ユナイテッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ユナイテッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。スタートアップ等への「投資」、プログラミング教育や学習塾運営の「教育」、「人材マッチング」、「アドテク・コンテンツ」の4事業を展開しています。直近決算では、投資事業における保有有価証券の売却量が前期比で減少したことなどにより、減収減益となりました。


#ユナイテッド転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ユナイテッド株式会社 の有価証券報告書(第28期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ユナイテッドってどんな会社?


インターネットビジネスの創出と育成を軸に、投資、教育、人材、広告などの多角的な事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1998年にネットエイジとして設立され、インターネット事業のインキュベーターとして事業を開始しました。2006年に東証マザーズへ上場し、2012年にスパイアと合併して現在の商号に変更しました。その後、スマホアプリ開発やアドテク領域へ進出し、近年は教育事業や人材マッチング事業をコア事業として強化しています。

連結従業員数は471名、単体では40名です。筆頭株主はデジタルマーケティング事業を行うデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(2025年4月にHakuhodo DY ONEに承継)、第2位は同社代表取締役社長の早川与規氏、第3位は個人株主の竹内壮司氏です。博報堂DYグループとの資本関係があります。

氏名 持株比率
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム 52.00%
早川 与規 3.05%
竹内 壮司 2.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は早川与規氏です。社外取締役比率は30.0%です。

氏名 役職 主な経歴
早川 与規 代表取締役社長 1992年博報堂入社。サイバーエージェント取締役副社長兼COOを経て、インタースパイア(現同社)を設立。2012年より同社代表取締役会長CEOなどを歴任し、2020年6月より現職。
金子 陽三 代表取締役 1999年リーマン・ブラザーズ証券入社。アップステアーズを設立し代表取締役社長に就任。同社取締役執行役COOなどを経て、2022年4月より現職。
山下 優司 取締役 2002年グッドウィル・グループ入社。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムを経て同社へ出向。2020年同社執行役員経営管理本部長、2022年6月より現職。
樋口 隆広 取締役 2012年スパイア(現同社)入社。キラメックス(現ブリューアス)へ出向し同社代表取締役社長を歴任。2025年4月より同社執行役員を兼務し現職。


社外取締役は、田中雄三(Hakuhodo DY ONE会長)、上原直人(博報堂DYホールディングス事業推進室長)、石本忠次(メンターキャピタルホールディングス代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「投資事業」、「教育事業」、「人材マッチング事業」、「アドテク・コンテンツ事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 投資事業


主にシードからアーリーステージを中心としたスタートアップ企業への投資を行っています。自己資金による投資のほか、ベンチャーキャピタルファンドの運営も行い、投資先企業の成長支援を通じてキャピタルゲインの獲得を目指しています。

収益は、保有する株式の売却による売却益や、運用するファンドからの運用報酬及び成功報酬などから得ています。運営は主にユナイテッドが行っています。

(2) 教育事業


オンラインプログラミングスクール「テックアカデミー」等の運営、スマートフォン向けアプリ開発、および個別指導学習塾の運営を行っています。DX需要に伴うデジタル人材の育成や、地方における学習塾需要に対応したサービスを提供しています。

収益は、スクール受講料、アプリ開発の受託開発費、学習塾の生徒からの月謝や講習料等から得ています。運営は、ブリューアス(キラメックスを吸収合併)や、2025年3月期に子会社化したベストコなどが行っています。

(3) 人材マッチング事業


デジタル人材を中心とした人材紹介サービス、採用アウトソーシング(RPO)、デザイナー特化型のマッチングサービスなどを提供しています。企業の採用課題に対し、人材紹介や業務代行を通じてソリューションを提供します。

収益は、人材紹介における紹介手数料、採用代行業務の受託料、マッチング成立時の手数料などから得ています。運営は、ユナイテッド・リクルートメントやリベイスなどが行っています。

(4) アドテク・コンテンツ事業


広告主やメディア向けの広告配信プラットフォームの提供、およびスマートフォンアプリやWebメディアの企画・運営を行っています。ファンビジネスやスポーツマーケティング領域でのサービス展開も含まれます。

