※本記事は、アドソル日進株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
アドソル日進は、電力に強みを持つ独立系のシステム開発企業です。1976年の創立以来、社会インフラシステムの提供を通じ、DX・IoTに不可欠な「監視」「通信」「制御」技術を強みに事業を展開しています。
単体従業員数は640名、連結従業員数は645名です。セグメントは社会インフラ事業、先進インダストリー事業の2つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
アドソル日進は、社会インフラやITサービスを提供する企業として、従業員の成長を重視した人材戦略を推進しています。多様な働き方を支援する制度も整えられており、社員が能力を発揮しやすい環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
アドソル日進では、従業員の平均年齢と平均勤続年数から、比較的落ち着いた年齢構成と長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に活かせるよう、職場環境の整備にも力を入れていることが特徴です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,645,344円 |
| 平均勤続年数 | 12.4年 |
| 平均年齢 | 39.2歳 |
| 単体従業員数 | 640人 |
| 連結従業員数 | 645人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.2% |
同社は、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は国内の従業員に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は5.7億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
アドソル日進は、社会インフラとITサービスの提供を通じて企業価値を向上させるため、人材を最も重要な経営資源と位置付けています。特にDXの進展や社会インフラの高度化に対応できる専門人材の確保と育成に注力しています。
給与は、個人の職務の大きさや能力、経験に基づいて基本給が決定され、賞与は会社業績と個人評価を総合的に勘案して支給されます。役職者には譲渡制限付株式報酬制度が導入されており、報酬水準は市場動向を参考に競争力維持・向上に努めています。
人材戦略では、高度IT人材やコンサルティング人材の育成、基礎力強化、次世代の経営人材育成に力を入れています。また、女性や外国人、高年齢者、キャリア採用者など多様な人材の確保と活躍推進にも積極的です。
具体的には、女性の新卒採用比率25%以上を目標とし、女性管理職比率向上に向けたキャリア研修や育児休業支援制度を整備しています。2023年4月からはジョブ型要素を取り入れた人事制度を導入し、個人の成長を支援するキャリアパスや教育制度を充実させています。年次有給休暇の取得推進やテレワーク制度の定着、健康経営優良法人認定など、ウェルビーイング向上にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は当事業年度末時点、その他の指標は当事業年度における実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 11.5% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 87.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 83.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 84.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 71.7% |
サステナビリティ共通:指標及び目標
人材の多様性確保に関する指標は提出会社単体の記載です。
| 指標 | 実績(2023~2025年度平均) | 目標 |
|---|---|---|
| エンゲージメントサーベイ平均スコア | 69点 | 2031年3月期で80点以上 |
| 女性 新卒採用比率 | 24.8% | 3年平均で25%以上 |
| 外国人 新卒採用人数 | 1.3名/年 | 3年平均で2~3名/年 |
| 経験者 採用人数 | 11.3名/年 | 3年平均で15名/年 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
アドソル日進は、電力分野に強みを持つ独立系のシステム開発企業として、社会インフラシステムと先進インダストリー向けITシステムの提供を主軸としています。DX・IoTに不可欠な「監視」「通信」「制御」技術を強みに、顧客の事業特性とITシステムのライフサイクルに合わせたワンストップソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、社会インフラ関連企業や大手メーカーに対し、デバイス制御からネットワーク、大規模インフラ、クラウドシステムまで幅広いソリューションを提供しています。コンサルティングから設計、開発、保守までを一貫して手掛けることで収益を上げています。国内に加えてベトナムに拠点を持ち、グローバル分散開発体制を確立していますが、売上高の90%以上は本邦の外部顧客によるものです。
社会インフラ事業
エネルギー(電力・ガス)、交通、次世代通信、公共・防災、デジタルサービスといった領域で、暮らしや社会を支えるITシステムを提供しています。DX・モダナイゼーションの大型案件や、次世代スマートメーター関連、送配電設備関連システムの刷新などが収益源となっています。当連結会計年度は、売上高が前期から増加しました。
先進インダストリー事業
日本のモノづくりを担う企業(モビリティ、医療・ヘルスケア、産業機器)やサービス事業者が取り組むDX・IoTの実現に貢献しています。決済・カード領域でのDX案件やデータ分析基盤の構築、決済システムの再構築などが好調に推移し、収益に貢献しています。当連結会計年度は、売上高が前期から増加しました。
