システムズ・デザイン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムズ・デザイン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

システムズ・デザインは東証スタンダード市場に上場する情報サービス企業です。システム開発とアウトソーシングの2事業を柱とし、SIサービスやコンタクトセンター運営などを展開しています。直近の業績は売上高96億円で増収を確保しましたが、人的資本投資や本社移転費用の影響により経常利益は4.8億円へ減益となりました。


※本記事は、システムズ・デザイン株式会社の有価証券報告書(第59期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. システムズ・デザインってどんな会社?


システムズ・デザインは、業務システムの開発から運用保守までのSIサービスと、データ入力やコールセンター等のBPOサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1967年にデータソリューション業務を目的に設立され、1970年代からシステム開発へ進出しました。2005年にジャスダック証券取引所へ上場し、2015年にシェアードシステム、2018年にフォーを子会社化するなどグループを拡大しました。2022年の市場再編に伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同社グループの従業員数は連結で545名、単体で382名です。筆頭株主は佐藤文昭氏の近親者の資産管理会社であるKawashimaで、第2位は通信サービスや電力事業などを展開する事業会社の光通信、第3位は投資会社のUH Partners 2となっています。

氏名 持株比率
Kawashima 36.65%
光通信 7.49%
UH Partners 2 6.72%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は隈元裕氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
隈元 裕 代表取締役社長 1993年日本電気入社。2000年同社入社。経営企画本部部長、取締役システム事業部長、常務取締役を経て、2015年より現職。
長谷 賢一 取締役(管理業務担当) 1987年第一勧業銀行入行。みずほ証券シニアエグゼクティブ等を経て、2019年同社入社。管理本部長を経て2021年より現職。
岡田 秀明 取締役(システム開発事業担当・アウトソーシング事業担当) 1988年群馬富士通入社。富士通金融システム事業本部シニアマネージャー等を経て、2020年同社入社。第2システム事業部長等を経て2023年より現職。


社外取締役は、梶本繁昌(元アイネット代表取締役社長)、三谷香(三谷公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム開発事業」および「アウトソーシング事業」を展開しています。

(1) システム開発事業


製造、物流、流通、通信、金融など多様な業種の大手・中堅企業向けに業務システムを開発しています。調査分析・企画からインフラ構築、保守・運用までを一貫して行うシステムインテグレーションや、Web・ネットワーク構築などのソリューションを提供しています。

収益は、顧客からのシステム開発案件の受託料や、保守・運用サービスの対価として得ています。運営は主にシステムズ・デザインおよび子会社のシェアードシステムが行っています。

(2) アウトソーシング事業


コンタクトセンターサービスや、システム運用サポートを含むビジネスプロセッシングサービス、データ入力などのデータエントリーサービスを提供しています。また、大学図書館等のライブラリーサービスや、ID/ICカード発行ソリューションサービスなども展開しています。

収益は、顧客企業からの業務受託料やサービス利用料として得ています。運営は主にシステムズ・デザインおよび子会社のアイカム、フォーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、直近の2025年3月期には96億円に達しました。一方、利益面では2023年3月期をピークに減少傾向が見られます。これは人的資本投資の拡充や本社移転費用などのコスト増加が影響していますが、経常利益率は約5.0%を維持しており、一定の収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 80億円 83億円 94億円 95億円 96億円
経常利益 2.4億円 3.5億円 6.1億円 5.6億円 4.8億円
利益率(%) 3.0% 4.2% 6.4% 6.0% 5.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.7億円 2.4億円 3.8億円 3.4億円 3.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は22%台を維持していますが、営業利益率は前期の5.5%から4.7%へと低下しています。将来の成長に向けた投資が利益を圧迫している構造が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 95億円 96億円
売上総利益 21億円 21億円
売上総利益率(%) 22.1% 22.4%
営業利益 5.2億円 4.5億円
営業利益率(%) 5.5% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が5.1億円(構成比30%)、役員報酬が1.3億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


システム開発事業は主要顧客のシステムリプレース収束や投資コスト増により増収減益となりました。アウトソーシング事業は定額減税関連の受注増で増収となりましたが、オンサイトビジネスの苦戦やコスト増により減益となりました。両事業ともに売上は堅調ですが利益面での課題が残りました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
システム開発 52億円 53億円 3.7億円 3.3億円 6.3%
アウトソーシング 43億円 44億円 1.5億円 1.2億円 2.8%
連結(合計) 95億円 96億円 5.2億円 4.5億円 4.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループでは、運転資金及び設備投資資金は基本的に自己資金でまかなっております。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益はあったものの、売上債権及び契約資産の増加などにより、前連結会計年度に比べ減少しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や保険積立金の積立による支出が主な要因となり、資金を使用しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが主な要因となり、資金を使用しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8.6億円 1.2億円
投資CF -4.0億円 -2.7億円
財務CF -0.8億円 -1.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ステークホルダーとともに 社会の持続的な成長に貢献する」を企業理念とし、コーポレートスローガンとして「Design for the future 人とデジタル技術でより良い社会を実現する」を掲げています。デジタルサービス企業として価値ある技術・サービスを提供し続けることをビジョンとしています。

(2) 企業文化


同社は行動理念として「カスタマー・ファースト」を掲げ、透明性を高め、企業倫理に基づく公正で健全な企業であり続けることを方針としています。市場環境や顧客課題の変化に適時対応し、事業の融合により企業価値を高めることを重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は第8次中期経営計画を推進しており、「安定的収益を拡大する」「社会の持続的な成長に貢献する」をビジョンとしています。経営指標として売上高経常利益率とROEを重視しており、以下の目標を掲げています。

* 2026年3月期 売上高経常利益率:5%以上
* 2026年3月期 ROE:8%以上
* DOE(純資産配当率):3.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


成長事業の拡大と新たな収益基盤の確立を重点施策としています。システム開発事業では業種別戦略の強化やソリューションビジネスの拡充を進め、アウトソーシング事業ではオンサイトビジネス強化等を推進しています。また、AIやIoT等のデジタル技術を活用した新サービスの創出や、M&A・提携による事業拡大にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「個人の能力を最大限に発揮し、組織と共にイキイキ活躍できる会社」を目指し、人的資本への投資を強化しています。正社員の賃金10%アップの達成や、システム開発事業における等級別ラーニングパスによるエンジニア育成、リスキリング文化の醸成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.3歳 9.8年 5,530,680円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 11.4%
男性労働者の育児休業取得率 75.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 51.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 83.5%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 61.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診率(85.3%)、人権研修受講率(全グループへ展開予定)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 開発契約の原価見積りリスク


受託開発契約では、進捗度に応じて収益を認識していますが、案件ごとに仕様が異なり、総原価の見積もりは経営判断に依存します。仕様変更等により見積総原価が見直された場合、進捗度が変動し、翌期の売上高に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) のれんの減損リスク


企業買収に伴い発生したのれんを計上していますが、事業環境の変化等により子会社の事業計画が未達となった場合、減損損失を計上する可能性があります。これは同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 人材確保に関するリスク


DX進展に伴うIT人材不足の中、専門技術を持つ高度IT人材の確保が急務となっています。労働市場の逼迫により必要な人材を確保できない場合や、従業員が大量に退職した場合には、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。