エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、企業の業務効率化を支援するソフトウェア開発とコンサルティングサービスを展開しています。主力製品のローコード開発プラットフォームのサブスクリプション移行やAI活用が牽引し、直近5年間で売上と利益がともに順調に拡大する増収増益のトレンドを形成しています。


※本記事は、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートの有価証券報告書(第27期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマートってどんな会社?


ローコード開発プラットフォームを主力とし、業務システムの構築やデジタル化を支援しています。

(1) 会社概要


1998年にNTTデータ内の社内ベンチャーとしてプロジェクトが発足し、2000年に設立されました。同年に製品販売を開始し、2007年には東京証券取引所マザーズへ上場しています。2023年には事業領域の拡大を目的に、プロサインBSM事業を譲受したほか、NTTデータIMジェイエスピーを子会社化しました。

現在の従業員数はグループ全体で508名、単体で314名です。筆頭株主は事業会社であるNTTデータで、第2位は創業者の代表取締役社長の中山義人氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
NTTデータ 21.75%
中山義人 11.89%
日本マスタートラスト信託銀行 3.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は中山義人氏が務めています。社外取締役の比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
中山義人 代表取締役社長 執行役員 1992年NTTデータ通信入社。2000年同社代表取締役常務を経て、2001年より現職。
鈴木誠 取締役 執行役員管理本部長 1993年NTTデータ通信入社。2000年同社へ出向し、2005年取締役就任。2013年より現職。


社外取締役は、中村靖氏(元メタウォーター社長)、山本修司氏(元アグレックス社長)、渡辺麟太郎氏(NTTデータ ソリューション事業本部 デジタルサクセスソリューション事業部長)、有明三樹子氏(元りそな銀行常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソフトウェア事業」および「サービス事業」と「その他」事業を展開しています。

ソフトウェア事業


企業の業務システムを効率的に構築するプラットフォームや、クラウドサービスの開発・販売・保守を行っています。専門的なプログラミング知識が不要なローコード開発とAI機能を備え、大企業や中堅企業の業務改善を支援しています。

システム開発会社などの特約店を通じた間接販売と直接販売により、ライセンス利用料やサブスクリプション収入、保守料を得る収益モデルです。運営は同社のほか、NTTデータイントラマートソフトウェア系統(上海)有限公司が担っています。

サービス事業


自社製品の導入に合わせ、企画・設計から開発・運用までを一貫してサポートするコンサルティングや、システム構築を受託しています。また、開発会社の技術者向けにローコード開発に関する教育支援や資格認定も提供しています。

顧客からのシステム開発受託費用や、トータルサポートサービスの提供料、研修プログラムの受講料等を収益源としています。同社を中心に、NTTデータIMジェイエスピーおよびBiXiコンサルティングが連携して事業を運営しています。

その他事業


主力とする自社ソフトウェアや関連サービスの提供以外に、他社製のハードウェアやソフトウェア等の商品を仕入れて販売する事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が77億円から147億円へと順調に拡大しています。経常利益は一時的に減益となる局面もありましたが、クラウドやサブスクリプション型サービスへの転換が奏功し、直近では大幅な増益を達成して利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 77億円 80億円 93億円 118億円 147億円
経常利益 8億円 8億円 4億円 6億円 14億円
利益率(%) 10.6% 9.6% 4.3% 5.1% 9.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円 2億円 3億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大きく伸長し、それに伴って売上総利益も増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、増収効果により販売費及び一般管理費の増加を吸収し、営業利益および営業利益率はともに大幅な改善を達成しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 118億円 147億円
売上総利益 46億円 56億円
売上総利益率(%) 38.9% 38.1%
営業利益 6億円 14億円
営業利益率(%) 4.7% 9.4%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が12億円(構成比29%)、業務委託費が8億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


両事業ともに増収基盤を確立しています。ソフトウェア事業はサブスクリプション型やクラウド型への転換が進展し、サービス事業は長期の大型案件が順調に進捗したことで、いずれのセグメントも前期から継続して規模を拡大しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ソフトウェア事業 53億円 63億円
サービス事業 66億円 84億円
連結(合計) 118億円 147億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14億円 9億円
投資CF -12億円 -9億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.6%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は53.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人・企業・社会を情報技術でつなぎ、未来に向けた新たな価値を創造し、グローバルに発信する」というミッションを掲げています。ソフトウェアを通じて顧客とともにサステナビリティの課題解決に取り組み、社会全体でのデジタル人材不足を解消することを目指しています。

(2) 企業文化


社員の行動指針として、固定観念にとらわれず変化を楽しむ「挑戦」、多様性を認めあい新しい価値を作る「協創」、プロとして期待を超える「感動と驚きを」、社会の一員として真摯に取り組む「社会」という4つのバリューを定め、これらを重視した組織運営を行っています。

(3) 経営計画・目標


「顧客との“共創”に基づいた高い“成長”の実現、より大きな“信頼”の獲得」をスローガンとする中期経営戦略を策定しています。持続的な成長に向けて内部留保を成長投資に活用しつつ、株主への安定的かつ継続的な利益還元を推進することを方針としています。

* 配当性向:35%
* 総還元性向:40%

(4) 成長戦略と重点施策


ビジネスモデルの強化に向け、製品のサブスクリプション化やクラウドサービスへの転換を加速させています。また、生成AIを活用した開発生産性の向上や、周辺業務アプリケーションへの展開を通じたエコシステムの拡大を図り、ストック型収益の積み上げと収益性の高いビジネス構造の確立に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様な価値観を持つ個性豊かな人材を積極的に採用し、自律的なキャリア形成を支援する方針です。社内での育成プログラムや昇格制度の見直しを進めるとともに、カフェテリアプランをはじめとする福利厚生を充実させ、社員の成長と働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.5歳 7.1年 7,518,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 81.5%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 45.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用した労働者に占める女性労働者の割合(42.1%)、年次有給休暇取得率(75.4%)、労働者の一月当たりの平均残業時間(3.6時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合と技術革新による陳腐化


Webシステム開発の分野は技術革新が速く、最先端技術の取り込みに多大なコストを要します。競合他社の製品強化や、予測不能な新技術の登場により自社製品が陳腐化した場合、競争力を失い業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外注先および特約店への依存


開発において特約店パートナーからの技術者受け入れに依存しており、優良な外注先の確保が困難になったり外注単価が高騰したりするリスクがあります。また、販売面でも特約店に依存しているため、契約維持や新規開拓が進まない場合は業績に影響を及ぼします。

(3) 人材の確保と特定人物への依存


事業の継続的な発展には優秀な技術者の確保が不可欠ですが、人材獲得競争の激化により必要な人材を確保できないリスクがあります。また、創業者である代表取締役社長への依存度が高く、同氏が職務を継続できなくなった場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。