データ・アプリケーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

データ・アプリケーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場上場で、ソフトウエア事業やシステムインテグレーション事業、AI関連事業を展開しています。業績トレンドとして、直近の連結決算では売上高が43億円(前期比65.8%増)、経常利益が3億円(同9.9%減)となり、事業拡大により大幅な増収となるも減益となっています。


※本記事は、株式会社データ・アプリケーションの有価証券報告書(第41期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. データ・アプリケーションってどんな会社?


企業間のデータ交換を支える基盤型ソフトウエアの開発・販売を主力とし、AIやSI領域へも展開しています。

(1) 会社概要


1982年に設立され、1989年に集配信ソフトウエアの発売を開始しました。2007年にジャスダックに上場し、現在は東証スタンダード市場に属しています。2024年にWEELを子会社化し、2025年にはデジタルトランスコミュニケーションズおよびメロンを子会社化して、AIやシステム開発領域の強化を図っています。

同社グループの従業員数は連結で253名、単体で135名です。筆頭株主は創業者の橋本慶太氏で、第2位および第3位は投資ファンドのUH Partners投資事業有限責任組合となっています。事業の拡大に伴い、グループ各社の専門技術を結集してデータ連携やAIなどのビジネスインフラソリューションを提供しています。

氏名 持株比率
橋本慶太 10.78%
UH Partners 3 投資事業有限責任組合 7.01%
UH Partners 2 投資事業有限責任組合 6.79%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は安原武志氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
安原武志 代表取締役社長執行役員 1989年日商エレクトロニクス入社。日本オラクルを経て2009年同社入社、営業本部長。2015年取締役。2020年代表取締役社長執行役員より現職。
下山勝義 取締役執行役員 1991年CSK入社。日本オラクルなどを経て2019年同社入社。2020年執行役員営業本部長。2025年取締役より現職。
金子貴昭 取締役(常勤監査等委員) 1986年NOK入社。2006年同社入社、経営企画管理本部長等を歴任。2019年取締役就任。2025年取締役(常勤監査等委員)より現職。


社外取締役は、板野泰之(元野村総合研究所代表取締役専務執行役員)、浅野昌孝(あると築地監査法人理事長)、本村健(岩田合同法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウエア事業」、「システムインテグレーション事業」および「AI関連事業」を展開しています。

ソフトウエア事業


企業の業務プロセスを支えるデータ交換系ミドルウエア等の基盤型ソフトウエア製品やクラウドサービスの開発・販売・保守、および導入支援サービスを提供しています。主にシステムインテグレーター等のパートナーを通じた間接販売により、幅広い業種の顧客に製品を届けています。

収益モデルはパッケージ製品のライセンス販売のほか、クラウドサービス等によるサブスクリプション型の継続課金への転換を進めています。当事業の運営は同社が担っています。

システムインテグレーション事業


EDI(電子データ交換)やEAI(企業内アプリケーション統合)を基軸としたビジネスインフラソリューションを展開し、システムの構築や関連サービスの提供を行っています。

顧客企業からのシステム構築やサービス提供に対する対価として収益を得ています。当事業の運営はデジタルトランスコミュニケーションズが担っています。

AI関連事業


生成AIを活用したシステム受託開発やAIコンサルティング、AIメディアの運営、ならびに時系列解析技術や大規模言語モデルを活用したAI・ソフトウエア開発を提供しています。

顧客からのシステム受託開発費やコンサルティング料などを主な収益源としています。当事業の運営はWEELおよびメロンが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間では、M&Aによる事業領域の拡大効果などにより売上高が大幅に成長しています。一方、利益面では新規連結子会社化に伴う費用の増加やのれん償却費の計上などが影響し、微減益の傾向となっています。

項目 40期 41期
売上高 26億円 43億円
経常利益 4億円 3億円
利益率(%) 13.8% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しているものの、システムインテグレーション事業などの原価率の高い事業が新たに加わったことで売上総利益率は低下し、営業利益も減少しています。

項目 40期 41期
売上高 26億円 43億円
売上総利益 18億円 22億円
売上総利益率(%) 69.5% 51.7%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 12.6% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比27%)、研究開発費が3億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


ソフトウエア事業はサブスクリプション型への移行期で微減となりましたが、新たに連結化したシステムインテグレーション事業とAI関連事業が売上高の大幅な成長を牽引しています。

区分 売上(40期) 売上(41期)
ソフトウエア事業 25億円 24億円
システムインテグレーション事業 - 13億円
AI関連事業 0.8億円 6億円
調整額 - -1億円
連結(合計) 26億円 43億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面

項目 40期 41期
営業CF 1億円 5億円
投資CF -3億円 0.8億円
財務CF -2億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「データと一緒にワクワクする未来へ!」をありたい姿として定義し、社会インフラを支えるソフトウエアを提供することで、社会の利便性や生産性向上の実現を目指しています。また、「未来情報社会創造はひとりひとりの喜びから」を企業理念に掲げています。

(2) 企業文化


社員一人一人が、顧客や社会の課題に向き合い、持続可能な社会の実現に向けて貢献する文化を重視しています。また、グループ全体の行動様式として、企業行動規範を定めており、法令や定款、社内規程、企業倫理を遵守し、誠実に行動することを基盤としています。

(3) 経営計画・目標


2026年3月期から2028年3月期までの3か年を対象とする中期経営計画において、「個人と組織がともに成長し続ける DIGITAL WORK を実現する」を中期ビジョンとして掲げています。最終年度の目標数値は以下の通りです。

* 売上高(連結):60億円
* EBITDA(連結):10億円
* ROE:15%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画における基本方針として、「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」の3つを事業戦略の柱として定めています。クラウドサービスへの転換など収益モデルの変革を進めるとともに、M&Aで加わったグループ各社の技術を結集し、次世代データ連携プラットフォームの構築を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材への投資を経営の重要課題と位置づけ、「個人と組織がともに成長し続ける DIGITAL WORK を実現する」というビジョンのもと、人的資本の強化を推進しています。「優秀な人材の獲得」「人材育成の強化」「ウェルビーイングの推進」「グループ内での人材の柔軟な活用」の4つを方針として掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
41期 42.1歳 11.1年 7,081,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(21.0%)、ダイバーシティスコア(82点)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 製品の致命的不具合(バグ)による販売への影響


同社グループが提供するソフトウエアやクラウドサービス、AIソリューションにおいて、不具合を皆無にすることは難しく、顧客導入後に問題が発見される可能性があります。これにより製品やサービスの売上が減少し、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 間接販売(パートナーモデル)への依存


同社のソフトウエア製品やクラウドサービスは、主にシステムインテグレーターなどのパートナー企業を経由して販売されています。そのため、パートナーとの関係悪化や競合他社との提携が生じた場合、間接販売への依存度が高い同社の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) 情報セキュリティ管理に関するリスク


事業遂行において、顧客企業の機密情報や業務データなどを取り扱っており、クラウドサービス上での処理・管理を行っています。サイバー攻撃やシステム障害等による情報漏洩や滅失が発生した場合、社会的信用の失墜や多額の対応費用が発生するリスクがあります。

(4) 専門人材の確保と育成に関するリスク


知的集約型の業務である同社の事業において、高度な専門技術・知識を有するエンジニアやAI・データサイエンスなどの専門人材は不可欠です。IT人材の需給が逼迫する中で、計画通りに人材を確保できない場合や流出が生じた場合、事業成長に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。