※本記事は、ネクストジェンの有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネクストジェンってどんな会社?
同社は、通信インフラのIP化を牽引し、音声通信に特化したソリューションとクラウドサービスを展開しています。
■(1) 会社概要
2001年に次世代ネットワークの実現を目指す通信事業者のエンジニア達により設立されました。2004年にエンタープライズ向けのIP-PBXやSBCの販売を開始し、2007年に大阪証券取引所ヘラクレス(現・スタンダード市場)に上場しました。その後、クラウド型音声サービスやCPaaS基盤の提供へと事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結で148名、単体で148名です。大株主については、筆頭株主がエクシオグループ、第2位がサクサ、第3位がNECネッツエスアイとなっており、いずれも同社の資本業務提携パートナーである事業会社が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エクシオグループ | 21.34% |
| サクサ | 14.55% |
| NECネッツエスアイ | 9.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員CEOは大西新二氏が務めており、社外取締役の比率は37.5%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大西 新二 | 代表取締役社長執行役員CEO | 1989年NTT入社。NTTドコモソリューションズ等を経て2002年に同社入社。執行役員技術部門長などを歴任し、2005年に代表取締役社長執行役員に就任。2024年より現職。 |
| 上田 豊 | 取締役執行役員CFO | 富士フイルムビジネスイノベーション等を経て、メモリーテックHD代表取締役社長CEOを歴任。2023年に入社し、2024年に取締役執行役員CFO、2026年より現職。 |
| 齊田 奈緒子 | 取締役執行役員CIO | 1998年NTTドコモソリューションズ入社。2002年に同社に入社し品質管理室長等を歴任。SupershipHDを経て2018年に再入社。2021年に取締役執行役員に就任し、2026年より現職。 |
| 深山 博文 | 取締役 | 1988年NTT入社。NTT東日本やNTTドコモビジネスの部長や取締役を歴任。2018年エクシオグループ入社後、2020年に同社取締役に就任。現在はエクシオグループの執行役員などを兼任し、現職。 |
| 渡辺 俊一 | 取締役(監査等委員) | 1977年NTT入社。楽天コミュニケーションズを経て2002年に同社に入社し、執行役員営業部長CMO等を歴任。2014年に常勤監査役を経て、2016年より現職。 |
社外取締役は、西明珠紀(エクシオグループ執行役員)、野田修(元NECネッツエスアイ常務)、竹内敏尚(元OKIクロステック社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ボイスコミュニケーション事業」および「クラウドDX事業」の2つの事業を展開しています。
■ボイスコミュニケーション事業
あらゆる業種の企業・自治体で利用される電話や音声コミュニケーションをIP技術で最適化し、通話録音、音声認識、AI連携によって付加価値を提供する事業です。クラウドPBXへの移行支援やコンタクトセンターの高度化支援を行っています。
収益源は、ソフトウェアのライセンス販売や保守サービス、およびクラウドサービスのサブスクリプション利用料です。運営は同社が行い、大手通信事業者への直接販売のほか、エクシオグループやサクサなどのパートナーを通じて企業や官公庁に提供されています。
■クラウドDX事業
通信事業者向けのキャリアコアビジネスと、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するビジネスです。システムのクラウド移行だけでなく、業務プロセス全体を見直し、コンサルティングから運用までを伴走型で支援しています。
収益源は、通信事業者向けのシステム構築やソリューション提供による一時的な収益のほか、請求管理業務などのプラットフォームサービス利用料です。運営は同社が行っており、直接販売やシステムインテグレーターを経由して顧客に提供されています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績を見ると、売上高は一時的な落ち込みを経て直近は力強い成長基調にあります。利益面でも、過去に赤字を計上した時期がありましたが、その後は着実に回復し、利益率も改善傾向を示しています。直近では過去最高水準の利益を確保するなど、収益体質の強化が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 31億円 | 35億円 | 36億円 | 43億円 |
| 経常利益 | 1.8億円 | 0.2億円 | 1.7億円 | 2.5億円 | 3.2億円 |
| 利益率(%) | 4.8% | 0.8% | 4.9% | 6.9% | 7.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.7億円 | -4億円 | 1.8億円 | 2.0億円 | 2.6億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益が順調に拡大しており、売上総利益率は安定した水準を維持しています。また、営業利益も大幅な増益を達成し、営業利益率も向上するなど、本業の稼ぐ力が着実に強まっていることが確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 36億円 | 43億円 |
| 売上総利益 | 14億円 | 16億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.2% | 37.1% |
| 営業利益 | 2.6億円 | 3.3億円 |
