昇している点から、販管費のコントロールが機能していることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 77億円 | 77億円 |
| 売上総利益 | 31億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.6% | 39.0% |
| 営業利益 | 4億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 5.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比44%)、業務委託費が2億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のプラットフォームサービス事業は、生徒数の増加やキャンパスの拡張が奏功し増収を達成しています。一方、リカレント教育事業は大型研修案件が一巡したことなどで減収となりましたが、高付加価値プログラムの提供により堅調な事業基盤を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| プラットフォームサービス | 41億円 | 42億円 |
| リカレント教育 | 36億円 | 35億円 |
| その他 | 0.1億円 | 0.1億円 |
| 連結(合計) | 77億円 | 77億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業活動で得た資金を元手に、将来の成長に向けた投資と借入金の返済などの財務活動をバランスよく行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 5億円 |
| 投資CF | -2億円 | -1億円 |
| 財務CF | -4億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.6%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「世界で活躍するリーダーの育成」を企業の基本使命(ミッション)とし、全ての人が生涯にわたり自律的に学び続けることを支援する「Lifetime Empowerment(一生涯学び続け、一生涯成長し続ける学び舎になる)」をビジョンとして掲げています。幼児から社会人・経営層に至るまでの教育ニーズに対応し、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(2) 企業文化
「知のネットワークは、人間の能力を無限に伸ばす」というバリューに基づき、教育・人材育成分野においてサービスを提供しています。また、社員自らが経営に参画する意識を持つため、クレド「私たちの約束:Our Commitment」を策定し、会社や役職を超えた多様なタスクフォース活動を通じて、自律的な学びと組織文化の醸成を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
従来の売上高の伸長を最優先する経営から、収益性を重視した経営への転換を計画しています。特に、売上高に対する営業利益率を重視し、収益性の低い事業領域からより高い領域へ経営資源をシフトさせることで、持続的な成長を目指しています。
* 営業利益率:3年後を目途に10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
コロナ禍や生成AIの普及に伴う人材育成市場の変化を成長機会と捉え、次世代型EdTechカンパニーへの進化を目指してAI教育プラットフォームやコンテンツへの先行投資を継続します。プラットフォームサービス事業では需要が高い都心部でのキャンパス拡張やオンラインプログラムの普及を進め、リカレント教育事業では法人向けの生成AI実装研修などを強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「世界で活躍する人材を育成する」というミッションのもと、従業員自身が最新の知見を自律的に学び、成長し続けることを人材戦略の柱としています。自社のオンライン学習システムを利用した受講やMBA取得支援制度を通じたキャリア形成の支援に加え、柔軟な働き方の推進や多様性を尊重する組織文化の醸成に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 44.9歳 | 9.1年 | 6,372,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 36.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 83.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 87.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(70%)、育児休業後の職場復帰率(100%)、正社員一人当たりの年間コンテンツ受講時間(134.8時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) オンライン教育市場の成長と競合激化
リカレント教育事業やインターナショナルスクール事業において、国内外からの新規参入や代替サービスの普及による競争が激化しています。同社は独自のシステムや高品質なコンテンツ、法人向けの総合的な提案を通じて優位性の確保に努めていますが、価格やサービスの競争に適切に対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システム障害およびセキュリティリスク
同社のサービスはオンラインネットワークに依存しており、通信障害、サーバーの不具合、サイバー攻撃などによりサービス提供が停止するリスクがあります。また、顧客の個人情報が流出した場合、損害賠償や社会的信用の失墜を招く恐れがあります。同社は24時間体制のネットワーク監視やISMS準拠のデータセンター運用などの対策を講じています。
■(3) 大学運営における法的規制と認証評価
「ビジネス・ブレークスルー大学」は、構造改革特別区域法や大学設置基準に基づき運営されています。法制度の変更や大学設置基準を満たせなくなった場合、認可取り消しや事業制限を受ける可能性があります。また、定期的な認証評価機関の評価結果によってブランドイメージが損なわれた場合、同社の業績に影響を与えるリスクがあります。



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