同社グループの主要な顧客としては、三菱電機株式会社と東京ガスiネット株式会社が挙げられます。三菱電機株式会社は社会インフラ事業と先進インダストリー事業の両方に関連し、東京ガスiネット株式会社は社会インフラ事業に関連しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 社会インフラ事業 | 97.3億円 | 112億円 |
| 先進インダストリー事業 | 57.3億円 | 59.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに一貫して増加傾向にあります。特に当連結会計年度は、売上高が前期比で大きく伸び、過去最高を更新しました。利益面でも、売上総利益率の改善や高収益案件の増加により、営業利益が大幅な増益となり、過去最高を達成しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 122億円 | 128億円 | 141億円 | 155億円 | 172億円 |
| 経常利益 | 11.3億円 | 12.4億円 | 14.9億円 | 17.7億円 | 22.2億円 |
| 経常利益率 | 9.2% | 9.7% | 10.5% | 11.4% | 12.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 7.8億円 | 8.4億円 | 9.8億円 | 12.1億円 | 15.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 42.30 | 45.20 | 52.54 | 65.80 | 86.85 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期から増加しており、生産性が向上していることが示されています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、収益性の改善が見られます。これらの指標の向上は、組織全体の効率化や高付加価値案件の獲得が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.8百万円 | 26.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 3.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
アドソル日進は、本業で安定した資金を生み出し、事業活動と投資活動を通じて余剰資金を確保している状況です。これにより、強固な財務基盤を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
アドソル日進の財務基盤は、自己資本比率とROEの数値からその健全性が示されています。自己資本比率はプライム市場平均と比較して高い水準にあり、強固な財務体質を維持していることがうかがえます。ROEもプライム市場平均を大きく上回っており、効率的な経営が行われていることを示しています。手元資金も潤沢に確保されており、事業の安定性を支える要素となっています。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる基盤であると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 70.7億円 | 69.5億円 |
| 自己資本比率 | 69.8% | 65.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.2% | 22.2% |
| 現金及び預金 | 28.9億円 | 29.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
アドソル日進のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期から増加し、18.9億円の収入となりました。これは、同社グループが安定して事業から資金を生み出していることを示しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得などにより14百万円の支出となりましたが、前期と比較して支出は減少しています。この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは18.8億円の収入となり、前期から大きく増加しました。財務活動によるキャッシュフローは、自己株式の取得による支出などにより18.2億円の支出となっています。これらの資金の流れは、同社グループが本業で得た資金を効率的に運用し、株主還元も行いつつ、将来に向けた投資も継続している状況を示しており、入社後の安定性や成長性を見極める上で重要な情報です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.3億円 | 18.9億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △14百万円 |
| 財務CF | △17.0億円 | △18.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 8.3億円 | 18.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、顧客の投資計画が経済環境や収益動向に影響を受け、IT投資が凍結・延期・削減される可能性をリスクとして認識しています。また、海外オフショア開発においては、地政学リスクや災害、人件費の高騰などにより、安定した発注が難しくなる可能性も示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、有能な人材の確保・育成が停滞した場合や退職者が増加した場合、受注活動の停滞やプロジェクトの進捗遅延及び中止につながる可能性をリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
アドソル日進は、社会インフラをITシステムで支え、人々の暮らしと社会の安心・安全、快適で環境に配慮されたサステナブルな社会の実現に貢献することを目指しています。企業理念を核に、未来のまち「スマートシティ」の実現をITで支えることをビジョンとしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
アドソル日進グループは、「高付加価値サービスの創造・提供を通じて お客様の満足と豊かな社会の発展に貢献します」を企業理念としています。この理念に基づき、エネルギー、交通、宇宙、次世代通信、公共、防災、決済、モビリティ、医療・ヘルスケア、産業機器など、日本の社会インフラや人々の生活を支え、発展させるITシステムを提供しています。
