ODKソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ODKソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する情報処理サービス企業です。大学入試や証券業務などのシステム運用・開発を主力事業としています。直近の業績は、連結子会社の寄与等により売上高は増収となりましたが、投資組合運用損の発生等により経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社ODKソリューションズ の有価証券報告書(第60期、自 2022年4月1日 至 2023年3月31日、2023年6月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ODKソリューションズってどんな会社?


教育・金融分野に強みを持つ情報処理企業です。大学入試システムや証券業務システム等の運用・開発を行っています。

(1) 会社概要


1963年に大阪電子計算として設立され、翌年には大学入試業務を開始しました。2007年に大阪証券取引所ヘラクレスに上場し、2013年には学研ホールディングスと業務・資本提携を行いました。その後、2022年の市場再編に伴い、東京証券取引所プライム市場へ移行しています。

連結従業員数は198名、単体では149名です。筆頭株主は業務・資本提携先である学研ホールディングスで、第2位は同じく提携関係にあるファルコホールディングス、第3位にはナカバヤシが名を連ねており、主要な事業パートナーが上位株主となっています。

氏名 持株比率
学研ホールディングス 16.67%
ファルコホールディングス 10.50%
ナカバヤシ 5.56%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は勝根秀和氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
勝根 秀和 代表取締役社長 1987年同社入社。総務部長、エフプラス社長などを歴任し、2018年代表取締役専務取締役を経て、2020年6月より現職。
森脇 博文 常務取締役 1989年同社入社。事業開発部長、エフプラス社長などを経て、2019年7月より現職。
作本 宜之 常務取締役 1992年髙島屋入社。2006年同社入社。企画総務部長などを経て、2021年6月より現職。ポトス代表取締役社長も兼務。
吉村 美樹雄 取締役 1984年エムシー企画入社。1988年同社入社。教育システム部長を経て、2021年7月より現職。
大塚 浩司 取締役人事財務部ゼネラルマネージャー 1991年同社入社。企画総務部長、人事財務部長を経て、2023年4月より現職。
若林 孝治 取締役(常勤監査等委員) 1982年同社入社。事業法人システム部長、常勤監査役を経て、2019年6月より現職。


社外取締役は、川口伸也(エース法律事務所弁護士)、藤岡寛(監査法人ソルシオ代表社員)、平松亜矢子(共栄法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システム運用」「システム開発及び保守」「機械販売」事業を展開しています。

(1) システム運用


大学入試業務や証券業務などの情報処理アウトソーシングサービスを提供しています。主な顧客は学校法人や証券会社、一般事業法人です。特に教育分野では大学入試センター試験や個別試験の処理、ポータルサイト『UCARO®』などを、金融分野では証券総合システムなどを手がけています。

収益は、顧客である学校法人や証券会社等から、システムの利用料や運用業務の委託料として受け取っています。運営は主に同社が行っていますが、連結子会社の株式会社ECSや株式会社ポトスなども一部業務を担っています。

(2) システム開発及び保守


顧客のニーズに合わせたシステムの受託開発および保守サービスを提供しています。システム運用サービスに付随する周辺システムの開発や、Webサイト構築、その他ソフトウェア開発などを行っています。

収益は、システム開発案件の請負対価や保守契約に基づく料金として顧客から受け取っています。運営は同社のほか、連結子会社の株式会社エフプラスが金融機関向けや教育関連企業向けのシステム開発・保守等を担当しています。

(3) 機械販売


医療システム機器等の販売を行っています。システム運用や開発サービスの提供に関連して、顧客が必要とするハードウェア等の機器を販売しています。

収益は、機器の販売代金として顧客から受け取っています。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は50億円台半ばで安定的に推移しており、直近では微増傾向にあります。経常利益は5億円前後で推移していましたが、直近では減少しました。利益率は8〜12%程度を維持しています。当期純利益は2億円から5億円の範囲で変動しています。

