幼児活動研究会 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

幼児活動研究会 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場する同社は、幼稚園・保育園等への体育指導を行う幼児体育指導関連事業と、園経営のコンサルティング関連事業を展開しています。2025年3月期の業績は、売上高が71億円で前期比増収となった一方、経常利益は12億円で減益となり、増収減益で着地しました。


※本記事は、株式会社幼児活動研究会 の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 幼児活動研究会ってどんな会社?


幼稚園・保育園等への体育指導派遣や経営コンサルティングを主力とし、幼児教育の総合支援を行う企業です。

(1) 会社概要


1972年に幼児活動研究会として設立され、1988年にコンサルティング部門、1989年にイベント企画部門を創設しました。2007年にヘラクレス市場(現グロース市場)へ上場を果たし、2010年以降はJASDAQ市場を経て、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。

同社(単体)の従業員数は575名です。筆頭株主は同社の関連会社であり不動産賃貸等を営む山善で、第2位は光通信の共同保有者であるUH Partners 2、第3位は創業家出身で取締役の山下明子氏です。

氏名 持株比率
山善 36.68%
UH Partners 2 10.05%
山下明子 9.44%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は山下孝一氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
山下孝一 代表取締役社長 1972年9月同社設立代表取締役社長。2005年学校法人大和学園理事長。2015年7月より山善取締役も現職。
広田照彰 専務取締役 1978年入社。常務取締役事業部担当、常務取締役事業本部長などを経て、2013年6月より現職。
川田伸 取締役管理本部長 1984年入社。西日本事業部長、経営企画室長などを経て、2015年6月取締役管理本部長兼経営企画室長。2022年4月より現職。
久賀満雄 取締役事業本部長 1984年入社。北関東支社長、東日本事業部長、事業部長などを経て、2016年4月より現職。
山下明子 取締役管理本部副本部長兼事業管理部長 1972年9月取締役副社長。2015年7月山善代表取締役社長。2016年4月より現職。
八田哲夫 取締役コスモ・コンサルティング事業部部長 1989年入社。日本経営教育研究所代表取締役社長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、大野俊一(リンクアンドモチベーション取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「幼児体育指導関連事業」および「コンサルティング関連事業」事業を展開しています。

幼児体育指導関連事業


幼稚園、保育園およびこども園に対し、正課および課外の体育指導を行っています。正課指導では講師を派遣して体育授業を行い、課外指導では園の施設を借りてスポーツクラブやサッカークラブ等を運営します。また、合宿や大会等のイベント企画、障がい児向けの療育事業や小規模保育事業も手掛けています。

収益は、各園との契約に基づく正課体育指導料や、スポーツクラブ等の会員である保護者からの月謝、イベント参加費等から得ています。運営は主に幼児活動研究会が行っています。

コンサルティング関連事業


幼稚園、保育園およびこども園に対して、経営や運営に関する指導、園職員への研修、広報活動の企画制作などを提供しています。魅力的な園づくりをサポートし、園児数の増加や質の向上に貢献することを目的としています。

収益は、契約園からのコンサルティング料や研修受講料等から得ています。運営は主に幼児活動研究会が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあり、70億円台に乗せています。利益面では、2023年3月期をピークに経常利益はやや減少傾向にありますが、依然として17%を超える高い利益率を維持しており、高収益体質であることがうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 55億円 66億円 69億円 70億円 71億円
経常利益 8億円 14億円 15億円 14億円 12億円
利益率(%) 14.1% 21.2% 21.6% 20.0% 17.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 10億円 11億円 10億円 9億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高は微増したものの、売上原価および販売費・一般管理費の増加により、営業利益および営業利益率は低下しました。売上総利益率は30%台を維持していますが、前年よりやや低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 70億円 71億円
売上総利益 25億円 23億円
売上総利益率(%) 35.5% 33.1%
営業利益 13億円 12億円
営業利益率(%) 19.2% 16.5%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬が1.9億円(構成比16%)、不動産関係費が1.6億円(同13%)を占めています。売上原価においては、人件費が34億円で全体の73%を占めており、労働集約的なコスト構造となっています。

(3) セグメント収益


幼児体育指導関連事業は、正課契約や課外クラブの会員獲得により増収となりましたが、人件費の増加により減益となりました。一方、コンサルティング関連事業は、組織再編による効率化等が奏功し、増収かつ大幅な増益を達成しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
幼児体育指導関連事業 67億円 68億円 13億円 11億円 16.0%
コンサルティング関連事業 3億円 3億円 0.3億円 0.8億円 27.2%
連結(合計) 70億円 71億円 12億円 12億円 16.5%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

幼児活動研究会は、組織再編による人員配置の見直しと、園発展のための総合的なサポート指導、個別研修への注力を通じて、売上高・セグメント利益共に前年を上回りました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、営業利益の増加などにより、収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得やシステム投資、敷金支出などにより、支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8億円 9億円
投資CF 0.4億円 -4億円
財務CF -2億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「お客さまを喜ばし、社員を喜ばす」を経営理念として掲げています。また、「未来を背負う子供たちの為、日本社会、人類世界に貢献する」をミッションとし、幼児体育・教育を通じて子供たちの成長を支援し、幼児体育・幼児教育日本一の企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「本業に専念する」ことを方針とし、「人間として正しいか正しくないかを経営判断とする(損得でなく善悪で判断)」「指導で社会に貢献する(物ではなくサービス・ノウハウで貢献)」といった価値観を重視しています。また、子供に的を絞った多角化や、顧客数を増やし繰り返し利用してもらうことによる成長と安定を目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は「高成長・高収益企業」の実現を目指しており、持続的な売上成長とともに、以下の経営指標を目標として掲げています。

* 売上高経常利益率:15%以上

(4) 成長戦略と重点施策


幼児体育指導関連事業では、既存サービスの付加価値向上による契約園の安定化と新規開拓、および課外体育指導における独自カリキュラムの進化によるクラブ員倍増を目指しています。また、児童発達支援サービスの充実も図ります。コンサルティング関連事業では、豊富な指導経験を基にしたセミナーや研修を通じ、会員の倍増を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「コスモフィロソフィ」の理解・実践を通じた人材育成を重視しています。特に指導スタッフの水準向上のため、指導等級制度を設けて技術習得を図るほか、女性の活躍推進や障がい者雇用の促進など、多様な人材の確保にも注力しています。また、モバイル勤怠システムの導入など働きやすい職場づくりも推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.4歳 11.9年 5,301,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.3%
男性育児休業取得率 26.1%
男女賃金差異(全労働者) 57.3%
男女賃金差異(正規雇用) 74.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 17.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働災害率(13.0%)、障がい者雇用率(2.7%)、有給休暇取得率(71.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 少子化の影響


事業の主要顧客である幼稚園・保育園等の園児数は少子化の影響を受けます。同社は差別化や高品質なサービス提供で対応していますが、これらの施策が効果的でない場合、契約園数や会員数の伸び悩みにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 売上高の変動


イベント企画業務は、春・夏・冬休み等の特定期間に実施される遠足や合宿が中心です。天候不順や災害等によりこれらが中止となった場合、業績に影響を与える可能性があります。同社はオンライン映像指導等の代替策を構築していますが、リスクは存在します。

(3) 事故・訴訟リスク


実技を通じた指導を行うため、正課・課外体育指導中やイベント中に児童の事故が発生する可能性があります。同社の過失による事故の場合、損害賠償責任等の金銭的負担が発生し、業績や社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。