※本記事は、株式会社 中広 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
中広グループは、フリーマガジン『ハッピーメディア(R)』の発行・運用を主軸とするメディア広告事業を展開しています。地域に密着した紙媒体とデジタル媒体を組み合わせた「ハイブリッド広告」を提供し、広告代理や販売促進策の企画運営も行っています。
単体従業員数は328名、連結従業員数は588名です。セグメントはメディア広告事業の1つです。
主な国内グループ会社は、中広メディアソリューションズ(メディア広告・事業)、中広ワークイン(同)、ケイ・クリエイト(同)、関西ぱど(同)、ケイピーエス(同)などです。
直近では、当期7月に株式会社中広ワークインを連結子会社化し、求人メディア『Workin』等との連携により求人・採用課題解決の提案体制を強化しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
中広グループは、地域に根ざしたメディア広告事業を展開しており、従業員の定着を重視し、働きがいのある環境づくりに力を入れています。人材育成や多様な働き方を支援する制度を通じて、従業員が長期的に活躍できる基盤を整えていることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定して長く働く従業員が多い傾向にあると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,902,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.8年 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 単体従業員数 | 328人 |
| 連結従業員数 | 588人 |
| 単体のグループ内比率 | 55.8% |
同社グループは、退職給付制度として確定給付型と確定拠出型の両方を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されています。退職一時金制度は存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度に係る退職給付債務の期末残高は79百万円、確定拠出制度への要拠出額は39百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「人が命・人が宝・人が財産」を共通の基本方針とし、採用戦略、組織戦略、人事制度の適正化を通じて、人的資本経営の高度化に取り組んでいます。広告事業を通じた地域社会への貢献と持続的な成長のための価値創造を目指しています。
従業員の給与やその他の給付については、給与規程等に基づいて決定されており、社会情勢を考慮して随時見直しが行われています。これらの規程の改定や賃上げ方針の決定は、取締役会の決議によって行われます。
また、同社グループは人材への投資を重視し、新卒フォローアップ研修、女性キャリア研修、リーダー研修、管理職研修など、各種教育研修制度を積極的に実施しています。子育てサポート企業としての「くるみん認定」や、女性の活躍推進に関する「えるぼし認定」など、多様な働き方を支援する各種認証も取得しています。さらに、紙媒体とデジタル媒体を融合させた「ハイブリッド広告」のブランド化や、自社開発の営業支援システム「C-Brain」のバージョンアップなど、IT関連システムへの持続的な投資を通じて社内環境の整備を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 28.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 57.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 37.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社中広メディアソリューションズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - |
▼ 株式会社関西ぱど
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 30.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 1.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 66.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 79.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 52.7% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
中広グループは、フリーマガジンの発行・運用と、広告代理や販売促進策の企画運営を主軸とするメディア広告事業を展開しています。地域に密着した情報提供と広告ソリューションを通じて、地域社会への貢献を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
中広グループは、フリーマガジン『ハッピーメディア®』の発行・運用と、広告代理、販売促進策の企画運営等のセールスプロモーション及びこれらの付帯業務を行う「メディア広告事業」の単一セグメントで事業を展開しています。自社メディアとして、地域フリーマガジン『地域みっちゃく生活情報誌®』や『Workin』などの紙媒体に加え、クーポンアプリ「フリモ」やウェブ求人情報の「まちJOB」「Workin.jp」といったインターネット媒体も有しています。
主力商品である地域フリーマガジンは、発行エリアの各家庭へ手配りで配布され、全世代が安心して読める紙面構成が特徴です。地域の時事情報や文化、人物などを紹介する特集記事と、生活に役立つ広告情報で構成されており、クーポンやサービスの反響も重視されています。セールスプロモーション事業では、広告戦略や販売促進計画の立案から、自社メディアや新聞、雑誌、インターネット広告などの媒体選択、デザイン提案、各種印刷物の企画・制作・販売まで幅広く手掛けています。
