キーウェアソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キーウェアソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

キーウェアソリューションズは東証スタンダード市場に上場し、システム開発やSI事業などを展開しています。業績は堅調に推移しており、直近の通期決算では増収増益を達成しました。システム開発事業の伸長などが寄与し、強固な経営基盤と顧客基盤を活かしながら中長期的な企業価値向上に向けて順調に成長を続けています。


記事タイトル:「キーウェアソリューションズ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、キーウェアソリューションズ株式会社の有価証券報告書(第61期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. キーウェアソリューションズってどんな会社?

システム開発とSI事業を主力とし、社会インフラ等の特殊業務分野のシステム構築を支えています。

(1) 会社概要

1965年に日本電子開発として設立され、1974年に宇宙開発分野のシステム開発事業へ参入しました。1994年のERP事業立ち上げ等を経て事業領域を拡大し、2001年に現在のキーウェアソリューションズへ社名変更しました。近年はパートナー企業との資本業務提携を積極的に推進しています。

従業員数は連結で1,300名、単体で759名です。筆頭株主は事業会社のHBAで、第2位はキーウェアソリューションズ従業員持株会、第3位は資本業務提携先である事業会社のJR東日本情報システムです。

氏名 持株比率
HBA 16.56%
キーウェアソリューションズ従業員持株会 9.05%
JR東日本情報システム 7.89%

(2) 経営陣

同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は三田昌弘氏が務めています。社外取締役の比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
三田昌弘 代表取締役社長 1985年日本電気入社。2002年同社に入社し、経営企画室長や営業本部長などを歴任。2014年より代表取締役社長に就任し、2022年より現職。
小川俊一 取締役兼執行役員専務 1985年同社入社。経営企画室長や各担当役員を経て、2021年に取締役兼執行役員常務。2024年より現職。
斉藤郁夫 取締役兼執行役員常務 1988年同社入社。官公システム事業部長や執行役員システム開発事業担当などを経て、2025年より現職。
末綱琢也 取締役 1993年同社入社。IT基盤構築本部長や執行役員SI事業担当などを経て、2022年より現職。
脇谷勝 取締役 1990年同社入社。運輸システム事業部長やキーウェア九州代表取締役社長などを経て、2024年より現職。


社外取締役は、野田万起子(Human Delight社長)、ステファン グスタフソン(ビューポイント社長)、舘田あゆみ(東北大学大学院特任教授)です。

2. 事業内容

同社グループは、「システム開発事業」「SI事業」および「その他事業」を展開しています。

システム開発事業

コンピュータシステム構築に必要な全体または一部のソフトウェア開発を受託しています。通信キャリアや大手鉄道会社等の社会インフラ企業の基盤構築や、医療ソリューションパッケージなどを顧客に提供しています。

主に顧客からの受託開発や自社パッケージソフトの提供を通じて収益を得ています。運営は同社のほか、キーウェア北海道やキーウェア西日本などの各地域子会社が担っています。

SI事業

各種ERPパッケージ等によるシステム構築を核としたエンドユーザー向けのシステムインテグレーションを提供しています。「Biz∫テンプレート」などの自社パッケージソフトウェア製品のカスタマイズ提供も行っています。

企業の基幹システム刷新等の導入支援やシステム構築対価から収益を得ています。本事業の運営は主に同社が担っています。

その他事業

顧客のシステムに関する様々なニーズに対応する運用・保守等のサポートサービス、コンサルティング、関連機器やソフトの販売、農業ICT等の新規事業を展開しています。

システム運用や保守業務の対価、DX等のITコンサルティング手数料などから多角的に収益を得ています。運営は同社やクレヴァシステムズ、オーガルが担っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

売上高は右肩上がりの成長を続けており、5期間で安定的に拡大しています。経常利益も概ね増益基調にあり、底堅いIT投資需要を背景とした強固な収益基盤が確認できます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 184億円 192億円 205億円 211億円 227億円
経常利益 8億円 9億円 11億円 12億円 12億円
利益率(%) 4.1% 4.8% 5.3% 5.8% 5.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 7億円 10億円 8億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。業務効率化や生産性向上の取り組みが奏功し、各種利益率の改善に寄与しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 211億円 227億円
売上総利益 40億円 47億円
売上総利益率(%) 19.1% 20.6%
営業利益 9億円 11億円
営業利益率(%) 4.4% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比31%)、事務所移転費用引当金繰入額が2億円(同5%)を占めています。

