リミックスポイント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リミックスポイント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リミックスポイントは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、電力小売を担うエネルギー事業や蓄電ソリューション事業、暗号資産の取得や運用等を行うデジタルアセットマネジメント事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比減収となり、暗号資産評価損の計上等により営業赤字が拡大する結果となりました。


※本記事は、リミックスポイントの有価証券報告書(第23期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リミックスポイントってどんな会社?


電力小売事業、蓄電池等のソリューション提供、暗号資産投資等を多角的に展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年に業務用アプリケーションソフト開発を目的に設立され、2006年に東証マザーズへ上場しました。2014年には電力売買事業を開始し現在のエネルギー事業の基盤を構築しました。その後仮想通貨関連事業にも参入し、2024年には暗号資産投資等を行うデジタルアセットマネジメント事業を開始しています。

現在の従業員数は連結で179名、単体で170名です。筆頭株主は個人の有賀照家氏であり、第2位にはトウカイトウキョウセキュリティーズアジアリミテッド(常任代理人 東海東京証券)、第3位には事業会社のモロフジが名を連ねています。

氏名 持株比率
有賀照家 2.59%
トウカイトウキョウセキュリティーズアジアリミテッド(常任代理人 東海東京証券) 1.37%
モロフジ 1.30%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは高橋由彦氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋由彦 代表取締役社長CEO 1992年名古屋短資入社。太田昭和監査法人等を経て2015年東京国税不服審判所国税審判官。2018年同社入社後、経営管理部長等を歴任し2025年9月より現職。
秋田真人 取締役 2000年ジャペル入社。2013年同社入社後、エネルギーソリューション事業部長等を経て2023年6月同社取締役。2024年7月よりシールエンジニアリング代表取締役社長。
中込裕司 取締役 1994年大蔵省関東財務局入局。ジェットガジェット代表取締役等を経て2020年同社入社。執行役員エネルギー事業部長等を歴任し、2025年6月より現職。


社外取締役は、山室裕幸(シティクロス総合法律事務所代表)、金﨑卓也(SMARTコンサルティング代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デジタルアセットマネジメント事業」「エネルギー事業」「蓄電ソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

デジタルアセットマネジメント事業


ビットコインを中心とする暗号資産の取得、保有、運用等を推進しています。今後の市場拡大を見据え、Web3.0関連事業への参入や関連企業への出資等、金融投資関連事業を多角的に展開しています。

保有する暗号資産の時価評価による評価損益や、他暗号資産との交換時の差額、投資先からの分配金等から収益を得るモデルです。運営は主に同社が行っています。

エネルギー事業


需要家に対して電力の供給を行うサービスを提供しています。高圧・低圧の法人需要家および個人需要家向けに、多様な料金プランを展開しています。

顧客との電力需給契約に基づき、消費された電力量に応じた電力料金から収益を得ています。電力取引価格の変動リスクを抑えたプラン設定等を行っており、運営は同社が行っています。

蓄電ソリューション事業


蓄電池の販売や省エネコンサルティング事業を展開しています。家庭用や法人向けのハイブリッド蓄電池システム、系統用蓄電池の販売等を行っています。

蓄電池システム等の製品の販売代金や、補助金申請支援等のコンサルティングに対する手数料等から収益を得ています。運営は同社および子会社のシールエンジニアリングが行っています。

その他事業


マーケティングコンサルティングなどの事業を行っています。従来はメディカル事業が含まれていましたが、子会社の全株式譲渡により当該事業を廃止しました。

コンサルティング等を通じたサービスの対価として手数料収入等を得るモデルです。当期実績には譲渡前のメディカル事業の損益が一部含まれています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の連結業績を見ると、売上高は電力市場の価格変動などの影響を受けつつ増減を繰り返していますが、直近では減収傾向にあります。利益面でも暗号資産市場のボラティリティや事業環境の変化により変動が大きく、直近の期間では暗号資産評価損の計上等により大きな経常赤字と当期赤字を計上する結果となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 288億円 328億円 205億円 211億円 178億円
経常利益 82億円 -17億円 18億円 -5億円 -55億円
利益率(%) 28.4% -5.3% 8.6% -2.6% -31.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 69億円 33億円 11億円 -6億円 -47億円