また、採用管理システム「TalentClip」等のDX化商材販売やクラウドファンディングなど、社会課題に応えるソリューション事業も展開し、業容拡大を図っています。収益は主に自社メディア広告とセールスプロモーション等から得ており、その他収益も存在します。本邦以外の外部顧客への売上高はなく、特定の主要顧客への収益集中もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
中広グループは、過去5年間において売上高と各種利益が一貫して増加傾向にあります。特に直近の会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の全てが増加し、5期連続の増収増益を達成しました。これは、DXとAIの活用による生産性・業務効率の向上や、求人分野の強化が寄与しているものと考えられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 70.6億円 | 85.2億円 | 102億円 | 113億円 | 122億円 |
| 経常利益 | 1.2億円 | 1.7億円 | 3.1億円 | 3.2億円 | 4.0億円 |
| 経常利益率 | 1.7% | 2.0% | 3.0% | 2.8% | 3.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1.0億円 | 85百万円 | 1.9億円 | 1.6億円 | 1.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 14.89 | 12.49 | 28.35 | 24.08 | 27.69 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
中広グループの従業員1人あたり売上高は前期から減少していますが、従業員1人あたり営業利益は増加しています。これは、売上高の伸び以上に利益率が改善したことや、DX・AI活用による生産性・業務効率向上の取り組みが寄与していると考えられます。組織全体の効率化が進んでいる状況がうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 21.5百万円 | 20.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
中広グループの財務状況は、自己資本と手元資金の厚み、そしてキャッシュフローの健全性から、安定した経営基盤を示しています。本業で得た資金を元に、将来に向けた投資も行われています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は39.3%であり、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は9.0%で、プライム市場平均(9.4%)とほぼ同水準となっています。
手元資金である現金及び預金は20.8億円と前期から増加しており、安定した資金繰りを示しています。これらの財務指標は、同社グループが安定した経営基盤を有していることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 21.1億円 | 22.8億円 |
| 自己資本比率 | 39.9% | 39.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.3% | 9.0% |
| 現金及び預金 | 19.0億円 | 20.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュフローは前期に比べて増加し、4.7億円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加や減価償却費の計上、貸倒引当金及び未払消費税等の増加が要因となっています。
投資活動によるキャッシュフローは前期に比べて支出が減少し、△2.1億円の支出となりました。定期預金の預入や連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得、有形固定資産の取得による支出があった一方、定期預金の払戻による収入がありました。
財務活動によるキャッシュフローは前期に比べて支出が増加し、△46百万円の支出となりました。長期借入による収入があったものの、長期借入金の返済や剰余金の配当による支出が主な要因です。
フリーキャッシュフローは2.6億円のプラスであり、本業で得た資金が投資を上回っている状態を示しています。これは、同社グループが安定した事業活動を通じて資金を生み出し、将来の成長に向けた投資も行いつつ、資金的な余力を確保していることを示しています。このようなキャッシュフローの状況は、同社グループの雇用安定性や成長性への期待につながる要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7百万円 | 4.7億円 |
| 投資CF | △2.5億円 | △2.1億円 |
| 財務CF | △23百万円 | △46百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.4億円 | 2.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
競合誌の存在や将来的な出現により、広告掲載件数や掲載単価の低下が生じる可能性があります。また、広告市場におけるデジタルメディアの成長が著しく、同社グループの想定を超えてデジタルメディアが成長した場合、広告収入の減少につながる可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは事業展開のため、営業戦力となる優秀な人材の採用と教育研修を毎年実施しています。しかし、採用及び教育研修が計画通りに進捗しない場合や、事業拡大計画に応じた人材確保ができない場合、事業計画及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
中広は、広告業を通じて地域社会への貢献を理念とし、地域経済の活性化を目指しています。持続的な成長と安定的な収益確保を重視し、ステークホルダーの期待に応える企業価値向上を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
