ODKソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ODKソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ODKソリューションズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、教育や証券分野向けの情報処理アウトソーシングなどを展開しています。直近の業績は、既存大学向け入試業務の堅調等により売上高が66.6億円と増収となった一方、減損損失等の特別損失計上により当期利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社ODKソリューションズの有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ODKソリューションズってどんな会社?


教育や証券などの分野で情報処理アウトソーシングを主力とし、データビジネスへの展開を進めるIT企業です。

(1) 会社概要


1963年に設立され、1964年に大学入試業務、1965年に証券業務の受託を開始しました。2007年に大阪証券取引所ヘラクレス(現東京証券取引所スタンダード市場)へ株式を上場しています。2013年以降は学研ホールディングス等と資本業務提携を結び、2024年にNINJAPANを完全子会社化しました。

従業員数は連結で204名、単体で142名です。大株主については、筆頭株主が事業会社の学研ホールディングスで、第2位も事業会社のファルコホールディングス、第3位は光通信KK投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
学研ホールディングス 16.48%
ファルコホールディングス 10.37%
光通信KK投資事業有限責任組合 6.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は勝根秀和が務めており、社外取締役の比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
勝根秀和 代表取締役社長 1987年同社入社。総務部長、取締役総務部長を経て2015年常務取締役に就任。2018年より代表取締役専務取締役を務め、2020年より現職。
森脇博文 常務取締役 1989年同社入社。エフプラス取締役、事業開発部長等を経て2018年常務取締役事業開発部長に就任。2019年より現職。
作本宜之 常務取締役 1992年髙島屋入社後、2006年同社入社。総務部長等を経て2018年取締役に就任。2021年より現職。ポトス、NINJAPANの代表取締役を兼務。
大塚浩司 取締役人事財務部ゼネラルマネージャー 1991年同社入社。企画総務部長等を経て2020年に取締役企画総務部長および人事財務部長に就任。2023年より現職。
吉村美樹雄 取締役(常勤監査等委員) 1984年エムシー企画入社後、1988年同社入社。2018年取締役教育システム部長、2021年取締役に就任。2025年より現職。


社外取締役は、川口伸也(エース法律事務所弁護士)、藤岡寛(監査法人ソルシオ代表社員)、平松亜矢子(共栄法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報処理アウトソーシング」事業を展開しています。

(1) システム運用


教育、証券、一般事業法人等向けに情報システムの運用サービスを提供しています。大学入試関連の業務や証券・ほふり業務を中心に、継続的な運用サポートを行っています。

顧客から継続的なシステム利用料や運用受託料を受け取る収益モデルです。運営は主にODKソリューションズが行っており、子会社のエフプラスやポトスなども開発や運用に携わっています。

(2) システム開発及び保守


顧客のニーズに合わせた情報システムの開発と、導入後のシステム保守サービスを提供しています。金融や教育向けシステムの機能改善や新機能追加などを担っています。

システムの構築や開発作業に対する対価、および保守費用として収益を得ています。ODKソリューションズのほか、エフプラスが金融・教育向けシステムの開発や保守などを運営しています。

(3) 機械販売


システムの導入や運用に付随して必要となるハードウェアやプリンタなどの機器販売を行っています。主に一般業務や医療関連サービスの顧客に対して提供しています。

顧客への機器本体の販売や更新に伴う代金を収益源としています。この事業は主にODKソリューションズが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は継続的な成長を維持しており、55億円から67億円へと増加しています。経常利益は一時的な増減を伴いつつも底堅く推移していますが、当期利益は直近で特別損失の計上等により減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 55億円 56億円 59億円 65億円 67億円
経常利益 5.1億円 4.5億円 6.0億円 5.8億円 6.6億円
利益率(%) 9.3% 8.1% 10.3% 8.9% 9.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.0億円 2.1億円 2.5億円 3.2億円 0.9億円

(2) 損益計算書


売上高は着実に増加し、売上総利益率も改善傾向にあります。これに伴い営業利益も増加し、本業の収益性が高まっていることがうかがえます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 65億円 67億円
売上総利益 20億円 22億円
売上総利益率(%) 30.5% 32.7%
営業利益 5.2億円 6.1億円
営業利益率(%) 8.0% 9.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が4.0億円(構成比26%)、雑給が1.8億円(同11%)を占めています。また、単体の売上原価においては、外注費が18.7億円(構成比44%)、経費が11.2億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるシステム運用は、教育業務における価格適正化や既存大学向け入試業務の売上増加などにより堅調に伸びています。一方、システム開発及び保守や機械販売は、前年度の案件剥落等により減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
システム運用 58.7億円 61.8億円
システム開発及び保守 4.1億円 4.0億円
機械販売 1.9億円 0.8億円
連結(合計) 64.7億円 66.6億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 10.0億円 6.5億円
投資CF -7.0億円 -2.8億円
財務CF 1.2億円 -4.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「情報サービス事業を通じて、顧客の繁栄・社会の発展に貢献する。」を経営理念として掲げています。データプラットフォーマーとしての存在意義を明確にし、「データに、物語を。」という社会的価値を提供することで、現実と仮想の垣根を越えて有機的につながる世界観の実現を目指しています。

(2) 企業文化


企業が成長・発展する原動力を「ヒトが生み出す付加価値」におき、人的資産への積極的な取り組みを重視しています。また、行動指針として「Chance(意欲を持って)」「Change(変化を恐れず)」「Compliance(法令遵守)」「Challenge(常に挑戦)」の4つの「C」を掲げ、主体性と柔軟性を尊重する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


ローリング方式による中期経営計画を策定しており、2029年3月期を最終年度とする目標を掲げて事業規模の拡大と収益力の向上を図っています。

・営業収益:100億円
・経常利益:9億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存の情報処理アウトソーシングを中心としたシステム運用による安定収益を基盤としつつ、データビジネスへの展開を強力に推進する戦略です。特に自己主権型デジタルアイデンティティ基盤である「アプデミー」を軸とした優位性の確立を図るとともに、新規事業やM&Aに3年間で50億円規模の投資枠を設定し、収益化の加速を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を最も重要な資本と位置づけ、非年功制の長期雇用を基本としています。「生涯企業」「人材育成」「ウェルビーイング」の3つを柱とし、ジョブリターン制度の導入や定年の65歳への引き上げなどを実施し、誰もがやりがいを持って安心して長く活躍できる環境の整備と、持続的な企業価値の創出を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.3歳 12.1年 6,244,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり有給休暇年間取得日数(14.4日)、一人当たり年間残業時間(179.7時間)、一人当たり年間能力開発費(78,329円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティ上のリスク


顧客の重要な機密情報を大量に保管・処理しているため、不正アクセスや人為的ミスによる情報漏洩リスクがあります。全社的なセキュリティマネジメントに取り組んでいますが、リスクが顕在化した場合は社会的信用の低下や損害賠償などにより業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 生成AIの利用に関するリスク


システム開発や運用業務の効率化を目的として生成AIの活用を進めていますが、個人情報や機密情報の漏洩、著作権侵害、誤情報の流布などのリスクが想定されます。ガイドラインの策定などで対策を行っていますが、予期せぬリスクが顕在化した場合は影響を受ける可能性があります。

(3) システムの品質管理リスク


総合的な情報サービスを提供する中で、システムの不具合や人的ミスによってサービスの停止や遅延が発生するリスクがあります。プロジェクトの工程管理やテストレビューの実施など品質管理の徹底に努めていますが、サービスが停止した場合は復旧費用の増加等により業績に影響する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。