(2) 損益計算書


売上高が減少する中で、売上総利益はマイナスへと転じています。さらに販売費及び一般管理費の負担も重なり、営業赤字の幅が大きく拡大する結果となりました。特に暗号資産に関連する評価損益が売上高等の変動に直接的な影響を与えています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 211億円 178億円
売上総利益 19億円 -23億円
売上総利益率(%) 9.0% -13.0%
営業利益 -12億円 -55億円
営業利益率(%) -5.7% -30.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が8億円(構成比26%)と最も多く、次いで賞与が3億円(同8%)、広告宣伝費が2億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


エネルギー事業や蓄電ソリューション事業は需要家契約の増加などにより堅調に売上を伸ばしています。一方で、デジタルアセットマネジメント事業では暗号資産価格の下落による評価損の計上があり、その他事業におけるメディカル事業売却による影響も重なり、連結全体としては減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
デジタルアセットマネジメント事業 -20億円 -59億円
エネルギー事業 207億円 211億円
蓄電ソリューション事業 14億円 24億円
その他事業 11億円 2億円
連結(合計) 211億円 178億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸付暗号資産の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -80億円 -121億円
投資CF -7億円 -23億円
財務CF 2億円 113億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-22.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は86.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、社会が変化するタイミングで生じる課題を事業を通じて解決すること」をモットーに掲げています。すべてのステークホルダーから信頼され期待される存在となるため、適切な収益を確保し持続的な成長を実現することと、コーポレート・ガバナンスの強化による透明かつ公正な経営を基本方針としています。

(2) 企業文化


同社はダイバーシティ&インクルージョンを重視し、多様な人材がその個性と能力を発揮し合うことが、変化の速い事業環境に対応し新たな発想を生み出す原動力になると考えています。性別や国籍にとらわれない人材登用を進めるとともに、従業員一人ひとりが活躍できる職場環境づくりを組織の文化として根付かせています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画(2027-2029)」を策定しており、以下の数値目標を掲げています。

* 2029年3月期までに、5か所のFIP転化発電所を保有
* 2029年3月期までに、20か所の系統用蓄電所を保有

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業と親和性の高い領域や新分野への投資を通じた機動的戦略の実行により、収益規模拡大を図ります。デジタルアセットマネジメント事業では暗号資産の運用やWeb3.0領域への参入を進め、エネルギー事業では非化石電源比率の拡大を推進します。蓄電ソリューション事業では系統用蓄電池の自社保有等による収益化を強化する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業環境の変化に的確に対応し、新たな価値を生み出すことのできる人材の確保と育成を重要な経営課題と位置づけています。専門性や経験を備えた人材への需要が高まる中、採用力の強化と自律的な能力開発の支援を推進し、社員一人ひとりの能力が最大限に発揮される就業環境の整備を継続的に行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 37.2歳 4.8年 5,557,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 36.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 66.6%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 72.7%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法令・規制や制度変更に伴うリスク


同社の事業展開において、法令の新設・改正や規制の見直しが影響を及ぼす可能性があります。特に電力小売事業における電気事業法等の制度変更や許認可の維持、各種法規制への違反等が発生した場合、社会的信用の低下や事業運営に支障が生じるおそれがあります。

(2) 電力小売市場の競争激化と調達コスト変動


電力小売部門では参入事業者の増加等により競争が激化しています。市場価格の異常な高騰や非化石証書の調達義務化、容量拠出金の負担増などにより事業継続コストが増加し、これらを価格転嫁できない場合には適正な利益を確保できなくなる可能性があります。

(3) 暗号資産の価格変動およびセキュリティリスク


デジタルアセットマネジメント事業で保有する暗号資産はボラティリティが高く、経済情勢等による価格変動が損益に過大な影響を与える可能性があります。また、カストディのハッキングによる盗難やシステム障害、各国の規制動向等の影響により、資産価値が大きく毀損するおそれがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。