項目 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期
売上高 53億円 52億円 54億円 55億円 56億円
経常利益 6億円 6億円 7億円 5億円 4億円
利益率(%) 11.5% 10.7% 12.8% 9.3% 8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 4億円 5億円 2億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は微増しましたが、売上原価も増加しており、売上総利益は微増にとどまっています。営業利益は前期から減少しました。営業利益率は7〜8%程度で推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期
売上高 55億円 56億円
売上総利益 16億円 17億円
売上総利益率(%) 29.3% 30.0%
営業利益 4億円 4億円
営業利益率(%) 7.9% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が3.6億円(構成比29%)、その他経費が2.5億円(同20%)を占めています。売上原価においては、外注費が約47%、経費が約22%を占めており、外部リソースの活用とシステム運用コストが主な要素となっています。

(3) セグメント収益


システム運用は、連結子会社の寄与等により増収となりました。システム開発及び保守は、一部大型開発の剥落等により減収となりました。機械販売は、医療システム機器更改の剥落等により減収となりました。

区分 売上(2022年3月期) 売上(2023年3月期)
システム運用 52億円 53億円
システム開発及び保守 2億円 2億円
機械販売 1億円 1億円
連結(合計) 55億円 56億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「情報サービス事業を通じて、顧客の繁栄・社会の発展に貢献する。」ことを経営理念として掲げています。技術の向上による優れたサービスの提供、グローバルな視野での未来創造、そして働く喜びを感じられる魅力ある会社生活の実現を経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念を具現化するための行動指針として4つの「C」を掲げています。具体的には、「Chance(チャンスを見つけ出し、必ず掴み取る意欲を持って)」、「Change(変化を恐れず、柔軟な姿勢を持って)」、「Compliance(全ての行動において、法令・社会規範・社内規則を遵守し)」、「Challenge(高い目標を持って、常に挑戦し続けよう)」を全社員の行動指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しています。グループ全体の成長戦略推進を基本戦略とし、業容の拡大を目指しています。

* 営業収益:85億円
* 経常利益:7億円
* 配当:年10円の安定配当を堅持

(4) 成長戦略と重点施策


長期ビジョン『ビジネスを、スマートにつなぐ。人生の、ストーリーをつむぐ。』のもと、データプラットフォーマーとしての存在意義を明確にしています。従来のシステム運用による安定的収益を基盤としつつ、データビジネスへの展開を推進しています。特に受験ポータルサイト『UCARO®』をプラットフォームとして育成し、M&Aやアライアンス、Web3.0等の先端技術の研究開発も進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「ヒトが生み出す付加価値」を成長の原動力と位置付け、「人材育成」「ウェルビーイング」「生涯企業」を3つの柱としています。「自ら学び、考え行動する人材」の育成を目指し、階層別・職務別教育を実施しています。また、非年功型の長期雇用を基本とし、定年までキャリアアップできる環境や、多様な働き方の実現、健康経営の推進に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2023年3月期 41.4歳 12.0年 6,351,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティ上のリスク


同社グループは情報処理のアウトソーシングを基幹業務としており、顧客の機密情報を大量に扱っています。サイバー攻撃や人為的ミス等により情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 個人情報保護法等の法令について


マイナンバーや個人情報を大量に取り扱うため、関連法令やガイドラインへの厳格な準拠が求められます。管理体制の構築に努めていますが、万が一情報の漏洩や不正使用が発生した場合、法的責任や信用の低下を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 大学入試制度改革について


同社グループは大学入試に関連する業務を主力の一つとしています。入試実施時期や入試実施要領等の制度改革が実施された場合、システム対応等の負担増を含め、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保及び育成について


ICT技術の発展に対応し、高品質なサービスを提供するためには優秀な人材が不可欠です。しかし、情報サービス産業における人材獲得競争は激化しており、計画通りの人材確保や育成が困難になった場合、事業運営や業績に影響が出る可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。