(3) セグメント収益

システム開発事業が売上・利益ともに大幅に伸長し、全社の業績拡大を力強くけん引しています。SI事業も増収増益と好調に推移しましたが、その他事業はコンサルティング系の軟調などが影響して減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
システム開発事業 119億円 134億円 3億円 5億円 3.5%
SI事業 65億円 68億円 5億円 6億円 8.8%
その他事業 27億円 25億円 0.8億円 0.8億円 3.4%
調整額 -4億円 -4億円 -0.2億円 -0.3億円 -
連結(合計) 211億円 227億円 9億円 11億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスの「健全型」です。本業で創出した資金を基に設備投資などを行いながら、配当の支払いや借入返済を進める安定した資金繰り状況にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -3億円 20億円
投資CF 4億円 -0.8億円
財務CF -2億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も66.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

情報技術に関する全てを事業領域とし、創造性に富んだ情報技術によって顧客の要求を超えたソリューションを提供し、顧客の夢・理想を実現させて豊かな社会の発展に貢献することを社会的役割として掲げています。「IT can create it.」を企業スローガンとし、情報技術が持つ新たな可能性の実現に取り組んでいます。

(2) 企業文化

個人の個性と能力を発揮することに価値を置いた企業風土を重視しています。また、企業の社会的責任への取り組みを重要視しており、顧客や株主、社員、取引先などあらゆるステークホルダーと積極的にコミュニケーションを図りながら事業活動を展開し、社会からの信頼に応える文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標

2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「Vision2026」において、「100年先までも選ばれ続ける企業へ」というビジョンを掲げています。安定性と成長性を兼ね備えた企業集団を目指し、最終年度において以下の目標を定めています。

* 売上高:240億円
* 営業利益:12億円

(4) 成長戦略と重点施策

中期経営計画の基本方針として、「基盤事業の質的転換」「プライムビジネスの拡大」「新領域へのチャレンジ」の3つを推進しています。プロダクトやクラウドサービスの活用拡大や資本業務提携先との連携強化を図りつつ、サイバーセキュリティ領域等の新分野へ参入し、高収益化と事業拡大を目指しています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

同社は最大の経営資源である社員を最も重要視しており、多様な挑戦機会や豊富な成長機会を提供しています。企業内大学を通じた自律的なキャリア形成支援に加え、マネジメント職とスペシャリスト職の複線型人事制度を導入し、多様な人材が能力を最大限発揮して成長し続けられる組織づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.8歳 17.2年 6,427,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 77.8%
労働者の男女の賃金差異(全労働者) 80.9%
労働者の男女の賃金差異(正規雇用労働者) 81.3%
労働者の男女の賃金差異(パート・有期労働者) 65.1%


また、同社は「人材戦略に関する基本方針等」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、キーウェアアカデミーの参加者数(164人)、エンゲージメントサーベイにおける「理念の現場浸透度」の向上幅(0.5ポイント向上)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定取引先への依存リスク

日本電気(NEC)、NTT、JR東日本の関係会社を中心とした特定取引先への売上高が約5割を占めています。特殊業務分野での長年の実績が強みである半面、これらの企業の業績動向が同社グループの業績に直接的な影響を与える可能性があります。

(2) プロジェクトの採算管理リスク

ソフトウェア開発において顧客の多様なニーズや最新技術への対応が求められるため、契約締結段階でサービス内容を完全に確定させることが困難な場合があります。見積りと実際の発生工数に乖離が生じた場合、採算が悪化するリスクがあります。

(3) 優秀な技術者の確保・技術の陳腐化リスク

提供サービスの質は情報処理技術者の能力に大きく依存しており、ITコンサルティング等の人材確保が極めて重要です。また、急速な技術革新のスピードに追いつけず保有技術が陳腐化した場合、競争力低下や業績悪化につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。