リミックスポイント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リミックスポイント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。電力小売を行うエネルギー事業、蓄電池販売等のレジリエンス事業、暗号資産投資等の金融投資事業を展開。当連結会計年度は、電力販売増や暗号資産投資の開始等により増収となった一方、暗号資産評価損の計上等により経常損失及び当期純損失となり、増収減益(赤字転落)となりました。


※本記事は、株式会社リミックスポイント の有価証券報告書(第22期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リミックスポイントってどんな会社?

エネルギー事業やレジリエンス事業に加え、新たに金融投資事業を開始。社会の変化で生じる課題解決を掲げる多角化企業です。

(1) 会社概要

2004年に業務用ソフト開発を目的に設立され、2006年にマザーズへ上場しました。2014年に電力売買事業を開始し、現在の主力事業へ成長。2016年にはビットポイントジャパンを設立し暗号資産交換業へ参入しましたが、その後株式を譲渡しました。2024年には新たに金融投資事業を開始し、事業ポートフォリオの変革を進めています。

同グループの連結従業員数は272名、単体では153名です。筆頭株主は楽天証券株式会社ですが、これは顧客資産の管理口座等の可能性があります。第2位はマーケティング関連の事業会社であるLIDDELL株式会社、第3位は個人株主の松田周氏となっており、特定の親会社は存在しません。

氏名 持株比率
楽天証券株式会社 1.68%
LIDDELL株式会社 1.44%
松田 周 1.03%

(2) 経営陣

同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは高橋由彦氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
高橋 由彦 代表取締役社長CEO 公認会計士。野村證券、株式会社アイレップ等を経て2018年に同社入社。経営管理部長等を歴任し、2023年5月より現職。
秋田 真人 取締役 イーエムシー株式会社等を経て2013年に同社入社。エネルギー事業やレジリエンス事業の要職を経て、2023年6月より現職。
瀧澤 文基 取締役(監査等委員) イーエムシー株式会社等を経て2013年に同社入社。エネルギー事業の管理部門でマネージャー等を務め、2023年6月より現職。


社外取締役は、山田庸一(元大阪国税不服審判所国税審判官)、江田健二(RAUL株式会社代表取締役)、髙木浩二(元東京双葉法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「エネルギー事業」「レジリエンス事業」「メディカル事業」「金融投資事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) エネルギー事業

高圧および低圧の需要家に対し、電力の小売供給を行っています。市場連動型プランや固定単価型プランなどを組み合わせ、需要家のニーズに応じた電力を提供しています。
収益は、需要家からの電気料金収入等から得ています。運営は主に株式会社リミックスポイントが行っています。

(2) レジリエンス事業

家庭用・産業用蓄電池の販売や、省エネルギー化支援コンサルティング、感染症対策関連商品の販売等を行っています。脱炭素社会の実現に向けたソリューションを提供しています。
収益は、蓄電池等の商品販売代金やコンサルティング料から得ています。運営は株式会社リミックスポイントおよび株式会社シールエンジニアリングが行っています。

(3) メディカル事業

主に医療機関に特化したウェブサイトの制作・運用、医療コンサルティング、福祉関連事業を展開しています。
収益は、ウェブ制作・運用費やコンサルティング料、介護給付費等から得ています。運営は株式会社ゼロメディカルが行っています。

(4) 金融投資事業

暗号資産投資、株式投資および融資等に係る投融資事業を行っています。ビットコイン等の暗号資産を保有・運用し、収益機会の拡大を図っています。
収益は、暗号資産の売却益や評価益、投資先からの配当・分配金等から得ています。運営は主に株式会社リミックスポイントが行っています。

(5) その他

上記セグメントに含まれない事業として、マーケティングコンサルティング等を行っています。
収益は、コンサルティングサービスの対価等から得ています。運営は主にイプシロン・ホールディングス株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が大きく、特に2023年3月期に大きく伸長した後、翌期に減少しています。利益面では黒字と赤字を繰り返しており、当期は経常損失および当期純損失を計上し、赤字転落となりました。利益率の変動も激しく、経営環境や事業ポートフォリオの変化の影響を受けていることが分かります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 132億円 288億円 328億円 205億円 211億円
経常利益 -29億円 82億円 -17億円 18億円 -5億円
利益率(%) -21.9% 28.4% -5.3% 8.6% -2.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -30億円 69億円 33億円 11億円 -6億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比で微増しましたが、売上原価の増加により売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費も増加し、営業損益は赤字に転じています。営業外収益で暗号資産評価益等を計上しましたが、経常損失となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 205億円 211億円
売上総利益 38億円 19億円
売上総利益率(%) 18.6% 9.2%
営業利益 17億円 -12億円
営業利益率(%) 8.5% -5.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が11億円(構成比34%)、支払手数料が2億円(同6%)を占めています。