収益は、広告配信による広告料収入、アプリ内課金、コンテンツ利用料などから得ています。運営は、ユナイテッドマーケティングテクノロジーズ、フォッグ、インターナショナルスポーツマーケティングなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は120億円から160億円の範囲で推移しています。2021年3月期をピークに売上高は減少傾向にあり、利益面でも変動が見られます。特に直近の2025年3月期は、売上高、経常利益ともに前期を下回る結果となりました。利益率は20%台から40%台と比較的高い水準を維持していますが、当期は低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 163億円 127億円 131億円 126億円 120億円
経常利益 56億円 58億円 59億円 48億円 26億円
利益率(%) 34.6% 45.3% 44.5% 38.4% 21.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 37億円 38億円 41億円 24億円 15億円

(2) 損益計算書


売上高は減少しましたが、売上原価が増加したため、売上総利益および利益率は低下しました。営業利益も大幅に減少し、利益率は20%台まで低下しています。投資事業における有価証券売却量の減少などが影響しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 126億円 120億円
売上総利益 81億円 62億円
売上総利益率(%) 64.5% 51.6%
営業利益 49億円 26億円
営業利益率(%) 38.6% 22.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比34.4%)、役員報酬が2.9億円(同8.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


投資事業は株式売却量の減少により大幅な減収減益となりました。教育事業は、プログラミングスクールの受講者減少等により赤字幅が拡大しました。人材マッチング事業は増収したものの、赤字が継続しています。アドテク・コンテンツ事業は増収しましたが、原価増等により減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
投資事業 66億円 50億円 59億円 39億円 78.5%
教育事業 18億円 18億円 -0.3億円 -4.4億円 -24.6%
人材マッチング事業 5億円 7億円 -4.2億円 -1.6億円 -23.6%
アドテク・コンテンツ事業 36億円 46億円 3.7億円 3.2億円 7.0%
連結(合計) 126億円 120億円 49億円 26億円 22.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持していますが、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、本業で得た現金を投資や株主還元、借入返済に充てる「健全型」のキャッシュ・フロー状態といえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 21億円 14億円
投資CF -11億円 -2億円
財務CF -13億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」というパーパス(存在意義)を掲げています。人が持つ意志の力や事業に込められた意志こそが社会を良い方向へ動かす原動力であると考え、事業を通じてそれらを最大化し、社会に前向きな成長の連鎖を生み出すことを目指しています。

(2) 企業文化


パーパスに基づき、社員一人ひとりの意志を尊重し、その力を最大限に引き出す文化を重視しています。社員自らが意志表示を行う機会を定期的に設け、キャリアやチャレンジの機会を提供することで成長を促す方針をとっています。また、公正で透明性の高い経営に取り組み、ステークホルダーとの良好な関係構築を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、投資事業、教育事業、人材マッチング事業を今後の成長をけん引する「コア事業」として設定しています。これらコア事業間での連携を強化し、シナジーを創出することで独自性のある強みを築き、企業価値の最大化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


コア事業である投資、教育、人材マッチングの3事業を通じて社会課題の解決に取り組みます。投資事業では、これまでの実績や目利き力を活かし、ポテンシャルの高いスタートアップへの投資を拡大します。教育事業では、学習塾の直営展開やグループ会社間の統合による成長加速、人材マッチング事業ではAI活用による効率化で収益基盤を構築します。また、新規事業への投資や生成AI等の技術革新への対応も進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「意志の力を最大化」するため、社員が自律的にキャリアを考え、意志表示できる環境づくりを推進しています。四半期ごとの面談やコンディションチェック、半期ごとの社外有識者によるキャリア面談などを通じて、社員の意向を確認し、柔軟な配置や機会提供を行っています。また、週1回の出社日以外は選択可能な勤務体系や、各種補助制度により働きやすい環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.8歳 7.6年 6,934,529円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※女性管理職比率は2025年3月期単体実績。男性育児休業取得率は該当者がいなかったため算出されていません。男女間賃金格差については公表義務の対象ではないため、有報に記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応


生成AIの発展など技術の進化が著しい環境において、適時適切な対応ができない場合、既存事業の陳腐化や競争力の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。同社はスタートアップとのネットワークやM&A等を通じて新技術への対応に努めています。

(2) 競争の激化


特に教育事業や人材マッチング事業では、デジタル人材育成需要の増加に伴い参入企業が増え、競争が激化しています。サービスの優位性を維持できない場合や価格競争に適切に対応できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害等の発生


大地震や台風などの自然災害、感染症の蔓延等の不測の事態が発生した場合、事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。人的・物的損害が甚大な場合、事業継続が困難になる恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。