同社グループは、デジタル化が進む社会インフラの進化を支える「スマートシティのオンリーワンITカンパニー」を目指しています。2027年3月期を初年度とする新・中期経営計画「New Canvas 2031 –The Next Page–」を策定し、スマートシティのテーマである「エネルギー」「交通」「まちづくり」を注力領域としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
アドソル日進グループは、企業理念のもと、事業活動を通じてサステナブルな社会の実現に取り組んでいます。すべての行動の基本となる「サステナビリティ方針(企業行動規範)」を策定し、法令遵守、顧客の信頼獲得、公正な取引、透明な企業経営、従業員の能力発揮、社会とのコミュニケーション、情報管理、健全な政治・行政関係、反社会的勢力との関係遮断、地域社会との共生を掲げています。
同社グループは「社員の成長が会社の成長の源泉」と捉え、人材育成に積極的に取り組む企業風土があります。変化の激しい市場環境に対応するため、人材の多様性を重視し、女性、外国人、高年齢者、様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材の採用と起用を推進しています。従業員持株会制度の運営を通じて、従業員の経営参画意識の醸成も図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
アドソル日進グループは、IT市場の拡大と生成AI活用の本格化を背景に、旺盛なIT投資が続く経営環境に対応しています。新・中期経営計画では、「スマートシティのオンリーワンITカンパニー」の実現に向けた事業戦略を推進しています。
具体的には、DX・AX(AI Transformation)やミッションクリティカルなシステムに対応する「次世代SIビジネス」を基盤とし、コンサルティングやソリューションを提供する「オファリングビジネス」を新たな成長事業の柱として育成します。これらのビジネスを担う「トップコンサルタント」「テクノロジーコンサルタント」「プロジェクトマネージャー」「高度ITエンジニア」の育成・強化、およびグローバル・デリバリー体制の展開を重点テーマとしています。企業基盤の強化として「人的資本」「M&A・アライアンス」「社内DX・AX推進」「財務・キャピタルアロケーション」「株主還元」の各戦略を推進し、ガバナンス・コンプライアンスの充実も図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
アドソル日進は、意思決定と業務執行の分離した経営体制を構築し、経営監視体制の充実を図っています。取締役会は、経営陣から独立した社外取締役を含む構成で、十分な審議を重ねて意思決定を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行であり、機関投資家が上位を占める資本構成です。また、アドソル日進従業員持株会が上位株主の一角を占めており、従業員による安定的な株式保有が進んでいることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.35% |
| アドソル日進従業員持株会 | 7.58% |
| 野村信託銀行(投信口) | 2.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は篠﨑俊明氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 篠﨑 俊明 | 取締役社長 (代表取締役) | 1989年4月同社入社、社会システム事業部長などを経て、2021年6月同社代表取締役社長兼COO、2025年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 上田 富三 | 取締役会長 | 1974年4月竹菱電機入社、紀陽コンピュータシステム代表取締役などを経て、2004年2月同社入社、2010年4月同社代表取締役社長、2025年6月同社取締役会長より現職。 |
| 大西 元 | 常務取締役 | 1982年4月松下電工入社、パナソニックインフォメーションシステムズ専務取締役などを経て、2020年3月同社入社、2020年6月同社常務取締役IoTソリューション本部長、2024年10月同社常務取締役より現職。 |
| 寺村 知万 | 取締役 経営企画室長 | 1991年1月同社入社、業務部長、総務人事部長などを経て、2022年6月同社取締役管理本部長、2026年4月同社取締役経営企画室長より現職。 |
社外取締役は、峰野博史氏(静岡大学学術院情報学領域教授)、廣田耕一氏(公益社団法人日本防犯設備協会代表理事)、髙見澤將林氏(ZEN大学客員教授)、福井素子氏(ウイン・コンサル顧問)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は一般株主保護の観点から、経営陣から独立した社外取締役4名を含む8名の取締役で構成されています。また、過半数の社外監査役を含む監査役会を設置し、監査の実効性を高めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
アドソル日進の役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、株主利益と連動した報酬体系を基本方針としています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬、および株式報酬で構成されています。一方、監督機能を担う社外取締役の報酬は、その職務に鑑み、基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 3.0億円 | 74.8百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 13.8百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 35百万円 | 5.8百万円 |
なお、取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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