eBASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

eBASE 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所 プライム市場に上場する同社は、パッケージソフトビジネスの「eBASE事業」と、IT開発アウトソーシングビジネスの「eBASE-PLUS事業」を展開しています。直近の業績は、eBASE事業での大型案件の受注やeBASE-PLUS事業の伸長により、売上高・経常利益ともに増加し、増収増益となりました。


※本記事は、eBASE株式会社 の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. eBASEってどんな会社?


CMS開発プラットフォーム「eBASE」を核に、商品情報管理ソフトの開発やIT支援を行う企業です。

(1) 会社概要


2001年に株式会社ホットアイとして設立され、商品情報データベースシステムの販売を開始しました。2003年に現社名へ変更後、2005年に食品業界向けシステム「FOODS eBASE」を販売開始し、2006年にヘラクレス市場へ上場しました。2010年にはIT開発支援を行うeBASE-PLUSを設立し、2022年にプライム市場へ移行しました。

連結従業員数は478名、単体では175名体制です。筆頭株主は創業者の常包浩司氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位も信託銀行であり、創業者が大株主として安定的な持分を保有しつつ、機関投資家が名を連ねる株主構成となっています。

氏名 持株比率
常包 浩司 36.68%
日本マスタートラスト信託銀行 7.88%
日本カストディ銀行 4.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は岩田貴夫氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
岩田 貴夫 代表取締役社長 2003年同社入社。取締役、取締役執行役員を経て、市場開発やシステムエンジニアリング部門を管掌。2020年6月より現職。
常包 浩司 代表取締役会長 凸版印刷を経て2001年同社を設立し代表取締役社長に就任。eBASE-PLUS代表取締役社長などを兼務し、2020年6月より現職。
窪田 勝康 取締役執行役員(CFO) 2005年同社入社。同年取締役就任。2007年より取締役執行役員CFO。2020年4月よりeBASE-PLUS代表取締役社長を兼務し現職。
西山 貴司 取締役執行役員 凸版印刷を経て2001年同社取締役就任。eBASE-NeXT代表取締役社長などを歴任し、2013年4月より大阪ソリューションB.U.管掌として現職。
上野 雅彦 取締役執行役員 2007年同社入社。執行役員東京ソリューションB.U.管掌を経て、2018年6月より現職。


社外取締役は、永田博彦(元パナソニックホームズ執行役員)、高森浩一(元シャープ常務執行役員)、辻和孝(TOPPANホールディングス在籍)、野口京子(長野大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「eBASE事業」および「eBASE-PLUS事業」を展開しています。

eBASE事業


CMS開発プラットフォーム「ミドルウェアeBASE」を基盤としたパッケージソフトウェアの企画・開発・販売を行っています。企業ごとの商品情報管理を行う「0th eBASE」、食品業界向け「FOODS eBASE」などの業界別ソリューションを提供する「1st eBASE」、消費者向けアプリを展開する「2nd eBASE」の3つのフェーズで事業を展開しています。

主な収益源は、パッケージソフトウェアの販売、顧客別のカスタマイズ開発費、ライセンスおよびサポート料、クラウドサービスの利用料です。運営は主に親会社であるeBASEおよび連結子会社のeBASE-NeXTが行っています。

eBASE-PLUS事業


顧客企業からの受託開発、受託オペレーション、受託サーバー保守などを通じて、IT開発アウトソーシングビジネスを展開しています。ソフトウェア開発やインフラ構築などのシステムソリューションに加え、ITシステムの統合運用管理やヘルプデスクサービスも提供しています。

収益源は、顧客企業への技術者派遣や受託業務に対する対価です。運営は主に連結子会社のeBASE-PLUSが行っており、自社開発のオンライン教育システム「eB-learning」を活用して人材育成にも注力しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な右肩上がりで推移しており、毎期増収を達成しています。利益面でも、経常利益および当期利益は増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は売上高、各利益ともに過去最高水準に達しています。利益率も30%前後と高い水準を維持しており、収益性の高いビジネスモデルであることがわかります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 43億円 44億円 47億円 52億円 55億円
経常利益 12億円 11億円 14億円 17億円 18億円
利益率(%) 28.8% 25.0% 29.6% 32.0% 32.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 5億円 7億円 9億円 10億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は50%台前半で安定しており、高い収益性を維持しています。営業利益率も30%を超えており、効率的な事業運営が行われていることが伺えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 52億円 55億円
売上総利益 28億円 29億円
売上総利益率(%) 53.1% 53.3%
営業利益 17億円 17億円
営業利益率(%) 31.8% 31.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.9億円(構成比50%)、その他が2.2億円(同19%)を占めています。売上原価においては、ソフトウエア開発人件費や外注費が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


