※本記事は、株式会社ドリコム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ドリコムは、ゲーム事業とコンテンツ事業の2つのサービス領域で事業を展開しています。ゲーム事業では、スマートフォン向け及びPC向けのコンテンツの企画、開発、運用を主軸とし、IPゲームを成長基盤とする戦略に注力しています。
単体従業員数は271名、連結従業員数は275名です。セグメントはゲーム事業、コンテンツ事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ドリアップ(ゲーム事業)などです。
当連結会計年度末後に、DRECOM SG PTE.LTD.の清算、および株式会社スタジオレックス、株式会社BlasTrainの株式譲渡が行われました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、エンターテインメントの最先端を担う企業として、従業員一人ひとりの能力発揮を重視した人材戦略を推進しています。給与制度においては、役割と成果に応じた公正な評価と処遇を基本方針とし、会社の成長と従業員の処遇が連動する仕組みを導入しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は6年台後半となっています。このことから、比較的若手から中堅層が中心となって活躍しており、一定の定着感がある組織であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,617,515円 |
| 平均勤続年数 | 6.8年 |
| 平均年齢 | 39.1歳 |
| 単体従業員数 | 271人 |
| 連結従業員数 | 275人 |
| 単体のグループ内比率 | 98.5% |
同社は従業員の退職給付に充てるため、確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しており、連結子会社は本制度を採用していません。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「with entertainment ~人々の期待を超える~」を存在意義とし、グローバルでリアルとデジタルの融合によりIPをプロデュースする企業となることを中期的な目標としています。この経営戦略の実現に向けて、人的資本に関する課題を経営課題の一つと捉え、従業員一人ひとりが能力を最大限発揮し、IPの創出・育成・収益化を一気通貫でプロデュースできる組織の構築が重要であると認識しています。
2025年4月からは新人事評価報酬制度を導入しており、「会社のコアコンピタンスに資する付加価値の発揮」を処遇の基準軸としています。役割および成果に応じた公正な評価と処遇の実現を基本方針とし、連結営業利益の目標達成度に連動した業績連動賞与制度および株式報酬制度を設けることで、会社の成長と従業員の処遇との連動を高め、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。
また、人材育成方針及び社内環境整備方針として、同社グループのコアコンピタンスを強化できる人材の定義化を図り、組織・制度といったハード面、及び組織風土・体質といったソフト面の両面から順次検討、制度化を進めています。プロデュース人材をはじめとする重点領域での採用・育成を推進するとともに、マネジメント層の強化や次世代中核人材の育成など、長期を見据えた人材基盤の強化に継続的に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 71.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 71.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規雇用労働者) | 73.8% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性育児休業取得率 | 100.0% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ドリコムは、主にゲーム事業とコンテンツ事業を展開する企業です。エンターテインメントを通じて、ユーザーに新たな価値と体験を提供することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ゲームを提供する「ゲーム事業」と、スマートフォンやPC向けメディアコンテンツを提供する「コンテンツ事業」の2つのサービス領域で事業を展開しています。
ゲーム事業
スマートフォン向け及びPC向けのゲームの企画、開発、運用を行っています。HTML5を中核とする技術を活用したオンラインゲームや配信プラットフォーム「enza」の開発及び運営も手掛けています。
収益は、主にゲーム内で使用するアイテム等の課金収入から得ています。また、IPプロジェクト・パートナーからの開発報酬や費用分担、ユーザーからの課金収入の一定割合を受領するレベニューシェアも収益源となっています。運営は、ドリコム、株式会社スタジオレックス、株式会社ドリアップ、株式会社BlasTrainが主要事業として展開しています。
コンテンツ事業
ドリコムがこれまで培ったIPプロデュース力、運用ノウハウ及び先端技術を活用し、ゲーム以外のエンターテインメント領域における新規事業の創出及び事業展開に取り組んでいます。小説、コミック等の書籍及び電子書籍の出版・販売、アニメを中心としたIP展開、グッズ企画・販売等のマーチャンダイジング事業(MD事業)を行っています。企業向けには、ドリコムが培った技術力や運用知見を活用したテクノロジーソリューションサービスも提供しています。
収益は、電子版コミックスを中心とした出版・販売収入が主な収益源です。運営は、ドリコムが主要事業として展開しています。
同社グループの売上高は、90%以上が日本国内の外部顧客からのものであるため、海外売上高の比率は小さい傾向にあります。また、Apple,Inc.、Google LLC、株式会社バンダイナムコエンターテインメントといった特定の顧客からの売上高が一定の割合を占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ゲーム事業 | 119億円 | 168億円 |
| コンテンツ事業 | 7.3億円 | 7.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近の5年間で増加傾向にあります。経常利益は変動が見られましたが、直近の期では増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に損失を計上しましたが、当期は黒字に転換しています。前期の損失は、新規モバイルゲームタイトルや開発中のPC・コンソールゲームタイトルに関連するソフトウエア減損損失が主な要因でした。当期は、関係会社株式売却益の計上もあり、純利益を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 105億円 | 108億円 | 97.8億円 | 127億円 | 175億円 |
| 経常利益 | 15.4億円 | 21.9億円 | 7.9億円 | 53百万円 | 3.2億円 |
| 経常利益率 | 14.6% | 20.3% | 8.1% | 0.4% | 1.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 8.1億円 | 11.6億円 | 1.0億円 | △10.4億円 | 2.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 28.29 | 40.70 | 3.64 | △36.10 | 7.41 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。これは、売上高の増加と連結従業員数の減少が影響していると考えられます。従業員1人あたり営業利益も同様に増加しており、組織全体の収益性が向上している傾向が見られます。前期は減損損失等の特別損失を計上しましたが、当期は本業の収益性が改善し、1人あたりの稼ぐ力も高まっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 35.5百万円 | 63.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.3百万円 | 1.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、財務基盤の強化とキャッシュフローの安定化を進めています。本業で得た資金を元手に、将来に向けた投資も行いながら、安定した経営状況を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から上昇し、手元資金も増加しています。非製造業のプライム市場平均と比較すると、自己資本比率は平均を上回る水準にあり、財務の健全性を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準ですが、当期は黒字転換を果たし、収益性の改善が見られます。手元資金の増加は、不況時における事業継続の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.2億円 | 50.4億円 |
