スターティアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スターティアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スターティアホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場しており、主に中小企業向けにITインフラ関連事業とDXソリューション関連事業を展開しています。直近の業績では、ストック型商材の好調やクロスセルの強化により、前年同期比で増収増益となり、過去最高の売上高と利益を更新しています。


※本記事は、スターティアホールディングス株式会社の有価証券報告書(第31期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. スターティアホールディングスってどんな会社?


同社は、中小企業を対象としたITインフラの構築やデジタルマーケティング領域のSaaSを提供するITソリューションベンダーです。

(1) 会社概要


同社は1996年にテレコムネットとして設立され、同年10月にエヌディーテレコムへ組織変更しました。2004年にスターティアへ商号変更後、2005年に東証マザーズへ上場を果たしました。2018年に持株会社体制へ移行し、現在のスターティアホールディングスへと商号変更しています。また、2021年には子会社合併によりクラウドサーカスへ社名変更を行うなど、事業の拡大と再編を進めてきました。

現在の従業員数は連結で974名、単体で60名です。筆頭株主は創業者の本郷秀之氏で、第2位は信託業務を行う日本カストディ銀行、第3位には従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
本郷 秀之 25.52%
日本カストディ銀行(信託E口) 4.16%
スターティアホールディングス従業員持株会 3.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は本郷秀之氏が務めており、社外取締役比率は約66%です。

氏名 役職 主な経歴
本郷 秀之 代表取締役社長 1996年にテレコムネット(現同社)を設立し代表取締役社長に就任。2019年にグループ最高経営責任者、2023年より最高経営責任者として同社グループを牽引。
笠井 充 取締役 2002年にエヌディーテレコム(現同社)入社。インフラ事業本部長や営業本部長を歴任し、2026年より専務執行役員としてITインフラセグメントを管掌。
古川 征且 取締役 1996年にエヌディーテレコム(現同社)取締役就任。マーケティング本部長や事業戦略本部長を経て、2026年よりコーポレートベンチャーキャピタル部執行役員。


社外取締役は、中本哲宏(元日本興業銀行)、古市優子(Comexposium Japan社長)、栗原博(元富士ゼロックス社長)、水野真紀子(公認会計士)、郷農潤子(弁護士)、松永暁太(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ITインフラ関連事業」、「DXソリューション関連事業」、「CVC関連事業」の3つの報告セグメントを展開しています。

ITインフラ関連事業


顧客企業のニーズに合わせたネットワークインテグレーションやクラウドシステムの提供、ビジネスホンや複合機(MFP)の販売および保守サービスを行っています。また、オフィスレイアウトの提案や、通信事業者からの回線取次によるインセンティブ事業も展開しています。

主な収益源は、機器の販売や設置によるフロー収益と、保守サービスやクラウド提供によるストック収益です。当事業の運営は、主にスターティア、ビーシーメディア、エヌオーエスなどの子会社が行っています。

DXソリューション関連事業


デジタルマーケティング領域のSaaS「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」を中心に、中小企業を対象とした「情報発信」「集客」「顧客体験価値向上」などの課題解決ツールを提供しています。初めてデジタルマーケティングに取り組む企業でも使いやすい製品設計が特徴です。

主な収益源は、クラウドツールの利用に伴うサブスクリプション型のストック収益や、システムの導入支援・カスタマイズによるフロー収益です。運営は主にクラウドサーカスおよびスターティアテクノスが行っています。

CVC関連事業


斬新なアイデアや革新的なテクノロジーを持つITベンチャー企業に出資し、同社グループの顧客基盤やITソリューション力を活用して投資先企業の成長をサポートしています。

