※本記事は、株式会社ネクストジェンの有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネクストジェンってどんな会社?
通信事業者のインフラを支える音声通信技術を核に、DXソリューションやクラウドサービスを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2001年に設立され、2004年にエンタープライズ向け製品の販売を開始しました。2007年にヘラクレス(現グロース)へ上場し、2013年にはJASDAQへ上場しています。2017年に協和エクシオ(現エクシオグループ)と資本業務提携を開始し、2025年には東証スタンダード市場への市場区分変更および名証メイン市場への上場を果たしました。
同グループの従業員数は連結で145名、単体で143名です。大株主の構成は、筆頭株主が情報通信エンジニアリングを行う事業会社、第2位が情報通信システム機器メーカーの事業会社、第3位も通信系システムインテグレーターの事業会社となっており、資本業務提携先が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| エクシオグループ | 21.34% |
| サクサ | 14.55% |
| NECネッツエスアイ | 9.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名、計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員CEOは大西新二氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大西 新二 | 代表取締役社長執行役員CEO | 日本電信電話入社後、エヌ・ティ・ティ・コムウェアを経て2002年に同社入社。執行役員技術部門長などを歴任し、2011年より社長。2024年6月より現職。 |
| 上田 豊 | 取締役執行役員CFO | 富士ゼロックス、イメージワンCEOなどを経て、メモリーテック・ホールディングス代表取締役社長CEOを歴任。2023年に同社入社し、2024年6月より現職。 |
| 齊田 奈緒子 | 取締役執行役員 | エヌ・ティ・ティ・コムウェアを経て2002年に同社入社。品質管理室長、管理本部長などを歴任。2024年4月品質イノベーション推進部長、2025年4月よりオペレーション&サポート部長。 |
| 深山 博文 | 取締役 | 日本電信電話、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズシステム部長などを経て、エクシオグループへ入社。2020年同社取締役就任。エクシオ・システムマネジメント代表取締役社長を兼務。 |
| 渡辺 俊一 | 取締役(監査等委員) | 日本電信電話公社、フュージョン・コミュニケーションズを経て2002年に同社入社。執行役員営業部長CMO、第一営業本部本部長などを歴任し、2016年6月より現職。 |
社外取締役は、西明珠紀(エクシオグループ執行役員)、野田修(元NECネッツエスアイ取締役執行役員常務)、竹内敏尚(元沖電気工業取締役副社長執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ボイスコミュニケーション事業」および「コミュニケーションDX事業」を展開しています。
■(1) ボイスコミュニケーション事業
通信事業者向けのコアシステムや、企業・自治体向けの電話系ソリューションを提供しています。具体的には、IP音声通信に関するソフトウェア開発、クラウドPBX、通信事業者のシステム更改やセキュリティ対策、コンタクトセンター向けの通話録音ソリューションなどが含まれます。
収益は主に、通信事業者や一般企業からのシステム構築・開発費用、ソフトウェアライセンス料、クラウドサービスの利用料、および保守サービス料から得ています。運営は主に同社が行い、販売パートナーやシステムインテグレーターを経由した提供も行っています。
■(2) コミュニケーションDX事業
音声認識・AI技術やCPaaS(Communications Platform as a Service)、業務支援システム(BSS)などを活用し、特定市場のDX化を支援するソリューションを提供しています。建設現場の安全管理システムやクラウドIVR、業務特化型のDXソリューションなどが該当します。
収益は、クラウドサービスの利用料、ソリューションの開発・提供費用、およびコンサルティング料などから得ています。運営は主に同社が行っており、NTTドコモや建設業界団体などの顧客に対して、直接またはパートナー経由でサービスを提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は30億円台で推移しており、第22期に一時的な落ち込みと赤字計上があったものの、その後は回復基調にあります。直近の第24期では、売上高が増加するとともに、経常利益および当期純利益も伸長し、利益率も改善傾向を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 39億円 | 38億円 | 31億円 | 35億円 | 36億円 |
| 経常利益 | 0.0億円 | 2億円 | 0.2億円 | 2億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 0.1% | 4.8% | 0.8% | 4.9% | 6.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.2億円 | 1億円 | -4億円 | 2億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較します。売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しています。売上総利益率および営業利益率ともに改善しており、本業の収益性が高まっています。特に営業利益は前期比で大きく伸びており、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 35億円 | 36億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 14億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.1% | 39.2% |