中広グループは、「広告業を通して地域社会への貢献」を理念に掲げ、地域経済の活性化を通じて社会貢献し、発展し続けることを目指しています。持続的な成長と安定的な収益確保を両立させ、ステークホルダーの期待に応える企業価値向上を重視しています。
経営原則として、あらゆる地域でローカルな事業を営みながらグローバルな企業を目指し、セールスプロモーション事業とメディア事業を通じて地域住民の豊かさと顧客の事業展開に尽力しています。中長期の経営目標として、フリーメディア事業の主力商品である『地域みっちゃく生活情報誌(R)』の全国展開を推進しています。
次期(第49期)のスローガンは「50X(フィフティー・エックス)」であり、次の50年、つまり100年企業となるための転換点と位置づけています。「ハイブリッド広告2.0」や「AI Driven」を推進し、「地域データインフラ企業」として本質的なトランスフォーメーション(X)を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
中広グループは、「人が命・人が宝・人が財産」「機会損失の排除」を社是とし、「飲水不忘掘井人」を社訓としています。これらの言葉は、人材を最も重要な財産と捉え、あらゆる機会を最大限に活かす企業文化を大切にしていることを示しています。
同社グループの理念である「広告業を通して地域経済への貢献」は、SDGsの「働きがいも経済成長も」「住み続けられるまちづくりを」と共通の思いを持っています。また、「すべての人に健康と福祉を」「産業と技術革新の基盤をつくろう」の思いから、フリーマガジン事業を通じて地域格差や世代間格差の解消に貢献することを意識しています。
ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営とサステナビリティ推進を実践し、ステークホルダーとの良好な関係構築を通じて長期的な企業価値向上を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
中広グループは、DX推進に伴うリスク対応を経営課題としています。次期スローガン「50X(フィフティー・エックス)」のもと、「地域データインフラ企業」への変革を目指しています。
DX推進による営業・業務効率向上を最優先課題とし、自社開発システム「C-Brain」やAI活用システム「CAI(解)」の導入を進めています。また、人的リソースの確保と育成も重視しており、新卒・中途採用、各種研修、公的資格取得支援、従業員評価の適正化、戦略的人材開発に取り組んでいます。
さらに、「地域社会への貢献」の理念に基づき、「児童虐待防止運動」や「♯にっぽんオレンジシンボル運動」などのCSR/CSV活動を全国で推進し、社会・地域課題解決に主体的に取り組むことも重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
中広は、取締役会による業務執行の監督機能と監査役会による監査機能を有する監査役会設置会社です。社外役員として社外取締役1名、社外監査役2名を選任しており、同社役員の3分の1以上を社外役員で構成しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
中広は、有限会社オリベ興産が筆頭株主となっており、代表取締役会長の後藤一俊氏も上位株主の一人です。従業員持株会や代表取締役社長の大島斉氏も大株主に名を連ねており、創業家や関連会社が経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社オリベ興産 | 33.30% |
| 後藤 一俊 | 11.29% |
| 岐阜信用金庫 | 4.91% |
| 中広従業員持株会 | 3.66% |
| 中島 永次 | 2.88% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は13.0%です。代表取締役会長は後藤一俊氏、代表取締役社長は大島斉氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 後藤 一俊 | 代表取締役会長 | 1971年4月 株式会社新本町ビル入社。1981年2月 同社入社、同年6月 同社常務取締役。1987年7月 同社代表取締役社長。2019年6月 同社代表取締役会長より現職。 |
| 大島 斉 | 代表取締役社長 | 2000年8月 同社入社。2008年4月 同社執行役員。2019年6月 同社常務取締役営業本部長。2022年6月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 倉橋 誠一郎 | 取締役管理本部長 | 1988年4月 日興証券株式会社(現 SMBC日興証券株式会社)入社。2017年7月 同社入社、管理本部経営企画部長。2019年6月 同社取締役管理本部長より現職。 |
| 池戸 武志 | 取締役アライアンス事業部長 | 1996年4月 株式会社ケイ・クリエイト入社。2012年1月 同社代表取締役。2023年6月 同社取締役VC事業部(現 アライアンス事業部)事業部長より現職。 |
社外取締役は、渡邉泰宏氏(兵庫県立大学教授)です。
同社は、取締役会による業務執行の監督機能と監査役会による監査機能を有する監査役会設置会社です。社外取締役1名、社外監査役2名を選任しており、独立的かつ専門的な立場から取締役の業務執行に対する経営監視機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
中広は、役員の報酬等の額またはその算定方法に関する具体的な方針は定めていませんが、業容の拡大と企業価値向上に資することを方針としています。会社の業績や潜在的リスク、経営内容、経済情勢等を考慮し、取締役会で総額の決定と配分方針の確認を行っています。個別の基本報酬額は、代表取締役会長の後藤一俊氏に一任して決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 74百万円 | 18.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 7百万円 | 3.4百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 11百万円 | 3.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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