| 営業利益率(%) | 7.2% | 7.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与が4.0億円(構成比32%)、販売支援費が2.1億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメントごとの収益を見ると、両事業ともに前年から順調に売上を伸ばしています。ボイスコミュニケーション事業はクラウドサービスの契約増が牽引し、クラウドDX事業はシステム開発案件の受注が拡大したことで、事業全体としてバランスの取れた成長を実現しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ボイスコミュニケーション事業 | 22億円 | 25億円 |
| クラウドDX事業 | 15億円 | 17億円 |
| 連結(合計) | 36億円 | 43億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
キャッシュ・フローの状況を見ると、営業活動で生み出した資金を将来の成長に向けた投資や借入金の返済などの財務活動に充てており、健全な資金繰りが行われている「健全型」のパターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.5億円 | 7.4億円 |
| 投資CF | -2.7億円 | -2.9億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -2.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.8%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も65.1%で市場平均を上回っています。(いずれも市場平均を上回る)
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」を企業理念として掲げています。大手通信事業者が求めるキャリアグレード(短時間の停止も許されない公共的社会インフラを支える技術や品質)の製品やサービスを提供するとともに、グローバルスタンダードであるインターネット技術をベースにした先進的なコミュニケーションサービスを提供することを社会的意義としています。
■(2) 企業文化
同社は、NTTの技術者を中心に創業された背景から、電話公衆網で必要とされる高い技術と品質レベルを深く理解し、短時間の停止も許されない信頼性を実現する技術力を重んじる文化を持っています。また、常に市場の動向やニーズを捉えて新たな製品やサービスを生み出す研究開発を重視し、最新技術を活用して独自のビジネスモデルを展開する革新性も大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、事業の成長とともにキャッシュを生むことが重要であるとの経営判断に基づき、中長期的な見通しとして2029年3月期をターゲットとした数値目標を設定しています。利益率の高いサブスクリプション型ビジネスを収益の安定基盤とし、継続的な成長を見込んでいます。
* 売上高 70億円
* 営業利益 6億円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、売上の拡大と安定した利益確保に向けて、いわゆるサブスクリプション型の事業やサービスを強化することを重要施策としています。また、AI音声認識分野での産学連携を通じて新サービスを開発するほか、優秀な人材の採用・育成や働き方改革を推進しています。品質管理体制の強化やプロジェクト管理の高度化による収益力向上にも取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、価値創造の源泉を「人財」と位置付け、将来の成長を支える新卒採用の拡充と早期育成を進めています。また、定年制を設けない無定年制を導入し、豊富な経験を持つシニア人材の積極採用と活用を図っています。さらに、リモートワークやフルフレックス制の活用により、時間や場所に縛られない働きやすい環境の追求にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.8歳 | 9.1年 | 7,867,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間の正社員女性採用比率(14.2%)、正規雇用者に占める女性の割合(20.8%)、リモートワークの比率(80.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境の変化と競争激化
通信サービス分野においては、大手通信事業者や新規参入企業による価格競争やサービスの差別化が進んでおり、市場競争が激しさを増しています。同社は音声通信と各種サービスの連携により事業機会を拡大していますが、市場環境の急速な変化に適切に追随できなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 新規事業の開発と投資負担
将来の事業拡大に向け、同社は技術や製品を活用した新規事業や新サービスの開発に積極的に取り組んでいます。しかし、これらには研究開発費や設備費、広告宣伝費などの先行投資が必要となります。市場動向の変化などにより事業計画が遅れ、当初の予測通りに収益化が進まなかった場合、投資負担が財政状態に影響を与える可能性があります。
■(3) ソフトウェア資産の減損損失
同社グループは通信システムに関わるソフトウェアを開発し、資産として計上しています。しかし、今後の事業環境の変化や技術革新によって、保有するソフトウェアの収益性が著しく低下した場合、投資額を回収できなくなり、減損損失が発生して業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) プロジェクトの納期変動リスク
同社が受注するプロジェクトは、規模や利益率がそれぞれ異なり、売上の計上時期によって業績が変動する特徴があります。顧客側の都合による仕様変更で検収が遅れる場合や、システムの不具合等によりサービスの納品時期が予定よりずれ込んだ場合、四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。



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