(3) セグメント収益

エネルギー事業は増収となったものの、利益は減少しました。レジリエンス事業とメディカル事業は増収増益を達成しました。一方、新設された金融投資事業は、暗号資産評価損の計上等により、売上高がマイナスとなり、大きな損失を計上しました。これが全体の利益を押し下げる主な要因となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
エネルギー事業 189億円 207億円 23億円 14億円 6.7%
レジリエンス事業 12億円 14億円 1億円 3億円 21.2%
メディカル事業 3億円 11億円 -0億円 0億円 3.8%
金融投資事業 - -20億円 - -21億円 -
その他 1億円 - 0億円 -0億円 -
調整額 - - -7億円 -8億円 -
連結(合計) 205億円 211億円 17億円 -12億円 -5.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に自己保有暗号資産の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 24億円 -80億円
投資CF 1億円 -7億円
財務CF -2億円 2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-3.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、社会に新たな価値を創造し提供することを目指し、社会が変化するタイミングで生じる課題を事業を通じて解決することをモットーとしています。「適切な収益を確保し持続的な成長を実現することで企業価値の向上を図ること」、「コーポレート・ガバナンスの強化に努め透明かつ公正な経営を実行すること」を経営の基本方針としています。

(2) 企業文化

社会が変化するタイミングで投資・事業開発を積極的に進める姿勢を持っています。法令遵守・企業倫理の徹底を行うとともに、経営の透明性を高め、経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる組織体制の整備・運用を通じて、ステークホルダーからの信頼向上と健全な企業経営の実現を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標

同社グループは、中期経営計画の策定・公表を行っていませんが、各事業が独自に成長戦略を描き、他社との業務提携や資本提携等を含めてスピード感を持って新たな取り組みを推進し、自立的に強化・拡大していくことを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策

M&A等による投資や人材確保を通じた組織力強化により、収益規模拡大を目指します。エネルギー事業では脱炭素化への対応や需要家開拓、レジリエンス事業では蓄電池販売網の拡充や新サービスの開発を推進します。金融投資事業では、ビットコインを中心とした暗号資産への投資やWeb3.0関連事業への参入・投資を進め、中長期的な資産価値の保全と新たな事業機会の創出を図ります。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

中長期的な成長には優秀な人材の確保・育成が必須と考え、意欲のある経験値の高い人材を確保するとともに、個々のパフォーマンス最大化のための就業環境の整備・改善に注力しています。また、ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、グローバル化、個性の尊重、女性登用の拡大等に取り組み、多様な従業員が活躍できる環境作りを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.1歳 4.5年 4,641,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 31.3%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 74.3%
男女賃金差異(正規) 66.6%
男女賃金差異(非正規) 104.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性労働者の割合(56.7%)、男性労働者の育児休業取得率(100%を目指す)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法令・規制等による事業への影響

エネルギー事業における「電気事業法」や、展開する各事業に関連する法令・規制の新設・改正、解釈変更等が事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。許認可等の取得・維持ができない場合、事業継続が困難になる恐れがあります。

(2) 競争環境によるリスク

電力小売事業において、多数の事業者が参入しており競争が激化しています。卸電力取引市場価格の高騰や、非化石証書の調達義務、容量拠出金の負担増などが経営に影響を与える可能性があります。コスト増加分を顧客に転嫁できない場合、利益確保が困難になるリスクがあります。

(3) 暗号資産投資に関するリスク

保有するビットコイン等の暗号資産は価格変動が激しく、相場下落時に多額の評価損が発生する可能性があります。また、カストディ等への不正アクセスによる盗難リスク、規制強化、ブロックチェーン技術の不具合などが生じた場合、財政状態および経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 気候変動に関するリスク

脱炭素社会への移行に伴い、環境負荷低減への取り組みが求められています。環境政策の動向によっては対応費用が増大する可能性があります。また、環境問題への取り組みが不十分と判断された場合、ステークホルダーからの信頼低下や資金調達困難化などの影響を受ける可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。