システムズ・デザイン転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、システムズ・デザイン株式会社の有価証券報告書(第60期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. システムズ・デザインってどんな会社?
システム開発から保守運用までを一貫提供するSI機能と、多彩なアウトソーシングサービスを持つ企業です。
■(1) 会社概要
1967年に情報処理業務を目的に設立されました。その後、大型コンピュータの導入やデータソリューション専門会社の設立を通じて事業を拡大し、2005年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。近年ではAIを活用した新サービスの提供やM&Aによる事業領域の拡大を積極的に進めています。
同社グループは、連結で553名、単体で378名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者や役員の近親者の資産管理会社とみられる法人で、第2位および第3位には投資事業有限責任組合が名を連ねており、機関投資家の資本も入った株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Kawashima | 36.65% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 7.50% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.46% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は隈元裕氏が務めており、取締役における社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 隈元裕 | 代表取締役社長 | 日本電気入社後、2000年に同社入社。営業本部長、システム事業部長等を経て、2015年より現職。 |
| 長谷賢一 | 取締役 | 第一勧業銀行入行後、みずほ証券等の出向を経て2019年に同社入社。管理本部長を務め、2021年より現職。 |
| 岡田秀明 | 取締役 | 群馬富士通入社後、富士通を経て2020年に同社入社。第2システム事業部長を務め、2023年より現職。 |
社外取締役は、梶本繁昌(元アイネット代表取締役社長)、三谷香(三谷公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システム開発事業」および「アウトソーシング事業」を展開しています。
■(1) システム開発事業
製造、物流、流通、通信、金融など様々な業種の大手・中堅企業向けの業務システムを開発しています。システムの企画・調査から開発、インフラ構築、保守・運用までを一貫してサポートするSIサービスのほか、ソフトウエアを利用した独自のソリューションを提供しています。
主にシステムの受託開発や、保守・メンテナンスサービスによる収益を顧客から得ています。ローコード開発ツールやクラウドを活用したサービスも拡充しており、運営はシステムズ・デザインおよびシェアードシステムが担当しています。
■(2) アウトソーシング事業
コールセンターの運営をはじめ、システムの企画・開発の前後処理を含めたビジネスプロセッシング、データ入力、ID/ICカードの受託発行など幅広いサービスを提供しています。業態別に培った技術と品質を活かし、顧客ニーズに柔軟に対応しています。
サービスの提供進捗に応じた役務収益や、カード発行システムなどの販売収益を顧客から得ています。オンサイトビジネスの強化や新たなビジネスモデルへの変革を推進しており、運営はシステムズ・デザイン、アイカム、フォーが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は売上高が順調に拡大しており、最新期では100億円に到達しています。利益面でも安定した高水準を維持しており、全体として増収増益の堅調な成長トレンドが続いています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 94億円 | 95億円 | 96億円 | 100億円 |
| 経常利益 | 4億円 | 6億円 | 6億円 | 5億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 6.4% | 6.0% | 5.0% | 6.1% |
| 当期利益 | 2億円 | 4億円 | 3億円 | 3億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い売上総利益と営業利益がいずれも増加しています。営業利益率も向上しており、不採算案件の見直しなどによる収益力の強化が見て取れます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 96億円 | 100億円 |
| 売上総利益 | 21億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.4% | 22.6% |
| 営業利益 | 5億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 4.7% | 6.0% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が5億円(構成比31%)、役員報酬が1億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
システム開発事業は既存顧客からの継続案件や関連会社からの受注が好調で、増収増益を達成しました。アウトソーシング事業は売上こそ横ばいですが、業務効率化などにより利益を大きく拡大しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| システム開発事業 | 53億円 | 56億円 | 3億円 | 5億円 | 8.1% |
| アウトソーシング事業 | 44億円 | 44億円 | 1億円 | 1億円 | 3.2% |
| 連結(合計) | 96億円 | 100億円 | 5億円 | 6億円 | 6.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 7億円 |
| 投資CF | -3億円 | -2億円 |
| 財務CF | -1億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も70.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「ステークホルダーとともに 社会の持続的な成長に貢献する」を企業理念に掲げています。また、「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」というコーポレートスローガンのもと、デジタルサービス企業として価値ある技術とサービスを提供し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
行動理念として「カスタマー・ファースト」を掲げ、顧客課題の解決を最優先する姿勢を重視しています。「透明性を高め、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続ける」という方針のもと、市場環境やニーズの変化に適時対応し、事業の融合を通じてさらなる企業価値の向上を図っています。
■(3) 経営計画・目標
第9次中期経営計画(2029年3月期目標)では、以下の数値目標を掲げています。
・売上高:125億円以上
・売上高営業利益率:6.5%以上
・ROE:10.0%以上
・DOE(純資産配当率):5.0%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
新たな収益基盤の拡大と社会の持続的な成長への貢献をビジョンに据え、顧客・ソリューション・リソースの各戦略を推進しています。組織再編によるシナジーの最大化や、IoT・AIなど先端技術を活用したサービス展開を進めるほか、成長投資としてM&Aやマイノリティ投資も積極的に活用していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
求める人材像を「自律・信頼・挑戦」と定義し、社員が主体的に変革へ挑める組織環境の整備を進めています。自律的な学びを促すe-ラーニングシステムの導入や次世代管理職の育成強化、さらにはDE&I(多様性・公平性・包摂性)の推進による柔軟な働き方の実現に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.9歳 | 9.8年 | 5,528,388円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.3% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 54.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 85.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 66.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(96.5%)、人権研修受講率(100%)、コンプライアンス研修受講率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ソフトウエア受託開発の見積りリスク
受託開発において、仕様変更や想定外の不具合が発生した場合、工数の超過により採算が悪化するリスクがあります。同社はレビュー委員会を設置し、商談・見積り段階からのチェック体制を強化して不採算案件の発生を未然に防ぐよう努めています。
■(2) 優秀なIT人材の確保難リスク
DXの進展に伴い高度IT人材の需要が高まる中、必要な人材を適時に確保できない場合、事業遂行や業績に影響が及ぶ可能性があります。これに対し、採用強化や社内での人材育成、柔軟な働き方を促進する環境整備に注力しています。
■(3) 情報漏洩・サイバー攻撃リスク
不正アクセスや不測の事態により顧客の個人情報や機密情報が漏洩した場合、信用失墜や損害賠償による悪影響が生じるおそれがあります。同社はプライバシーマークやISMS認証を取得し、全社的な情報セキュリティ教育と体制の強化を継続的に実施しています。
■(4) 特定顧客への依存リスク
同社はピー・シー・エーに対しパッケージソフトの製造やコールセンター業務等を提供しており、同社への売上依存度が約11%を占めています。同顧客の発注方針の変更が業績に影響を与える可能性があるため、新規顧客の開拓を進めて依存度の軽減を図っています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。