| 自己資本比率 | 34.6% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 4.4% |
| 現金及び預金 | 39.3億円 | 63.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や減損損失の計上額、減価償却費の計上額、売上債権の減少額などにより、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が主な増加要因となり、収入となっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出が主な減少要因となり、支出となりました。
本業で安定的に資金を生み出し、投資活動でも収入を確保していることから、フリーキャッシュ・フローは大きくプラスとなっています。これは、同社グループが事業活動で得た資金を元手に、将来に向けた投資や財務の健全化を進める余力があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.3億円 | 22.0億円 |
| 投資CF | △9.0億円 | 18.7億円 |
| 財務CF | △17.4億円 | △16.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.7億円 | 40.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループが展開するモバイルゲーム市場は、市場の成熟化が進み成長が鈍化していることや、ユーザーの要求水準の上昇、開発費の高騰により競争が激化しているリスクがあります。また、ゲーム事業の収益の多くを株式会社バンダイナムコエンターテインメントからの配信に依存しており、同社の事業方針に重大な変更があった場合には、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業拡大を進めるにあたり、優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しています。必要とする人材の確保ができなかった場合や中核となる優秀な人材の流出が生じた場合には、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ドリコムは「with entertainment」を存在意義とし、人々の期待を超える価値を生み出すことを目指している会社です。常に新しい楽しさや便利さを追求し、変化し続けるインターネット分野で挑戦を続けています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「with entertainment」を存在意義として掲げ、質の高いサービス提供を通じて多くの人の期待を超える価値を生み出すことを目指しています。この経営の基本方針に基づき、たえず変化し成長し続けるインターネットの分野において、新しい楽しさや便利さを生み出せるよう努めています。
常に新たな事業領域に挑戦し続け、ユーザーの満足度向上に努めることで、企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、安定的な利益の創出とキャッシュ・フローの確保を最優先事項と位置づけています。ゲーム事業とコンテンツ事業の2領域で事業を展開し、IP(知的財産)を活用したゲーム事業を基軸に据えた戦略を推進しています。
サステナビリティへの取り組みも重要な経営課題と捉えており、代表取締役社長を委員長とする「リスク統括委員会」を設置し、リスク管理体制を構築しています。また、人的資本に関する課題を経営課題の一つとし、コアコンピタンスを強化できる人材の定義化を図り、組織・制度の両面から検討を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、技術進歩が早く多様化するインターネット市場において、既存事業の基盤強化と新規サービスへの経営資源集中、高い利益率の確保を重要な課題と認識しています。また、コーポレート・ガバナンスの充実も重要な課題として、強化に向けた取り組みを推進しています。
具体的には、IPを活用したゲーム事業を基軸とした経営資源の選択と集中、組織体制の整備、システムの安定的な稼働、そして技術革新への対応を重点テーマとしています。AIを含む先端技術の習得と活用、それを応用した新規サービスや事業の創出を、将来の成長を担う領域と位置づけ、積極的に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ドリコムは監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会の監督機能を強化する体制を採用しています。公正で透明性が高く、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つとしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ドリコムの筆頭株主は代表取締役社長の内藤裕紀氏であり、同社グループの創業者が主要な株主となっています。また、株式会社バンダイナムコホールディングスも上位株主として名を連ねており、事業会社からの支援も受けていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 内藤 裕紀 | 33.76% |
| バンダイナムコホールディングス | 18.80% |
| 山口 憲一 | 2.47% |
| SBI証券 | 1.77% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 1.63% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は5名(男性4名・女性1名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は内藤裕紀氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 内藤 裕紀 | 代表取締役社長 | 2001年11月 有限会社ドリコム(現ドリコム)設立 代表取締役。2003年3月 ドリコムに組織変更 代表取締役社長。2005年1月 ドリコムテック設立 代表取締役社長。2006年6月 ドリコムジェネレーティッドメディア(現じげん)設立 代表取締役社長より現職。 |
| 後藤 英紀 | 取締役 | 1992年4月 大和総研入社。2000年5月 ドイチェ証券株式会社東京支店(現ドイツ証券)入社。2010年9月 同社入社。2015年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、青木理惠氏(青木公認会計士事務所 所長・監査等委員)、村田雅夫氏(村田・若槻法律事務所 代表弁護士・監査等委員)、清水勝彦氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授・監査等委員)です。
同社は2015年6月23日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しています。取締役会における議決権を有する監査等委員である取締役が経営の意思決定に関わることで、取締役会の監督機能の強化を図っています。監査等委員である取締役3名はすべて社外取締役であり、独立性の高い体制となっています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役(監査等委員を除く)の報酬は、固定報酬と業績連動報酬で構成されています。業績連動報酬は、前連結会計年度の会社業績と、当連結会計年度および中長期における会社、事業、業績への想定寄与の2種類の評価項目に基づいて決定されます。項目(2)の評価項目による報酬は、企業価値の持続的な向上と取締役と株主との一層の価値共有を目的として、金銭または譲渡制限付株式により支給されています。取締役(監査等委員)の報酬は、金銭および譲渡制限付株式で支給されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 83百万円 | 41.4百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 20百万円 | 6.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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