| 営業利益 | 2億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 7.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与が4億円(構成比32%)、販売支援費が2億円(同19%)を占めています。売上原価については、労務費が7億円(構成比34%)、経費が16億円(同74%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ボイスコミュニケーション事業は売上が減少しましたが、サブスク型ビジネスが安定収益基盤として機能しています。一方、コミュニケーションDX事業は企業のDX推進やクラウドサービスの受注が好調で、売上が大きく増加しました。全体としてはDX事業の成長が全体の増収に寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| ボイスコミュニケーション事業 | 27億円 | 25億円 |
| コミュニケーションDX事業 | 8億円 | 11億円 |
| 連結(合計) | 35億円 | 36億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ネクストジェンは、通信事業者向けセキュリティ診断や保守サービスで売上を伸ばし、当期末の現金及び現金同等物は大幅に増加しました。営業活動では、本業の収益力に加え、売上債権や棚卸資産の減少、前受金の増加などが資金獲得に貢献しました。投資活動では、主に無形固定資産の取得により資金を使用しました。財務活動では、長期借入れによる収入があったものの、借入金の返済や配当金の支払いなどにより資金が減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 9億円 |
| 投資CF | -4億円 | -3億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | -0.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「時空を超えてヒトやモノをつなぎ、豊かな社会を創造する」を企業理念としています。大手通信事業者が求める高品質なキャリアグレードの製品・サービスを提供しつつ、グローバルスタンダードなインターネット技術をベースとした先進的なコミュニケーション・サービスの提供を目指しています。
■(2) 企業文化
NTTの技術者を中心に創業された背景から、電話公衆網レベルの品質と信頼性を実現する高い技術力を持っています。同時に最新技術を活用し、海外製品を日本国内に適応させる柔軟性も併せ持ちます。信頼性を重視しながらも、新しい技術やビジネスモデルへ積極的に挑戦する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
事業の成長とともにキャッシュを生むことを重要視しており、2028年3月期(通期)の連結業績目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:50億円
* 営業利益:4億円
* EBITDA:7億円
■(4) 成長戦略と重点施策
利益率の高いサブスク型ビジネスを収益の安定基盤とし、事業成長を目指しています。ボイスコミュニケーション事業では、クラウドPBXや保守サービスの拡大、パートナー連携による「Enablerサービス」を推進します。コミュニケーションDX事業では、AI音声認識やCPaaSを活用し、建設現場やコールセンター等の特定市場向けソリューションを開発・展開していきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
高度な技術への対応と人材不足に対処するため、柔軟な働き方や生産性向上のための環境整備を重視しています。テレワークの活用により、遠隔地居住や育児・介護との両立を可能にし、多様な人材が無理なく仕事を継続できる体制を整えています。これにより優秀な人材の確保と育成を進め、競争力の源泉としています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.7歳 | 8.7年 | 7,603,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間の正社員女性採用比率(36.4%)、正規雇用者に占める女性の割合(22.4%)、リモートワークの比率(77.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) プロジェクトの納期変動リスク
プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、売上計上時期によって四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。顧客都合による検収遅延や、システム不具合等によりサービスの納品時期が当初予定からずれ込んだ場合、業績変動の要因となります。
■(2) 市場環境の変化
通信サービス分野では、大手通信事業者や新規参入者による価格競争や技術革新が激化しています。音声と各種サービスの連携が進む中で事業機会は拡大していますが、こうした市場環境の急速な変化に同社グループが適切に追随できなかった場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 新規事業について
将来的な拡大に向けた新規事業や新サービスの開発には、人材採用や研究開発費などの先行投資が必要です。これらが計画通りに進捗せず収益化が遅れた場合や、急激な市場変化により事業計画の変更を余儀なくされた場合、投資負担により業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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