※本記事は、株式会社トランスジェニックグループ の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トランスジェニックグループってどんな会社?
創薬研究支援とM&Aによる投資事業を両輪とする企業です。2024年に持株会社体制へ移行しました。
■(1) 会社概要
1998年に熊本で抗体研究所として設立され、2000年に現社名(旧商号)へ変更、2002年に東証マザーズへ上場しました。その後、M&Aを通じてEC事業などの投資・コンサルティング分野へ参入し、2017年にTGビジネスサービスを設立しました。2024年10月にはグループ再編に伴い、商号をトランスジェニックグループへ変更し、持株会社体制へ移行しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は241名、単体(持株会社)は5名です。筆頭株主は株式会社SBI証券、第2位は楽天証券株式会社となっており、第3位には社長の福永健司氏が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBI証券 | 2.56% |
| 楽天証券 | 1.74% |
| 福永 健司 | 1.12% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は福永健司氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福永 健司 | 代表取締役社長 | 公認会計士。監査法人トーマツを経て2009年に入社。2010年より現職。TGビジネスサービス代表取締役社長等を兼任。 |
| 北島 俊一 | 取締役CRO事業本部長兼施設運営室長兼グループR&D統括室長 | LSIメディエンス出身。2011年入社。新規事業本部長等を経て2024年より現職。 |
| 船橋 泰 | 取締役IR&コーポレート管理室長兼情報管理室長 | 2002年入社。経営企画部長、管理部長等を経て2024年より現職。 |
| 渡部 一夫 | 取締役経理財務部長 | 安田信託銀行、監査法人トーマツを経て2017年入社。2018年より現職。公認会計士・税理士。 |
| 高島 浩二 | 取締役 | 日本通運、ボゾリサーチセンター執行役員を経て2023年に安評センター入社。2024年より現職。トランスジェニック社長兼任。 |
| 冨田 昭仁 | 取締役グループ事業推進部長 | 監査法人トーマツを経て2021年入社。2024年より現職。公認会計士。 |
社外取締役は、清藤勉(免疫生物研究所代表取締役社長)、斎藤穂高(三菱ケミカルリサーチ特別研究員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「創薬支援事業」および「投資・コンサルティング事業」を展開しています。
■創薬支援事業
創薬の初期段階である探索・基礎研究から、非臨床試験、臨床試験までをシームレスに支援するサービスを提供しています。具体的には、遺伝子改変マウスの作製受託、抗体作製、糖鎖解析・合成のほか、医薬品や食品関連物質に対する薬効薬理試験、安全性試験などの受託を行っています。
収益は、製薬企業やアカデミア(大学・研究機関)等の顧客から、試験受託や製品販売の対価として受領します。運営は、中核子会社である株式会社トランスジェニックをはじめ、株式会社メディフォム、医化学創薬株式会社などのグループ各社が担っています。
■投資・コンサルティング事業
M&Aによる新規事業の推進に加え、事業承継や事業再生に関する助言・支援サービスを行っています。取り扱い分野は多岐にわたり、電機製品や洋食器のEC販売、情報通信機器開発、複層ガラス用資材やトナーの輸入販売、米袋の企画販売などを展開しています。
収益は、各事業における製品・商品の販売代金やサービス提供の対価として受領します。運営は、株式会社TGビジネスサービスを中心に、EC事業を行う株式会社アウトレットプラザ、ガラス資材等を扱う株式会社TGM、株式会社ホープなど複数の子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は110億円から130億円の範囲で推移しています。2023年3月期までは利益を確保していましたが、直近2期間は経常損失および当期純損失を計上しており、特に2025年3月期は大幅な赤字となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 110億円 | 126億円 | 114億円 | 131億円 | 130億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 18億円 | 2億円 | 1億円 | -3億円 |
| 利益率(%) | 8.1% | 14.5% | 1.7% | 0.8% | -2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 19億円 | -4億円 | 0.0億円 | -11億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は横ばいですが、利益面では大きく悪化しました。売上原価率は高止まりしており、販売費及び一般管理費の増加が営業損失への転落要因となりました。また、当期は減損損失などの特別損失を計上したことで、最終赤字が拡大しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 131億円 | 130億円 |
| 売上総利益 | 22億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.2% | 16.7% |
| 営業利益 | 1億円 | -3億円 |