主な収益源は、投資先企業の株式価値向上に伴うキャピタルゲイン等です。この事業は、同社およびStartia Asia Pte.Ltd.が主体となって運営を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が160億円から238億円へと着実に成長を続けています。経常利益も6億円から33億円へと大幅に拡大しており、利益率も3.5%から13.8%へと大きく改善を見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 160億円 200億円 196億円 222億円 238億円
経常利益 6億円 18億円 23億円 28億円 33億円
利益率(%) 3.5% 9.2% 11.5% 12.5% 13.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 26億円 1億円 21億円

(2) 損益計算書


直近2期では、売上高の増加にともない売上総利益も拡大しており、総利益率も45%台を維持しています。営業利益も27億円から32億円へと成長し、営業利益率も13%台へと向上しました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 222億円 238億円
売上総利益 100億円 108億円
売上総利益率(%) 44.9% 45.5%
営業利益 27億円 32億円
営業利益率(%) 12.3% 13.6%


販売費及び一般管理費のうち、賃金給与が32億円(構成比42%)、賞与及び賞与引当金繰入額が6億円(同8%)を占めており、人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


ITインフラ関連事業はネットワーク関連機器の販売が好調で増収増益を牽引しました。DXソリューション関連事業もクロスセルの強化やAI関連のニーズの高まりを捉え、利益率の改善とともに大幅な増益を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ITインフラ関連事業 178億円 189億円 20億円 22億円 11.5%
DXソリューション関連事業 44億円 49億円 7億円 9億円 19.4%
CVC関連事業 -億円 -億円 -0.0億円 -0.0億円 -%
連結(合計) 222億円 238億円 27億円 32億円 13.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 17億円 31億円
投資CF -4億円 -2億円
財務CF -21億円 -18億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は29.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.0%でこちらも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社会のニーズとマーケットを見極め、人と企業の未来を創造し、優れた事業と人材を輩出するリーディングカンパニーを目指す」を経営理念に掲げています。最新の技術動向を見据え、迅速な意思決定と機動力を持った経営推進により、企業価値の向上に努めています。

(2) 企業文化


「デジタルシフトESG経営」として、日本の多くを占める地方の中小企業に向けて、誰もが取り組めるデジタルシフトのソリューションを提供しています。これにより、中小企業の成長と地域経済の発展に寄与し、サステナブルな世の中の創造を目指す文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期を初年度とする3か年の中期経営計画を推進しています。既存事業によるオーガニック成長を継続しつつ、M&A戦略を強化することで顧客基盤の拡大を図り、企業価値の最大化とLTV(顧客生涯価値)の向上を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


ロールアップ型のM&Aにより顧客基盤を拡大させ、AI等の先端技術を取り入れたソリューションを多層的に提供することで、ARPU(顧客単価)を持続的に向上させます。また、全社員のデジタルリテラシー底上げやコーポレート・ガバナンスの強化など、組織基盤の強化にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


高い人間力(EQ)と知的能力(IQ)、さらに「AI活用力」を融合させた「最強の人材」の育成を目指しています。全社員のAIリテラシーを底上げし、資格取得支援やリスキリングの機会を提供することで、変化に強い柔軟な組織文化の醸成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.8歳 8.6年 8,489,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育休取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 49.4%
男女賃金差異(正規雇用) 54.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 101.0%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員ワークエンゲージメントスコア(3.07ポイント)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 取り扱い商材に関するリスク

オフィス向け通信機器のペーパーレス化や競争激化による価格下落リスクのほか、生成AIの進化に伴う既存サービスの競争力低下や、海外ベンダーへの依存によるコスト増加リスクが存在します。

(2) 知的財産権の侵害リスク

第三者から知的財産権の侵害を理由として損害賠償や使用差止の請求を受けるリスクや、ソフトウェアのライセンス供与が受けられなくなるリスクがあります。専門家と連携し、知的財産の取得と保護に努めています。

(3) 人材の確保及び育成に係るリスク

多様化する顧客ニーズや技術革新に対応するための優秀な人材の確保が計画通りに進まないリスクがあります。これに対し、採用手法の多様化や独自の研修制度の導入、魅力的な職場環境の整備に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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