セグメント別の状況を見ると、eBASE事業は食品業界での大型案件や既存顧客のアップセル等により増収増益となりました。eBASE-PLUS事業も、顧客ニーズへの対応や単価交渉の実施により増収増益を達成しています。両セグメントともに堅調に推移しており、特にeBASE事業が高い利益率で全社の利益を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
eBASE事業 26億円 29億円 13億円 14億円 49.1%
eBASE-PLUS事業 26億円 26億円 4億円 4億円 15.0%
連結(合計) 52億円 55億円 17億円 18億円 32.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**改善型**:営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 13.3億円 11.7億円
投資CF -3.1億円 0.9億円
財務CF -5.7億円 -8.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.5%で市場平均(プライム市場9.4%)を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は90.7%で市場平均(プライム市場・非製造業24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「貢献なくして利益なし、利益なくして継続なし、継続なくして貢献なし」を理念としています。社会から求められるサービスを創造し、継続的に成長させることが社会貢献であると考え、「中長期利益最大化」を判断尺度としています。eBASE事業は高利益を、eBASE-PLUS事業は売上安定を目指し、グループ全体でバランスのとれた成長を図ります。

(2) 企業文化


同社グループは、企業がお互いに情報、知識を交友させ、新たな価値を創造できる社会を展望しています。大きな時代変移をいち早く予見し、お互いのコアコンピタンスの融合により、次なるビジネスモデルや新たなマーケットを共に創り出すことを使命と考えています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、「経常利益」の持続的成長と収益性の向上を最大の経営目標とし、売上高の持続的成長を重要な経営指標と位置づけています。CMS開発プラットフォームを活用して業界単位での商品情報交換の全体最適化を推進し、サプライチェーンの合理化やCX向上のためのDX推進を図ります。

(4) 成長戦略と重点施策


「0th eBASE(企業別統合商品DB)」、「1st eBASE(業界別統合商品DB)」、「2nd eBASE(消費者向けアプリ)」の3段階のビジネスモデルを推進します。特に「2nd eBASE」では、商品情報データプールを基盤とした消費者向けアプリ「e食住シリーズ」を展開し、小売やメーカーのDXおよびCX向上を支援します。また、eBASE-PLUS事業では人材育成と採用を強化し、高単価案件へのシフトを進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


eBASE事業では、独自ビジネスモデルを推進するためのセールスエンジニアや開発人材の育成・採用を重視しています。eBASE-PLUS事業では、未経験者を含む人材の確保と、自社開発のオンライン教育システム「eB-learning」を通じた技術力向上に注力しています。グループ内での人材交流も図り、総合力を強化しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.0歳 8.8年 5,399,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.6%
男性育児休業取得率 66.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.5%
男女賃金差異(正規雇用) 78.5%
男女賃金差異(非正規) -


※男女賃金差異(非正規)について:HTMLの記載より、スタッフ部門における管理職以下の差異を算出したものであり、パート・有期雇用労働者は該当なしとなっています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用数(15名)、中途採用数(21名)、新卒新入社員の3年定着率(77%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) システム障害リスク


事業の多くをコンピューターネットワークシステムに依存しており、セキュリティ強化やハードウェアの二重化等の対策を講じていますが、人為的過誤や自然災害等によるトラブルが発生した場合、サービスの信頼性低下や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 受託開発案件の不採算リスク


「eBASE」を用いたカスタマイズ開発等において、受注時の見積り精度の向上やプロジェクト管理に努めていますが、新技術仕様での開発や想定外の仕様変更・追加等により作業工程が増加し、案件が不採算化する可能性があります。

(3) 保有有価証券における価格下落のリスク


余剰資金の一部を市場で流通している債券やファンド等で運用していますが、急激な市場金利や為替の変動、発行主体の業績悪化により、保有する有価証券の市場価額が著しく下落した場合、減損損失が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 環境(気候変動)に係るリスク


気候変動に伴う温室効果ガス排出抑制等の取り組みが進む中、同社グループの取り組みが不十分とみなされた場合、社会的信用の低下に伴う事業機会の逸失や収益の減少等、企業価値向上および業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。