| 営業利益率(%) | 0.7% | -2.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比25%)、役員報酬が2億円(同10%)を占めています。売上原価については内訳データがありませんが、売上原価率は83.3%となっています。
■(3) セグメント収益
創薬支援事業は、新規受注は増加したものの完了が来期以降となる案件が多く、売上高は減少しました。また、事業再編コストや固定費負担により営業赤字が拡大しました。一方、投資・コンサルティング事業は、新規連結や価格転嫁の進展により増収増益となり、グループ全体の売上を支える構造となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 創薬支援事業 | 23億円 | 19億円 | -1億円 | -5億円 | -25.8% |
| 投資・コンサルティング事業 | 108億円 | 111億円 | 4億円 | 4億円 | 3.9% |
| 連結(合計) | 131億円 | 130億円 | 1億円 | -3億円 | -2.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
トランスジェニックグループは、営業活動で得た資金で事業運営を行い、投資活動では設備投資や子会社化を進め、財務活動では借入と返済をバランスさせながら資金調達を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少や前受金の増加、減価償却費などの非現金支出項目の加算、未払金の減少や前渡金の増加などの影響により、収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や子会社化に伴う支出により、支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期および長期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、収入となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -4億円 | 1億円 |
| 投資CF | -3億円 | -3億円 |
| 財務CF | -3億円 | 3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「未来に資するとともに世界の人々の健康と豊かな暮らしの実現に貢献する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、事業環境の変化に迅速に対応し、事業モデルや構造を的確に変革させることで、グループ全体の成長拡大を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営理念を実現するために、環境変化への迅速な反応と事業構造の変革を重視する文化を持っています。創薬支援事業における先行投資と中長期的な成長、投資・コンサルティング事業における安定成長と早期の成果獲得という、異なる特徴を持つ2つの事業を組み合わせた「Hybrid型」の事業展開を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的成長と企業価値増大のため、成長とその投資源泉となる利益の確保を重視しており、「売上高及び営業利益の拡大」を経営指標の目標としています。
* 2026年3月期 通期連結売上高:135億円
* 通期連結営業利益:1.5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
創薬支援事業では、グループ再編による合理化と高付加価値サービスの強化を進め、遺伝子改変マウスを用いた試験や新規導入した「中期発がん性試験」等で差別化を図ります。投資・コンサルティング事業では、事業承継・再生分野での新規投資発掘を行うとともに、M&Aでグループ入りした企業の収益基盤強化やリスク分散を進め、グループ全体の収益拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
働きやすい環境づくりの重要性を認識し、変形労働時間制やテレワークの併用など、職務に応じた柔軟な環境整備を推進しています。また、女性管理職の登用や、海外取引の増加に対応するための外国籍従業員の雇用など、人材の多様性確保にも積極的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.7歳 | 7.9年 | 7,003,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 企業買収に伴うリスク
事業拡大のためにM&Aを行う際、事前の調査で把握できなかった問題の発生や、事業環境の変化により想定した効果が得られない可能性があります。その場合、のれんの減損処理等が発生し、グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 製薬業界の動向による影響
創薬支援事業は製薬企業からの受託比率が高く、比較的安定していますが、薬価改定や後発薬普及により製薬企業が研究開発費を抑制する傾向にあります。製薬業界の急激な環境変化により顧客の研究開発投資が縮小した場合、同社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
■(3) 法的規制(実験動物・遺伝子関連)
実験動物の使用に関して、欧州等で規制強化が検討されており、日本でも同様の規制が導入された場合、市場が縮小する恐れがあります。また、遺伝子組換え生物等の使用に関する規制が強化された場合も、事業活動に制約が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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